◇あらすじ◇

裕里の姉の美咲が亡くなった。裕里は葬儀の席で美咲の面差しにそっくりの娘・鮎美から、美咲宛ての同窓会の案内と、美咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。

美咲の死を知らせるために訪れた同窓会で、学校のヒロインだった美咲と勘違いされてしまう裕里。しかも帰り道では裕理の初恋の相手・鏡史郎と再会する事に。

勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の文通。裕理は美咲のふりをして、手紙を書き続けるが、ある日、鏡史郎の手紙が鮎美に届いてしまう。その手紙には、鏡史郎と美咲、そして裕理の学生時代の淡い初恋の思い出が綴られていた。

 

◇感想◇

岩井俊二監督の最新作を観てきました。

何か関連があるのかと思い、岩井監督の初期作「Love Letter」を事前の観直してみたりしました。(観直して正解でした。)

 

観終わった感想は、美しいストーリー展開に魅了されました。もちろんストーリーだけでなく、音楽も撮影も編集も何もかもが美しく、誰もが楽しめる作品になっていました。

 

手紙を書くという所作自体が美しく、SNSのやりとりばかりで、すっかり忘れてしまった情緒があるシーンが続きますが、「Love Letter」の時の様に長くは続かず、途中である意味ネタばれが起こります。

 

そこから後半にかけての展開が、さらに観客を引きつけます。

ここからは深くは書けませんが、広瀬すずさんと森七菜さんが二役を演じる意味が分かると、SFではありませんがタイムトラベルをした感覚になるのも面白い仕掛けで上手いなと関心します。

 

高校生時代は回想で多く語られるものの、大学生以降は鏡史郎の書いた小説の中でしか描かれないのも仕掛けとして面白く感じました。

 

小説の中身は冒頭だけ音読されるものの、それ以外は触れる事はなく、内容については語られませんが、パンフレットによると、実際に岩井監督自身が200ページに渡って、自身の思い出と重ね合わせて本当の小説として書かれている事には驚かされました。

 

あと、前半のコミカルな展開に一役買ってる夫・宗次郎役の庵野秀明さんは「エヴァンゲリオン」や「シン・ゴジラ」の監督として有名ですが、俳優としての出演は意外感じる方もいるかと思いますが、以前、庵野監督の「式日」という実写映画で岩井監督が主演のカントク役を演じた事への恩返し的な意味合いので出演との事です。

 

他にも、役者さんの演技のナチュラルさとか、監督の故郷である宮城のロケーションの美しさとか、書きたい事たくさんあったのですが、良い映画の時は長くなりすぎる傾向にあるので、とにかくスクリーンで観て確かめて観て欲しいと思います。

 

 

最後に、冒頭で触れた「Love Letter」は、もし観てなければ事前に観ておくと少しだけ得した気分になるので、オススメです。

 

あと今回手紙のモチーフのきっかけになった岩井監督の韓国映画「チャンオクの手紙」(主演はペ・ドゥナさん!)はGYAOで23日まで無料配信中です。こちらもオススメです。

 

 

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