◇あらすじ◇
昭和19年、18歳になった浦野すずに突如縁談の話が持ち上がる。相手は呉に住む海軍勤務の北条周作。すずは周囲に言われるがまま祝言をあげ、北条家に嫁いでいく。
戦時で物資が欠乏する中、すずは生活の切り盛りに奮闘する。
ある時すずは、道に迷って遊郭で出会った遊女のリンと知り合う。
◇感想◇
2016年に公開された「この世界の片隅に」に約30分の追加カットを入れ込んで、全体的なブラッシュアップを施された新作として公開された今作を観に行って来ました。
観る前までは、新作という印象で観られるか心配でしたが、観終わってみれば作品の性質が変わってしまう位に新作部分の影響力があり、新たな感覚として捉えることが出来ました。
元々あったシーンにも多大な影響を与えており、一段と深く作品に触れたようになりました。
※ここからは、このブログに来られた方はきっと前作を観ていると仮定して書いていきます。
例えば、前作で違和感のあったシーンの代表として、ラストで被災された見ず知らずの子供を連れて帰り、一家で育てる事になりますが、新作カットによって、すずさんの事情を知る事で、筋の通った行動だと気づかされたりしました。
新作カットの主な登場人物として出てくるリンさんとの会話の魅せ方とそれに付随して露わになる夫の周作さんとの関係性は、すずさんという一女性の物語としての輪郭を強める結果となりました。
私自身も最初のうちは、新作カット探しのような鑑賞をしていたのですが、新作カットによってシーンやセリフが重くのしかかってくるにつれ、物語がより深いところまで感じる事ができたような気がしました。
同時に上記のような前作で不可解に感じたシーンも理由づけがされて、うまく繋がってると感じたところも多かったように感じました。
これだけでも十分に新作として観る価値のある映画だと感じられますが、やはり前作の「この世界の片隅に」のファンであるかどうかによって、意見が別れるところかも知れません。
今作を初めて観る方は是非オススメですが、やはりターゲットは前作のファンの方へ向けられたものという位置づけではないかと思いました。
◇公式サイト◇
#この世界のさらにいくつもの片隅に