川崎泰子さんお別れ講演会

 

もっともっと話したい

〜きこえる家族の中で育った、きこえない私〜

 

ひまわり教室のスタッフとして10年間お世話になった川崎さんが、3月いっぱいで大阪を後に、故郷に帰られることになりました。

最後に川崎さんのお話をどうしても聞きたい、ママパパにも聞いてもらいたいということで今回のお別れ講演会を開催しました。

 

講師紹介

川崎さんは、地域の一般校に聞こえない子どもが入学した時に聞こえない介助員として採用され、同じように中途失聴で一般校で働く坂本に相談に来られて繋がりができました。

学校の中で聞こえないことと手話をどのように広げていくか、聞こえない子どもの支援をどうするかを話し合い学びあってきました。

 

 

いつものように西村の司会で始まりました。

 

 

川崎さんは幼稚部での口話教育と共に、家庭でもお母さんから厳しく言葉の指導を受けたお話をしてくださいました。

毎日の日記では、「きょう」だけでなく「さきおととい」から「しあさって」まで、日にちの読み方も「むいか」「なのか」「ようか」「ここのか」「とおか」など覚えたそうです

 

この毎日の日記のお陰で、語彙が豊かになり単語は得意になったそうです

幼稚部に通う時、渋滞を避けるために回り道をするよと絵をかいて説明してくれたそうです。お母さんの工夫がすごいですね。

お父さんはいろいろな音が出せるおもちゃを作ってくれたそうです。川崎さんはこのおもちゃが大好きで、いつも遊んでいたそうですが、かなり大きな音が鳴り響いて、でも近所の皆さんは(あぁまたヤッコちゃんが遊んでいるなぁ)と暖かく見守ってくださっていたとか。いいいですねぇ!

 

 

小学校3年生から一般の小学校に変わりました。

勉強ができる!と自信満々で行った小学校でしたが、担任の先生の名前の「にしむら」を「いしむら」と間違ってみんなに笑われ、自信を失くしてしまったそうです。

テストで100点を取った時に、みんなの前で褒められたけれど、他にも100点の人がいて、どうして自分だけが褒められるのかと違和感があった。

小学校生活の記憶は殆ど無いと聞いて、びっくりしました。

一番苦しかった中学校生活。

同級生があだ名で呼び合っていることに気づかず、自分だけ名字で呼んでいたので、威張っているように思われた。トイレに行くたびに笑われたが、その理由がわからなかった。

みんなが笑っても話が分からず、一緒に笑うことができなかった。

 

学校でも孤立し、さらに家族の団らんにも入れず、つらい毎日が重なり、怒りが爆発!!

 

家族から離れたいという強い思いから、山口から遠く離れた千葉のろう学校に入学しました。

初めて手話と出会うが、手話の読み取りが難しかった。

しかし慣れていくうちに、おしゃべりがスムーズになってきた。友達から「お前は冗談がわからないなぁ!」といわれ、

「なんで?私は言葉はいっぱい知っているのに~~?」と思ったけれど、だんだん手話を使えるようになって、気持ちを込めて会話ができるようになってきた。

 

ろう学校の高等部を卒業し、大学に進学。

 

 

講義の内容がわからず、勇気を出して隣の人に「ノートをみせてくれる?」と頼んだら、気持ちよく「いいよ~」と見せてもらえ、それをきっかけに周りからも声をかけられるようになり、友達の輪が広がった。

中学校の時に聞こえるクラスメートに傷つけられた心が、大学の聞こえる友達によって心が癒された。聞こえない自分がダメだと思っていたけれど、きこえない自分でいいんだ!聞こえない自分が好き!と思えるようになりモヤモヤした心がすっきりした!!

 

実家に帰り、施設におられるご両親との面会はそれぞれ5分!一人で行った時は、自分が話すだけで終わってしまった。数回行った後、通訳の人と初めて一緒に行って、お母さんが「やすこ」と名前を呼んでくれていることがわかって、初めて名前を呼ばれたと実感でき涙があふれた。

この時「泰子に言葉を教えるのはしんどかった!」とお母さんの本音を初めて聞くことができた。

 

このお話を聞いて、お母さんのいっぱいの愛情と何度もぶつかり合う中で培われた家族の絆が伝わってきて、私たちも胸がいっぱいになりました。

 

感動の嵐のご講演の後は、ちょっと気分転換💓

先ずは「じゃんけんあいさつ」からスタート!!

 

坂本と西村の見本でゲームのはずが、、、

チョキでおあいこ、え~っ!どっちが勝つの?

坂本のドジぶり発揮。川崎さんが大笑い!!

大ボケ小ボケ連発で、すぐ漫才に!?笑

会場は笑いに包まれ😂🤣😂😆

 

本気の鬼ジャンケン、もとい『じゃんけんあいさつ』始まったーーー✊✌️✋😂

 

 

続いて「進化じゃんけん」

じゃんけんで勝ったら魚→かえる→鳥→サル→人間

「みなさん『魚🐟』になって〜」スタート!

 

『人間』への進化を目指して

無声なのに、笑いと熱気に包まれました

 

めでたく『人間』に進化されたみなさんを祝福〜🤗🎉😃🎊😄😂💓

 

その後は、10の補数ゲーム。

簡単な一桁の計算やのに、意外と頭を使うんですよ😂コレ。

静かな競争心でメラメラ❤️‍🔥

先生役を交代して、再チャレンジ❣️


 

手話ゲームで楽しく。

空気一変した後は、擬似家族体験。

 

川崎さんの講演の中で「家族の団らん」に入れない寂しさ・辛さは学校の孤独以上だとの話がありました。

その思いをママパパの皆さんが体験することで、少しでも聞こえない子ども達の気持ちをわかってもらいたいと考え、擬似家族体験のワークショップを行うことにしました。

 

手話のわからない人を交えてグループを作り、「好きな食べ物」「趣味」について声無しで5分間、手話会話をしてもらいました。

 

『きこえる家族の中にいる、きこえない・きこえにくい子ども』ならぬ、『きこえない家族の中にいる、きこえる家族』の体験を5分間。立場によってあっという間にも、なが〜くにも感じられた時間についての感想はいかに。

 

手話で盛り上がる楽しい会話の中で、うなづきも質問も出来ずに、だんだん話についていけなくなり、諦めたり取り残されたりする感覚をどのように感じたか、どうして欲しいと思ったか、参加者全員でシェアしていきました。

 

・家族の会話の途中で、聞こえない子どもにわかったかどう 

 か声をかけるようにすると寂しい気持ちが少しでも軽くな 

 るのではないか

・今日の経験を家庭でも話して活かして行きたい

・手話で本音で話し合える、ろうの友達の必要性がわかった

・家の中でも手話を使って話していきたい

・もっと子どもに寄り添って楽しい会話を心がけたい

等の感想が出て、聞こえない子ども達の気持ちに少し近づいてもらえたと思いました。

 

講師の川崎さんが、グループでの疑似家族体験の様子をみて、話が分からない人は笑ったりうなづいたりすることがなかった、やはり会話に入れない時は、うなづけないんだとわかりました。

 

最後の交流会では、参加者の皆さん一人一人に日頃の思いを話して頂きました。

 

・「幼く発達がゆっくりの子どもだけれど、日々の中で、ひと言ひと言が伝わり合う・表現できるようになっていく喜びを感じている。」と話されたお母さん。子どもさんをしっかりと受け止めておられる言葉に胸をうたれました。

 

このような素晴らしい講演をしてくださった川崎さんが

もう遠い故郷に行かれてしまうのは、本当に寂しいです。

でも、きっと聞こえない人に寄り添った活動を始めてくださると思います。

 

みんなで最後に川崎さんに盛大な拍手~~!!

皆さんがアンケートに心を込めて、感想を書いてくださいました。

 

川崎さんの講演感想

・今日は貴重なお話を聞けて本当に良かったです。ありがとうございました。 家族みんなで思っていたことをお互いに言い合えるのは、とてもすごいことだと思います。 川崎さんの体験を参考に難聴の子どもとの接し方を考えていきます。 

・いじめの事や大学でのノートを見せてくれたり、手話サークルで心を助けられたことを聞いて、友達の 縁の大切さを認識しました。 家族だけではない外のつながりの大切さを改めて知りました。 

・深く染み入りました。ありがとうございました。 家族は勿論、社会ももっと優しい心に変わっていけたらと思います。 ・貴重なお話をありがとうございます。 難聴・ろうの方のすべての気持ちは分からないかもしれませんが、寄り添って過ごしていきたいと思い ました。子どもにも同じ境遇の友達ができれば、家族にも話せないことや、楽しい生活が送れるのか なと思います。 

・たくさん涙が出てきました。心の中で私自身ぼんやりとした気持ちが、川崎先生のお話で、自分の気 持ちが整理できたり、前に進めるように思えました。 心を救って下さり、本当にありがとうございました。 

・とても良かったです。 山口に親戚がいるので、また山口にも会いに行きたいくらいです。本当にありがとうございました。

・ご家族の苦しみや想いをしっかりと受け止め、感謝されて、それを行動にされて活動している川崎さ ん!本当に素晴らしいお話をありがとうございました。 もっともっとお話を聞きたかったです。 

・もっとたくさんの人に聞いてほしい、と思いました。 今、すごく難しいと感じていることが、お母さんの「大丈夫」をもう一度見直してもらうこと、不安になっ てほしいわけではないのですが、もっと“子ども”を見てほしい、と思っています…。 

・当事者として、共感できる部分が多かった。 それだけではなく、今後、ろう児と関わっていく中で自分が「何をできるか?」を改めて考えさせられ た。

 ・ろう学校(高校)で思い切って遠くに行かれ、川崎さんにとってターニングポイントの1つになったんだ と思います。そこでの出会いや、大学での健聴の友達との出会い、やっぱり出会いって大切ですね。辛い気持ちになる人がいなくなればいいなと思いました。

 

 交 流 * 挨 拶 ジ ャ ン ケ ン ・進 化 じ ゃ ん け んの感想 

 

・1 0 の 歩 数 ・挨拶ジャンケンなどなど、手話知らない子どもたちや知り合いに広めて、一緒に手話を覚えて いきたいです。

・繰り上がりの計算はなるほどと思いました。 

・面白かったです。自然と笑顔になっていいですね。 

・初めて知った遊びでした。 手話を覚えながらできるので、 

 家族でもやってみたいと思います。

・進化ジャンケン、最初から最後まで「魚」でしたが、それ

 でも楽しかったです!!! 

・おもしろかったです。いろんな所でやりたいです。 

・これからの参考にします。楽しかったです。

・保護者と交流できて良かったです。

・初めて知った遊びでした。手話を覚えながらできるので、 

 家族でもやってみたいと思います。

・おもしろかったです。いろんな所でやりたいです。 

 

* 「デ ィ ナ ー テ ー ブ ル 症 候 群 」 疑 似 家 族 の 模 擬 体 験 各 グ ル ー プ で の 体 験 の感想

 

・私は子供をろう学校に連れて行った時、ろうのお母さん同 

 士で話が盛り上がっている のを見た時、入れなくて感じた 

 ことがあります。 

・みんなが同じ内容を共有し合うことの難しさ、大切さを教

 えてもらえたので良かったで す。 

・手話が分かる、出来る役でしたが、まだまだ下手なので分 

 からない所はわかるフリ。デ ィナーテーブル症候群の気持 

 ちを感じることができました。 

・とりあえずうなずく、理解した気持ちになっていました。 

・一緒にいても会話に入れないさみしさがありました。 

・わかりやすく、それぞれの立場を、体験を通じて考えさせ

 て頂きました。

・不安な気持ち、わからない事の焦りや孤独感はよく分かり

 ました。 

・判っているつもりの自分を反省しました。

・”あきらめる”を促進していく家族の中での聴者中心の会

 話、逆の立場になって考え る、があまりにも難しい。 「きこえない」ということを体験できるのは貴重だと感じま

 した。 

・プライドが高いと尚更「わかってる」と言わなくちゃ、ふ

 りをしなくちゃと思ってしまうなと思 いました。 私も途

 中ですぐにあきらめの境地になってしまいました

 

全体交流

・子どもと接する時にも忘れないように気をつけていきたい

 です。 

・悩み(自分の思い)について打ち明けられることで、気持ち

 が和らぐ場だと思った。

・皆さんの思いを聞かせていただけで、勉強になりました。 ・色々なお話を聞けて良かったです。 聴者としての気持ち、

 ろう者としての気持ちが聞けました。 

・皆さんの思いを聞かせて頂き、また明日からもがんばる勇

 気を頂きました。 

・皆さんの思いや気持ち、身近に知れてよかったです。 

・皆様のお話でより深く川崎さんのお話が深く入ってきまし 

 た。すばらしい交流会でした。 

・お母さんたち同士の交流の場が本当に大切だと思います。 

 私たちもやりたい―!と思いつつ全くできていないです。 

・いろんな立場の人のお話が聞けて良かったです。

 

 

閉会後も、会場のあちこちで交流の輪が出来てお話が弾んでいました。

 

皆様ありがとうございました。