「軽度難聴と人工内耳の課題と支援」シリーズ第7回目は、

4年ぶりの待望の対面学習会。

今日は『きこえて・きこえないあるがままの自分を好きになる。聞こえたり聞こえなかったりする自分をマイナスではなく、どうプラスに生かしていくのか』を講師お二人の体験から学びます。

 

初参加の方、お久しぶりの方々との挨拶で、ひまわり教室は笑顔でいっぱいです。もうすぐ2歳になるAちゃんが人見知りせずにおもちゃで遊んで、パパママとの会話がとても楽しそうで微笑ましかったです。

参加者は1歳児~15歳までのお子さんの保護者、当事者、難聴学級の先生方、ひまわり教室と繋がりのある方、講師、スタッフ合わせて27人です。

 

坂本から講師の紹介。

徳田先生とは20年ぐらい前からの長~いつながり。特にこのコロナ禍の3年間、ZOOM講演会では「困った時の神頼みならぬ徳田頼み」何度も助けて頂いて、学習会を続けてこれました。優しくて真面目一筋の徳田先生です。

 

山根先生は近畿地区の学習部長。いつもお世話になっています。昨年は全国の聞こえない先生方の研修会でも講演されました。明るくて元気いっぱいの先生です。

 

本日の時程。

 

いよいよ講演のスタートです。

徳田先生の手話と優しくはっきりとした声が教室に響きました。

出生時が大変だったので、それが難聴に繋がっているのかなとおっしゃっていました。

 

                                     (当日上映スライド一部改変)        

 ご両親から大事な教えを受けておられますね。

           

小学校に入学時、難聴についての指摘はなく難聴児としての教育は一切なかった。通常学級で過ごし、聞き取れていないことは友達に聞いていた。

 

文字ばかりの本は好きでなく、漫画で説明してくれる本が好きだった。「地震のひみつ」「地球のひみつ」「電車のひみつ」「なぜだろうなぜかしら・・」など

 

 

授業中は、説明が長いとぼーっとしてしまうことがあったり

話し合いは苦手だったそうです。

聞くことよりも視覚からの情報がわかりやすかったのでしょうね。

知識を持っている人へのあこがれから、先生の仕事に興味を持ち始めた小学校時代だった。

 

空手教室は、小3~中1まで、風邪をひきがちだった自分のために親が通わせた。

道場訓は覚えられず、当てられないように祈った。子どもだから、補聴器を付けることや紙に書いて覚えることなど考えもしなかった。

 

このような経験が、今の「パソコン何でも来い」の徳田先生の原型をつくられたんだなぁと思いました。

 

中学ではギターを触り始め、文化祭ではパソコンに校歌をプログラムして演奏させたら、先生に気に入られた。

高校でバンドを組んだり、軽音楽部に入って活動した。

 

大学受験を前に、自分の難聴を意識してろう学校の教員になれるコースを目指した。

 

 

聞き取れない時など、自分から近づいたり言い返してもらうなどの対応で仕事をこなしてこられた。

会議や打合せの司会では、司会権限を発揮!

 

 

 

自分が好きなこと、頑張れることを見つけること。

手話を学んだことが、結果的に道を広げた。

 

このまとめの言葉が、参加者の皆さんの心に強く響き、思わず拍手がおこりました。

 

 

続いて山根先生の講演です。

 

難聴→中途失聴→人工内耳に至る様子がよくわかりました。

 

口も読めない、わからないことが多すぎる。

恩師の言葉に励まされて、手話を覚えてみようかなと思った。

お母さんが、手話サークルやイベントの紹介、中途失聴の坂本先生の話などの情報をたくさん教えてくれて支えてくださったそうです。

 

中学、高校で聞こえない仲間と出会い手話を身につけて「わかる!」という体験がたくさんできた。

 

その当時は、人工内耳の情報は怖いことが多かった。

と話されました。

 

 

人工内耳をしている後輩のYさんとの出会いで、音楽が好きな自分を大切にしたいという気持ちが強くなったそうです。

 

人工内耳のメリットはあるけれど、逆に周囲からの誤解が生まれてしまった。

人工内耳をすると、全部聞こえていると思われてしまう!

 

家族の中でもこんなに大変だったことが初めてわかりました。

自分でも聞こえのギャップに戸惑ってしまう。周囲がわからないのは当たり前かもしれませんね。

 

参加者の皆さんは真剣に聞き入っておられます。

 

この経験から、自分の聞こえを周囲に説明して理解してもらうことが大事と思うようになった。

職場での工夫と、周りの理解と支援のおかげで、重度の子どもの担任として頑張っておられます。

 

 

最後に大事なまとめをして頂きました。

 

素晴らしい講演に、思わず拍手がおこりました。

 

交流の初めは挨拶ジャンケンです。

グーは「おはよう」チョキは「こんにちは」パーは「こんばんは」

参加者同士で挨拶ジャンケンが始まりました。

 

 

挨拶ジャンケンで和んだ後は交流会です。

ありのままの自分が好きになるために、どんな支援が必要で、どんな力を身につければよいかを一緒に学んでいきました。

 

まずは、地域の難聴学級や通常学級で一人で頑張っている子どもさんのお話をお聞きしました。

学校でロジャーマイクを使うのが嫌だと言い始めたお子さんについては、徳田先生から、自分も補聴器をからかわれて家で補聴器を投げつけた経験もあり、待ってあげたら必ず必要なものは分かってくるとお話くださいました。

 

また、人工内耳の中学生のお父さんは、子どもは「よく聞こえている」と言っているので返事がないと「どうして聞いてないんだ!」と思っていたけど、今日の山根先生の話を聞いて、そうではないということが分かり、これからは子どもの

事をよく見て対応を変えていきたい、と話されました。

 

坂本先生からは、子ども達は、思春期になり年齢に応じて成長をしているんだなと思った。

ママパパが不安に思いながらも子どもの気持ちを受け止めておられてとてもいい関係をつくろうとしておられて嬉しい。自分自身が中途失聴になってから、全く聞こえない自分を好きになるのに、10年もかかった。手話と仲間との出会いが大事だと思う。一人一人、悩みながら自分を受け止めていけたらいいと思うと。

 

 

逆に地域ですごしているお子さんに、聞こえない子と出会う機会は?とお聞きしたら

「こめっこに参加している」「1年に1回くらい会うかな?」とのこと。

 

続いて集団で学んでいる子ども達の様子を、難聴学級の先生から聞きました。

子ども達は個々の課題はあるけれど、やはり仲間が居る事の大切さを感じる。お互いに手話で話せる場があり、通常学級でも手話のできる友達もいるようだ等のお話があり、やはり仲間の居る安心感の中ですごしていることが分かります。

 

聴覚支援学校ですごしているお子さんのお母さんからは、毎日元気に過ごしている。

 

逆に地域ですごしているお子さんに、聞こえない子と出会う機会は?とお聞きしたら「こめっこに参加している」「1年に1回くらい会うかな?」とのこと。

 

1歳児のお子さんのパパママからは、つぎのような感想を頂きました。

中等度難聴のかたのお話を聞く機会がなかったのでとても参考になった、これからの見通しを持って育てていきたい

早くから人工内耳を装用しているので、今日の山根先生のお話はとても参考になったと喜んでおられました。

 

最後の挨拶で、きこえて、きこえない自分の「アイデンティティ」を持つことが大切とのまとめの言葉が心に残りました。

 

最後にもう一度講師のお二人に感謝の拍手!!

 

アンケート

①   徳田 浩一さんのお話

・「努力できる分野があると武器になる」とのお話を受け、子の力になれるよう、どのような関わりができるか考えていきたい。

・徳田先生の話を聞いて、思春期は補聴器やロジャーマイクをうるさく言わなくても(言わない方が)いいのかなと思えました。ありがとうございました。

・子ども自身が必要と感じた時にサポートできる様に見守っていきたいと感じさせて頂き、ありがとうございます。

・パソコンへの興味から、ご自身でろう学校の先生へと歩む道。たくさんの聞こえない・聞こえにくい方々へのサポートをされ、感動と感謝です。ありがとうございました。

・自分の聞こえの認識。友だちとの関係。先生のように自分のことを分かって ちゃんと伝えることの出来る子ども(人)になるための母親の役割。いろいろ考えさせられました。

とても勉強になりました。ありがとうございました。

・ぼんやりと聞こえていて、よく分からないことがある事があるのが、分かりました。

・本人の気持ちを聞くこと、とても大切だと思いました。

・同じ中等度難聴という事で、すごく身近に感じられ、参考になりました。子どもの可能性を伸ばすような関わりをしていきたいです。

・ 中等度難聴の立場でのお話を聞く機会がなかったので、貴重でした。やはり「ボーッとして外を見ていた」「気づいたら…」というあたりが大事なところだと思います。生徒との色々な関わりの中で、自分を再発見している…というような話があったと思いますが、その中味をもっと聞きたいと思いました。

・成長された後に手話を学ばれていた→その後の生活にとても活きたこと、よく分かりました。

・わかりやすくて、流れ良く、良かった。

 

② 山根さやかさんのお話

・「聞こえないことがあることを周囲も理解することが大切」とおっしゃっておられた。知識として知っていたはずだが、ご本人から経験としての話を伺って、より身に染みて感じるところがあった。

・人生のそれぞれのステージで考えていたことを沢山お話しいただき、とても勉強になりました。担任している子たちの気持ちがイメージしやすくなったように思います。

・心の強い方。しんがしっかりされた方。様々な体験を経て、生き方あこがれます。ありがとうございました。

・音や声が聞こえなくなった時の気持ちを直接お聞きすることが出来て、本当に有難かったです。子どもとの関わり方を考えながら、楽しんでいきたいと思います。

・先生のように、うちの子も音楽大好きです。(私が音楽の仕事をしている影響もあるのかもしれませんが…。)耳の聴こえのことを知った時には、親子で音楽を楽しめないのではないかと絶望した気持ちになりましたが、音楽の楽しみ方、関わり方は先生のお話を聞いて、間違ってなかったなァとほっとしました。ありがとうございました。

・人工内耳をつけていても、聞こえにくいこともある事が分かりました。

・失聴した後に、前向きに自分の目標を見つけた母親の支えの大きさを聞いて、家族が難聴の理解をする大切さを知りました。

・中途で完全に聞こえなくなってからの体験の話が、すごく興味深いものでした。ご自分のことを本当に整理してお話して頂けたし、お父さん、お母さん、お子さんに伝わるもの

が大きくあったと思います。

・親子の関わり方の難しさについて、とてもわかりやすく説明頂き、とても良かったです。

・思春期での苦しみなど、知らなかったことが聞けた。初めてで、改めて勉強になった。

 

③交流

・様々な立場の方々のお話を伺い、今後の子どもとの関わりに活かしていきたい。いろんな立場の方のお話を聞けて良かったです。(2人)

・お父さん、お母さん、あるいはお子さん自身の声が聞くことができて良かったです。

 

④今日の学習会について、思ったことを自由にお書きください。

・聞こえにくいことを認める「アイデンティティ」。貴重なお話、ありがとうございました。

・坂本先生のおっしゃった受け入れること。受け入れるためには、分かることが大切。

わかち合う、交流するということが必要。

・普段思っていることを、いろんな立場の方が返答してくれる機会はないので、交流時間が長いとうれしい。

・手話の活用をすることで、色んなことが広がるため、家族も手話を使えるように子どもと一緒に頑張りたいです。

・自由な討論で良かったと思います。

・最後に音楽の話がでましたが、以前 横浜に「ひよこっち」という(ろう難聴の若者の)手話ダンスパフォーマンスグループがあり、私はファンクラブに入っていました。

・当事者のお話は、とても学びがありました。強く、そして太く 生きておられる姿、とても勇気や元気をもらいました。

・難聴当事者の方のお話を直接聞くことができて、とても良かったです。また、保護者の方、子どもさん自身のお話を聞けたので、今日わかった事も、また、職場で子どもたちへの自立活動で学習していきたいと思います。

・徳田さんと山根さんのお話も、交流会での親御さんや現場の先生方のお話も、ひとつひとつの物語が自分史として紡がれていて、エンパワーメント(元気と勇気と自信と)をシェアする場になっていたと感じられました。そうした「ひまわり教室」という場を、坂本さんと西村さんを中心に、何人ものスタッフの皆さんが10数年かけてじっくりと育んでこられたのだと、あらためて思いました。その場に立ち合えたことをお礼申し上げます。