私の『アローン・イン・ザ・ダーク』の連載は好評でした。

ハチャメチャな記事でしたが、それがウケたようです。

 

さっそく1994年からの新連載を頂きました。

ゲームはシステムソフトの『空軍大戦略』。

 

私はストーリー仕立てにして

挿絵を描いて貰おうと思っていました。

 

面白いゲームでしたが、グラフィックがかなり地味で、

ページ映えがまるでしないのです。

そんな時、当時の先輩編集者が提案してきました。

 

「吾妻ひでお、使ってあげてくれない?」

 

この人は一体何を言っているのだろうと思いました。

『ふたりと五人』『ななこSOS』の吾妻ひでお先生です。

こんなゲーム記事の挿絵、描いてくれるわけがありません。

 

と思ったら描いてくれるというのです。

 

実はこの時、例の『失踪日記』直後で仕事を求めていたそうです。

 

私は保谷駅の喫茶店で吾妻先生と打ち合わせました。

 

緊張しっぱなしでしたが、先生は要望のたびにサラサラとペンを走らせ、

描いてみせてくれました。凄い、当たり前だが目の前にいるのは、

あの吾妻ひでおです。

 

リディアやらルーデルやら風船おじさんやら、

無茶ぶりにも関わらず描き続ける吾妻先生、

私は調子に乗って『女王陛下のプティアンジェ』の

アンジェも描いてもらったりしました。

もう『空軍大戦略』ではなく完全な「あじまワールド」です。

 

 

 

私のキャラ絵まで描いてくれました。

 

 

高校卒業後、デイリースポーツ新聞社で

使い走りをしていた私にとっては夢のような話。

 

読者からのハガキも嬉しいもので、

今より牧歌的な時代、文通のようなこともしました。

連載は全7回、吾妻ひでお先生的にはこの後、

『アル中日記』につながる話となります。