ゴールドマン・サックスとギリシャ政府が行った取引
もう一つギリシャ問題で関係者を激怒させているのがゴールドマン・サックスの介在である。ここでもか、というくらい最近の金融危機では危機に乗じて儲ける商品を売ったり(この件で米国政府はゴールドマンを起訴している)、自分は公的資金を受けて急場を切り抜けたりしているが、ギリシャでの動きはもう少し微妙である。いわゆるABS(資産担保証券)と呼ばれる商品でギリシャ政府の将来得べかりしキャッシュフローを抵当に融資した。1兆円近い巨額なものである。
しかも抵当に入ったのは将来入金予定の空港使用税とか宝くじなどである。ギリシャ政府が手にした資金はその年の財政赤字を補填するために使われたため赤字幅が見かけ上小さくなり、ユーロ基準(GDPの3%以下の年度ごとの赤字)に抵触することもなかった。この取引でゴールドマンが得た手数料は300億円に上ると言われている。
ゴールドマンがABSでユーロ基準の規制を逃れることができる、と持ちかけたのか、単に企業社会ではどこにでもあるABSを売り込んで、それを歴代の政府が不正処理したのかは明かではない。しかし、おそらく国民はこのように精巧な金融商品でタコが自分の足を食っている、ということは知らされてなかったのではないかと思われる。
ユーロに加入した当初はギリシャも慎ましくやっていたのだが、EUから補助金が出るものだから、それを使って大規模公共工事や甘いバラマキ政策を展開し始め、次第に財政規律が失われていったのであろう。
何のために? 言うまでもないだろう、政治家による票集めのためだ。ギリシャでは公務員数が就業人口の3人に1人と言われているが、彼らの生産性やコストを比較して削減する、という努力も政治家はさぼってきたわけだ。したがって、年金や子ども手当のような政策で歳出が莫大な額になり、財政は破綻。EUとIMFからの支援がなければユーロから切り離され、国家としては新しい債券を発行することもできずに、まさにデフォルト(債務不履行)寸前までいってしまった。


















