毎年春の路線(系統)関連の改正はもう定番になった感があるが、本年度は従来の路線で長田・兵庫方面で久しぶりに大きく手が入り、路線統廃合で新たな系統番号が数種誕生したのだが、その中で個人的に少し面白いと思った二つを取り上げてみた。

 先ずはダイヤ改正前の各系統で一番上から「3」「6(3種)」「9(2種)」それぞれの系統表示である。3だけは経路変更を伴う改正は関係ないので、先日撮ったものであるが6・9は3月中に撮影したものでいずれも改正でルート変更となり、表示が変わることが明らかなので撮影、それぞれ行先経路上で変化する表示も全て網羅したわけでは無いが撮影した。

 元々神戸市バスの系統番号、特に一桁は創業時に遡る付番された物で3もその一つ。ただ、6・9は歴史ある路線が市営地下鉄開業や延伸で沿線と被るなどで一度廃止され。後年全く縁の無い処で復活したもの。因みにかつての6は1950年代から暫くは「須磨-多井畑(後に北須磨団地)」方面で、その次ぎが比較的長く続いた「神戸駅-大学病院回り-三宮」、9は急行系統で歴史があるが最晩年は「新長田駅-西代/長田区役所(双方それぞれ経由あり)-上沢-山手-三宮貿易センター」であった。その後6は長田・兵庫区内の単独系統、9も同様であったが、数回のダイヤ改正の度にルートが少しづつ変わって今に至っている。

 今般の改正はこの6・9がルート変更に伴い3も絡めた系統に変更されることで、新たにこれらの派生統合を意味する「69」「93」が誕生した(6・9は新ルートで存続)。この発想は今回が初めてではなく、実は大昔から行われており、現在の111系統は元々11-1(11の1)系統、かつての91系統も9-1系統が昇格、変化したもので誠に面白く分かりやすいのであった。

 ただ、その一方で市電廃止時以降の系統設定では旧市街地を三宮で東西に分けて80番台は西部循環、90番台は東部循環と明確に記され、40番台は基本市電代替路線となり暫くはその流れで進みその後、'80年代から近年に掛けて整理されていき、20番台は一部除き西神ニュータウン方面、30番台は東部方面、市電代替路線消滅後40番台は忌み番と捉えているのか、積極的に使用はされず、色々な使われ方をされながら、ざっくりで近年になってから西神南方面中心用に(それでも空き番あり、今般4系統(旧市街地系統)の派生で44が誕生している)、50番台は朝霧/舞子方面、60番台は北神方面、70番台は北須磨方面と分かりやすい分け方であったが、時代の流れで路線委譲、廃止などで空き番が生まれ、新設系統に宛がわれる例も多くなった。

 特に60番台は一頃唯一60~69まで全部埋まっていたが、委譲後では僅かに神戸市バスとしては復活した62及び急64~66のみになっている。その流れの中、今回登場した69は以前は北神系統の「岡場駅-フルーツパーク」93は昔の石屋川系統であった。

 今回はこの二つの新・旧場面を簡単に取り上げてみた。

◇69系統

 これが改正後に登場した新69系統。LEDを切れずに止めたい為にシャッタースピードを落とすも流し撮りに少し失敗したが、辛うじて行先は読める(笑)。なお、平日午前中だけの運用。

 こちらはかつて神戸電鉄岡場駅から出ていた市の娯楽施設「フルーツフラワーパーク」を結んでいた旧69系統。パーク側バス停が施設のゲート内で、そこで撮影するには確か入園料が必要な環境であった。上の写真はいすゞキュービックの400号で1998年5月登録「神戸22か」のラストナンバーと言われている個体である。この「66-57」以降、他社で再登録含め私は見ていないので、間違いないとは思うがもし一瞬で消えた再登録車がいたのであれば、残念ながら最終番号にはならないことになるが・・。

 これは私のコレクション幕から。当時北神方面は有野車庫が一手に引き受けていたが、有野は元々布引車庫(現:中央車庫)の出先出張所であり、車庫表示も「布(→中)」であった。その後営業所に昇格し「有」マークに変わっている。有野も西神同様、ある時期から側面方向幕は経路表示を止めて「文字だけドン!」に変わってしまい、趣味的な面白さは無くなった。そもそも、この大型側面幕が登場した経緯を無視した「文字だけドン!」はどうにも抵抗があったものだ・・。

◇93系統

 今般、新設された93系統。39の方が理由的にはスッキリするが、39は19の派生である東部方面の系統に既に使用中である。なお、この39もかつては六甲山登山系統に付けられていた。

 こちら93系統は市電廃止時の代替系統で、石屋川から長田方面の双方向循環の91・92に対し、途中で短絡していた系統。この90番台も細かく言えば時代毎に若干のルート変更があるのでそこはまたの機会にしたい。写真はこの時代のことならお任せ!のT・T様撮影のもの。上の側面経路幕はまだ大型側面幕が出る前の所謂「小型」と言われていたサイズで当時、大半の事業者で採用していた窓寸同サイズの物。経路にある「大倉山/楠公前~石屋川車庫前」は晩年の91・92系統に近い路線(91・92の晩年は大倉山の少し西手、湊川公園/新開地で折り返していた)であった。

 最後に4月以降、表示の変わった9系統。従来の様な表示方では無く「9新開地・吉田町といった表示方が神戸市バスとしては目新しい。別のパターンも「」付きの表示。

 

 個人的には「方向幕でなくなった現在のLED表示器」は何でもアリの便利な表示器であるが、なんでもアリだけに趣味的魅力としてはあまり食指が湧かないながら、今回の様に大掛かりなダイヤ(系統)改正は「昔取ったなんやら・・」で方向幕変更後にあちらこちらで幕写真を撮っていた頃の血がうずき、書き上げた次第・・。