今回は久しぶりに所有する昔のTVドラマDVD視聴時からの話題。今まで何度か話題にしている石原プロ製作の刑事ドラマ「大都会シリーズ」のPARTⅢ37話「頭取集団誘拐」からで、この話は私のような劇用車好き、バス好きには中々面白い話題である。 

 内容的には「銀行トップの頭取会議を犯人が乗っ取り、そのまま各銀行から政治資金融資名目で金銭を巻き上げ、全員誘拐の上、各銀行を現金回収のために観光バスで回る・・」というモノであり、実際には目立って仕方が無い犯罪で突っ込みトコロ満載なのであるが当時はこれでも十分通じるドラマ内容だったのであろう。

 なお、画像は全てDVD静止画像撮影であることをお断りしておく。ゆえにボヤケ気味であることもお含み頂きご了承頂きたい。

 

 さて、この話題のメインともいえる現金回収銀行巡りツアーに使用されるのがこちら↓

 最初見た時にアップで度肝を抜かれたが実在する「日の丸自動車興業」の日野-富士重工。そう、近年オープンバス(スカイバス)で全国的に有名なあの「日の丸自動車興業」である。オープンバス同様深紅な車体は拝見させて頂いた観光バスに詳しいサイト様によると創業時に由来するらしい。実在のバスでナンバーもテンプラでないこともそうであるが、何といっても拙ブログで少し前に前に話題にした「日野オーバルライト」を装着した姿にこれまた「をぉ!」であった。番組の放映は1979(S54)6月19日。この年代の新車にオーバルライトが採用されたことも驚きである。先の詳しいサイト様ではS53年式日野RV550P、愛称「クイーンメリー」とのことであった。

 番組内で唯一公式側全体像が綺麗に拝めるシーン。富士重工G型ボディ採用で乗降口ドアが開き戸で側面カーブドガラスという兎に角豪華な観光バス。練馬22か19-73で日の丸社番は008号に読めた。

 顔付近のアップ。富士重工ながらオーバルライトでやはり「日野の顔」である。日野に限らずライトベゼルは、選択できるボディメーカーでエンジンメーカー各社の印象を植え付けるのに十分な存在感を示すパーツであることがよく分かる。リアの様子からもエンジンルーバーの位置から日野が分かる。

 これは日の丸観光を隠密で追跡する城西署のレギュラー230前期型セドリック黒パトであるが、テンプラナンバーなしで本来の「多摩56ほ73-63」で走行している珍しいシーン。この230は顔を見てもお分かりの様にアクションスタント用のスタンダードではなく、サイドミラーも高級仕様、フェンダーのタイヤアーチにもモールのあるグレードの高いバージョン。旧いので一見スタント用に見受けられるが、結構シリーズ中大事に使用されている。

 話が進み、捜査過程上でこの観光バスが事件に絡んでいることを知り、パトカーで包囲されるところ。なお、隠密追跡中では東京駅前や銀座界隈と思われるところを走行するシーンもあり、普段春海方面のロケが多いと言われるこのシリーズでは珍しい走行シーンに思えた。その後パトカーの包囲網を犯人の要求で解除させ、再び街に消えるシーンが下。遠くに山手線103系が見える。都内の方ならロケ地もお分かりであろう。

 街に消えた観光バスを探す警邏パト。レギュラーの「品川88(多摩57)ほ87-20」と「同87-19」号(「品川88」は紙貼り)。話が前後するが、バスが事件に絡んでいることが分かった際の無線連絡でもこの白パトへの「警邏中の各移動・・」という無線呼び掛けでもしっかり対象を「日の丸自動車の観光バスクィーンメリー号、ナンバー練馬22か19-73・・」と言われており、事業者公認と思われる。自社の豪華サロンバスを人気番組で使用するのであるから宣伝効果も抜群であろう(但し、番組エンディングの撮影協力に「日の丸自動車興業」の文字はなかった)。それにしてもこの330後期型セドリックパトカーは我が国初の散光式警光灯搭載と言われているが兎に角当時から格好良く、未だに憧れである。

 そしてここを最後に日の丸自動車のRVは姿を消し、次に犯人一味が乗って登場したのが・・

 なんと、こちらも以前拙ブログで取り上げた日野BM320T形!日野繋がりなのか定かではないが、犯人の計画では桟橋から船に乗り換える、とのことで目立つバスからマイクロに乗り換えた模様。しかし、よくこんなバスも事前に用意していたな・・とここでも突っ込みたくなってしまった・・。

 この日野BM320形は金産コーチのK型と帝國ボディのT型があるのは先の拙ブログでもお伝えしているが、これはスケルトンタイプのT型で下の写真でもドア横裾に「テイコクボディ(アルファベット表記)」の銘板(赤矢印)が見える。

 リアの様子が伺える貴重なシーン。リアオーバーハング部分に本来表記されていた所有者名をガムテープで塞いだ様子も見える。ナンバーは「品川22そ?53-61」でこれは撮影用テンプラ。フロントのウィンカーが旧タイプなので、1965年前後のタイプか?

 その後、到着待ち伏せしていた黒岩軍団と銃撃戦になり、窓ガラスがバリバリになるも、クラッシュシーンはなかったため車体は綺麗なままで終焉を迎えている。当時では廃車解体前の二束三文のマイクロバスを使用していると思われるが、車内の「血のり」清掃は必要ながら窓ガラスを交換すれば十分使えると思われた(さすがにロケ終了後に解体されているであろうが・・)。

 人質だった頭取さんたちが救出されるシーン。余談ながらその中の一人に「太陽ほえろ!」のゴリさんこと石塚刑事の父親役だったセミレギュラーの俳優さんも出ていた。因みに犯人役の一人は若き日の小林稔侍氏で当時の石原プロドラマではそこそこ犯人役で登場している。

 このシーン、330白パトが3台写っているが手前は「品川(多摩57)ほ87-18」に見えるがもしそうなら、この車はこの大都会PARTⅢ中盤のロケ中にアクシデントクラッシュを食らって、見えている側面のリアドアからトランク付近が大きく破損、リアガラスもなくなってしまい、後に大修理した個体で大都会ファンには有名は話題でもある。

 最後にもう一度ボヤケ画像ながら美しいクィーンメリー号をご覧頂くが、先の詳しいサイト様の画像では同期1番違いの19-72号が載せられており、その車はオーバルライトではなく、日野ライトの丸目4灯であった。察するに後年、やはりオーバルライトから交換された可能性が高く、ドラマに出ていた19-73号も交換されたのであろうと推測する。

 

 またドラマで活躍した車に纏わる面白い話題が出てくればアップしていきたい。