少し前、神戸市民にはお馴染みであった市立須磨水族園が時代の流れと経年でこの度市営の手から離れ、リニューアルされる・・というニュースで、35年近く前に「須磨水族館」がリニューアルで現在の「須磨水族園」にリニューアルされる・・というニュースを思い出し、当時市バスと絡めて外観を撮影していたので、定点撮影に赴いてきた。

 

◎当初は交通局直営だった須磨水族館

 若い方はご存知の無い方も多いであろうが開設当初は交通局直営であった。このため、当時の市の刊行物には市バスや市電と絡めた写真も多く、市電時代には水族館絡む臨時系統板?に海の生物のイラストが描かれていたものもあった。

 これは近年私が入手した古い絵葉書だが、しっかり市バスが写りこんでいる・・というより狙って入れていよう。一見カラー写真だが、当時のお約束「着色写真」でそれが証拠にバスのナンバーは着色漏れのようでオレンジ地に黒字ナンバー時代ながらここはモノクロ写真のままである。

 バスを拡大してみた。「兵2あ3332」号で局番332、1956年式日野BD33=金産である。これは路線/観光兼用車で趣味の先輩の研究と交通局の写真から「いちのたに」号の愛称が付いていることも分かっている。なお、着色しているローングリーンはこの時代の本物の市バスの色より明るい目で本来はもっと黒に近い深緑である。

 この頃は建物直前は車寄せになっていたようであるが、私が子供の頃(1970年代前半)は車道と歩道が出来ており、この目の前は市バス「須磨水族館」バス停であった。

 
    もう一つ、コレクションから発掘出来た1960年代の交通局発行の観光ガイドから。白黒写真の方、水族館周囲の様子がよく分かり、前にはふそうボンネットが写り込む…と言うかこれも敢えて配置しての撮影であろう。
残念ながら、この写真からナンバー等の情報が読み取れ無いので詳細不明だが、新三菱ボディ架装と思われる。

 

◎水族館晩年

 これは1987年、リニューアルされることで建て替えとなるので市バスと絡めた写真。市バスはS57年式のK-CJM470で恐らく396号。回りに写る車も懐かしい。バスの行先は「衣掛町(きぬがけちょう)」でここは水族園開園時だったかに「須磨水族園」にバス停名が変更されている。

 これは82系統衣掛町行であるが、都市新バス「かもめライン」用に改造されたS57年式K-CJM470の409号。この「かもめライン」の話もいずれしたいが、かもめライン本運用までは新バス用の新車、改造車はいずれも従来系統にも入っていたので、僅かな期間であるがこういったシーンも見られた。

 これらが当時のバス停標柱。当時新型だった通称しらゆり型で市バスも市街地中心にかなりの標柱がこれに置き換えられているが、それから30年以上経ち、更に新タイプに変わった標柱も多い。

 

◎水族園晩年

 つい最近に撮影した物で、上の水族館時代より少し西手に本館が建設された。旧衣掛町バス停が「須磨水族園」に、旧須磨水族館が「若宮町」に改称されている。なお、衣掛町は今も交差点名に残っているのと、バスの駐機場はこの建物の直ぐ右側で、衣掛町時代の昔から位置は変わっていない。

 また、当初は須磨水族園とそのままの名称でだったハズだが、いつの間にか流行の省略形「スマスイ」と呼ばれるようになり、公式でもスマスイと謳っている。

 西行はソーラー停留所になっているが、東行はしらゆり型が残る。バックは駐機場に入る市バス。

◎山陽バスも!

 期間限定で山陽バスも山陽電車月見山駅~須磨浦~スマスイ周辺を運行する巡回バスが出来ており、黄色いバスをこの界隈で見掛けるのは一寸新鮮。

 車両は今やシャトルや企業送迎で見掛けることの方が多い、H17年式のPA-LR234J1で4523B号。スマスイは海沿いなので、山陽電車月見山駅が最寄りとはいえ、徒歩で20分以上掛かるのでこの試みは面白い。

 

◎で、定点撮影

 撮影場所が若干異なるのであるが、構えている方向は同じである。上が1987年5月、下が2023年5月である。旧水族館より東手のスペースは長い間平面の広大な駐車場であったが、いつの間にか近代的な立体駐車場に変化、浦島太郎であった。

 これはオマケで取材時にちょうど山陽バスが来たので、市バスと水族園の看板を入れて撮ってみた。

 この2枚も撮影時期は上記同様。国道より北側へ延びていた路線は国道より少し北手に最寄停留所が設けられていた。

 数年前にここを走る71・75系統が神姫バスと共用となったために「市バス」表記部分を共用表記に改めている。余談であるが、この系統を受け持つ市バス落合営業所は神姫バスに委託しているので、旧明石系統以外でも市バス/神姫の共用が見られる。※旧明石系統は現在はいずれも神姫バスのみ。

 これもオマケで水族園前市バス停留所を通過する山陽の周回バス。このまま北上すると山陽電車の月見山駅である。

 

◎水族館の思い出

 神戸市内の幼稚園・小・中学校の遠足では王子動物園と並び定番だったここ須磨水族館。遠足以外でも家族で何度も訪れている。館内にはいって直ぐの天井には大きな骨格標本が釣り下がっているのは未だに覚えており、その下のスペースだったかにカブトガニの水槽があったり、何といっても遊園地スペースのおとぎ電車乗り物がひかり号であったり、今も断片的ながら覚えている。

 また海が直ぐそばなので海水浴に赴いた際は建物の裏側も見ていた。スマスイになって以降、裏口から海水浴場にも行けたが水族館時代からそうだったのかは思い出せない。その海水浴の際に浜辺で「ヒトデ」を見つけ、最寄りの祖母宅まで持ち帰ったのはもう50年近く前の話・・。また海水浴場の砂浜には何故か廃車が1台転がっており、兵ナンバーが付いた310系紺のブルーバードだったと記憶している。高校生の頃までは存在していたが晩年は悪戯されて見るも無残な形になっていた。今にして思えばまだ綺麗な間に写真を撮っておくべきだったと・・。

 スマスイになってからは今度は家庭をもった私が何度も家族で訪れているが、子供たちが大きくなった今ではもう10年近く訪れていない・・。今度リニューアルされた際は民間主体ゆえ入場料も大幅アップとなる点が懸念されているが、また人気の施設になってもらうことを願ってやまない・・。