花バスシリーズ、3回目は1982年度の花バス写真中心で述べていきたいが、初回で話題にした2017年に登場した花バス復刻デザインの123号が当時の神戸まつりのメインイベント、三宮のパレードと同年の交通フェスティバルに登場ということもあって、当時パレードに数年ぶりに出向いた際のレポートも後半で交えたい。

◇1982年度

 この年はポートピア'81も終了したので、「神戸まつり」のシンボルマークが顔に復活し、1982年当時の人気アニメがテーマ。「1:おはようスパンク号」、「2:ゲームセンターあらし号」、「3:○○戦士 Gライタン号」、「4じゃりんこチエ号」、「5:名称失念…」 

 これ以降アニメテーマが増えていったような記憶があるが、お子様向けなのでそうなって当然であろう(花電車時代は時代背景的にアニメがテーマではなかった)。

 

 運行中は「神戸まつり音頭(?テーマ曲で名称不詳)」と共に当然それらアニメの主題歌も大音量で流れていた。

この年に初めて長田工場で出庫の様子を撮影させて頂けたが、当時花バス運行時は工場もおまつりムードで守衛さんに一声掛ければ自由に入場出来た。まことに旧き良き時代であった。写る車の中にはフロントウィンドー内に「つり革」がぶら下がっている車があるのも確認出来るが、場所的にこれも後の花バス化時の移設改造であろう。

 花バスシリーズ「2」で述べた通り、この丸目2灯の前照灯を持ったBT51型は老朽化でこの年の花バス運行を最後に消えている。私は翌年の車が所謂「日野ライトベゼル」のバスがベースになっていたことで交代劇を知ったわけだが後年、大阪泉南方面の解体屋さんに台車状態のこのBT達が並んで程なく鉄屑になっていった…というお話をひょんなトコロから伺っている。

 この花バス、今までの画像を見て頂いてもお分かりの通り、全て「仮ナンバー」による臨時運行だった。これが後年運行に支障をきたす要因の一つにもなっていったようで、後年花バスそのものが無くなってしまっている・・。

 旧型の公式写真的アングルはこの年の3号車しか撮っていない。当時は兎に角「撮れれば良い」というスタンスだったのでそういう結果になっているのだが、やはりフィルム時代ではコマ数を増やすのは学生には難しい一面もあり、この当時鉄道なりバスなり撮影されていた方は皆同じような経験をしていよう。

 

 ところでこの神戸市オリジナルのBT、花バス製作時の写真が2017年に開催された市営交通100周年展の展示物の中にあったので、それを撮影したものも併せてご紹介したい。今となっては台車状態の姿が分かる大変貴重な写真である。同時に花バスシリーズ「1」の中で話題にあげ、台車の元局番を調査されたT・T様からもこの写真を拝見頂いた上でコメントを頂けた。

 私もイラストでしか表現出来なかった車両の写真が拝見できたことに大変喜びを感じている。写っている車の正面窓内プレートに「No2」とあり、もし、旧局番順に付番されていると、旧646号になるかも知れない。このように正面は菊水塗りが残っていたので、装飾後に前照灯用に開けた穴から見えた深緑色やブルーリボン装飾ステンレスのバーの端っこを観察するのも楽しみであった。

続いてT・T様のコメントを・・。

『初代花バスの鮮明な写真が出てきて、往年の市バスが生き生きしている様子が思い出されます。

中学2年の時ですから、1975年の神戸祭りの時に「花バス」が登場すると言う報道から、一体どの車が種車になるのか、中学生ながら随分楽しみでした。

その前年末に廃車となった65年式(神戸2き最初期車)から選ばれるのだろうと予想はできたのですが、まだ車輌構造もよく分かっていない身からすれば、身近だった「ふそう」の1101~のタイプに期待した思い出も懐かしいです。

出来上がった現物は、果たして「バス」なのか疑問でしたが、それでも旧型バスが形を変えてでも生き残ったのは快挙で、BT-51が数年間生き延びたことも大したものでした。

アルビーテンさまが翌76年から記録されていたのもあらためて偉業と言え、懐かしく拝見させていただきました。

年毎にテーマがあって、だいたいはその年のアニメのヒット作を用いていたと思います。77年の「日本昔話」も覚えています。

ただ、いろいろな利権や費用などもあって、81年だったか、ヒットしていた「アラレちゃん」は使えなかったと言う話の記憶もあります。

77年にバス愛好者の方々と、写真にも写っているボンネットバスを見学に工場を訪れ、これら台車状態のバスも実地に調べることができました。

旧局番はその時に調べたものですが、64年式が含まれていると言うことは、花バス構想が74年時点であったのだろうと考えられ、状態のよい車を取り置きしていたのだと思います。

気になったのは、これらオープン状態で雨天時も走行可能と言うことでした。

また、年中放置されて埃だらけになっているものも、花バス装飾前に洗車機に通すとのことで、運転席周りは大丈夫なのかと気になりました。

存外にバスは丈夫なものなのだと知ったところでもあります。

他に気になっていたところでは、65年式で後部非常扉だったと言うのが意外な発見でした。

一般的に一体窓になった節目年なので、台車状態の車体後部の非常口の欠き取りは驚きでした。

実地に見学してから既に40年以上経ち、すべてが過去のものになりましたが、確かに装飾をするなら平ボデのトラックの方が簡単ですし、バスを標榜するなら、通常の状態に装飾するほうが正統な気もします。

そういう意味では、こんなことにお金をかけていた当時の「神戸まつり」のパワーもすごいもので、実際にパレードももっと創意工夫があって面白かったです。

今はただ歩いているだけで、あえて観ようとは思いません。

当時祭りを牽引していた若者が既に初老と呼ばれる年齢に達していることからも、時間が大きく流れていることを実感します。

神戸市バスの歴史に、こう言うものがあったと言うことを、こうして記録する意義は大きいと思います。T・T』

 

 「よいこの夢をはこびます」・・このフレーズと共に爽やかな5月の風を運んできてくれた花バス…。またいつか交通局主催として帰ってきてくれたら…とは好き者の勝手な妄想だが、大人も夢を見てみたいものである…と長年思っていた矢先の2017年にその思いが形になって還ってきている。昨今の情勢上ラッピングでの登場で…であったが、それでも昔からの市バスファンとしては嬉しい限りであった。

以下は123号がデビューに際しパレードに登場した際とその後の交通フェスティバルで展示されていた際の記録である。

 市営交通100周年記念の一環としてパレード参加であったが、123号以外に例のボンネットも綺麗な装飾を施され参加していた。

 これらは交通フェスティバル展示時のもので、行先LED表示器にもあるように「花バス 太陽号」とネーミングされていた。真横が撮れたのは大きかったが、非常口側の後部から良い状態で撮れなかったのが心残りである。なお、職員の方が作成されたこのバスの大きな木製模型も存在しており、こちらは100周年記念展で展示されていた。

 

◇おまけ

 折角なので、2017年当時の神戸まつりパレードで見掛けた別の大型バス?もご紹介!形態や使い方も花バスに似ているのでこの機会に!

 そう、浦安の団体さんのあのバス!(とキャラクターたち)

実はパレードのトップバッターはこちらの団体さんであった。ゆえに沿道ではもの凄い人だかりで私もそれを見込んで早い目に現地に行ったが、ギリギリ撮影空間が取れた次第・・。まだコロナ前に毎年家族で浦安に訪れていたが、パレードや広報用のようで現地でこのバスを見たことが無く、写真やミニカーでしか知らない車でもあり、いつか撮りたい車であった。しかしこの車、バスなのかトラックなのかベース車を知りたいところ・・。

因みにこの車列は本年の「神戸まつり」パレードにも登場予定とのことでかなりの人混みが予想される・・。
※この項、車列の特性上キャストはキャラクター同様と認識しているので、写真の加工はしていない。

 

 最後が花バスの話から少し逸れたが、このシリーズは集中的にアップ予定。・・続く。