「みんな一緒に戦ってくれてありがとう。自己紹介するね♡フィリはカルディア国第十三王女のフィリストロニカ・ᒪ・ニス・フィリス・シュール・アルカディアだよ。ちょっと名前が長いけどよろしくね!」
フィリストロニカは軽くカーテンシーをして笑顔で皆にそう挨拶した。
「うん、よろしく!」
「それで、来るのが遅くなってゴメンねみゃーちゃん。みんなで真剣な話をしてたからなかなか出るタイミングがつかめなくて……。」
「ううん。来てくれてありがとうフィリストロニカさん!」
「フィリにもかしこまらなくていいよ!呼びやすいようにみんな好きに呼んで♡」
とフィリストロニカはフフフ♡と笑顔で言った。
「うん、フィリちゃん!」
「俺はやっぱり姫さんやな。姫っぽいし。あ、姫か!」
「フィリナ」
「フィリアさま」
「フィリナちゃん」
「亮きゅんは?」
「……フィリストロニカ。」
皆フィリストロニカの呼び方でワイワイし始める。
するとここでホーウィーがフィリストロニカに話しかけた。
「どうやらどこかの魔界の魔族が時空が超えられることに気づき、実夜への警告代わりにモンスターを操り幻影の姿でここに送り込んだようじゃのう……。」
「警告……そうね。たぶんそうだと思う。これはみゃーちゃんのそばにフィリも居ないと……!」
「そうじゃな。」
「じゃあウチに来る?実夜ちゃん家とウチは隣同士だからすぐ助けに行けるわ。」
「あ、それがいいよ!」
信子の言葉に実夜も賛成する。
「本当ですかぁ義母さま!みゃーちゃん♡」
心の底から喜ぶフィリストロニカだったが純はどこか複雑で
「おい誰が義母さまだ。」
とツッコミを入れた。
「うふふ♪【ママ】って呼んで♡」
「ママ!ありがとう!」
と言ってフィリストロニカは純に抱きついた。
「おいママって呼ぶなよ。そしてくっつくな!」
そういえば先程は気づかなかったが、純はどこか顔を赤らめているようだった。そんな二人を見て、
「ふふふ、なに純、顔真っ赤にして。かぁわいい♡」
と由菜が純をからかい始めた。
「赤くなんてなってない!ぜってぇただの気のせいだ!」
それに続いて
「いいんじゃないんか?ずっと新しい彼女が欲しいって言うてたやん♡」
とあつしも乗ってくる。
「バラすなよ!それとこれとは別問題だ!」
戒斗は
「わぁ〜今日はめでたいな〜。お赤飯炊かなきゃな♡」
と目を細めて手ばたきをして面白がる。
「お前ら〜!!」
「いいじゃん♪どうせその歳で初恋もまだなんでしょ?アンタにはフィリナくらい積極的な子の方がお似合いよ。」
と由菜の一言。それに合わせてさと子も
「そうですわ。」
と乗っかる。
「そうで〜す♡」
あつしと戒斗は肩を組んで純の状況を面白がりながら楽しそうに言葉をハモらせてくる。
「くそっ!どこにも俺の味方がいない……!おい亮介、黙って見てないで俺を助けろ!」
すると亮介は
「……まあ、ガンバッテ。」
とグッと拳を作って棒読みをした。
「おい俺を裏切るなよコラ!!」
「初めから手なんか組んでない。」
「何だと〜!?」
「うるさい。」
アハハハハと夜空に響く皆の笑い声。純とフィリストロニカのやり取りを見て、やっと皆に笑顔が戻った。当然実夜も楽しそうに笑っていたが、これからのことを考えると、いろいろと考えることが山積みで沢山あって顔が曇りそうになるのだった。実夜はその気持ちを表に出さないように隠しているつもりだったが、どこか言い知れぬ大きな不安を完全には隠しきれていなかった。