魂のボーカリスト、ブレイズ・ベイリー…。

イギリスバーミンガム出身の1963年5月29日生まれで今年49歳。

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まさに『漢』という言葉が相応しい。人にここまで胸を熱くさせられたのも恐らく私の人生で数える程しかないであろう。例えボーカリストとしては三流でも彼の生き様に魅せられた人間は少なくないだろうし、もしこの経緯を知ったら感情移入してくれる人も大勢いるだろうと思う。

◎ブレイズの特徴◎
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○中音域メインの吐き捨て型
○てか高音出ない低音も弱い中音域専門
○声質は個性的でイモくさく正直ダサい声
○かなりの音痴
○ルックスは良い(The X Factorブックレットのみ)
○しかしパフォーマンスは突っ立って歌うだけとか腕を回すだけとかあまりステージでの見映えがよくない


普通のメタル感性を持つ方なら一つも良い所が無いじゃないかと思うだろう。

「なんでこんな人がボーカルやってるの?」と感じる人もいるかもしれない。


だが彼の魅力はそんなところにはない。

彼の魅力は間違いなくボーカリストとしての能力など遥かに超越した『生きてきた人生とその生き様』にあるのである。



彼の経歴を簡単に載せると

・1984年に『Wolfsbane』を結成
 4作のスタジオアルバムと1枚のライブアルバムをリリース

・1994年に超大御所バンド『Iron maiden』に加入
 2作のスタジオアルバムとベストアルバムをリリース

・1999年に『Iron maiden』を解雇されソロ活動
 6作目のスタジオアルバムを発売予定

以来今日に到る。


私が彼の存在を知ったのは9年前。

ワゴンセールで新品500円で叩き売りされていたIron maidenの『The X Factor』というアルバムを買ったのが最初。それまでこのメタル界の大御所Iron maidenを聴いたことがなかった私はここで初めてIron maidenというバンドの音楽に触れたのである。

初め聴いた時「暗くって、取っ付き辛くて、それでいて個性的なボーカルだ。ブレイズねー」という感想を持った。

そしてその取っ付き辛さが当時メロスピのような単純明快な音ばかり聴いていた私からしたらとても新鮮で、「難解で荘厳な音楽だ。大御所バンドだけあって個性的な音楽を創っているなー」と素直に関心したことを覚えている。


が、ネットでの評判は


「ブレイズ最悪。しかし曲はいいです。」とか


「せっかく曲はいいのに、残念なことに耳が腐る。」とか


「曲自体がクソだからブレイズは関係ないだろ」とか


「プロの演奏をバックに、歌が下手めの素人が歌うカラオケアルバムである。そう思えば曲のよさによって最後まで聴くことが出来る。Voの表現力とか、Voに楽器以上の価値を見出さない人には結構楽しめる曲が入っているかもしれない。このVoはパーカッションレベルに考えればよいのである。そういう人には、このCDを買えと助言することが出来る。僕はこの最低のVoはメイデンの歴史の大汚点だと思っているので、認めていませんが。」


と賛否両論。

いや圧倒的に「ブレイズは糞」という意見が多かった。「オンチ」「高音でない」といったものから、「モミアゲ」「ハゲ」といった音楽に関係ない点でも罵られていた。


なんだよブレイズは駄目シンガーなのかよ。この作品にある程度納得しちゃった私をどうしてくれるんだよ?じゃあ何?ブルース・ディッキンソン?こいつが歌っているアルバムを聴いてみたら皆が言っている事がわかるのか?

ブルース・ディッキンソンとは、ブレイズが加入する前にIron maidenに所属していた看板シンガーである。やはりどんなメンバーチェンジがあったとしても前任者と比べられるのが後任者の避けられない宿命。

早速Book offでブルース・ディッキンソンがIron maidenを辞める前に作った歌った『Fear of the dark』という作品を購入。聴いてみると1曲目でいきなりブルースのアヘアへ声が炸裂。1曲目を聴き終わる前に音源を止めてしまった。

なんだよブルースも個性派シンガーなのかよ!唾が飛んできそうな奇声でひたすら押しまくるスタイルか?こんな変なボーカルなら同じく個性派であるブレイズとそう立場は変わらないんじゃないか?てかこの人のどこが凄いの?

前評判とあまりに違いすぎたブルースの歌声に落胆。冒頭1〜2曲だけ聴いてそっと棚に仕舞い、それから暫くメイデンを聴くことはなかった。



ところがどっこい、数年後にもう一回聴いてみるかとFear of the darkを頑張って聴いてみると頑張る必要があったのはほんの数曲で、あっと言う間にメイデンワールドへ。アルバムタイトルと同名の曲Fear of the darkなんて、今までちゃんと聴かなかった事をかなり後悔した。


◎ブルースの特徴◎

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○低音域から高音域までコントロールが可能
○更に声の強弱も自由自在で表現力が豊
○高声がライブで出なくてもフェイクの達人
○サル顔…
○所狭しとステージを駆け巡る元気なフロントマン


特に音域と表現力に関してはブレイズとは全く勝負にならないレベルで勝っている。ブレイズはThe X Factorと次作のVirtural XIの2作品に参加した後に脱退しブルースが復帰したわけだが、元々凄いけど上手いわけではないブルースの歌声は復帰作の『Brave new world』でビックリするほど上手くなっちゃったわけで、もう付け入るスキは皆無でした。



その後過去の作品を一通り網羅した結果出した答えは…

こりゃカスだゴミだ言われても仕方ないわ…。

特に昔からずっと応援し続けたファンにとってはブレイズのボーカルは無いわ。もし私が昔からのファンだったのなら「こんなド下手な素人、シンガーとして需要ないね。今すぐ引退して就職したほうが本人と音楽業界の為になる!!だって誰が得するの、コイツの歌を聴いて?」とBurrn!誌風に罵っていたのがアリアリと目に浮かぶ。

ファンによってはそれくらい耐え難く存在意義を問うレベルであったのだと感じ取れた。


私は昔からのファンではないし、The X FactorでIron maidenデビューしたこともあり、「The X Factorと次作のVirtural XI自体あれはあれでアリかな」と思っていた。


しかしブレイズはIron maidenの過去の人気曲とか全く歌いこなせていなかった。

そんなに高音域を使っていない曲でもギリギリ出ないことが多いし、何よりあまりに音痴でYoutubeのライブ音源を聴いていると痛々しくて可哀想になってしまうほど。バンドと完全にミスマッチ。

とある公演ではブレイズの駄目っぷりを態度で示した観客に対して本気でキレちゃったり。




シンガーに大抜擢された時は大出世もいいところだから勿論嬉しかっただろうしやる気だけは山火事の如くあっただろうけど、身の丈に合わない仕事をして精神的にボロボロになったと推測するに容易である。かつてのメイデンファンからは散々酷いこと言われてきたろう。有刺鉄線の茨の道を歩いてきたんだろう。



もう休ませてあげようよ。



ブレイズ…、お疲れ様。



そして晴れてIron maidenをクビになったブレイズは一生懸命就職活動し、一般企業に勤め現在では何人かの部下を従えるサラリーマンになっていましたとさ。







めでたしめでたし。



と、ならないのがブレイズのしぶといというか、諦めが悪いというかむしろ凄いところ。まさかのソロ活動を開始!あれだけ世界中からバッシングを受けたのに自分の天職はシンガーであると勘違いしちゃっているのかもしれない。


もうこれ以上、自分を傷つけないで!!


止めて、ブレイズ!!


そう思ったファンは少なからずいたのではあるまいか。

ブレイズの参加した2作品はIron maidenの完全完璧な黒歴史となり、むしろ無かったことにするかブルースが歌を入れなおして再録するかという瀬戸際まできていた。『ブレイズなんてヤツは元々加入してなかった。Fear of the darkの次はBrave new worldである』と主張する人が存在するのも事実なわけで。


そんな悲しみのシンガー、ブレイズのソロ活動。

一体誰が注目すると?あんな駄目シンガー。そう思っていた人も居たでしょう。

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そしてカムバック一発目のソロアルバム『Silicon messiah』が解禁されてしまった…。



恐る恐る中身を確かめると…


「いいんじゃない?」


とかなり好意的に受け入れられたのです。

よかったー。本当によかったよー!

ブレイズは見事な復帰を果たした。ブルースがDJを務める英国のラジオ番組にブレイズがゲスト出演した際には本心かは置いておき「本当にいいアルバムだ!!」とブルースが絶賛していたそうだし。

その後も自分のボーカルスタイルに合った音楽性でアルバムを5作品リリース。途中で離婚したり再婚した妻が亡くなったり家に泥棒が入って自叙伝と音楽のアイデアが詰まったパソコンを盗まれたりと、とても精神的に辛い時期があったようだがそれすらも乗り越えて今でも現役でメタルシンガーをやっているのである。


この心の強さは本当に凄い。

超メジャーバンドの一員になってしまったが故の壮絶なバッシングにも負けず自分のシンガーとしての存在価値も疑わず生きてきた彼の生き様はあまりにも感動的であり、涙を浮かべながら語り継がざるを得ない。

Iron maiden時代から現在に到るまで歌の実力に大きな向上も見られないブレイズ。

特別にカッコいい声を持っているわけでもないブレイズ。

そもそもシンガーの素養にすら疑問があるブレイズ。

そんな彼が未だに現役で活動しているのである。


流行り廃りが激しい音楽業界において、彼より遥かに凄い才能を持っていたのに消えていったり音楽活動を止めて就職していった人達なんてゴマンといるのに、一体自分の何を信じてここまで迷わずやってこれたんですか…!?




あまりにも熱い。

熱すぎて心がはち切れそうになる。

私も一社会人として、ここまで自分を信じて生きているのは到底不可能である。



更に今度リリースする6枚目のアルバムタイトルが

『The King of Metal』

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である。

今時小学生でも訳せると思うアルバムタイトルは『メタルの王』。

自分でこう宣言してしまう超強気な姿勢が凄い。Judas Preistがメタルゴッドを自ら名乗ったように、Blaze Bayleyも自らメタルキング名乗っちゃった!


…かつてあんなに大勢の人間に否定されて、あれだけ多くの酷評を突きつけられて、なぜこうも自分を信じ強く生きていけるのだろうか。レコーディングで自分の歌を聴き直して「自分は決して特別ではない」と気付いているだろうにも関わらず、なぜそうも迷わず進んでいくことが出来るのだろうか?



心の底から尊敬します。


そして今まで馬鹿にしていた気持ちも少なからずあった私ですが、6作目のアルバムタイトルが『The King of Metal』であると知った今日からは、本気の本気で貴方を応援していこうと思います。貴方に習い、少しでもいいから自分という人間と向き合い、信じて生きていこうと思いました。


貴方は仕事の出来ない社会人の希望の星です!


本当にありがとうございました。

ああ、でも今現在の体形があまりにもメタボリックなのはいただけません。

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きちんとツアーに出る前に鍛えなおして下さい。そして一日でも長く現役で居て下さい。



以下アルバム感想
 

●--.The X Factor (1995)


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メンツ
Blaze Bayley – vocals
Dave Murray – guitar
Janick Gers – guitar
Steve ハリス – bass
Nicko McBrain – drum

まさかの私のIron Maidenデビュー作(笑)

John WestやDoogie Whiteといった強豪たちを相手に見事にオーディションに選ばれてしまったブレイズ。

Steve ハリスとのやり取りから、ほぼ出来レースだったと思って良さそうですよねぇ。じゃなきゃ歌唱スタイル全然ブレイズ選ばないでしょ。ハリス印象悪いな(苦笑)余程ブレイズのパフォーマンスに光を見たんでしょうね。

Wolfsbaneのメンバーは黙ってオーディション受けていたブレイズに当然激怒。ブレイズはブレイズで落ちたら落ちたでWolfsbaneの活動を続けるつもりだったんでしょう!世界有数のメタルバンドの誘いです。目が眩むのも理解できます。

1曲目から大作。グレゴリオ聖歌的なコーラスからスタート。ブレイズ解禁により悪い意味で驚愕したファンが居たそうです。これは相性が悪い①、速めのミドル。盛り上がりに欠けるものの嫌いでは無い②、ブレイズらしい。よくこれを1曲目にしろと言われていました③、悲し気なキーボードとブレイズとハリスのベース。タイトルコールの言い方にブレイズ節を感じます④、またも静かに始まります。ブレイズの雄々しいはずなのに笑いそうになる「オーオオー!」がふんだんに配置されいます⑤、またまた静寂系スタート。ちょっと印象に残るサビメロが出てきます⑥、ちょっとコミカルなベースリフからブレイズもちょっとファニーな歌。間奏もなかなか決まっています。4:58の「イェイェーエ!」はちょっと違った声でカッコいいかも⑦、ベースソロから。このバンドならではです。楽器とちょっとユニゾンチックになるサビでのブレイズはカッコイイかも⑧、ヘリコプター音とベース。このバンドじゃなきゃやらん組み合わせでしょう。5:18のブレイズは…なんかスゴイ⑨、静寂系からスタート。正直あまり面白くないですね⑩、不思議なリフが中毒性あります。不器用なブレイズの歌と中盤の太鼓タイムが設けられたクロージング。私は好き⑪と、ブレイズのアグレッシブストロングスタイルとはかなり乖離したプログレッシブで叙情性を帯びた音楽性で、正直この間には化学反応は起きませんでした。やたらエッジのない音作りもブレイズ的にはマイナスかと。ブレイズの音痴もモロバレになってしまいます(苦笑)いや、これはブレイズだけの責任ではない!「NO PRAYER FOR THE DYING」以降ライブ感を重視して録り直しをあまりしなくなったのも原因です!(え、それは実力が反映されただけって…?)

楽曲も自体も彼等のディスコグラフィからするとそこまで良い出来とは言えないです。1曲目から大作なのが失敗要因に挙げられることがありますけど、本当に名曲だったらそこまで問題にならなかったと思っています。単に楽曲の不出来、ボーカルのミスマッチ、ブレイズの声に合わない圧の薄い音質が原因だと思います。ブルースが歌ったとしても劇的に変わるとは思えません。

私は上記にある通り、その難解さが当時は逆に新鮮でした。

後のブルース復帰後作品のどれよりも、このアルバムの方が面白いと思っていますし(苦笑)

【My Top 3 Tune】
・Judgement of Heaven
・The Edge of Darkness
・The Unbeliever

42 /100点
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●--.Virtual XI (1998)


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メンツ
Blaze Bayley – vocals
Dave Murray – guitar
Janick Gers – guitar
Steve ハリス – bass
Nicko McBrain – drum

前作で世界中から批判を浴びてしまったIron Maiden...というかブレイズ。

興行的にも過去最低規模だったそうです。Iron Maiden自体が失速していたことが大きいわけですが、その責任を全て背負わされたような形になってしまったのは本人としても歯痒かったでしょう。

気合を入れて作曲を行ったと思われます。

掴みは非常に良いんじゃないでしょうか。この突進力は前作と違ってブレイズの強みが出ています①、凄くホンワカした曲調。狙いは分かるし脱力した展開も悪くはありませんが無駄に長いブリティッシュロックな②、ブレイズのキャリアで最高音域では?1番初めて聴いた時に「メーイデンライデ〜ン、ハシュハシュ!」と聴こえた。まさにブレイズマジック。個人的には皮肉じゃないよ③、前作に近い路線。ブレイズのパフォーマンスはあまり際立った部分はありません④、Iron Maidenとブレイズがキッチリ合体したケミストリーを感じます。メロディラインがドラマティックな⑤、淡々としたサビが逆にちょっと浮いた感じで記憶に残る。それ以外はちょっと微妙かも⑥、シンセとギターのリフ、歌メロも面白いと思います。ソロでやや調子っぱずれ気味な疾走も意外性があるし。ただ長い。走るまで溜めすぎなきもする⑦、「ノモーチー、ノモーチー」朗々と歌うブレイズ。友に対して歌った楽曲な感じのバラード。ソロになってからもこの曲は歌っているのでお気に入りだと思われ⑧と、明らかに前作よりブレイズに合わせた方向に舵を切っていますね。楽曲が8曲ってのはかなり少な目です。どっかで「ブレイズの歌をあまりファンに聴かせないためでは?」なんて大胆な考察を読んだ覚えがあります。それは失礼すぎますよ。何よりブレイズに夢中だったハリスがそんなことするか?いや、まあよく知りませんけどね。

ブルースが復帰してブレイズの歌った作品は信者的なファンの間では存在しなかったことになったそうです。気の毒に思ったのか、はたまた嫌がらせかブルースが「この2作を再録したい!」なんてBurrn!誌で語っていました。それをされたら完全抹殺になっちゃうじゃんよブルース。幸いなことに、これを書いている時点ではまだ再録されていません。多分もうされることは無いでしょう。


よく「ブレイズがいなければ今のメイデンはなかった」なんて後年視点の美化された言い回しを聞きます。

しかしこれは、ブルースが辞めて微妙な流れのIron Maidenへ新たに加入したブレイズが人気をドン底まで叩き落とし、やっぱりブルースじゃなきゃダメだ!の声が高まったタイミングでブルースが復帰して、ブルース脱退前より更にバンドは大盛り上がりとなった的な悲惨な見方を私はしてしまうんですよね(え、そうだって!?)。

もちろんバンド側にブレイズを悪用する気が無かったのは知っています。ハリスが本気だった事も知っています。他のメンバーとマネージメントがブルース復帰に賛成していたのにハリスだけが最後まで抵抗していた事も知っています。

ただね、結果だけ見るとね…。

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ブレイズは犠牲になったのだ。

【My Top 3 Tune】
・Futureal
・When Two Worlds Collide

53 /100点
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●01.Silicon Messiah (2000)


silicon messiah

メンツ
Blaze Bayley – soul vocals
Steve Wray – guitar
John Slater – guitar
Rob Naylor – bass
Jeff Singer – drums

ブレイズのソロバンド1st!この時はまだ「Blaze」名義。Iron Maidenでボロクソに叩かれ捲りシンガーとしての矜持を傷つけられても折れずに立ち上がったブレイズ。果たしてどんな結果になるのでしょうか?

暗ッ!ダークでヘヴィ。そして声は相変わらずブレイズ(苦笑)ソロはかなり流麗でメロディアス①、ボーとしてると前の曲の続きかと勘違いしそう。これもソロがいいです。まるでブレイズの活躍を帳消しにしようとしているように...嘘です②、クリーンアルペジオからスタート。キャッチーなサビメロ。コーラスは誰?ファルセットみたいので重ねてるのは...まさかブレイズ本人?③、リードギターが輝き過ぎている。ソロも鳥肌モノ。もう主役がギターな気がしてくる④、これもアルペジオから。ダークでスロー、そしてちょいアダルティック...な雰囲気をブレイズがブレイズしてブレイズしちゃいます⑤、ちょっとIron Maidenっぽい。ただ演奏のキレはこっちが断然上⑥、囁くブレイズと暗いクリーントーンからいつものブレイズに。なかなか印象的なサビの⑦、ちょっとメタルっぽくないギターとタムメインのリズム、変わり種ですがブレイズが歌えばいつもの通り(笑)⑧、リードギターが輝きすぎているその2。最後の方でツーバスがちょっと暴れているのがポイント⑨、クロージングトラックですが、これも始まり方が暗いです。哀愁ある歌声からバラードだと思わせておき、途中から回転率アップ。7分強という若干長めの楽曲⑩と、重くてミドルテンポ主体。分かっちゃいましたが、再認識しました。やはりブレイズと組んでるギタリストはスキル、センス共に抜群です。Ozzy Osbourneのようにギタリスト発掘が得意そうというより、有能なプレイヤーを揃えるようセンサー張っていそう。

ただブレイズのバンドから脱退して有名になった方は居ないと思われるので、前向きに捉えるのならブレイズとのマジックだったのかなと。

海外では15周年のアニバーサリーエディションがリリースされています。やはり日本より海外の方が人気がありそうな感はありますね。

【My Top 3 Tune】
・Silicon Messiah
・Born As A Stranger
・The Launch

計測不能 /100点
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●02.Tenth Dimension (2002)


tenth dimension

メンツ
Blaze Bayley – soul vocals
Steve Wray – guitar
John Slater – guitar
Rob Naylor – bass
Jeff Singer – drums

前作をリリースしメタル界でそれなりに評価されました。が、日本ではそこまで良い売り上げにならなかったようで。悲しい話ですが本作は日本盤は未発売となってしまいました。Iron Maiden在籍時に日本でBurrn!誌で必要以上にブレイズをバッシングしていたため、それが売上に直結してしまった感じですか。当時のBurrn!ライター共、許すまじ!

1stとメンバーは同じです。

ミュンミュンしたインスト①、若干モダンめなザクザクリフ。ブレイズは相変わらず。ギターも相変わらず良い②、サビ前のギターフレーズがいい。サビ裏のギターがイチイチメロディアス③、リフがいい感じ。中盤から静かになるパートから超かっこいいギターソロへ④、ベンベンクリーントーンから雰囲気出すブレイズ。バラードチックなのはいいんですが、中盤から唐突にリズムが変わり軽快に。ギターソロがよく練られております⑤、メロディアスそうな雰囲気から走り出し、ギターは最高。ブレイズはちょっと変わった感じのサビでOK⑥、前曲から繋がるアコギとブレイズ。哀愁あるギターが絶品⑦、これも前曲と繋がる形でスタート。バンドサウンド以外の音も使ったバラード。ブレイズってバラードも合っています。後半は女性のコーラスのみなのも楽曲重視な姿勢がいい⑧、前の曲が良かったせいか、いまいち印象に残らない。サビメロだけは辛うじて⑨、In FlamesのSurburban meみたいなイントロ。エフェクター掛けたブレイズがちょっと新鮮。真正面ではなく空間を占めるようなサビメロが工夫を感じる。ベースソロがちょっとあるのも変わっている⑩、お、リフからして決まっています。若干Iron Maidenですが、終盤のこの位置に置かれているだけあって気合が入っています⑪、ダークなスローチューン。ドラムが何気に凝っています。一瞬声だけになる箇所が好き⑫と、全体的にリフがメロディアスというよりヘヴィ。Iron Maidenと差別化を図っている意味ではいい傾向だと思います。ギターソロで露骨にメロディアスになる楽曲が多い。

このアルバムを引っ提げてツアーを行い、ライブアルバムまでリリースしちゃいました。日本はともかく海外のどこかの国ではファンがたくさん存在するのは事実だったのかもしれませんね。スティーブハリスが言っていた「不満の声があるのは日本だけ」説は多少本当のことだったのかもしれません。

【My Top 3 Tune】
・Leap of Faith
・Meant to Be
・Stealing Time

計測不能 /100点
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●03.Blood & Belief (2004)


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メンツ
Blaze Bayley – soul vocals
Steve Wray – guitar
John Slater – guitar
Wayne Banks – bass ←新加入
Jason Bowld – drums ←新加入

本作はなんと日本盤がリリースされました!どういう気紛れなのかサッパリです。そのためかBurrn!誌にもインタビューが掲載されました。なんか…この間に凄く色々とあったそうです。鬱と診断されたり、飲み過ぎが原因で離婚したり、本を書いていたら家に泥棒が入ってパソコンを盗まれたりと散々。そんな状況下でも不屈の精神で立ち上がってしまう、それがブレイズなんですね。まさに魂のボーカリスト!レコーディングではプロデューサーのアンディ・スニープのアイデアでハンドマイクで録った楽曲もあるそうです。

リズム隊が変わっていますが、特に問題は無いです。

重苦しいリフのミドルチューン。サビのハモリってブレイズがやってるんですか。こんなにキレイに出来るとは①、歌メロも演奏も総じてよく作られています。サビでダウンビートするのがいいね。ギターソロは無駄な音一つも無いんじゃないかってくらいの構築美②、タイトルトラック。高低差が無いはっきりしないリフが新鮮。すぐ走り出しますが、サビメロが覚えやすい。ソロも始まり部分でスピードが落ちるパートが非常に良い③、おお、抒情リフ!ソロ前のうねるようなリフがなければロックバラードと呼べたかもしれません④、怪しい始まり方からブリッジで珍しい感じの歌メロが出てきます。全体的に歌メロが面白い⑤、めっちゃヘヴィなリフ。ヴァースがメタルというよりラップエッセンスを感じる。サビがちょっと予想外の方向に伸びる⑥、表打ち疾走。往年のファンにはウケが良さそう。ソロはもちろん言うことなし⑦、ちょっとアダルティックな雰囲気…なのは初めだけでいつものブレイズ。悲哀に満ちた歌メロがいいです⑧、モダンヘヴィネスみたいなリフで始まるのに、すぐに哀愁あるヴァースへ。ソロ時にバスドラが忙しいな…んでソロがすごいな⑨、イントロからリフまで高めのフレーズが記憶に残ります。俺の人生のサウンドトラックですからね⑩、と、日本盤発売記念で来日公演なんてあったりしないかちょっと楽しみにしていたんですけどね。特に何もなく。

ちなみに本作以降、日本盤はリリースされていません…。

【My Top 3 Tune】
・Ten Seconds
・Life and Death
・Regret

計測不能 /100点
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●04.The Man Who Would Not Die (2008)


the man who would not die

メンツ
Blaze Bayley – soul vocals
Nico Bermudez – lead guitar ←新加入
Jay Walsh – rhythm guitar ←新加入
David Bermudez – bass ←新加入
Lawrence Paterson – drums ←新加入


前作の最後で触れた通り、日本盤はリリースされませんでした。前作がやはり売れなかったんでしょうね。細かな点ですが名義が「Blaze」から「Blaze Bayley」に変更されました。メンバーも全員変わっていますし、何か思うところがあるのかもしれません。手元に物理媒体が無いのでライナーノーツで何か確認できたら追記しようと思います。

別の情報ソースで当時の状況を少しだけ。2008年の日本ではトップクラスのSNSとして君臨していた「mixi」にてブレイズ本人が公認のコミュニティが立ち上がったことがありました。まさかのご本人公認ですって。ノリにノッてバンドのマネージャーだったデビー・ハットランズさんとも結婚してハッピーなブレイズ…とはいかず、デビーさんはリリース前日に脳内出血で倒れてしまいます。デビーさんの容体をブレイズとコンタクトが取れる方がmixiでリアルタイムで伝えてくれたので、当時はよくこのコミュニティを覗いていましたね…。残念ながらデビーさんは亡くなってしまい、それに伴ってバンド自体の活動が滞ることになります。そしてブレイズ…なんてついていない人なんだと私は同情してしまいました。

いきなり疾走感爆発。ブレイズはブレイズしています!いつもよりいきんで歌っています①、続けてアグレッシブ。歌がどうこうより「YOU!」の部分が強すぎる。ソロにちょっとネオクラの趣がある?②、リードギターが活躍します。ソロも含めて大活躍。ブレイズも頑張ってヲ~とロングトーンをかまします③、リフがかっこいい。そしてソロもいい。重戦車のようなリフとツーバスのユニゾンが重々しくていい。中盤から走り出す展開も素敵④、ブレイズがなぜか日本を思って作ってくれたらしい楽曲。正直、「大丈夫か!?」と心配したファンもいると思います。なんせ2ndの日本盤が見送られた時点で、コンスタントに日本盤が出るかも怪しいアーティストの仲間入りをしてしまいました。結果「サムライ」という楽曲を作って日本盤が出ないというめちゃくちゃ切ないオチが着きました…。内容としてはJohanssonのSamuraiの悪夢が蘇りますが、本作はSamuraiを連呼するようなこともなく、あくまでいつもの楽曲にSamuraiを組み込んだ感じ。サビの後のギターがMetallicaのThe Memory Remainsと似た音で哀愁半端ない。少しくらい和風メロディがあったらもっと個性的になった⑤、ちょっと中東系の雰囲気。半謎の会話のバックで「クラッキンザシストンム」が続き洗脳されそうになるが、拒否反応が強いので結果無害⑥、う~ん、これシングルにするのはあざとすぎる。BPM216はブレイズには速過ぎ⑦、哀愁漂いまくりのブレイズとギター。焼け付くようなギターソロが熱い。締め方もいい⑧、走り出しそうなリフに敢て語りのようなボーカルを合わせるセンスは◎。多展開ではありませんが非常に流れに凝った曲⑨、リフはいいですが、他に特筆すべき点はない。と思ったらまた間奏で走りだしてHelloweenみたいなツインギターが炸裂⑩、Judas PriestのPainkillerを模したようなドラム。ブレイズがあまりにブレイズしているのでボーカルメロディが微妙でも気にならない…かどうかは聴き手次第⑪、静かに始まってもいつも以上に荒々しい演奏から疾走したり。容赦ない刻みが心地いいですな⑫と、楽曲自体はかなり良質で速い楽曲が多いです。ブレイズはもちろんいつものブレイズ。もっと良いボーカルが歌ってくれたらとか、歌っているのがブレイズじゃなかったらなんて意見もありますが、ブレイズは歌声で魅せるボーカルではなく生き様で魅せるボーカルです。そこを履き違えると悲しい目に遭うかもしれませんので悪しからず。1に魂、2に魂。魂の呼応が必須事項です。

レコーディングはデビーさんが亡くなる前に終了していたので音楽自体にその影響はないでしょうけど、ブレイズの精神状態はどんなものだったんでしょうね。ブレイズの本当に尊敬できる部分は、こうした試練が襲い掛かってきても自棄にならないところですね。

【My Top 3 Tune】
・Samurai
・At The End of The Day
・Waiting for my Life to begin

計測不能 /100点
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●05.Promise and Terror (2010)


promise and terror

メンツ
Blaze Bayley – soul vocals
Nico Bermudez – lead guitar
Jay Walsh – rhythm guitar
David Bermudez – bass
Lawrence Paterson – drums

Guest
Jase Edwards – first guitar solo #2

なかなかうまく活動が軌道に乗らないブレイズ。先妻デビーさんとの思い出のバイクを盗まれたり相変わらずついていませんが、一部のファンが立ち上げたジャパンファンクラブが始まりました(既に閉鎖済み…)。私はこれに対して特にアクションしませんでしたが、それなりの人数が集まった模様(多分40~50前後は)。

ただあの当時mixiを読んでいた人の中でファンを続けているのは恐らく私一人…。日本公式ツイッターも2010年4月1日に始まって7月19日に更新が止まっています。燃え尽きるの早すぎだろ!熱い思い程冷めやすく、私のようにダラダラした微熱程度の人の方が長い目で見てファンを続けるというね。まあ世の中の悲しい真理ってやつですね。もし当時のファンが残っていてこのブログを見ていたら気軽にコメント下さい。多分私の命尽きるまで誰からもコメントはない可能性99.999%位ですけどね!

さて本作ですが、リリースされるまでにまた色々ありました…。まずブレイズの父親が癌宣告され、レコーディング開始の5日前に亡くなりました。ずっとブレイズは看病を続けていたとか。2009年11月から始まったレコーディングに多大な影響を与えたと思います。暗い気分だったのかボーカルのメロディラインはメンバーに一切明かさず、プロデューサーに起用されたジェイズ(元Wolfsbane)と2人でのみでレコーディング。

…そもそもIron Maidenに加入した時に喧嘩別れしたはずのジェイズがなんでプロデューサーやってんの?アンタら喧嘩してたんじゃないの?仲良すぎない?なんて思っていたら2009年12月からブレイズの裏切りにより1994年に強制解散したWolfsbaneがまさかのツアーを画策。新作を作る予定があることも明かされちゃいます。

当然ブレイズバンドのメンバーは激怒。その頃のブレイズはインタビューではWolfsbane一色だったとのことです。ブレイズバンドはレコーディング真っ只中だったはずなんですけどね。もう色々不安定ですブレイズ。短期間に色々あって精神的に参っていたのかも…。まあそれが普通ですよ。自棄にならずとも乱れるのが当然。

凄くストレートなメタルチューン。「ウォッチングザナイスカアーー”ア”ア”ア”ア”イ!!」は頑張って息んでいます①、疾走2連発。ソロはイマイチですが歌メロはかっこいい②、イントロでベース。Steve Harrisリスペクト?楽曲自体は微妙ですがギターソロ後の暗い低音パートがちょっといい③、和を感じるリフで始まりますが、ブレイズが歌うといつも通り。サビ裏で和リフが出てくるのでまあいいか。ギターソロがフレーズ云々を超越した勢いを感じる。タイトルの割にミドルチューンだと思ったら後半走ります。無駄アレンジ④、マーチングドラムから超かっこいいリフへ。ギター関連はいいね⑤、忙しないリフのFutureal系。リフがいいせいか歌メロもよく聞こえてくる⑥、こいつもナイスリフ。ナイスソロ。歌?歌はいつも通りですよ⑦、アコギバラード。こりゃいい!ブレイズもいい!ブレイズってバラード路線の方がいい気すらしてきます。後半からメタルバラードに⑧、前曲の「me~」だけこの曲の冒頭に入っちゃってます。エンジニアは素人か!調子っぱずれ気味のブレイズの声から楽曲が進みます。そこ以外は何とも…⑨、ギター関連が良く作られている。ブレイズもそれに呼応するかのように高らかに歌う⑩、最初は弦楽器隊が静かなのでブレイズの歌が堪能できますが、やはり途中からメタルに。全体的に暗い⑪と、リードギターが素晴らしい。まあ良いプレイヤーを見つけるのは毎度のことですけど。

気になったのは前作より音質的に劣化が見られるのは予算の関係でしょうかね。スネアも高くて軽いし。

儲かっていないんですかね。そりゃ儲かっては居ないか。

【My Top 3 Tune】
・Watching the Night Sky
・God of Speed
・Faceless

計測不能 /100点
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●06.The King of Metal (2012)


the king of metal

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Thomas Zwijsen – guitar ←新加入
Andrea Neri – guitar ←新加入
Lehmann – bass ←新加入
Claudio Tirincanti – drums ←新加入


またもやメンバーを一新。メタルキングが誕生した日。

◾️6th『The King of Metal』感想

【My Top 3 Tune】
・The King Of Metal
・Dimebag
・One More Step

計測不能 /100点
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●07.Infinite Entanglement (2016)


Infinite Entanglement

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Chris Appleton – guitar ←新加入
Karl Schramm – bass ←新加入
Martin Mcnee – drums ←新加入


Infinite Entanglement 3部作のPart1。またもやメンバーを一新。

◾️7th『Infinite Entanglement』感想

【My Top 3 Tune】
・A Thousand Years
・What Will Come
・A Work Of Anger

計測不能 /100点
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●08.Endure and Survive (2017)


Infinite Entanglement2

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Chris Appleton – guitar
Karl Schramm – bass
Martin Mcnee – drums

Infinite Entanglement 3部作のPart2。

◾️8th『Endure and Survive』感想

【My Top 3 Tune】
・Dawn Of The Dead Son
・Remember
・Together We Can Move The Sun

計測不能 /100点
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●09.The Redemption Of William Black (2018)


Infinite Entanglement3

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Chris Appleton – guitar
Karl Schramm – bass
Martin Mcnee – drums

Infinite Entanglement 3部作のPart3

◾️9th『The Redemption Of William Black』感想

【My Top 3 Tune】
・Human Eyes
・18 Days
・Already Won

計測不能 /100点
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●10.December Wind (2018)


december wind

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Thomas Zwijsen – guitar

本当は企画盤ですが、ここではナンバリング扱いしてしまっています。ご容赦を。

◾️10th『December Wind』感想

【My Top 3 Tune】

計測不能 /100点
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●11.War Within Me (2021)


war within me

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Chris Appleton – guitar
Karl Schramm – bass
Martin Mcnee – drums

3部作は終わりましたが、同じメンバーで作成。

◾️11th『War Within Me』感想

【My Top 3 Tune】


計測不能 /100点
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●12.Circle of Stone (2024)


circle_blaze01_202402181847544d8.jpg

メンツ
Blaze Bayley – Metal King
Chris Appleton – guitar
Luke Appleton – guitar ←新加入
Karl Schramm – bass
Martin Mcnee – drums

Absolvaのギタリストが加わりツインギター体制。

◾️12th『Circle of Stone』感想

【My Top 3 Tune】
・The Year Beyond This Year
・Broken Man
・Until We Meet Again

計測不能 /100点
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