2022年8月15日、Steve Grimmett氏が亡くなりました。

個人的に悲運の実力者といったイメージがあります。

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1993年にリリースした「Lionsheart」の出来が素晴らしかったですね、Lionsheart関連の作品しか聴いたことないですけど。

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…ただルックスで損をしていた…。

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イカツい…。

ルックスで音楽云々を判断されてしまうのは非常に勿体ないです。


が、やはりフロントマンはカッコ良い方がベター。ルックスで実力以上に注目され売れたバンドも世の中には多く存在するわけですし。カッコ良くて困ることはありません。カッコ悪くて困ることは…多々ありますね。

メタルアーティストなのでキメる時はキメるワケですが、肥えた方がキメ顔作ると笑いが生まれかねないのは残念な事実…。

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そしてメタル雑誌Burrn!誌にLionsheartは猛プッシュされ来日公演まで漕ぎ付けたものの、リハーサル期間も短い上にメインソングライターの弦楽器隊が脱退して演奏ボロボロだったとか。Steve氏も歌詞覚えていなくてカンペ持ってGrahamばりにライブしていたらしいですね。

この来日公演が散々な出来で、それまで猛プッシュしたBurrn!誌が今度はLionsheartを叩き落すというエグイことが行われちゃったわけでしてね。Burrn!誌はもっと広い心を持ってこのバンドに接して欲しかったです。

2ndは10万も売れヒット(2022年現在なら超ヒット)したわけですが、それ以降は日本の音楽シーンから姿を消しました。私は2007年の「Personal Crisis」までは知っていますが、眩いスポットライトが当たる可能性がある位置からは遠く離れてしまったわけです…。


もちろん日の目を浴びなくてもSteve氏の人生は続くわけでして、2017年には南米ツアー中に感染症に罹り右足の一部を切断するなど多難な人生を歩まれたBlaze Bayleyタイプの方ですね。が、歌声のみに関しては確実に『本物』と言い切れる素晴らしいボーカリストでした。

足切除に伴って運動量が落ち、Steve氏の元々豊満なボディーを更に成長させてしまったのか…62歳という短命で人生の幕を閉じることに…。死因は公表されていませんが、糖尿病とかそっち方面の病を患っていた気がしています。


追悼にLine MusicでLionsheartのライブアルバムでも聴いてみることにします。あの酷評された伝説の公演とは違うライブらしいので、ほんの少しだけ期待して聴いてみます。

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R.I.P Steve Grimmet.


この記事を読んでいる方にこの曲を知らない方は居ないと思われますが、一応奇跡とも言える出来の楽曲を一つだけ。MVではありませんが、オフィシャル感があるのでこっち。





以下Lionsheartの感想。機会があればグリムリッパ―やオンスロートも聴いて追加します。
 

●01.Lionsheart (1992)
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メンツ
Steve Grimmett – vocals
Mark Owers – guitars
Steve Owers – bass
Anthony Christmas – drums
Graham Collett – keyboards

アルバムリリース後Owers兄弟が脱退。

来日公演の少し前にBurrn!でインタビューを受けていました。内容的にはやる気満々なスティーブに対し、Burrn!インタビュアーは楽曲のクレジットを手にして愕然としたそうな。なぜならほとんどの楽曲をOwers兄弟が作っている現実を知ってしまったから。

期待していたバンドのメインソングライターが消えてしまったら青くなるのが普通でしょう。
恥ずかし気もない位のブリティッシュ。遊び心のあるソロも面白い①、テキサスの荒野的なイントロからブルージーな歌メロ。そして合ってるのか合ってないのかわからん速弾き…いいアンサンブルだ②、疾走感あるブリティシュ。隙間に挟まるギターの速弾きが凄い。ギターソロのピッキングスピードが凄まじい③、このバンドの魅力が詰まった隠れた名曲。サビメロはシンプル過ぎて記憶に残らないが、ブリッジが素敵。緩急をつけまくったギターソロがまた凄い。ハモる箇所も最高!④、意図的に売れ線を狙い、見事に成功しているハードロック。非常にキャッチー。奇跡の出来栄えと言っていい⑤、キーボードの荘厳な装飾も相俟って暗いミドルチューン。入りにネオクラフレーズを使っている辺りがポイント高いし、超速弾きながら所々メロディを弾くソロもドラマティックな⑥、奇跡の出来栄えその2。ブルージーさは皆無の勇壮なネオクラ系。ピロピロから目が醒めるようなメロディが出るソロがいい⑦、前曲の熱を放散するかの如くムーディな曲。サビメロ辺りでまたいつもの感じに戻るのが惜しいかも。タイトルコーラスは…気分によって良し悪しが変わります⑧、漸くバラード。開始から紡がれるリードギターが最高。アダルトな曲調に引っ張られてかソロもあまり弾きすぎ感はない⑨、80年代的な楽曲。アップテンポでテンション高めな演奏がノレる⑩、カバー。ミドルでずっとツーバスが踏まれているのが落ち着かない。歌メロもギターもあまりメロディメロディしていないのが特徴的。わざとやっているんでしょうけど⑪、ファンキーなギターにまさにロックンロールなノリノリ楽曲。ラストを安易にバラードで締めずにテンションアップ。ソロ前のSteveのハイトーンがカッケー⑫と、Burrn!誌で絶賛されたのも納得の出来。聴く人によっては⑤⑦が突出していて、むしろ⑤~⑦の3曲しか聴かないなんて方もいます。他にも良い楽曲あるんですけどね。

リリース後の来日公演は散々だったらしいですが、後に発表されたライブアルバムを聴く限りそこまで壊滅的な出来では無かったと予測しています。期待が大きすぎたのかもしれません。Steveがカンペ見て歌っていたとしても、歌声が良ければまあいいかと私は思います。

【My Top 3 Tune】
・Can't Believe
・Portrait
・Living in a Fantasy

75 /100点
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●02.Pride in tact (1994)
pride in tack

メンツ
Steve Grimmett – vocals
Nick Burr – guitars ←新加入
Zak Bajjon – bass ←新加入
Anthony Christmas – drums
Graham Collett – keyboards

前作をヒットさせ人気バンドの仲間入りかと思いきや、ライブでズッコケてしまい期待値が低かったであろう本作。数字だけ見るとなんと10万も売れたらしく、立派なBig in Japanに成長しました(?)

いきなりキャッチーな疾走曲。レコード会社のテコ入れか。同じアップテンポでも質感が違う①、イントロが素晴らしい。ストリートなブルージーさ。コーラスがこれもキャッチー②、リフとリードギターメロディからして名曲の雰囲気がし、案の定ブルーズ感はないハードロックな歌メロ。エンディングギターソロもいい感じ③、始まってから暫くハイハットが続きます。サビメロがタイトルなんですが捻ったメロディに仕上げているのは◎。ピロピロ気味なかなり派手なギターソロの④、疾走感あるリフのブリティッシュハード⑤、ヴァースは深夜の都会を窓から見下ろすようなアダルト、サビメロは哀愁溢れまくり。低いハモリが素晴らしい⑥、キーボードを大胆に使ったハードロックナンバー。本作でベストチューンに上げる人も多い。ライナーノーツでも押されていました⑦、これもキーボードがいい仕事しています。サビメロで被せるメロディがいい意味でブリティッシュらしくない⑧、超有名曲カバー。日本の女性歌手がカバーしているの聴いたことありますが、言うまでも無くこっちの方が私は好きです。彼等に合った選曲だと思います。一部では酷いカバーと言われていますが⑨、丸々アコースティック。コーラスワークが素晴らしい。森の中でドワーフ達が歌っているような神秘さがあります⑩、またキーボードが活躍。下降系サビメロもいい⑪、如何にも走りそうなイントロから走るハッチャけたラスト⑫と、とても充実した内容となっております。

全体的にOwers兄弟の派手なプレイが無くなり確実に地味にはなったものの、完成度は1stと肩を並べるほどのクオリティになっています。元々スピードチューンが多いバンドではありませんでしたが、より一層ミドル~スローに振った楽曲群はむしろ彼等らしいと感じてしまうのは私だけではないでしょう。Burrn!誌のライナーノーツに誘導されてはいけません。

【My Top 3 Tune】
・I Believe In Love
・Pain in My Heart
・(Take a Little) Piece of My Heart

74 /100点
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●03.Under Fire (1998)
under fire

メンツ
Steve Grimmett – vocals
Brooke St. James – guitars ←新加入
Mike O'Brien – drums ←新加入
Graham Collett – keyboards

ライナーノーツとか資料が一切手元にないので大したことは書けませんが、前作からのメンバーがSteveとキーボードのGrahamのみ。もはやバンドとしての体裁は無く、とりあえず続けようと努力した結果ですかね。

やってくれそうな速弾きとキーボードをイントロで導入。ミドルテンポで、サビもいいですがブリッジの方が印象的な①、「ゴーダ~ウン」のボイスからヘヴィめのリフ。タイトル連呼系ですが、重心が低く記憶には残る②、アメリカのビーチみたいなアカペラから開始。アウトロもアコギとサビのみで終了③、クリーントーンとSteveのボーカル。シリアスでヘヴィめ。サビメロがカッコいいですよ。ソロも割と真面目に弾いています④、列車の音から若干早めのビート。リズミックなブリッジが聴き処の⑤、ちょっとアラビア風のイントロとアウトロ以外は微妙な感じ⑥、本作のキラーチューン。朗々と歌われるバラード。ハートフルとでも言うか、情感の籠った歌声が最高。ギターソロがしっかりしているので楽曲を盛り上げるのに一役買っています⑦、2ndに入っていそうな雰囲気。ソロでキーボードがユニゾン気味な⑧、お笑いに使われるような楽器(名前不明)が入ったロックンロール⑨、リフがいいですね。てかリフが主役。ボーカルの代わりに歌っているレベル⑩、あざといツーバス疾走。リフでImpelliterriが思い浮かびました⑪と、1st、2ndに比べると少々完成度が落ちる気もしますが、異なったタイプの楽曲を作ろうとした努力が伺えるのでマンネリはしていないと思います。⑨までずっとスロー~ミドルで遠し、⑨と⑪で走る構成は「どうだ、①~⑧は通して聴いたら鬱憤が溜まるだろ?」と自分達で自嘲しているかのようです。まあSteveの歌声は文句無しに凄い。

もうちょっと音質をクリアにして欲しかったですね。儲かってないんですか?2ndは10万行ったって聞いたんですけど。

【My Top 3 Tune】
・Let the Children Play
・Flights of Angels
・Cold Heart

53 /100点
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●04.Abyss (2004)
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メンツ
Steve Grimmett – vocals
Ian Nash – guitars ←新加入
Eddie Marsh – bass ←新加入
Steve Hales – drums ←新加入

またもやライナーノーツが手元にないので記憶が頼り。リリースのブランクが少々空いているわけですが、Steveは体調を崩していました。それを整えるためになぜか太極拳を習いはじめ、心身共に復活を果たした…的なエピソードです。

そのエネルギーをLionsheartでも生かせないかと思い付きで活動を再開させた感じなのでしょう。もうメンバーはSteve以外は全員別の方。ここで1stは望まぬとも2ndのメンツが揃って作品作りしてくれたエモくて良かったんですけど…。もしかしたらミュージシャンを引退された方もいたのかもしれません。

1曲目からシリアスといか、マジな感じ①、あまりタイトルなイメージが浮かばない楽曲②、メロウなリフはよい。終盤のギターとコーラスワークもよい③、アコースティックに始まりバンドが入りますが、ずっとアコースティックがよかった。ソロがちょっと良さげ④、ちょっとイントロがいい。ちょっとブリッジがいい。ソロもちょっといい。惜しいですね⑤、ボソボソ呟いています。そこからアグレッシブに。これもなんか惜しい⑥、リズミックなリフにSteveのボーカルもちょっとリズムに乗っています⑦、またアコースティック。サビの最後がちょっと下がる部分がいい。それに呼応してかソロもちょっといい⑧、ちょっと変わったリフ。インド的?ソロが惜しい⑨、またちょっとアップテンポ。ちょっと速い曲多い気がします。バランスがいい⑩、暑苦しいハードロック。他の楽曲よりは印象に残ります。終り頃に別展開するギターが結構カッコいい⑪、最後はちょっと走ります。ソロが初めだけいい⑫と、太極拳の効果あったのかを感じ取るのは少し無理がありました。一番気になったのがSteveの衰えで、高音が伸びきらないし割れて潰れてしまっています。6年のインターバルでここまで劣化してしまうんですね…。掠れたりして聞き苦しい。聞いていて苦しくなってくる瞬間もあります。

ちなみに楽曲は…まあまあのまあって感じです。ぶっちゃけファン以外の方が聴く必要はない作品ですね。少なくとも私は今回で聞き納めにします。

そして本作でLionsheartは幕を下ろしました。Big in japanに終わらずライブを続け成長していったらもっと凄いバンドになるイメージが明確に湧いてくるだけに、本当に惜しいバンドでした。Steveの弱点であるルックスも別のメンバーが補えば問題無かったと思います。なんならバンドショットの中心はイケメンメンバーにして、Steveは一番端に居れば良かったのではとイジワルな発想が頭を過りました。

【My Top 3 Tune】
・HOW CAN I TELL YOU
・If You Cut Me
・Witchcraft

50 /100点
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