反射して自分のアホヅラが写りそうになったので、斜めから無理矢理撮影。



80年代にムキムキブームでピークを迎え、2020年の現代に過去の映画であるランボーの新作をシルベスター・スタローンは投下しました。

その名も「ラストブラッド」。

前作の邦題「最後の聖戦」宣言をあっさりとスルーしての新作となります。今回のは穢戦なのか?などと野暮なことを言うのはやめましょう。1作目の原題がFIRST BLOODなので、そっちに掛けたタイトルっぽいし。


映画館はコロナの影響で横は1席分空く形式になっており、パッと見ガラガラです。いや、公開初日ですが立派にガラガラ。レイトショーなのを差し引いても座席の埋まり具合は1.5割程。私の行ったタイミングがたまたまこうであったと信じたい。

客層は見事なばかりにおじさんしかないない(涙)映画を待つフロアに若い女性はたくさん居たのに。やはり80年〜90年代前半のムキムキブームでシュワちゃんやスタローンに悩殺された層しかいないっぽい。若いファンが育っていない。現実はこれか!

もっとカジュアルでポップな要素を導入して女性や若年層にウケる映画にしていけば昔のファンしか足を運ばない状況にはならないと思うのですが、今回もバッチシR-15なのでそんな気サラサラ無いのが見て取れます。あくまで自分流を貫くスタローンには頭が下がります。

以下ネタバレ含むアラスジ。記憶が風化しているのでご承知を。




















【あらすじと感想】
舞台はアリゾナ州。

ポストには"R Rambo"の名が記されています。前作ラストで生まれ故郷に帰ったランボーは、父親の牧場を継いで馬の訓練を行っていました。何とも予想外な始まり方です。

しかも一緒に暮らしているらしいマリアさんなる友人まで出てきます。マリアさんには孫娘ガブリエルさんがおり、幼少時に父が家を出て母が亡くなったガブリエルさんをランボーが父親代わりに育てていました。あの天涯孤独なランボーにこんな幸せが訪れていたなんて、意外過ぎます。


ガブリエルさん今度大学に行くらしく、ランボーとの別れを惜しみます。ランボーも最後とばかりに大学に行く者達で行う壮行会に、かつて自分とガブリエルさんが掘って作った洞窟を見せてあげようと大盤振る舞いをします。その洞窟はランボーの寝ぐらでもあり、今まで一度も部外者を入れたことはありません。

壮行会ではガブリエル一行がランボーの洞窟でカジュアルな電子音楽を大地が揺れる程の大音量で流します。ランボーの映画でこんなアンビエントで流行りそうな音楽が流れるなんて、驚きも良いところです。

壮行会の片付けを行なっている最中、ガブリエルさんはランボーに父がメキシコで見つかったとの話をギゼルなる人物から聞かされたことを話します。実の父に会いたいと。ランボーは大反対。「アイツはダメだ。良心のない男は世の中に存在する」と説得し、一旦はガブリエルさんは納得します。

翌日、マリアさんとガブリエルさんは大ゲンカ。父に会いにメキシコに行くと言って聞かないガブリエルさん。父の情報はギゼルから聞いたと知り更に怒りを露わにするマリアさん。「あんな女、信用できるか」と吐き捨てます。

ここでも折れたそぶりを見せたものの、目が離れた隙にメキシコへ向かうガブリエルさん。ギゼルと一緒に父のところへ行きますが「2度と姿を見せるな」と言われ、泣きじゃくります。そんなガブリエルさんを慰めるフリをしてギゼルはクラブに連れ込みます。ガブリエルさんは残念ながら売春グループに売られてしまいます。あまりメキシコに詳しくないのですが、こんなに治安悪いんですかね?カルテルみたいのが出入りするクラブ怖すぎ。

売春宿を取り仕切るリーダーらしき強面の女性が拉致されてきた女性達に言い放ちます。

「1日40〜50人は当たり前!」

ええ〜!?

24時間で定時の2倍である16時間仕事するとして1人19.2分で開始から終了までこなさなければなりません。客は今話題のアンジャ○シュの渡○建さんのようにクイック&ショットなプレイを好む方ばかりでない限りは厳しい時間設定では?


一方事態に気付いたランボーはメキシコへ向かいます。ギゼルからガブリエルさんを拉致したエル・フラコなる男を聞き出し、クラブから後をつけます。この時、同じくエル・フラコを追っていた女性がさらに尾行。エル・フラコは半殺しにされ、ガブリエルさんが捕まっている売春宿まで案内させます。

売春宿に向かって進むランボーですが、付近のチンピラはカルテルと繋がっているためか、巧みな連絡網にて気が付けば四面楚歌状態に。多勢に無勢とはいえ、ランボーがリンチされる姿は見たくなかった。

ボスらしき男ウーゴにガブリエルさんの写真と運転免許を奪われます。こんな怖い連中に住所がバレるなんてのは考えたくもありません。

ランボーはウーゴの弟ビクターが「俺の印を付ける」と顔を切りつけられ、放置されてしまいます。またガブリエルさんはビクターからランボーの写真を見せ付けられ、麻薬を投与され"俺の印"を顔に付けられてしまいます。可哀想すぎる。


ランボーはクラブで後をつけてきたカルメンさんに拾われ、なんとか元気になります。カルメンさんはジャーナリストで、カルテルのウーゴとビクターのマルティネス兄弟について調査を行なっていました。カルメンさんの妹さんもカルテルに捕まり殺されていました。メキシコってそんなに殺人が自由に行えるのですか!?殺しのライセンス?元プロレスラーのグレートサスケが修行に行った既成事実からそんなに恐ろしい国では無いと思っていましたが...。

ランボーは4日も眠りこけ、カルメンさんに聞いたのか売春宿に向かいます。手当たり次第男を半殺しにしながら探すも、発見したガブリエルさんはレイプと麻薬の過剰摂取で意識朦朧。ランボーは即座に車で家を目指します。


車中でかろうじて目を覚ますガブリエルさんはランボーに謝ります。ランボーはガブリエルさんの成長を見届け、共に過ごせたこの10年間の感謝の念を伝えます。それを聞いて涙するガブリエルさん。眠気に抗えず目を閉じ、家に着くことなくガブリエルさんは急逝。

明け方家に着き、マリアさんとガブリエルさんの遺品整理を行います。マリアさんに「妹さんのところへ行け」と告げ、マリアさんもランボーに対し「また会えるよね?」と返します。ランボーはその問い掛けに同意し、家や庭全体を使った罠作りを開始。自分の住所を知っているカルテルは、ランボーが挑発を行えばここにやってくると考えました。

準備を終えたランボーは再びメキシコに向かい、復讐のためにカルメンさんに協力を依頼。「もう前を向かないと」のカルメンさんの思いを自身の復讐心で遮り、さらにカルメンさんの中に封じ込めていた復讐心を煽ります。カルメンさんは折れて協力することを約束。

この協力ってのが何をすることなのか分かりませんが、恐らくビクターの家の住所を教えることだったと思われます。ランボーはビクター家に侵入し、BGを皆殺しにしてシャワールームにいるビクターの元へ向かうランボー。

翌日報せを聞いたウーゴはビクター家に向かいます。ベッドの上には首チョンパされてしまったビクターが。ここの拷問シーンをせっかくだから描いて欲しかった。ランボーは家に帰る道中でビクターの首を窓からポイ。なんて迷惑な...。見つけた人腰を抜かすと思います。


カルテルのメンツと弟の仇を背負ったウーゴは、車5〜6台でランボーハウスを目指します。時刻は分かりませんが、まだ太陽が高いのにランボーハウスへ突進。

え!?

こんな真昼間から敵地に突っ込んでいくんですか?こういうのって暗殺も考えて夜攻め込むんじゃないの?あいや、ウーゴが怒り狂っていることも考えられるので、大目に見ましょう。


ランボー VS カルテル全員と多勢に無勢は前と同じ状況ですが、ランボーには地の利がある上に事前準備があります。

ランボーの洞窟へ何の疑いもなく潜り込み、ウーゴ以外カルテルメンバーは全員大虐殺。ウーゴ突っ込むのはいいとしても作戦立てな過ぎ。

残り1人となった時、カルテルメンバーのトランシーバーからウーゴに話し掛けます。ここはランボー3の将軍とのシーンを意識していますね。「最後に殺してやるため残した」とウーゴに告げます。ウーゴは折れずに強気な言葉を返します。折れて命乞いするよりは悪役として好感が持てますな。

直後洞窟を爆破し、ウーゴは生き埋めにならぬよう必死こいて地上へ上ります。場所は馬の厩舎。そこに待ち伏せしたランボーがウーゴの四肢を弓矢で貫きます。

「うぎゃー」と悲鳴を上げるウーゴ。ランボーは少しずつにじり寄り、ウーゴの胸を掻っ捌いて心臓を抜き出す絶命奥義を発動...。

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何とも恐ろしい。ウーゴは自分の心臓を眺めながら事切れます。ちなみに上画像のゲームにて同技は家庭版に移植される際に廃止されてしまいました。それくらいヤバい残酷表現なんですね、はい。


攻めてきた一味は皆殺し。牧場はバットマンライジングのように地盤沈下を起こしボコボコ。肩と左腹部を撃たれたランボーは玄関前のチェアーに腰掛けます。左腹部の傷はまたランボー3を思い出します。まさかこのままランボーも力尽きてしまうのでしょうか。

「愛する者は皆死んだ。だが思い出のために戦う」


亡くなることは無さそうで一安心ですが、果たしてこのあとどうするんでしょうか?連中の死体は全部埋めてしまうのか?それともきちんと業者に頼んで埋葬するのか?個人的には全員重ねて消し炭にしてあげて下さい。なんて恐ろしい発想になってしまうのはこの映画を観て倫理観が狂っているからと思いたい。

馬で走るランボーが一瞬映ります。よかった、まだ死ななそうです。今回のランボーは映画前半に常備薬を服用するシーンがあるため、いつ死ぬかヒヤヒヤしていました。亡くならずに終わって安堵しました。


【まとめ】
いやー...まあ、情緒もへったくれもないある意味昔通りのスタローン映画でした。内容もただの復讐劇。スタローンはランボーをホント幸せにする気ないですね。

私としてはガブリエルさんには生きていて欲しかった。一味を全滅しても命は帰ってこないわけで、終盤のカタルシス解放を持ってしても結局生き返るわけでもない復讐の虚しさを見せつけられ気分です。もちろん復讐せずにはいられないランボーの気持ちはよくわかりますが。そんな感じ方をしたのは私が大人になったからなのか...。

ガブリエルさんが亡くなったのもランボーが助けに行ったからビクターに目を付けられたと言えなくもないし。


正直、あまりランボーシリーズの続編らしい空気はありません。エンディングで全4作の映像が出てきてようやく「ああ、この映画はランボーだった」と思い出した。過去作でフューチャーされていた兵士としての葛藤や苦しみは全然出てきませんでした。

その辺りはガブリエルさんと暮らすことで浄化されたのかもしれません。マルティネス兄弟、最悪です。もっと残虐な方法で苦しみの果てに殺してあげて欲しかったです。


最後に、タイトルのラストブラッドですが、前作も"最後の聖戦"でした。ランボーも存命で終幕したので、気が向いたらまたやるつもりですか?ファイナルブラッドとか?


やるなら観に行きます。選択肢などない!