映画の感想に関しては普段こっちにまとめてありますが、流石にこの映画は適当に流すのは失礼かと思いエントリーを作りました。

Queenといえばロック界の後進に多大なる影響を与えまくり、世界中にファンやフォロワーが数多く存在します。彼らの音楽手法を真似するバンドはたくさんあり、特にコーラスワークは顕著。クイーン大好きメタルバンドBlind Guardianがこの手法を本格的に取り入れ、今ではその他多くのメタルバンドが弱いサビメロディでもコーラスを重ねることでリスナーになんとなくサビとして認識させる便利なこの技を使っています。※もちろん凄いメロディに劇性を与えるよう上手く使われていることも多々あります。


まあアレですよ。

これまでクイーンのクの字も聞いたことがない友人や親族までFacebookで「観に行きました!」と報告されたとあっては流石に気になっちゃいまして。

私の行った映画館は地方の県のレイトショー。公開1ヶ月以上が経過した今、席なんて選び好きに放題じゃね?とタカを括って劇場に足を伸ばしたわけですが、とんでもありませんでした。週末とは言え21時近くで席の埋まり具合は七割弱...。

しかも「胸アツ応援上映」という一見するという訳のわからない副題が付いています。調べると、どうも声を出したり地団駄踏んだりすることが自由に行える観客参加型の公演らしいです。何年か前にアナと雪の女王で歌を一緒に歌う公開形態と似たような形ですね。

レイトショーがそれしかなかったので仕方なくこれを選択。1800円はなるべく払いたくない(涙)映画って高いですよね〜。同じ映画を何度も観る方は余程財力に余裕があるんでしょうな...。


ステッカーは「ベースの人」ことJohn Deacon。

20181226072726761.jpeg

彼を見るとほくそ笑んでしまうファンの方も少なくはないのでは。

クイーンのメンバーは以下

Freddie Mercury - vocal (以下フレディ)
Brian May - guitar (以下ブライアン)
John Deacon - bass (以下ディーコン)
Roger Taylor - drum (以下ロジャー)

ちなみに私はクイーンの大ファンです。オリジナルアルバムだけでなくライブ作品もある程度所持し、QUEEN + Paul Rogersのアルバムすら発売日に購入しました。

ジュエルズが発売された時も「グレイテスト・ヒッツでいいじゃん!」と嘆いたのも昔の話。第何回目になるかも忘れてしまったクイーンブームに乗っかってやろうじゃありませんか!私の知っている話で横槍入れつつ、あれこれ語ろうと思います。

記憶が風化しているのでご承知を。















【粗筋】
1985年のライブエイド当日から話は始まります。ライブエイドはこちらを参照して下さい。

ベットから起き上がるフレディ。起床時に軽く咳をしています。何かのライブ会場に向かいます。事前情報ゼロで臨んだわけですが、どうやらライブエイドが到着点となる物語のようですね。

ここでなぜかSOMEBODY TO LOVEが字幕付きで流れます...。なんですかこれ?一緒に歌う?だから応援上映か!でも歌ってる人1人も居ません。


1970年へ。
空港でアルバイトしているフレディことファルークくん。パキスタン出身を侮蔑するパキィと呼ばれ嫌悪を露わにしています。家でも親とはあまり仲良く無さそう。厳格そうな父親には「人の役に立つように」と常日頃から言われますが、取りつく島もなく夜のクラブへ。

Tim Staffell含むスマイルがステージでDoing All Rightsを演奏しています。ブライアンの人めちゃくちゃ似てますね。角度によっては本人にしか見えない。
→Doing All Rightsが出てきたのには驚きました。なぜこの曲⁉︎この曲、バンドにとって思い出深い曲だったんですね。特に注視してなかった。確かにクイーンの楽曲群の中で唯一ティムさんが関わったものです。ちなみに何年も前に見たドキュメンタリーにティムは出演していて、「フレディが入ってあんな凄いことになるなんて、辞めて良かったよ!」と嫉妬とも自虐とも取れそうな発言を繰り返していました。

フレディはこのバンドが気になり、ステージ裏で初対面のメアリーさんにどこに行けば会えるかを尋ねます。この際、きっちりとメアリーさんの職場をチェック。フレディなかなか積極的。

フレディがスマイルに会いに行くと、ティムが別のバンドに入ると言って去って行く修羅場に遭遇。2人になってしまったブライアンとロジャーにフレディが近寄り、自らを売り込みます。フレディの歌唱力にイケる判断した2人は、ベースは弾けるかと質問。答えはいいえ。ベーシストが必要になります。
→ここは変わっています。フレディは元々スマイルメンバーと知り合い。

後日、フレディはメアリーが勤めている服屋へ。目的はメアリーに会うこと。服を見に着たと誤魔化すも、メアリープロデュースで服を纏いご満悦。その店で買った服なのか、私の記憶が風化していてよく覚えていませんがステージデビューでは派手な服装をしています。

ここで「ベースの人」ことディーコンが登場。個人的にはディーコンのオーディションシーン再現とかやってほしかった。ちなみにディーコンが選ばれた理由は謙虚だからです。

相変わらずパキィとヤジが飛びますが、そんな連中は歌声で黙らせると言わんばかりにメジャーデビューシングルのKeep yourself aliveを披露。歌詞を覚え切らず歌うフレディにブライアンは呆れ顔。この歌声とか、フレディ本人のものなんでしょうか?


メンバーも揃い、一台の車で回るクィーン。フレディはアルバムを作ろうと提案します。その代金はロジャーの車を売ったお金...。なんかちょっと可哀想です。ロジャーだったか、ブライアンの車だったかも(汗)

それからは割とトントン拍子に話が進みます。様々な国と会場に満員御礼状態でライブをします。
→実際はブライアンが病気になったり、一日二公演を行いフレディが喉を痛めたり大変な時期でした。フレディは無理なスケジュールや酷い扱いを受けた恨みをDeath on two legsにぶつけています。

ツアー中メアリーに頻繁に電話するフレディ。この頃からフレディは自分がゲイであることを自覚し始めます。メアリーも電話する度に彼の変化を敏感に察知し始めます。

そしてクイーンの最高傑作と呼ばれる「Night at the Opera」の作成を開始。どこかの田舎に家を借り、メンバーとスタッフで合宿しレコーディング。

フレディは男性スタッフ(名前忘れた)の1人と部屋でピアノを弾きます。ここでまさかのマウストゥマウス!映画で男同士のマウストゥマウスは初めてみました。リアルを追求するためといえ役者さん凄い根性ですね。私の友人にもかつて性同一性障害の方が居たことがあります。その人曰く「誰がゲイとか見て一発でわかる。漏れちゃうんだよね、隠していると。」と語っていました。ゲイにはゲイがわかる。


ここでお互いの曲の貶し合うシーンがあります。思わず吹き出す内容です。特にロジャーのI'm in love with my carは酷い言われようです。
→当時収入の問題でお互いの衝突が絶えませんでした。シングルA面が売れれば、B面曲の作曲者もA面作曲者と同じだけのお金を貰えます。またアルバム収録曲も揉めたそうです。個人的にはロジャーの曲を外して他のメンバーの曲を入れた方が完成度が上がったと思われます。

完成したアルバムを上役に聴かせ、シングルはBohemian Rhapsodyにしたいメンバーと、長すぎるからと反対する上役。シングルを決める際にもまさかのI'm in love with my carの名前が...。ロジャー駄曲シリーズをシングルにしちゃダメでしょ。上役は最後まで首を縦に振らず、クイーンのメンバーは捨て台詞と投石で事務所を後にします。

知り合いのラジオDJに頼み、Bohemian Rhapsodyを掛けてもらいます。まだ契約のない未発表の音源です。
→これは知りませんでした。これ本当?Bohemian Rhapsodyシングルを反対していたのは知っていましたが、事務所を飛び出して勝手にラジオに流すって法律違反じゃね?いやわかんないけどさ。話を変えて、前見たドキュメンタリーでは歴史的背景は覚えていませんが、当時イギリスは低迷期にあり、国民全体が落ち込んでいたそうです。それを振り払うかのようにアーティストは明るい音楽を連発するものの、どれもこれも空回ることに。そこにこの曲です。「今人を殺してこてきたよ」という独白から始まる暗い曲調はまさに衝撃的で、国民の心を鷲掴みにしたそうです。確かそんなこと言ってました。違ったらごめんなさい。

Night at the Operaツアーは大成功。フレディは観客が一緒に歌ってくれるLove of my lifeの動画を見ながら、メアリーに自分がバイセクシャルであることを告げます。メアリーも勘付いており、悲しみの中で同棲を解消。


フレディは吹っ切れてゲイファッションを露わにします。ロジャーもその出で立ちに思わず「ゲイみたい」と本音をポロリ。飯を食べていけとロジャーに提案するも、ロジャーには家族があり、帰宅。

フレディは同棲を解消したのにも関わらずメアリーに付きまといます。この辺りのスレ違いは観ていて心苦しくなります。もう前に進みたいメアリーさんに対し、同性愛を告白したのに、2人の関係は何も変わらないと信じるフレディ。


孤独です。

孤独を紛らわすために派手なパーティ三昧。現実のフレディも似たような生活をしていたとか。それが孤独から来たものかは定かではありません。しかしこれを観ているとそう結論を下さざるを得ない気分に陥ります。パーティにはメアリーは来ず、メンバーも早々に帰ってしまいます。フレディとキッスした男がフレディを促し、全てを忘れるかのように暴れます。


パーティの後、フレディは召使いにセクハラしますが、逆に説教され縮みあがります。召使いの名はジム・ハットン。意味ありげに「会いたくなったら探してくれ」と去っていきます。
→ジム・ハットンさんは、かつて「私がフレディ最期の恋人です」なんて連呼していました。病床のフレディに最後まで寄り添った人で有名。「ドアは開いているから出て行っていいよ」フレディにそう言われたジムは「出ていくものか」と返した話もあります。ジム自身HIVに感染していて、2010年に亡くなりした。

フレディはその後もパーティ&ドラックな荒んだ生活を続け、ソロ活動の話を受けます。ソロ活動はメンバーへの裏切りと捉え、一旦は断るものの、メアリーに新しい恋人が出来たりと色々あり、結局400万ドルで契約。勝手に契約したためブライアンとロジャーは激怒。
→フレディのソロ「MR. BAD GUY」は85年発売。 日本人の大好きなI was born to love youも元々はこのソロアルバムが初出。商業的には芳しくなかったと聞いています。

例のキッス男と家を借り、パーティとレコーディングを繰り返し身も心も疲れて果ててしまいます。そこに何故かメアリーが現れます。フレディは「ソロが完成するまで一緒にいてほしい」とメアリーに頼むも「妊娠しているの」の一言でフレディを一蹴。
→ちなみにメアリーさんの子供の名付け親がフレディである説も存在します。あくまで説ですが。

メアリーの「ここはあなたの居場所じゃない。家族の元に戻りなさい」という言葉と、ライブエイド出演の話をキッス男が黙っていた事実を知り、フレディはクイーンのメンバーと和解しキッス男の元を去ることを決意。キッス男は「全部暴露する!写真もある!」とフレディを脅迫するも決心は固く、フレディは彼の元を去ります。

後日キッス男がテレビでフレディとのことを暴露しています。行動早いな!暴露はお金になるんでしょうね。オソロシヤ。
→かつての恋人がフレディとの日々を暴露した話は知っていましたが、このタイミングだったんですかね。フレディはかなりエキセントリックで恋人は相当ハードなことを暴露したとか。アレ系の写真も世に出てしまったのかは不明。

フレディはクイーンのマネージャーに連絡し、他のメンバーと会合の場を持ちます。フレディはこれまでのこと、イエスマンばかりのソロ活動に対する不満、バンドは家族であったことを語ります。

クイーンのメンバーは作曲のクレジットをクイーンに統一し、収益の分配を条件に和解。
→クレジットがクイーンになったのはMiracle以降であり、タイミング的に違和感がありますが、それくらいいいか。

ライブエイドに向けてリハーサルを始めます。フレディはパーティばかりでまともに歌を練習してこなかったため、酷いコンディション。期日までには仕上げることを約束し、ここでHIVに感染したことをメンバーに打ち明けます。メンバーはそれを踏まえて、ライブエイドに挑む決意をします。


ライブエイド当日。
フレディはある人物を尋ねます。そう、元使用人のジムハットン。電話帳を全部当たっていったのだと思われます。凄まじい執念。

ジムハットンとフレディはなぜかその足でフレディの実家へ。フレディは家族の前でジムハットンと手を繋ぎます。敢えてそうすることで、家族にジムとの関係を示唆。あれだけ険悪だった父親が、人のためにライブエイドに参加するフレディを誇りに感じている様子で、わだかまりが解けていきます。フレディはステージから母に投げキスをすると約束。

ライブエイドの待合場所にメアリーと夫が来ます。フレディは歓迎するも、以前のような依存性は見せず、ジムを紹介。メアリーも何となく2人の関係に勘付きます。


そんなこんなでクイーンの出番に。

フレディは絶好調でブライアンは思わず笑顔。
→このあたりの描写は実際映像を見てください。声自体はフレディの当時のものをそのまま使っています。曲目は実際のものより少なく、Crazy Little Thing Called LoveとWe Will Rock Youを省略。前者はともかく、後者を省くのには首を傾げました。

最後にフレディは投げキス。
これにはそんな意味があったんですね。

これにて大円団。


エンディングではこれまた人気曲のDon't stop me nowから、悲壮感満載のShow must go onで締め。私的にはここでNo one but youなんか流れたら堪らんなと思ったり。知名度が低過ぎるか。

あと監督がブライアン・シンガーであることに吹いた。なんだこの狙ったような人選は!ある意味適役です。


【まとめ】
実際にこれはねーだろと感じられる箇所は映画アレンジと捉えられる範疇に留まっていると思います。上手くまとまっている。いやーなかなか感動的でした。

私の認識ではメアリーさんは結構早い段階で関わりが無くなると思っていたんで、ここまで深く関わらせたことが意外でした。まあそれも私がそう思っていただけなんですけど。

応援版の公演を観たのに静かなものでした。場所によっては多くの方が声を出したり足を踏みしめたりするのかもしれませんが、私の観た回は一部以外集中していました。

最後のライブ映像は出来たら劇場で観て欲しい。家で見るのとは迫力が違うでしょうし。私は感動して家帰ったらライブエイドのDVDを見直してしまいました。


まだ上映しているようなので、クイーンファンの方は是非。オススメします!






【無駄文】
「フレディがいなくなったらクイーンじゃない」

この映画を観て、上記のようなこと言う方がますます増殖しそうで恐くなります。その気持ちは大変よくわかりますが、同時に大きな疑問が浮かびます。

例えば某音楽掲示板にて、10年以上前に私はこんな発言をしました。QUEEN + Paul Rogers名義での活動に対して「ここまでキチンと活動するのなら堂々とクイーンを名乗ってほしい」と書き込みました。

すると「それは難しいんじゃないですかね。だって一人でもかけたところでQUEENはQUEENではなくなるわけだし」という返答がありました。



それはなぜ?

フレディが居ようが居いが、クイーンらしい作品が作れればそれはクイーンで良いんじゃないの?全員オリジナルメンバーでなくなったとしても、それってそんなに重要?音楽そのものと関係あること?

貴方はクイーンの音楽そのものじゃなくて、クィーンというメンバーの人間像を含めた存在自体が好きなんじゃないんですかと問い詰めたくなります。それってアーティストじゃなくて、アイドルの愛し方ですよ。クイーンってアイドルなんですか?いやまあ、別に良いんですよ。どう愛そうと個人個人の価値観の話なので。

私としてはまず優先すべきは音楽であり、メンバーは二の次。実際聴いてみてこれは違うと感じれば離れればいいし、良いと思えば追い続ければいい。

私の考えはこれに尽きます。

もちろん、愛着のあるメンバーに脱退してほしくないのは私も同じなんですけどね。リンキンとか新ボーカル入れないと二進も三進も行かないじゃありませんか。

残されたメンバーでやるしかないんです。フレディ自身、ショーマストゴーオンと叫んでいるではありませんか(作曲はブライアンだけど)‼︎


...なんか急にこの場で言いたくなった(笑)




※ここに書くのも変ですが、アルバム感想のせちゃう
 

●01.Queen (1973)

01_20220711214026545.jpg

ボーカルがFreddie Mercuryに変わって盤石の体制が整ったQueen満を持しての1stアルバム。当時評論家からは酷評を突き付けられたらしいです。

デビューシングル。この後の彼等からしたら比較的地味だが、印象的なリフに緩くも起承転結のあるソロ、そして勢いあるサビメロがいい①、前任ボーカル、ベースのTim Staffellが唯一関与した楽曲。静と動の落差が激しい②、中世っぽいドラマティックでサビがファニー。浮いたようなドラムワークが逆に良い③、まさに(初期の)Queenといえる④、必然性を感じる多展開さのあるやや大作⑤、オープニングのギターが素晴らしいですが、それとあまり関係のない曲調に変わってしまうのが残念。エンディングでまた出てきますが⑥、疾走感のあるまさにロックンロール。Rogerが歌っていますが、是非Freddieに歌ってほしかった⑦、Queenコーラスから若干ドゥームとも言える重いグルーヴが他にない⑧、歌詞やタイトルも含めて若干宗教色すら感じる忘れらえないメロディを持った⑨、2nd収録の演奏のみバージョン。これで締めるからか未完成さを感じていまう⑩と、1stで相当なクオリティです。

ただ他のアルバムに比べると派手さに欠けるのは否めないかも。

【My Top 3 Tune】
・Keep Yourself Alive
・Liar
・Jesus

70 /100点
---------
 

●02.QueenⅡ (1974)

02_20220711214028583.jpg

このアルバムをベストに上げるファンやアーティストはとても多いですね。ベストに基本的に1曲も収録されていないのにアルバムとしては1番に上げられるケースが多いというね。理由としては後述。

名盤の開始はギターオーケストレーションから①、荘厳でハーモニー満載のスローチューン。ファルセット気味になるところが最高②、しっとりとした子守歌のようなブリティッシュ。素晴らしい。後半のハードになる部分は要らないかも③、Brianボーカル。アコースティックでBrianの優し気な歌声も合っていますが、Freddieが歌えばよかった④、Rogerボーカル。変わり種というか、ロックな⑤、後半の始まり。ハードロックですし、優美な歌メロも文句無し⑥、まさにQueenロック。全編に漂う幻想的さがたまらん⑦、ちょっとミュージカル調のボーカルメロディとピアノが素晴らしい小曲⑧、多展開にして後半の盛り上がりは最高の⑨、ちょっと南国風味?なコーラスが延々と続くクロージング⑩、単曲として成立していますが、是非流れで聴くべき。1stの同曲完成版と言って良さそうな⑪と、2作目にして才能爆発ってやつですね。聴き方としては①~⑤、⑥~⑪の2曲単位で扱うのがおススメ。

私としては、RogerとBrianは演奏に集中してもらってリードボーカルはFreddieに任せて欲しかったです。特にRoger。

【My Top 3 Tune】
・The Fairy Feller's Master-Stroke
・Nevermore
・The March of the Black Queen

85 /100点
---------
 

●03.Sheer Heart Attack (1974)

03_2022071121402901f.jpg

Killer Queenのヒットにより人気バンドの仲間入りをしたQueen。その後本人達も聞いたこともない島国「日本」で大流行り。Beatles並の歓迎に対して本人達は最初誰に対する歓迎か分からなかったそうです。

遊園地SEから走り出しだします。ファルセット(女声)と通常の歌声(男声)を切り替えて進行する面白い構成となっています。中間部には三味線にインスパイアされたギターソロもあり、Queenらしい奇抜な名曲①、前述したヒット曲。Queenのバンド名にマッチした曲調に独特のギターソロと完璧②、Rogerボーカル。クリーントーンギターが聴き処③、イントロのピアノから終わりまで多展開。コーラス含めたFreddieのパフォーマンスもお見事④、一応前2曲からの3部作ラスト。これも優美。それだけに③のRogerの歌が悔やまれる⑤、静かに始まり徐々に盛り上がるロック。冒頭以外派手な部分はないが、良いメロディラインの⑥、Rogerの強烈なScreamから楽曲が始まり、それ故に楽曲自体があまり頭に入ってこない⑦、Metallicaが追悼コンサートでカバーしたり、Impellitteriがリフを拝借したり、メタルの後進勢に多大な影響を及ぼしているであろうアップテンポチューン⑧、派手ではなく暗く荘厳なバラード小曲。とてもいいアクセントです⑨、Deacon初作曲!「FreddieとBrianの曲があまりに良いから」との理由で自身が作曲に加わることを避けていたそうです。Rogerが挙げられていないのは…まあ本音が出ちゃったんでしょうね。ちょっとトロピカルな感じ⑩コミカルでスキャットも交えた遊び心満載の楽曲。この曲が無ければ彩が一つ欠けてしまって寂しくなってしまったかもしれない⑪、Brianボーカル。声の淡い感じがFreddieにはない空間を作り出しています。繰り返し系⑫、あくまで⑦の続きですが、美しいボーカルメロディが締めに相応しい⑬と、バラエティにかなり富んだ内容となっています。

13曲と少々多めで小粒感漂う楽曲もあったりします。そのためか私の中で「小曲がまとまったアルバム」な印象があったりします。1作のアルバムとして聴くのが良いかもしれません。

【My Top 3 Tune】
・Brighton Rock
・Killer Queen
・In The Lap Of The Gods (Revisited)

80 /100点
---------

 

●04.A Night at the Opera (1975)

04.jpg

世間的最高傑作に上げられることも多い本作。

当時のQueenを仕切っていたある人物へ向けられた恨みの歌。リズムと歌メロが変わっていて面白い①、Freddieのオペラチックな発声は非常に声質に合っています②、Rogerボーカル。駄曲。映画でも弄られていたのは笑った③、電子オルガンの優しい音色がマッチしています。タイトル通り少し悲しい④、Brianボーカルのカントリー系。文句なしに良い出来ですが、ライブではFreddieが歌っています。Brianも凄く合っていますが、やはりFreddieが歌った方がいい⑤、ちょっとロック色が強いのであまり合わない気がします。ラストでちょっと走る⑥、喜劇ミュージカル調のボーカル、リズム、最高です。こんなのをアルバム中に突っ込んで違和感0なのは凄すぎ⑦、預言者ということで、もう頭がおかしくなりそうな多重録音を利用しています。ベストアルバムには絶対入らないであろう世界観の⑧、ほぼピアノとボーカルのみのバラード。これライブでみんなで歌ったら泣きそうだわ。映画でもFreddieがゲイを打ち明ける時にこの曲を合唱するシーンを流していました⑨、Brianボーカル。カントリー調で軽いギターに走り目のリズム、全体を支配する能天気な感じがたまらん。中盤のギターオーケストレーションが炸裂しそうになる箇所は要らん⑩、世界中から愛される奇曲。バラード→オペラ→ロック→バラードの4部構成を僅か6分の中で無理なく鮮やかにやってのける⑪、イギリス国家。これが流れるとライブの終わりが頭を過りますね…ライブ行ったことないけど⑫と、初期Queenロックの集大成ですね。Deaconも本格的に作曲に参加し始め(そしてあっさりとRogerを抜き去った)、バンドとしてもかなりガッチリと肩を組んで作成された感じです。ロック色はあまり無いです。

当時イギリスの音楽シーンは暗い国内の雰囲気を払拭しようと明るい音楽が氾濫していたそうです。そのどれもこれもが大衆の心を掴むことは出来なかったそうです。そこに投下された⑪は「ママ、人を殺してしまった」と暗く始まり大衆に衝撃を与えたそうです。大衆は歓喜し、絶賛し、Queenは不動の人気(怪しい時もあったそうですが)を獲得することに成功しました…とBSのドキュメンタリーを観ました。

映画では家を借りてレコーディングしていましたね。あれは本当なのかは分かりません。

【My Top 3 Tune】
・'39
・Love Of My Life
・Bohemian Rhapsody

84 /100点
---------

 

●05.A Day at the Races (1976)

05.jpg

超ヒット作4th「オペラ座の夜」の兄弟アルバムとして作成。

キャッチーな歌メロを持ったハードロック①、まさにQueenなバラード。Freddieの声だけでも優美。あまり目立たないし注目している方も少ないですが、私は大好き②、Brianボーカル。ギターも声も全編ハートフル。こればかりはBrianの方がベターかも③、タイトルの通りワルツ!このアルバムを代表する楽曲。何気にDeaconのベースラインが大活躍します④、軽めに走る余裕ある感じがたまらん。私もヘヴィメタル疲れした時にこの位の緩さが大変心地良いです⑤、超名バラード。アカペラから始まりギターソロを経て最後の終わり方まで完璧な⑥、白人って…。あまり来るものがない⑦、ギターソロも歌メロも超独特なメロディ。短いながら起承転結のはっきりした⑧、ここにきてRoger…。タイトルは的を得ています。でもアルバムの流れで聴くとそんなに悪くない⑨、まさかの日本語タイトル日本語詞導入。あざといながらもありがとうございました。ただ全部英語にしてくれた方が完成度が上がったと思いますよ⑩と、Queenは基本的に「同じアルバムは作らない」を信条としているので、ある意味異例扱いを受けていると言えますね。ただ二匹目のドジョウを狙うのは得てして失敗に終わることが多いのですが、そこはやはりQueen。ハードロックな①やワルツの④といった違った要素も足されています。

ここでQueenのクラシック、オペラ、ワルツといった方向性は頂点を迎え、音楽性を変えていくのでした。

【My Top 3 Tune】
・The Millionaire Waltz
・Somebody to Love
・Good Old-Fashioned Lover Boy

81 /100点
---------

 

●06.News of the World (1977)

06.jpg

Queenの華麗かつ優雅な世界から割と普遍的なロックへ。ジャケットはメンバーが描かれているそうですが、似ていないと一部では非難の声が上がったそうです。逆にそれで印象に残るジャケになったとも言えますね。

日本人含め誰もが知っている超有名曲。このリズムは唯一無二ですな。いろんなバンドがさり気なくオマージュしましたが何の話題にもならず一部のマニアが吹き出して終わってしまうだけ①、これまた超有名曲。ライブでも必ず最後に演奏されるというね。終わり方がちょっと惜しいけど②、Rogerのパンクテイストな楽曲。「Inner、Inner、Inner」の遊びもグッドアクセント。Queen初期Roger楽曲の中で唯一まともに聴ける③、一転ちょっと暗め。Brianのボーカルがよく合っています④、Deacon渾身の一撃!アルバム中最も人気があるかもしれない楽曲⑤、Roger作曲・ボーカル・演奏の超駄曲。リードギター以外のパートを全部やっています。編曲も単独なのか、全然面白くない⑥、BeatlesのCome Togetherみたいな静と動を極端に表現した⑦、Brianボーカル2曲目。1曲目と同様にゆったりした⑧、ハワイアン風味。Freddieも肩の力を抜いた歌い方に彩を感じる⑨、Queenらしいビックなコーラスと力強いボーカルのハードロック。中間部から突如走り出しFreddieの奇声も面白い⑩、ブルース調。燃え尽きた後の哀愁と脱力感がたまらん⑪と、Queenの世界観が割とシンプルで分かり易くなりました。実際イギリスよりアメリカの方がよく売れたそうです。

超有名曲の①②以外はあまりベストに収録されるような楽曲はありませんが十分にツブ揃いですね。

【My Top 3 Tune】
・Spread Your Wings
・It's Late
・My Melancholy Blues

77 /100点
---------

 

●07.Jazz (1978)

07.jpg

タイトルはJazzですが、ジャンルがJazzではなくアルバムのスタイルがJazz。

一発目からFreddieの世界観が爆発!なんだこりゃ…最高(笑)①、Queenらしいコーラスにゆったりとした曲調の②、初期を感じさせる美しくシンプルなバラード③、有名だけど変わり種。守りに転じない攻めのQueenが堪能できる④、Deaconが作ったとは思えないロックンロール。懐の広さを見せつけた⑤、ドラムが忙しい。タイトル通りエンターテインメント性を感じてしまう⑥、アップテンポな楽曲な上にFreddieの超早口ボーカルで更に疾走感が増す⑦、ほのぼのリラックスした別れのポップス。さすがDeacon⑧、露骨なジャージー成分を含んだゆったりナンバー。いい。こういうのもっと入れてほしかった⑨、Rogerボーカル。駄曲。Freddieが歌えばもうちょっと引っ掛かりのある曲に…なったかは分かりません。流れで聴けば悪くない⑩、Brianボーカル。落ち着いています。淡々と終曲する⑪、縦横無尽に駆け抜けるFreddieのボーカルと疾走感抜群のピアノ。売れないはずがないだろこれ!にしてもギターソロまでギターが出てこないのは思い切ったアレンジだ…⑫、Rogerボーカル。駄曲。なんでこんなのラストにしたの…。楽曲というより演出重視のアウトロと捉えた方がいい⑬と、蓋を開けてみたらジャズ調の楽曲は⑨だけというオチでした。折角なのでもっとジャズ調の楽曲を増やして個性的な作品にした方が良かったと思います。

Jazzには「こんがらがっている」の意味があり、収録された楽曲がバラバラであるコンセプトに則ったごちゃまぜ感が逆に整合性を感じるのはこのバンド故か。

【My Top 3 Tune】
・Mustapha
・Jealousy
・Don't Stop Me Now

75 /100点
---------

 

●08.The Game (1980)

08.jpg

アメリカではロックは終わったジャンルですが、未だにブラックミュージック(ダンスミュージック)はメインストリームに君臨し続けています。BTSは上手いことやりましたね。なのでQueenも従来の彼らのやり方ではなく、アメリカに寄った音楽性で勝負しました。ブラックミュージックに精通するDeaconエッセンスが織り込まれています。

シンセサイザーを初めて大胆に取り入れたヒットバラード①、クサメタラーはタイトルからして惹かれるものがありますが、ベースを主軸とした重心が低い。全然タイトルと曲調が合っていない②、全米で超ヒットしたブラックミュージック。ベースラインが完全にソレ。改めて聴くとよくこれQueen名義でリリースしましたね③、タイトルはよくある「ヘイカモ~ン!今夜はやろうぜ、ロックンロール!」的な内容なのかもしれませんが、楽曲自体は大好きです。ソロ前のボーカルメロディがいい④、エルビスプレスリー。全米1位。これがアメリカなんですね⑤、Rogerボーカル。Freddieが全部歌えば化けそうな感じがするので惜しい⑥、明るい感じで「自殺しちゃダメ!」って…変わったセンス。楽曲自体はもちろん良い⑦、Brianボーカル。これがまた良いんですよ!本当にFreddieに全部歌ってほしかった。Axe Roseもライブで口ずさんだことがあるらしいです⑧、Roger作ですがちょっと明るめで印象的なコーラスもある⑨、これも名バラード。1回目のソロがこれからって時に途切れ、最後の2回目のソロで続きと言わんばかりに情感が爆発する流れが秀逸⑩と、アメリカン成分を注入した楽曲があるものの、されていない楽曲は十分らしさが残っています。

この次の次のアルバムでは更に従来のファンの望まない方向になってしまいます。

【My Top 3 Tune】
・Need Your Loving Tonight
・Sail Away Sweet Sister
・Save Me

68 /100点
---------

 

●09.Flash Gordon (1980)

09.jpg

映画フラッシュゴードンのサントラにしてオリジナルアルバムとして発売された本作。

映画自体は全然知りませんが、この曲を知っている人は多いと思う①、ラストトラックにしてタイトルがHeroっていいじゃないですか。ちゃんとした楽曲になっていて一安心な⑱と、②~⑰はインストですが…ただの雰囲気モノがほとんどで評価に困る…。通して聴いたことは人生で3回しかありませんが、それでも平均的には上位に入ると思います。

いっそ無かったことにしようかと思いましたが、①⑱は聴けるのでスルーせず記載しました。お疲れ様です。聴く必要?特にありません。

【My Top 3 Tune】
・Flash's Theme
・The Hero

20 /100点
---------

 

●10.Hot Space (1982)

10.jpg

前作でブラックミュージックを取り込んだQueen。これからどこに向かうのか不安なファンを他所に「もっとやってみようっか!」な話し合いがあったのかは分かりません。FreddieとDeaconが中心となって作成されました。

ブラスを取り入れたリズミック。エルビスプレスリーのサタデーナイトフィーバーなポーズが頭に浮かんでしまう①、派手でキャッチーなタイトル連呼系②、初期の面影はありませんが軽快な転移が好きな③、MVが…な変態的楽曲。個人的には嫌いじゃない④、リズム&Queenな感じ。融合には成功していると思う⑤、John Lennonに捧げたバラード。広い集合墓地で墓石の前に佇んで黙祷するような曲調。「Life is real~!」の盛り上がりは要らないです。全編しめやかにしてほしかった⑥、数少ないギターが全面ヒューチャーされたハードロック。Brianが意地で捻じ込んだか(笑)⑦、ギターのクリーン刻みが耳に残ります。ループ的な部分がRoger作ですが面白い⑧、「手を取り合って」のスペインバージョン的存在。これは初期のQueenファンでも溜飲が下がる内容ですね⑨、全編Freddieのファルセット。オシャレだし、ブラックミュージックというより普通にQueen⑩、David Bowieボーカル参加。ここまできっちり外部がアーティストで参加したのはこれが初めてじゃないですかね。Deaconのベースラインから失礼ながらちょっと情けない感じで入ってくるDavid Bowie。Freddieも素晴らしい。むしろFreddie一人のライブバージョンの方が好き⑪と、前作で既にあった萌芽が一気に爆発。Deacon色が非常に強い。

似たようなアルバムを量産する必要もないし音楽性を変えるのは全然アリだと思うので私はアリです。ただ初期のファンからの拒否反応は前作の比じゃなかったそうで、Queenという船が沈没しかけたそうですね。

【My Top 3 Tune】
・Life Is Real(Song for Lennon)
・Cool Cat
・Under Pressure

65 /100点
---------

 

●11.The Works (1984)

11_20220711230005280.jpg

Hot Space爆弾によりセールス的に益々落ち込んでしまったQueen。いよいよ解散か?などと噂されていた時期でしたが、映画でも有名になったLive Aidでのライブで健在っぷりを示し、見事評価をひっくり返すことに成功します。

Lady Ga Gaの元ネタなった楽曲。スタジオ版はボチボチですが、ライブで一体感を生み出す①、結構なハードロックタイプ。ライブで盛り上がりそう②、冒頭から初期のQueen的な良曲③、エルビスプレスリーな④、タイトル通り意識的に平坦でテクノっぽい変わり種⑤、Deacon渾身の一作。南米で人気があり、のほほんとした雰囲気とMVの狂気がアンバランスな⑥、アップテンポで開放感あるサビメロが心地よい⑦、これもハードロック系。キャッチーでみんなで歌える⑧、こんな世の中のために…的な悲しいアコースティックバラード。素晴らしいクロージング⑨と、全9曲とやや少なめ。

①はこれまでポップさを控えめにしてきたRogerらしからぬ曲調でしたがバンドにとって久しぶりのヒット。Deaconの⑥もヒットし、MVでの女装は相当な話題になったそうです。ライナーノーツ曰く、当時のメンバー感の仲の悪さを心配していたファンからは「こんなバカ皆でやってんだから仲いいじゃん」とのことでした。

前作同様に全曲Freddieがリードボーカルを務めています。賢明な判断です。

【My Top 3 Tune】
・It's A Hard Life
・Keep Passing The Open Windows
・Is This the World We Created...?

69 /100点
---------

 

●12.A Kind of Magic (1986)

12.jpg

前作とLIVE AIDで評価を取り戻したQueen。ここでまたもや映画のサントラ的な扱いの作品を出してしまいます。映画「ハイランダー」のサントラで、同映画の世界観でメタルしていたスウェーデンのLost Horizonはさぞ羨ましいことでしょう。

Queenの中では剛健なロックチューン。終盤の畳み掛けは流石①、Rogerは前作で覚醒したと言えるかもしれません。爽やかなサビメロがいい②、しとやかな曲調に地下強いFreddieのボーカルが乗ります。いい…③、ドM心をFreddieが一風変わった歌唱で聴かせる④、いいですね~。リーダートラックと言えるかもしれない⑤、オーケストラを使った壮大なスペクタクルバラード。冒頭では一旦Brianが歌う演出もいいです。最高なんですが、後半はサントラのためかオーケストラが延々と続くのがちょっと…⑥、破壊的なFreddieのボーカルにガシャガシャした演奏がよく合います。ギターソロが一番の聴き処⑦、デジタルチックな世界観が珍しい⑧、サビで軽快に走ります。ギターソロでは結構長く溜めを行いますが、爆発することなく終了してしまうのが惜しい⑨と、この後インストが続きますが本編はこの9曲のみ。やはり映画寄りに作った楽曲はどこかしらQueen感の欠如を感じます。が、それが異色な感じで私は嫌いではないですね。

追悼コンサートのSealが歌った⑥のライブバージョンの終わり方が素敵すぎたので、もしBrianとRogerがアレンジすることになったらこれを使って下さい。

【My Top 3 Tune】
・One Vision
・Who Wants to Live Forever
・Princes of the Universe

61 /100点
---------

 

●13.The Miracle (1989)

13.jpg

コンピュータグラフィックスで4人の顔を繋げたジャケットは話題になったそうです。このアルバムがリリースされ、ファン達は「ツアーがあるのではないだろうか?」と色めき立ちましたが、バンド側から公式にツアーはしない旨の発表がありました。エイズの進行でFreddieはそれどころじゃなくなっていたわけです。

これまた攻めた楽曲です。アカペラが入り乱れる冒頭から変わり種①、間髪入れずにこの曲に繋がります。ハードロックですね。ボーカルのスキャットがいい②、ちょっとだけ初期のワンダーな雰囲気があります。特にギター辺り。サビの後に出てくるメロディは1回目と2回目を微妙に変えているのはやはり職人気質を感じます③、もはやヘヴィメタルですね。中盤で疾走しギターソロを弾き倒す様は非常にメタル的④、これまたRoger作とは思えない。ロック的ではない音を使った軽快な⑤、当時流行ったアップテンポなポップスをQueen流に構成した爽やかな⑥、当時のポップスって感じ。「レインマストフォール」の歌い回しがいいですね。歌うようなソロも良い⑦、現代的で歌メロに光るものを感じるシングル⑧、真夜中の都会的な大人のナンバー⑨、最後の最後でまたもやQueenっぽい。神秘的なシンセ、分厚いコーラス、なかなかの出来⑩と、④や⑥のようにちょっとトレンドを混ぜてみました的な雰囲気があります。ひょっとしたらもっと色々取り込まれているかもしれません。もう少し初期の楽曲風味が多かったらもっと売れたと思われますが、それは次作に任せておきます。

またこのアルバムから作詞作曲のクレジットがQueenに統一されています。印税を均等に分ける処置ですが、もっと早くからやれば良かったんじゃないですかね。お金で揉めることも無かったでしょうに。

【My Top 3 Tune】
・The Miracle
・I Want It All
・Was It All Worth It

64 /100点
---------

 

●14.Innuendo (1991)

14.jpg

前作から僅か2年でリリースされた本作。この頃Freddieは立つこともままならず、エイズにより併発した病で足を切断していたとの話もあります。昔読んだ本に載っていたFreddieは杖をついていましたね。嗚呼。

明確に盛り上がるパートは後半のサビと共になるシンセ。そこに至るとすべてが報われた気分になります。Yesのギタリストがフラメンコギターをソロで参加①、大きく盛り上がることなく淡々と進んでいくことに逆に狂気を感じる②、ちょっと元気になります。アップテンポ③、あなたとは一緒に生きられない、あなたとは無しでは生きられない、なんとも矛盾した表現にセンスを感じる④、まさにQueenな曲調を悲壮感たっぷりに歌うFreddie。頑張らなくていいのかな…。頑張るのやめよう⑤、数少ないの裏打ち疾走。Rogerもブツブツ呟く程度のボイス参加⑥、メッチャゴージャスなコーラスワークが素晴らしい。ライブで出来るのかは不明です⑦、スネアではなくハイハットとコンガ?的なパーカッション。優しいFreddieのボーカル。素晴らしいソロ。今までにない特徴的なピースフルなバラード⑧、Freddieの猫への愛の歌。アルバムコンセプトからちょっとズレるかもしれませんが、猫の鳴き声をFreddieが再現しようとしていたり遊び心を感じます⑨、アルバムで唯一ヘヴィな楽曲。あんまり好きじゃない⑩、Brianのギターの表現力、Freddieの悲しいボーカル、次曲の繋ぎに思われる方も居るかもしれませんが、単曲としても素晴らしい⑪、Queenのラストシングル。重い。そして素晴らしい。文句なし。最後の最後までこんな曲を作り出せた彼等は凄いとしか言いようがない⑫と、最後の力を振り絞って出し切った感がある作品です。

Freddieの声が細めで儚い。痛々しいとすら思う。が、それすらも味にしてしまっている作風です。まあかなり厳しい見方をしてしまうと⑫以外はメロディが弱いと思う方もいるでしょう。私はもしかしたら全ディスコグラフィの中で1番好きかも。

原点回帰とまではいいませんが、帰るべき場所に帰ってきた感じですね。

【My Top 3 Tune】
・Innuendo
・Don't Try So Hard
・The Show Must Go On

72 /100点
---------

 

●15.Made in Heaven (1995)

15.jpg

Freddie没後に残された音源を元に作られました。Freddieはもちろん亡くなっているのでボーカルに関しては既存音源を沢山流用しています。純粋な新作かと言われると首を傾げる方もいるかもしれません。

ボーカルテイクはFreddieのソロから。アルバムのオープニングに相応しい①、ボーカルテイクはFreddieのソロから。いきなりドラマティック。天国のように(?)壮大な②、ロット・スチュワートと一緒に作った楽曲で、おそらく元々彼もボーカルで参加していたのだと思います。Freddie、Roger、Brianの順でボーカルを繋いで信仰していきます。最高!③、Freddie没前に最後に録音されていた曲。亡くなる直前でもきちんと歌えていたことに驚き。最後のパートをBrianが歌っているのが悲しいけど、いい④、シンプルなミドルチューン。これも飾り気なく天国的⑤、ボーカルテイクはFreddieのソロから。超有名曲ですが、Freddieのソロが初出でした。全編に渡ってFreddie元気ですね⑥、ボーカルテイクはRogerのソロから。この曲をRogerが作っていた事実。そしてこれも天国的⑦、収録するアルバムが無かったという理由でお蔵入りになっていた楽曲。Brianが追悼コンサートで先に世に出しちゃうというね。名バラードです⑧、アルバム内では一風変わったナンバー。シンセリフが神秘的でいい⑨、ボーカルメロディを無視したかのような歌声。最後の絶唱と言った感じ⑩、ごちゃごちゃしたのが彼の人生っぽくていい⑪、Yeah⑫、オマケ⑬と、アルバムタイトル通り天国でフワついている内容です。言いえて妙といいますか。なんなら最後にNo One But Youを追加収録してくれたら更に完成度上がる気がします。

オリジナル音源の方が好きな方も居るかもしれません。そういう方はFreddieの未発表音源を集めたベスト的な気持ちで聴けばいいと思います。なんにせよ、ありがとうございます。R.I.P Freddie!

【My Top 3 Tune】
・Let Me Live
・I Was Born to Love You
・Too Much Love Will Kill You

68 /100点
---------

 

●16.The Cosmos Rocks (2008)

the cosmos rocks

発売された当時は驚きました。唯一リアルタイムで買ったアルバム。活動を始めた時、Queen + Paul Rodgers名義でした。「オリジナルメンバーが一人でも欠けたらQueenではない」という方もいましたが、私個人としては「ここまできちんと活動するのなら堂々とQueenを名乗ってほしい」と考えていました。

なのでここでは16thとして扱います。

Paul Rogders (Vo,Ba)
Brian May (Gu, Ba)
Roger Taylor (Dr)

個人的にはメンバーが変わってもアプトプットが良かったら聴きますし応援しますしね。

とはいえ核となるFreddieが居ない状態で果たしてバンドとしてどれほどのリカバーが行えるのか…。当時としては不安しかありませんでした。

しかもJohn Deaconが居ないのが寂しい…。ライブはともかくスタジオアルバムくらいは参加してほしかったですよ。存命なのに…(2023年現在)。Deaconは超優秀なソングライターなので、シンプルにバンドの楽曲創作能力が落ちるわけです。例えばRogerが不参加になったとしても、その点においてのダメージは比ではありません。

ロカビリーチックなロックンロール。盛り上がりそうな①、開放的なロック。昔「泣かないで、メロス♩」って曲がありました。歌詞はテキトー②、中盤に露骨にWe will rock youが。ロクロンネバダイ③、素晴らしいアコースティックバラード。これだけ突出している気がします④、なんか忙しなくやってるんですが、楽曲的にはイマイチかな⑤、薄ら鳴るシンセとPaulの哀愁味ある歌。コーラスといいギターといい、まさにQueenっぽいバラード⑥、これもQueen。楽曲のアイデアも彼等らしい。ややカントリーを混ぜた感じの⑦、いきなりブルージー。全然悪くないし、スルメだと思うけどパンチはない⑧、これも静かな楽曲。コーラスが微妙にQueenかも⑨、ヘヴィめのギター。これもコーラスがQueenっぽい。ただ曲自体が微妙かも⑩、Brianの哀愁のソロから開始。落ち着いてます。昔のQueenには無いタイプ。ライブハウスよりバーの方が合う⑪、ファルセット気味に歌われるアコースティックソング。派手さの無いクリスマスソング...なんて思ってたら結局スタジアムロックバラードみたいになっちゃった⑫、ニュースキャスターがブツブツ。その後誰かのシャウトから速めのテンポでジワジワ。変わってますね。海のSEで締め⑬、個人的に名曲だと思ってる曲を使ったアウトロ。ギターの独演が良いね⑭と、決して悪くはないですがバンド名に殺されてしまった感があります。個人的にQueenはずっと音楽性を変えてきたバンドなので、「今回はこういう作風なんだ」的な捉え方をすれば特に問題は無いと思います。Red Specialの音色とコーラスワークはまさにQueenそのものですしね。

しかし日本では全く注目されず話題にもならずに終わってしまったのも事実…。

リリースの報が世に出た時は「マジかよ!リアルタイムでQueenを体感できちゃうんですか!?」的なこと考えましたが、過去の作品と比べちゃうとねぇ。内容がそこまで伴っていないのでどうしてもそこまで前向きな喜びを感じるに到れませんでした。

【My Top 3 Tune】
・Small
・We Believe
・Call me

56 /100点
---------

 

●--.Dragon Attack Tribute QUEEN (1997)

dragon attack

日本でももう何度もブームになっているQUEENのトリビュートアルバム。説明不要ですね。

主にメタルアーティストがカバーしてくれています。選曲は一部?な部分もありますが、大体の美味しい所は押さえてあります。あの有名曲Bohemian Rhapsodyが無いのは「原曲を超えることは出来ない」的な謙遜と諦念から企画側が敢えて選曲候補に取り上げられなかったんだと思います。なのでToshlがカバーした大胆さに驚きを隠せませんでした。

このボーカリスト、なかなか凄いです。ちょっと溜めを省いて走るギターも如何にもChris①、あまりキレの無いLaBrieはご愛敬。ギターが Marty Friedman、ドラムがCarmine Appice②、ややダンサンブルさが薄くなっています。この曲にTommy AldridgeとJohn Petrucciはミスマッチな気が…③、Jeff Scott Sotoの荒れた声が超良い感じ。ギターソロが結構付け足されていてます。原曲を超えてやろう的な気概が感じられる④、しなやかなFreddieより剛健な歌声で違った趣を感じます⑤、これはなかなかいい!ブラスっぽい音まで飛び出すアレンジが斬新。終わり方もちょっとアレンジ入ってて面白い⑥、良い意味でも悪い意味でもLemmy Kilmisterの声が全てを喰ってしまっています。スゲェ声だ。この声があれば曲とかクオリティだとか全然無関係な気がします⑦、ファンキーなGlenn Hughesの力でかなり原曲に肉薄するレベルに達していると思う⑧、Mark Boalsは見事なんですが、インギ―がリフを前面に出さずにピロピロ。Tommy Aldridgeとの唯一の共演⑨、LaBrieの声はこっちの方が合っていると思います⑩、ほぼANTHRAXの面々。これも凄い荒れ声。どうせならアップテンポになる箇所でスラッシュビートとかやってくれたら面白かったんですけど⑪、無難なカバーで歌が凄く上手いですね。ギターソロがかなり独自のフレーズ弾いていて終わり方も良い⑫と、主にメタルの世界で名の知れた方達だけありクオリティの高さは保証します。もちろんどれもこれも原曲が凄過ぎるので超えたかどうかは何とも言えませんが。

個人的には良く出来たトリビュートアルバムではあると思います。どうせならもっとメタルメタルしたアレンジしちゃっても良かった気もしますね。

【My Top 3 Tune】
・I want it all
・Save Me
・Keep yourself alive

65 /100点
---------