2017年7月20日、チェスターベニントンが亡くなりました。自殺だそうです。急すぎて全然実感が湧きません。まだ41歳でした。

彼の訃報を電車の中、ニュース一覧で知りました。知った瞬間、久しぶりに背筋が凍る感覚を覚えました。

何かの冗談かと思っていたんですが、本当でした。友人だったクリスコーネル氏が自殺されたことが原因だったとも言われています。

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リンキン・パーク(以下リンキン)はアメリカのロックバンドで、音楽シーンを圧巻させた音楽性と驚異の売り上げで知る人ぞ知る存在でした。ロックに無縁な友人でも聴いていたくらいです。

Chester Bennington ボーカル
Mike Shinoda ボーカル
Brad Delson ギター
Dave Farrell ベース
Joe Hahn DJ
Rob Bourdon ドラム

6人からなります。リーダーでメインコンポーザーの1人であるマイク・シノダ氏が日系で少し驚いた覚えがあります。世界の大成功したバンドに日本に関わりのあるメンバーが居ることに勝手に誇らしくなったのです。

私とリンキンとの出会いは16年前に遡ります。ちょうど人気は爆発真っ只中であり、友人達がこぞってアルバムを買っていました。

当時私はラップやヒップホップに対する苦手意識がようやくなくなりつつあった時期で(それもSLIPKNOTのおかげで)、1st『Hybrid Theory』はタイミング的にドンピシャ。

それはもうハマッたハマッた。

カラオケでチェスター氏のスクリームを真似して声が出なくなったことも良い思い出です。

その後リンキンは2nd『Meteora』で突き抜けてしまった音楽性をどうするのかスタッフ含めて散々議論があったと想像できます。結果的に3rd『Minutes to Midnight』はヘヴィなギターリフと重低音が無くなり、比較的ソフトなロックに落ち着きました。この変化に落胆した人も多かったです。

バンドをやっていた友人は「俺の中でリンキンはMeteoraで解散した。」と随分なことを言っていました。私個人は「路線変更したけど、これはこれで良い曲あるし、十分」と肯定的に捉えていました。

更に変化は加速し、4th『A Thousand Suns』では1st、2ndの愛聴者からしたら理解不能で、ロックですらなくなったと嘆く方も居たり。

私は「おお、思い切った!これはこれで面白い!」とまたまた好意的に捉えていました。同じことを繰り返すのも良いですが、失敗を恐れずどんどんスタイルを変えていく姿勢には感動を覚えました。

5th『Living Things』 は前作よりは一曲一曲が独立している原点回帰に近い形でしたが、なんとなくハマりきれず、リアルタイムで追いかけるのもここまで。6th以降は中古で安くなってから買えばいいやと、ここで見切りをつけてしまいました。

その後6th『The Hunting Party』をスルーしつつ、500円位になるのを待っていたら7th『One More Light』がリリースされ、来日公演も決まった矢先にこんなことになるとは...。


個人的に自殺というのが残念。
病気で亡くなったのなら、仕方ない部分があると割り切れる気もするのに、こんな結果じゃあ...。彼自身が選んだ道とは言え、やはり嘆かざるを得ないです。

それでも敢えて感謝の意を述べるのなら、

素晴らしい歌声をありがとうございました。

これに尽きます。

本当にありがとうございました。
お疲れ様でした。

RIP. Chester Bennington

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※余談ですが、先日Wikipediaで朝見た時と夕方見た時でチェスター氏の位置が違うことがありました。旧メンバーと現メンバーの狭間で行き交いしています。チェスター氏は永遠にリンキンのメンバーだ!と認めない方もいるのでしょう。

それもいいと思います。
そんな方の気持ちもよく分かります。

ただ次に進むなら、新ボーカル加入は必須事項になります。抜擢された人の重責は相当なものでしょう。

来日公演は中止なのか。
このタイミングで新ボーカル入れて来日したらどうなるのかわかりませんが。

私としてはクリーンとグロウルが両方イケるて意味でJimmie Strimell辺りが後任になってくれたら嬉しかったり。と思ってたらセッションらしいけどDead By Aprilに復帰したのか。

来日公演中止にしてもいいから生き返って下さい。



以下はLinkin Parkの感想

●Hybrid Theory (2000)


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ニューメタルとは何かを全世界に示した1st

Mike ShinodaとChester Benintonのボーカリゼーション、Bladとサポートベースの激重リフ、Mr.HarnのSampling音が混ざり合ったマジックにより誕生した超傑作。

エモーショナルなデジタルリフから激重ギターリフ、ラップから流麗なサビへ。終盤の流れも隙なし①、個性的なリフに掛け合いのようなサビ、終盤でのChesterのシャウトなど聴き処のある②、不協和音とスクラッチリフが活躍する③、吐息?からChesterのクリーンボーカルが拝める④、哀愁のキーボードイントロ、静寂なるクリーンヴァースもグロウルサビも流麗な⑤、後半の暴れっぷりが良い⑥、リフと同じボーカルメロディをラップ気味に歌うChesterが珍しい⑦、ピアノ音から始まりMikeとChesterの悲し気な歌が乗る哀愁溢れたバラード(?)⑧、ちょっと変わった構成にシャウトが凄い⑨、ボーカルリフとも言えるラップの掛け合い、Mikeの一番勢い溢れるラップが後半出てくる⑩、デジタルインタールード⑪、クロージングにして最強。このアルバムで私が1番好きな楽曲⑫と、20世紀の終りに飛び出した新世代サウンドに眩暈起こしそうでした。文句なしの超名盤。

似たようなBPMの楽曲が続くのに被らずバラエティ豊かに聴かせられる卓越したコンポージング能力。ランニングタイムも短くとても聴きやすいです。

【My Top 3 Tune】
・Papercut
・In the End
・Pushing Me Away

85 /100点
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●Meteora (2003)


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更にメロディアスになり一般性が増した2nd

前作での大成功によってか、BassのPhoenixが復帰しました。どういう経緯で復帰したのか定かではありませんが、バンド側もよく普通に復帰を認めたものですよね。

タイトルはギリシャの崖上の修道院から付けられたそうです。いいセンスしてますよね。

新章の始まり①、冒頭からリードスクラッチが炸裂。ラップ無しのメロディアスチューン②、当時最も有名だったキラーチューン③、後半からMikeのラップが活躍する④、終始不穏な雰囲気を持ったメロディするなめの⑤バックのシンセやメロディラインがバラードチック。昔1番好きでした⑥、シンセリフから畳みかけるキラーチューン。元々の半分(60BPM)をほぼ倍速(139BPM)にしたのは英断としか言いようがない⑦、デジタルビートで始まる以外は割と普通な⑧、トレードマークのラップと重いリフを排除したキラーチューン。死ねる⑨、Chesterのクリーンヴァースを使った⑩、尺八を取り入れた異色曲。超絶メロディよりもリズミックな歌メロがナイス。デジタルな雰囲気も◎⑪、ラストへの足掛かりとなるインタルード⑫、CMでも使われまくった有名デジタル音メロディを持つ最強のクロージングチューン。⑬と、ラップが無かったり、重いリフを無くしたり、2曲アップテンポチューンを入れたり、尺八を入れた楽曲を入れたりするなど、1stで自分達の付けられたイメージを敢えて払拭するよう前作よりも楽曲に変化を取り入れようとした構成となっています。

本作も文句なしに超傑作。無理に難点を上げれば少々メロディアス過ぎて甘いのと、ラップの比率が減ったことですかね。

あ、もう一つ。ランニングタイムを縮めるために前の曲の終りと次の曲の初めを被せる暴挙は止めてほしかった。単体の楽曲再生として欠損した状態になるのがとても嫌。単体では混じりっけなしにしてほしかった…。

【My Top 3 Tune】
・Easier To Run
・Faint
・Breaking The Habit

84 /100点
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●Minutes to Midnight (2007)


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ソフトな王道ロック路線の3rd

本作が正式リリースされる前に世に出たAdvance版にはライブトラックの新曲「QWERTY」が収められていました。ヴァースではスピードを落とすものの、それ以外のパートはアップテンポでアグレッシブ!3rdに対する期待をさぞ高めたことでしょう。Advance版を聴いた知り合いは「2ndを更に推し進めた作風になるんだ!」と鼻息を荒くしたとか。

彼の想いは通じず、1st、2nd共に重低音ニューメタルから王道ロック路線に方向転換。同じ音楽性からの脱却をテーマに作られたであろう本作。類似品を作るのではなく新しい一手を出そうとする挑戦する心は素晴らしいです。

爽やかさを連想させるイントロ①、これまでに無い身軽さを感じさせるアップテンポなアメリカンロックンロール。中盤以降にあるロングトーンシャウトが凄すぎ②、よく分からんけど宇宙とか天体を感じさせる素晴らしいバラード③、本作で唯一ラップの入ったパーティ的な疾走チューン④、エモい。こちらは斜陽を感じさせるバラード。初めてギターソロっぽいパートが出てくる⑤、トランスフォーマーなミドルチューン⑥、Mike Shinodaのラップのみならず歌声まで飛び出す教会で流れそうな⑦、唯一重いギターをフューチャーしたものの、ちょっと弱い⑧、またもやバラードタイプですがサビが変な方向に行くのが印象的な⑨、全編Mike Shinodaの歌。普通に歌っても個性的な良い声ですね⑩、ちょっと速めの打ち込みチューン。始りの電子音がいい。歌メロも前作とは違うものの面白い⑪、6分の彼らにとっては大作。終盤に進むにつれ盛り上がっていきギターソロまで出る意欲作⑫と、1st、2ndと同じ路線で来ると考えていたファンは3rdの方向性に悲鳴を上げたはず。全体的に重々しいリズムとヘヴィなギターリフを排除。Mike Shinodaのラップは大部分から姿を消し、普通に歌っちゃっています。音楽性を変えようとして酷いモデルチェンジをしたバンドを沢山知っているので、まだ十分範疇内。

難点はバラードタイプの楽曲が多いことか。楽曲単体では良いものが揃っていると思います。

冒頭で上げた彼は「Linkin Parkは2ndで解散した」と思うことにしたそうです。新しいものを得るために何かを犠牲にする。音楽性の変更には付いて回る命題ですね。

【My Top 3 Tune】
・Leave Out All The Rest
・Shadow Of The Day
・In Pieces

72 /100点
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●A Thousand Suns (2010)


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バンドやロックの定義から脱却した4th

前作にて多くの武器を手放し、新たに王道要素を取り入れました。本作では更に大きな変化が訪れます。なんとロックであることを手放しました。この選択には本当に驚かされました。

恐らくLinkin Parkの作品群で最も賛否両論が出たアルバム。

電子音と女性ボーカルのデジタルなイントロ①、なんと2トラック分使ったインタールード②、ソフトな歌唱に終始するChesterとMike、ドラムは生なのか打ち込みなのか分からない。一方ギターはきちんとソロが用意されていて存在感を示している③、ジャングルかどこかで特殊部隊が茂みをかき分けているようなSE④、トライバルなリズムにMikeのラップに「あーあーあー」のChester。後半女性のスキャットもあり民族色の強い実験的な楽曲になっています⑤、発展した古代都市にて蔦が絡み付くほど放置されたビルやマンションの情景が脳裏に浮かぶループソング⑥、デジタルかつ神秘的なインタールード。なぜか日本語が出てくる⑦、伸びやかなChesterの歌声といいタイミングで入るMike、民族的なパーカッションも取り込んだリーダートラックと言ってもいい⑧、リズミックに電子音とChesterのグロウルが乗り、後半はサビ(?)で普通に歌う。前半がヴァースで後半がコーラスに完全に分かれた⑨、演説からズッシリしたビートにChesterのグロウルとMikeのラップも出てきますがメロディアスではない⑩、なんか演説してます⑪、優しいMikeの歌からChesterの歌う明るいメロディライン、Bladのギターも久しぶりによく聴こえます。クワイアからChesterとMike2人がサビを謳って終曲。これも素晴らしい⑫、インタールードですが、Mikeが一瞬歌っぽいフレーズを口にします⑬、不思議な音作りですがかなりアップテンポなビート。後半はクロージングに向けてゆったり⑭、アコギと歌とキーボードのみのアッサリとした良い楽曲。Chesterもう少しリラックスして欲しかったです⑮と、本作は近未来的でアンビエントな音楽性で攻めまくり。楽曲単体ではなくアルバム単位で聴く作風に挑戦してみたわけです。良くも悪くもHybrid Theoryを作ったバンドとはとても思えません。本作を聴いたファンの中には、3rdの方向性を反省して1st、2ndの頃に戻ることを期待していた方もいると思われます。結果的に懐古主義の方々には理解出来ない世界へ突入してしまったわけですが…。

私個人の意見としては、これはこれで十分に面白く意欲的な作品だと思います。「これのどこがHybrid Theoryを作ったリンキンなのォ!?」なんて問われると即答が難しいですが、これを作った方々は紛れもなく同じメンバーなわけですし。まあBladのギターはQueenのHotspaceレベルに死んでいますし、ドラムというかパーカッションもRobが叩いているのかは怪しいです。

考え方は各々なので強制も出来ませんが、私個人はアリ!

【My Top 3 Tune】
・When They Come For Me
・Robot Boy
・Iridescent

76 /100点
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●Living Things (2012)


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原点回帰を狙った5th

詳細知りませんが、原点回帰を念頭に置いて作られた作品です。3rd、4thは初期の彼らから遠く離れた作風でした。それらを見直してもう一度初期風の音楽をやってみようという話になったのか…。

同じアルバムは2度と作らないをスローガンにしている彼等からしたらそれこそ大きな挑戦だったかもしれません。もちろんこの当時の彼等は2nd以降に培った経験や趣向を盛り込んだ作風にしようと狙っていたと思います。つまり「今の俺達がHybrid TheoryやMeteoraを作ったどうなるか」的な作曲方針だったのではと考えています。

ギターリフではなく電子音リフ。MikeのラップもChesterのグロウルもあるし、勢いは無くともメロディアスなサビもある①、荘厳で悲し気なイントロから初期をきちんと感じさせる②、非常に印象的なキーボードリフの③、Mikenのラップを主軸にサビは荒めで弾ける感じの④、サビは好きですがちょっと印象薄めな⑤、アップテンポでMikeがほぼ全編歌っています。Chesterもコーラスとブレイクで登場。そのためかテンションは高くありませんが湿り気のある個性的な楽曲になっている⑥、この時点でのリンキン最速。Mikeの疾走感あるラップとChesterのグロウルもよく映える⑦、キラキラ光る音が特徴。バラードチックな力を抜いた歌の⑧、昔の王宮の舞踏会的雰囲気のある⑨、うねるようなミックスでMikeのラップが乗ります。後半ではギターのBladが淡い歌声を披露。Brian May的な感じでやっていけそうな予感はします⑩、デジタルと神秘を合わせたインタルード⑪、タイトルの通り力を抜いたChesterの歌声に劇的なシンセが泣ける⑫と、原点回帰といっても1st2ndと比較して幾分ソフトになり、より多様性も盛り込んだバラエティ豊かな作風となっています。MikeのラップもBladのギターもきちんと組み込まれていますしね。

初期のファンはこれ提示されたら素直に喜んであげて下さいよ。攻撃性は多少薄れているものの、その分他に得た要素で補完されていますよ。

「全く同じじゃないからダメ」はちょいと厳しすぎやしませんか。バンド側が寄せようと努力してくれたので、その姿勢だけでも嬉しいと思うべきですね。作品が気に入らないのなら仕方ありませんが。

【My Top 3 Tune】
・Castle of Glass
・Skin To Bone
・Powerless

70 /100点
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●The Hunting Party (2014)

メタルサイドへ歩み寄ってみた6th

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随時更新物の音楽を参照


●One more Light (2017)

アメリカのトレンディな要素を大胆に取り込んだ7th

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随時更新物の音楽を参照


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第七回:Ronnie James Dio 追悼
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第五回:Dead by April
第四回:河村隆一
第三回:X JAPAN
第二回:アニメタル USA
第一回:Dir en grey