河村隆一…。

第四回はLuna seaではなく河村隆一。


…日本最高のナルシスト。

1989年にLunacyというヴィジュアル系バンドを結成し、バンド名をLuna seaに変更しメジャーデビュー。超メジャーバンドとなり売れっ子に。東京ドームを満員にしたりアルバムセールスも当時のL’Arc-en-CielやGlayには及ばなかったものの相当な数字を残している90年代の日本を代表したバンドの一つとなった。


そのバンドのボーカル。

バンドでは基本的に『Ryuichi』名義。

X Japanの弟バンドとされているがビジュアル系だけあってルックスは兄貴分よりも遥かによく、何よりX Japanのボーカリストは自称及び他称『化け物アゴ男』だったのに対しLuna seaは美形ナルシストのRyuichiさんだった。まぁ、これはあんまり関係ないか。


弟分だけど音楽的には全くの別物。

以前、『偉人語り第三回:X JAPAN』でも載せたように、私は今のビジュアル系の音楽原型は基本的にLuna seaが作ったと思っている。そこから派生して多くのバンドは個性を確立していったわけだが、このLuna seaも他には真似できない強烈な個性を持っている。



それはずばり、『鬱』。

とっつき辛いメロディーと暗く悲しいメロディラインが特徴。一口に言うとこんな感じ。当時売れていたL’Arc-en-Ciel(世間的にはビジュアル系と彼らは言われているが、音楽的にはビジュアル系には全く属さないと私は思っている)やGlayとは全く違った路線であり、おそらく世間的にあまりウケの良くない音楽だったと思うがここまで売れたのはシングル曲の破壊力があったからだろう。それがなかったら東京ドームを満員にするようなファンはできないと思う。友人に聴かせていたら「Luna sea俺駄目だ!!こんな憂鬱なの聴いてらんねー!!」と言い出したし、実はあんまり一般性は無いと思う。


そんなLuna seaが解散という名の『終幕』が2000年に訪れた。理由はどうあれ、彼らはこれまで多くの金を稼いだわけだからこれからは生きたいように生きるのかな?と思っていた。

Ryuichiこと河村隆一の「これ以上輝けない」発言があったようにやっていられないと色々我慢の限界だったようで、終幕と同時に派手な活動を開始。ロックではなくPopsを自由奔放に歌い始めた。そしてCMに出演、バラエティと大活躍。ただ97年にソロ活動した時ほどの成功を収めることができなかった。



97年は河村隆一の年だったと思う。出すシングルは全てヒットしてテレビへの露出も増え、ファーストアルバムも売れまくって男性ソロアーティスト売り上げランキングでもこんにちまで日本記録を保持し続けているのだ。確実に調子に乗ってしまっただろう。

ソロでLuna seaを超えてしまったのだ。
そうなればこう考えるのは当たり前のことかもしれない。

「俺って凄くね?Luna seaいらなくね?てかLuna seaが成功したのって俺のおかげじゃね?俺のおこぼれにあずかってるメンバーって…?」実際こういう捉え方をしたのかはわからないが、その後の彼の行動を見ていたらそう思わざるを得ないのである。非常に残念であるが。


バンドというのは主にボーカル、ギター、ベース、ドラム、たまにキーボードという布陣がよくある。バンドが解散した時、一番困らないのがボーカル。なぜならそのまま自分の声を使ってソロ活動ができるからである。そしてギター、ベース、ドラムもソロ活動及び新しいバンドを組むのだが、一番困るのがドラム。なぜならドラム一筋で生きてきた人間は大体において作曲力がほぼ無い。Luna seaのドラマーもこの後あれこれするし結構有名な歌手のバックバンドでドラムを叩いたが、借金問題に苦しむことになる。さらにはギターの片割れも売れなくて借金塗れに…。ベースとギターのもう片割れは借金という話は聞かないが、実際はどうなんだろ。

X Japanが解散した後は色々皆大変だったみたいだが、Luna seaも色々大変だったようで。そんな中で水を得た魚状態の河村隆一は、昔からのイメージである『二枚目』を壊すことを試みる。アホなことやったり言ったり、果てにはCMで壊れてみたり。

その結果見事にそのイメージは壊れ、ファンは次々に離れていき、もう色々駄目になっちゃった。ある人は「もう見てられない」ある人は「ははは、壊れた」ある人は「終わった」と意見は千差万別であれど、2012年現在では熱心なファン以外からはもはやギャグの対象でしかなくなってしまったのである。

あれだけ売れていた音楽も
ファースト:300万枚位
セカンド:12万枚位
サード:2万枚位

時代が時代ということもあるかもしれないが、この落ち込みようは確かにギャグと言えるかも知れない。そして5億円の豪邸を今売りに出しているとか。借金を抱えてるという噂もあったり、というかむしろ確実か。



一体何がいけなかったのか?
もちろん一番は自分だけの力で成功したと思いLuna seaの解散したのが一番の原因であろう。他のメンバーを足手まといと決めつけ、収益が他のメンバーに分配されることを嫌がり、バンドを解散させた張本人。知り合いのファンから聞いた話では河村隆一はなんと解散ライブで一度逃げているらしい。本当に嫌だったんだな。そりゃ他のメンバーをお荷物と考えていたらやる意味なんてないし徒労だわな。どこにでもある感じの泥沼で解散しましたとさ。そして自らの大いなる力を振りまいて色々好き放題やった挙句に借金を抱え中年太りでデップリし一握りの熱心なファン以外の誰から注目されなくなったわけ。

もう自業自得の極み。


Luna seaのメンバーほとんどが解散後お金に困っていたその時、都合よく『再起動』することに。

確かに河村隆一には大きな才能がある。

でも自分ひとりでここまで到達したわけじゃない。

そこに気付いただけでも成長した河村隆一。

金のためとは言え再結成に喜ぶファンと私。

良いことばかりじゃないの!!


日本経済を活性化してくれ!!



さて話は変わるが、河村隆一は時代ごとに歌い方を大きく変えている珍しいボーカリストである。昔は荒削りなシャウトを使っていたが、97年のソロ活動で大きく歌い方を変え、『ナルシスティックヌメヌメボイス』でねちょねちょと歌うように。昔からのファンは大きな驚きと失望を、Luna seaを知らなかった新規のファンからは絶賛を受けた。

私は結構好き。

河村隆一のソロも多く持っている。確かに歌い方を受け入れられない人もいると思うが、好き嫌いは別にして確実に上手くなってる。それをマイナスイメージに捉えるのはおかしくね?いや、昔のほうがいいっていうのもわかるけどさ。


逆に歌声が変わっていくのって結構面白くない?
歴史の年表じゃないけどさ。ずっと同じ声で歌ってる人もそれはそれで尊敬するけど、変化って全く悪いことじゃないと思う。最近のソロ活動ではねちょねちょ具合も若干納まりちょっとクラシカルな歌い方に。ところが別プロジェクト『Tourbillon』では粘着度の高い歌唱をしていた。本当面白いボーカリスト!!

2010年になんとLuna seaではなくLunacy名義でライブをやった時、なんと昔のシャウトスタイルを見事に復活させていた。あまりにも嬉しすぎる誤算である。今歌い方と合わせていったらもっと面白い。夢いっぱいのボーカリストである。いっそ関わってるプロジェクトごとにスタイルを意図的に変えれたら凄いな。


2011年4月9日には配信限定シングル『PROMISE』を、2012年3月21日にはとうとうCDで『THE ONE -crash to create-』をリリース。

THE ONE -crash to create-は22分を超える超大作で色んな展開や起伏があるんだろうと勝手に思っていたわけだが、蓋を開けてみるとひたすら壮大な雰囲気が続く曲だった。X Japanの29分の曲とどうしても比較してしまうわけだが、X Japanは劇的だった。それに対しLuna seaは比較的淡々とした展開で、どこがサビなのかもわかり辛いサラッとしたものだった。こんな曲者を提示してきたあたり、やはりLuna seaはLuna seaだなとある意味納得せざるを得ない。河村Ryuichiの歌い方は近年の別プロジェクトTourbillonでは顕著だったトレードマークのねちょねちょを抑えた高らかな歌声で新生Luna seaを体現していた。そして肝心の内容に関しては手放しで絶賛する信者にはなりたくないので出来る限り客観的に聴いてみると、おそらくファン以外にあまり音楽的な価値はないかな…。世間的にみれば22分という尺を全く生かせていない。

がしかし、それが熱心なファンとして聴けばなるほど!!と思えるところが多々ある。この曲が吉と出るか凶と出るかは今後の方向性によると思う。とあるライブでうる覚えだがこういう発言があった。

「今日までやりたいことやらせてもらってきた。そういう生き方しかできないと思うんで。皆も愛したい時は愛して、ずっと愛したい人は愛して。」



じゃあこの曲も納得じゃん。

自分達のやりたいことをやる。


それを気に入るか気に入らないかは貴方次第。

UP TO YOU…。

是非これからも過去の遺産・イメージに囚われずどんどん挑戦していってほしい。





以下オマケ
Luna Seaの感想を少々
 

1.Luna Sea (1991)

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記念すべきLuna Sea初アルバム!Yoshikiのレーベルから発売されています。既に全員個性的かつ凄腕。特に真也はYoshikiに「俺より上手く叩くな」と言われていた笑い話があります。

演奏時間最短クラスなのに過不足を感じない。「フェイッ!フェイッ!」はギャグに捕らわれかねないのに…①、Jが生まれて初めて作曲した楽曲だそうです。ベースソロが良い②、当時の彼らにこういう楽曲をやらせたらピカ一でした③、埋もれがちですが、これも狂気的④、当時のインディーズヴィジュアル系はほとんどこんな感じのスラッシュビート曲があったんですよね。恐らくこれが走り。三拍子のワルツから狂ったようなギターソロが素晴らしい。ラルクもカバーしたらしい⑤、Inoranが作曲したとは思えないシンプルに疾走感のある⑥、次曲への準備みたいな感じ。河村隆一にはとても出せない叫び声が凄い⑦、Luna Sea最速で最恐。流石に現在の彼らには合わない楽曲ですが、若さゆえということで⑧、未完成ですが荒さが逆に魅力となった⑨、Luna Sea5人が混然一体となった名曲⑩と、今後の雨後の筍のように現れるヴィジュアル系の指標となった作品。シャウト、ディストーション薄めのギター、軽めのドラム、ナルシスティックな歌声と徹頭徹尾ヴィジュアル系。

にしてもインディーズの1stでこの完成度…。恐るべし!

【MY TOP 3 TUNES】
・Sandy Time
・Shade
・Precious...

69 /100点
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2.Image (1992)

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シングルをリリースせずいきなりアルバムを出す姿勢は、タイアップ等を狙う意図も世間に顔を知ってもらうつもりもあまりない攻めの姿勢です。ジャケットが非常に危険で、初めこれを見た時普通に引きました。和月伸宏先生の専門分野を理解するには解けないパズルを糸口も掴めず只管イジり続ける難解さがあります。

女性コーラスで狂気を彩るイントロ①、ベースがメインリフを奏でる疾走チューン。Ryuichiの吠える発生が懐かしい②、不協和音チックなメロディラインが素晴らしい狂気に溢れた③、なんと形容していいかわかりにくい不思議な④、Ryuichiの唐突なファルセット、低音のサビ、アップテンポにアコースティックギターと超個性的な⑤、これもバンドの孕んだ狂気を具現化したような曲。中盤のRyuichiのシャウトは今では考えられない狂いっぷり⑥、ギター関連が素晴らしい疾走曲⑦、一見目立たないものの異質でキラリと光る⑧、インディーズ時代のようなスラッシュビートとシャウトで攻める⑨、歌詞が凄いポップな⑩、前作のトラックを再録しよりブラッシュアップした⑪、明るく儚く雨上がりの晴れ空のようなポップチューン⑫と、バラエティに富んでいるようで統一感がある作風。そのどれもが若さと無知さ故に込めることが出来た激情や狂気が渦巻いており、2ndアルバムにしてバンド名を体現する作品を生み出すことに成功しています。スタジオを3つ使う程に緻密に作り上げられた音像は本人達も拘り過ぎたことを認めており、次回以降は「ここまでやる必要がないことがわかった」と多少ラフな感覚を持って臨んでいるのかもしれません。

後期のファンからしたら洗練されていないと思うかもしれませんが、これくらい荒々しい勢いが懐かしくなる日が来るのですよ…。

【MY TOP 3 TUNES】
・Image
・Search for Reason
・Wish

76 /100点
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3.Eden (1993)

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非常に面白いのに本人達が失敗作と言い切ってしまい、不遇の立場に立たされてしまった作品。2作シングルをリリースしてから本作は作製され、シングルの流れに乗じた順当な出来となっています。

Time is deadタイプ。最後のサビの畳み掛けが見事な①、コアなファン以外にあまり取り上げられない影の代表曲②、個人的にこのアルバムで1番好きなロックチューン。抑え気味に歌うサビメロが最高③、儚い曲調で神秘的に展開する④、人間味を感じないマシーナリービートを繰り返す⑤、これも神秘的でガツンとくるものではないが、ジワっとくる⑥、みんなで歌おう系シングル⑦、軽快に進行するも世界観は崩さない⑧、一番ヴィジュアルロック的な⑨、ヴァイオリンリフを利用したワルツ調の楽曲。当時こんなのLuna Seaくらいしか発送すら浮かばないと思う⑩、Wish第2章的な適度に明るく、でもブリッジは切なく、埋もれてしまうには惜しい⑪と、狂気よりも神秘に重きを置いたような作り。この作品独特のものと言い切ってしまえます。音作りもこの世界観を助長する効果が備わっています。

Luna Seaは一つのアルバムに曲調が異なるものが多いですが、このアルバムは曲調も統一されている珍しい作品です。

【MY TOP 3 TUNES】
・Rejuvenescence
・Providence
・Stay

70 /100点
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4.Mother (1994)

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この頃からLuna Seaは世間に知られ始め、オリコンチャートの上位に食い込むようになります。バンドにとっても日本を代表する存在になれるか勝負作でしょう。

無味無臭に淡々と進む様が異質ながら始りに相応しい①、超代表曲。ヴィジュアルロック界の宝②、Luna Sea節ともいえる深淵なるダークミドルチューン③、どこか壊れたような不協和音を交えた④、中弛みすら必然性を感じさせる。後半からの狂気は見事⑤、暗いのにコマーシャルで爽やかな⑥、ライブ映えする疾走チューン⑦、Inoranのアルペジオを主軸にコンパクトに纏まった⑧、これも超代表曲。ヴィジュアルロックを極めたかのようなカッケーリフと対をなすようなボーカルラインが素晴らしい⑨、まさにラストトラックな神秘性が最高な⑩と、前作のマニアックな雰囲気が一変して一気にメジャー感が増量。ヴィジュアルロックの全てが詰まっているのでは?とすら思ってしまう白眉の出来。

本作で彼らは地位を確立しライブ動員も増え、東京ドームを満員にするほどの集客数を叩き出せる程になりました。

【MY TOP 3 TUNES】
・Rosier
・Genesis of Mind ~夢の彼方へ~
・True Blue

80 /100点
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5.Style (1996)

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前作Motherを進化ではなく深化させたような作品で、取っ付き辛さは恐らく彼らのディスコグラフィの中では1位2位を争います。暗くて鬱々しい。ジャケットはブロシャン銅鉱。詳しくは奇石博物館にて。

演奏をガシャガシャに録音しているもののボーカルメロディは少しホンワカした①、超カッコいい始り方から激重リズムで跳ね、Ryuichiもシャウトを決めちゃう。Sugizoが1曲目に持っていきたかったのも分かる②、Inoran必殺の絡みつくリフが良いミドルチューン。最後に音が移動して、脳みそに音が突き刺さる感覚に陥り昔気持ち悪くなったものいい思い出③、静と動を極端に意識した作りで、こんなんLuna Seaにしか作れん!④、Luna sea史上唯一カップリングからアルバムに収録された曲。これも都会的なリフにハイトーンを使わないサビメロがジワジワ来る⑤、冒頭のベースリフからして涙しそうになる。X Japan的な長編バラードを自分達風にやってみましたな⑥、次曲へ繋がる本作最速疾走チューン⑦、これぞLuna Seaなナルシスティック大仰展開曲。見事としか言えません⑧、ダークでシンプルなアップテンポチューン。そして名曲⑨、ギターディレイを利用したリフは天才。開放的な大地で空を見上げているような世界観が最高すぎる⑩、とにかくダークで退廃的。メインリズムはリムショットと鐘の音で刻まれ、Sugizoは珍しく全編クリーントーンを弾き、このバンドの楽曲で唯一Inolanの声がボソボソながらもはっきり収録されています。サビメロは少し声を張って歌いますが、演奏は常に静かに淡々と進行。最後のアコギはトイレで密閉された空間でしか成し得ないかもしれません。一般性皆無の奇曲⑪と、どこをどう取ってもLuna seaワールド全開。聴きやすさや一般層にアピールするコマーシャリズムは前作の方が上ですが、Luna seaにしか出来ない度はコッチの方が上ですね。

前作を最高傑作に上げる方は多いです。前作を表の代表作とするのなら、本作は裏の代表作と言えるでしょう!甲乙つけ難いですが、私は辛うじてStyle派!

【MY TOP 3 TUNES】
・G.
・Forever and ever
・In Silence

81 /100点
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6.Shine (1998)

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世間的に1番の問題作。1年のソロ活動を経て、5人が再集結。各々の活動から持ち込んだ要素を生かせれば更にLuna Sea凄くなるんじゃね?そう思っていた方も少なくないかと。

しかしRyuichiはソロ活動にて大きく唱法を変え、ポップスシンガーとしての活動でLuna Seaを大きく超えるセールスを記録してしまいました。これがこのバンドの終りの始まり。Ryuichiは自分のソロ活動に対して熱狂してくれる多くのファンを見て「バンドをやる必要」に対して疑問を持ってしまいます。RyuichiからKawamuraになり、唱法はバンドに戻ってもソロ活動時に使っていたものを使うことに。

物語の始まりを彩る楽曲。Ryuichiの声がよくあった曲調①、イマイチ盛り上がりに欠けるサビに思えて、控えめながら込められた情熱と最後のサビだけ上がるパートが熱い②、一気にダーク。子供の合唱もきちんと生きたスローチューン③、発売当時「河村隆一のソロじゃないか!」と留守録に吹き込まれた原因の曲。とはいえ大きな起伏もなく淡々と進む様はやはりLuuna Seaエッセンスが混じっています④、このバンドで一番有名な楽曲。河村隆一のソロと混同している方も多いと思いいますが、きちんとバンドバラードしている⑤、Jのベースと声が飛び交います。「天使と悪魔がキスをした。ポォォォー」とネタにされた⑥、退廃的なリフの長尺スローチューン。Luna Seaらしさがよく出た⑦、シングルにもできそうなサビメロを軽快な店舗に載せた⑧、印象的な歌詞と粘っこい歌が最高なバラード⑨、荒廃した世界で壊れた文明が取り残されたイメージを持ってしまうループ曲⑩、多少昔のヴィジュアルロックを意識したスピードチューン⑪、アコースティックな雰囲気さえ携えていてRyuichiの熱傷が凄い⑫、5曲目と双璧をなすバラード。ライブではギターソロも追加されより感動的になる⑬と、何よりも指摘されるその河村モードによる歌声。往年のファンは去勢されてしまったかのようなRyuichiに悲しみの声を上げます。

それに連動する形でShineを駄作と言うファンは沢山いますが、個人的にはどこが駄作なのか全く理解できません。Ryuichiが声変わりしたから駄作ってのはちょっと違うと思うんですよね。それなりにマッチしていると思いますし。駄作なのではなく、方向性が変わったと表現した方が適切な気がします。

Sugizoが「ライブで曲が成長していったから、ツアーの後レコーディングすれば良かった」と言っていました。ライブでのフィードバックを反映したバージョンもスタジオ版で聴いてみたかった!

【MY TOP 3 TUNES】
・Another
・Velvet
・Up to you

78 /100点
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7.Lunacy (2000)

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タイトルもインディーズ時代のバンド名を使うあたり、バンド側の並々ならぬ思いが伝わってきます。というかこれを見た時解散を予感した方も多いと思います。案の定この後解散が待っているわけですが、後に再結成することを考えれば長めのインターバルだと前向きに捉えることが出来るかも…。

その覚悟と引き換え(?)に、前作から作製に丸1年費やしたのは本作を最高のものに仕上げようというメンバー達の気概の表れだと思われます。

歓声から始まり宇宙的にポジティブで明るい疾走曲。なんか吹っ切れ具合が半端ない。全編でエフェクター使っているのが…な①、ノイジーなリフとDJの声リフ(?)が独特で、Ryuichiのボーカルも強力な②、リフからしてLuna Seaな鬱名曲③、ロックの枠から外れたシックなポップス④、鬱で気怠い(褒めてる)⑤、長尺鬱プログレ⑥、タイトル通りの真っ白な灰になったような⑦、J大活躍のアップテンポチューン⑧、ユニゾンによりダウンチューニングした錯覚を覚える⑨、真夏の夜のロックンロール。ノリノリと哀愁を共存させた超名曲⑩、終盤までシンセの出てこない歌メロの良くできたロックバラード⑪と、これまた今までとは違った方向性ですが名作であることは間違いありません。

初期のヴィジュアルロックの面影は全くありませんが、完成度の高さが十分に批判を黙らせるに足ると思われます。

【MY TOP 3 TUNES】
・Be Awake
・A Vision
・Tonight

75 /100点
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8.A Will (2013)

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復活!別にお金が目的だろうと、作り出されたアプトプットが良ければ何の問題も無いわけですよ。PromiseやThe Oneを挟みつつ本作は発表されました。前作から13年経っていて、その時点でヴィジュアルロックからちょっと距離を置いたアルバムが作られていました。

詳しい駄文はこちら

ちなみに本作が発表された時、⑧はX Japanに提供したけど没にされちゃった楽曲だと噂がありました。Yoshikiが言っていた「Sugizoが作ったBPM180の楽曲がある」がコレかもしれないと。真偽は定かではありませんが、ツーバスとエッジの利いたリフを使ったLuna Seaらしくない曲調にギターソロのピロピロ。このピロピロは没にされた腹いせに弾きまくったなんて言われていましたわ…。本当だったら面白い話です。

【MY TOP 3 TUNES】
・The End of the Dream
・Glowing
・Thoughts

65 /100点
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9.Luv (2017)

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4年という復活前からしたらかなり長期スパンでの発表になりました。

詳しい駄文はこちら

【MY TOP 3 TUNES】
・Brand New Days
・Thousand Years
・So Sad

60 /100点
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10.Cross (2019)

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本作の大きな特徴は初めて外部プロデューサーを使ったこと。

詳しい駄文はこちら

【MY TOP 3 TUNES】
・Closer
・悲壮美
・Pulse

56 /100点
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以下過去記事
第三回:X JAPAN
第二回:アニメタル USA
第一回:Dir en grey