どうも、貧困メタラー枯林です。
今回ね、なかなか感慨深い作品がリリースされたので即買いしました。
2021年11月、ことは起こりました。
https://gekirock.com/news/2021/11/the_halo_effect.php
全員がIn Flamesの元メンバーで構成されたニューバンド!
Mikael Stanne -Vo (1994 Session)
Jesper Strömblad -Gu (1990-2010)
Niclas Engelin -Gu (1997-1998,2011-2020)
Peter Iwers -Ba (1997-2016)
Daniel Svensson -Dr (1998-2015)
このバンド(プロジェクト?)、誰もがJesper氏が続けられるか次第だと捉えていると思うでしょう。正直デビューシングルだけで解散する可能性も考えていました。
無事1stがリリースされたことにちょっと驚いています。
近年のIn Flamesに対して不満を持ってるかつてのファンも少なくないと思います。個人的にはむしろメロデス時代より現在のオルタナティブメタル路線の方が好きですが、オルタナティブメタルの萌芽を含んだ5th「Clayman」が2000年に発売されてから早22年も経つのに未だにメロデスへの回帰を望む声があるのには驚きますね。
それだけ初期In Flamesに魅入られた方が多かったと。
この変化はメインソングライターの交替が理由だと考えています。
確かに4th「Colony」までは楽曲関与率はJesper氏が最も高かったと思われますが、5th「Clayman」以降はもう一人のギタリストBjörn Gelotte氏の関与が激増したと考えれば自然な変化ではないでしょうか。Jesper氏が9thのインタビューで「Björnがほとんど作曲した」の言葉と、現在の吹っ切れたオルタナティブメタル路線が裏付けています。
Anders Fridén氏も初参加の2nd「The Jester Race」から歌と呼ぶには無理があるもののボソボソとノーマルボイスで呟くパートをいくらか作っていました。言い方はアレかもしれませんが、今や完全にAnders & BjörnバンドになったIn Flamesの落としどころが9th~13thなのでしょう。
自家醸造を生業とするため脱退したDaniel氏、新しいことに挑戦すると辞めたPeter氏、この2人はなんだかんだ理由を付けていますが結局Anders & Bijornの方向性に対して興味を失ってしまったからなのでは?と思ったり。
とはいえ、Daniel氏参加は非常に嬉しいです。
典型的なエクストリーム系ドラマーとは違った独特のグルーブ感がIn Flamesのキモだと勝手に思っていた身なので、アーティストとしての復帰は大歓迎(自家醸造ブルワリー作り…軌道に乗らなかった?)。
Peter氏はIn Flames脱退後、Jesper氏とCyhraを結成。未聴ですが、きっと自分の好きなことをやっているので満足していると思いたい。
Mikael氏はコロナ禍がキッカケで思うことがあったのかDark Tranquilityで彼以外唯一残っていたオリジナルメンバーAnders Jiverpが脱退してしまい、どういった心境に到ったのかが非常に気になっています…。Niclas氏が誘ったとはいえ、Jiverp氏がこのバンドに没頭していたMikael氏を横で見ていて将来が不安になったのかも。
Niclas氏もいつの間にかIn Flamesを脱退していましたが、本人も気付かないうちに脱退扱いで納得いっていないのは意外でした。In Flamesは「リズム隊はもう適当にその時ヒマな人でいいよ」状態になってるし、まさかNiclas氏までそんな扱いをされてしまっているとは…。Anders & Björnバンド状態は結束力が薄そうであまり良くない状態かもしれません。
閑話休題して、このバンドのコンセプトは「過去を肯定した」メロデスをやること。
音楽性の揺り戻しを形にしたバンドと言う意味では、Blind Guardianに対するSavage Circusみたいなケースが思い起こさせられます。初期In Flamesファンには堪らない試みでしょうね。
果たしてどこまで初期ファンの望むの音を表現できているか?
注目の一戦でした。
【感想】
01.Shadowminds
人間の声?「あ"~」コーラスからメロデス然としたリフ。サビメロではギターが歌う構成もまさにメロデス。ギターソロは2人でハモリ。無駄も無くいい感じ。アウトロはなんか電子音がなっています。
ドラムパートでDaniel氏の拘りを所々感じます。
02.Days Of The Lost
もはやColony期のIn Flames丸出しのリフ。ゴチャゴチャせず分かり易いNiclas氏のギターソロがいいですねぇ。3:10からキー上げラストスパートの如くテンションがもう一段階上がるのは居ても立っても居られなくなります。
ブリッジのギターが薄くなるパートが宇宙的(?)でお気に入り。
03.The Needless End
ミドルテンポ系のリフなのにちょっと走る。直ぐミドルになるけど。サビメロのギターの盛り上がりが開放感あって好き。中間部のソロ前にモダンヘヴィネスな首フリパートまで備えています。リフを厳かに弾くアウトロで終了。
基本はミドルですがヴァースがなぜか倍速。
04.Conditional
これこれ!イントロの哀愁溢れるギター独奏から一気にギアを上げます。歌メロに入ると表打ち倍速に。サビではダウンビート。そしてそのままアウトロまでスロー。オルタナティブメタルの疾走形式です。個人的にはイントロの雰囲気のままヘヴィにせず進行してほしかった気もします。
ヴァース部のドラムの手数が多くなる4ヶ所全部違うフレーズなのは流石。
05.In Broken Trust
ちょっと中東っぽいフレーズから始まるヘヴィチューン。バンド演奏が加わるタイミングでMikaelの「あ"あ"~」が強烈で良いね。そのギターメロディの流れを組んだままサビメロではクリーンボーカル。裏ではSoundtrack to your escape時を思い起こすフレーズが出てきて個人的に美味しかったり。
ソロで若干ノイジーな箇所があまり無い感じ。あとバックボーカルでJonas Slättungなる人物が参加しているそうですが、…どこ?
06.Gateways
サビまでギターが薄く進行するミドルチューン。サビ前のクリーントーンが怪しくていい。全体に結構大仰なシンセがフューチャーされちゃっています。
中盤でIn Flames丸出しツインギターパートから不自然なキーボードソロが出てくるのはちょっと難解…。
07.A Truth Worth Lying For
リフとリズムからしてもうメロデス。ヴァースでスピードダウンするモダンな作りも導入している。サビメロ裏のギターフレーズが素敵。サビメロはMikael氏のクリーンボーカル。この落差…本当にライブで再現できるんですかね。音を詰め込まない余裕あるギターソロも非常に心地良い。この作品で1番好きなソロ。
アウトロはBehind Spaceのようにアコギで締めます。いや、Heaven and hell的と言った方がいいか。
08.Feel What I Believe
これまたらしさ満載のリフからスラッシュビート的に走ります。途中入り込んで繰り返されるギターフレーズが好きすぎる。楽曲自体が爽やか!
まあ一番美味しいのは1回目のサビが終わって曲が静かになる1:42からのギターの流れなんですけど。
09.Last Of Our Kind
ゲストにTriviumのMatt HeafyとStrings隊も参加。アメリカで売れているメタルバンドのボーカルがよくゲスト参加してくれましたね…。Stringsで劇的に始まりわけですが、それ以降ほとんどStringsは前面に出てきません。そしてフッと終わってしまいます。
てかこれどこにMatt氏は参加している?終盤のグロウルと最後の疾走パートではノーマルボイスのみ?せっかくだからもっとグロウルデュエットして欲しかった。そして相変わらずノーマルボイスカッコいい。
10.The Most Alone
静寂アルペジオからいつも通り悲し気なリフへ。シンセがちょっとゴシック的でDark Traquilityっぽい。短いながらも薄っすらハモるソロがいい感じ。ボソボソ喋り声とアルペジオで静かに終曲。本編ラストと考えたらアッサリ目。
ブリッジ1のギターメロがシングル→ツインになる演出がニクイ。
11.The Path Of Fierce Resistance
…未聴。言い訳させて…。最近アルバム買ってもエビ中のため加入したLine Musicで聴いちゃいます。この楽曲だけ何故かLine Musicに無く聴けません。ごめんなさい。
Youtubeで違法アップロード動画を確認しても無し。不正アップローダーめ、こういう時に限って真面目ぶりやがって…。
【まとめ】
In Flames成分が多めで、たまにDark Tranquilityが垣間見えたりするメロデスです。メロデス四天王(または五強)時代から随分時間が経ちましたが、もうメロデス形態を何となく維持しているのはDark TranquilityとArch Enemyだけ(最近の作品は知りません)。それも独自のエッセンスを入れているため"まんま"ではありません。Children of Bodomはリーダーが亡くなりましたし、In FlamesとSoilworkはオルタナティブメタル方面へ向かいました。
なので"あの時代"の作品を味わいたい方には打って付けと言えます。純度100%とは言えませんが、結構いい線行っているんじゃないですかね。楽曲の平均点も高いと思います。
100点満点中65点!
ちょっと甘い採点ですが、このメンツで作品を出したということに意味があると私は思います。もし次があればキラーチューン的な楽曲もよろしくお願いします。
【各パート】
・ボーカル
かつて世界一美しいデスボイスなんて絶賛されていたのも昔。楽器に対してボーカルの録音レベルが低いような気がします。ギターと音がバッティングしていて聴き取り辛い部分がチラホラ。
Mikael氏のグロウルはメロディを伴えないタイプなので、歌メロは基本クリーンボーカルになる部分以外は単調。しかし2曲導入されているクリーンボーカルは昔に比べて癖が無くなり聴き易くなりました。
もしこのバンドが上手くいったらMikael氏はこれをメインバンドにする計画もあるのかも。その際は更にクリーンボーカル増えそうですね。
・ギター
In Flamesを思い起こすギタープレイが満載です。ただキャリアを重ねるとどうしても聴いたことあるようなフレーズが出るのはメタルアーティストの宿命。本作も「これだ!」と飛び上がるほどのリフは無かったです。
またJesper氏とNiclas氏は気質的にリズムギタリスト。ギターソロを弾いているのがどっちなのか気になる…。In Flamesではリード・ソロはBjörn氏とGlenn Ljungströmが弾いていると思われます。多分本作も#2.Days Of The Lostでソロを弾いていたNiclas氏が基本全部弾いているのでしょう。
正直テクニカルではありませんが、あまり複雑なことしないシンプルなソロなので全然問題ないと思います。
Jesper氏がもし脱退しちゃったら、テクニカルギタリストを加入させればまた一つ強味が増えるのかなと思ったり。ただMicheal WeikathとSasha Gelstnarのように力量が大きく離れたギターコンビになってしまいますね。
・ベース
Peter氏はそもそも作曲には関わらず、出来た楽曲のベースラインを作成/修正するだけの方なので大きくインプットを与えていないと思います。本作では気になるベースラインはありませんでした。言い換えれば安定していると言えます。
ついでにIn Flamesにも復帰してくれ!
・ドラム
やはりシンプルでジャンルの割に足回りが派手ではないのが相変わらずDaniel氏っぽい。超絶ドラマーではありませんが、好きなんですよねこの人のドラミング。
これを機にIn Flamesにも復帰してくれ!
【後書き】
14日のDownload Fesでの来日公演…観てみたかったですね。
予想通りJesper氏は体調不良でライブ不参加。2009年のライブも代役を立てていたので、まあそうなるだろうなと冷めて見ていました。ただどこかで私の考えを裏切って来日してくれたらと思っていましたが、現実はこんなもん…ですかね。
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