どうも貧困メタラー枯林です。
もし本作が前作と同じメンバーで作成されていたらスルー案件でした。5~10年後に安くなったら買えばいいや枠にまっしぐら。
しかしそれを許さない話題性が本作にはあります。
この記事を読んでいる方ならまず知っていると思われる人事異動。
雨の日も風の日も1人頑なにAlcatrazzを存続させてきたボーカリストにして多分リーダーだったGraham Bonnet氏の摩訶不思議な脱退劇。
「あんたが居なくてAlcatrazzって!?」
大半というか、ほぼ10割のファンがそう思ったはず。
バンドはGrahamが抜けても歩みを止めず、助っ人シンガーとして有名なDoogie Whiteを迎え活動を再開します。ここでDoogieくるか~。インギ―バンドのボーカルだった経歴もあり、妥当というか安牌な人選と言えます。
そしてなぜか脱退したGraham は「はっきりさせておきたいが、俺は今もアルカトラスでレコーディングとパフォーマンスをしている。俺はバンドの創設者でありメインソングライターであり、83年のバンド結成時からずっとそうだ」と脱退していない旨を発表。
残された側のメンバーからも疑問符の浮かぶ彼の奇妙な行動…。Grahamは「Alcatrazz Featuring Graham Bonnet」としてAlcatrazz名義を続けようとしています。バンド名の奪い合いに到ったQueensrÿcheの再来か!
しかもギタリストにはなんと本家に現在在籍しているJoe Stumpの100倍上手いJeff Loomisが加入!
こりゃありえん人事です!
インギ―のバンドにRipperが入ったみないな。それだけに一気にGracatrazzの新作に大きな興味が出たのも事実です。超ヘヴィリフの楽曲やBPM200くらいのスピードチューンにGrahamのガナリ声が乗る日が来るかも。早くGracatrazzの残りメンバーも発表して欲しいです。Alcatrazzのオリジナルドラマーとか(Wiki見たら引退して就職したっぽい)。
ライナーノーツには既に前作「Born Innocent」でイニシアティブを握っていたと思われるキーボードのJimmy Waldo(もしかしたらもっと前からかも)が楽曲解説とバンドに何があったかを軽く答えてくれています。
「グラハムはバンドの方向性が気に食わなかったんだ。彼は何度もヘヴィメタル嫌いを公言し、ずっと彼自身のオリジナルメンバーとソロバンドを続けることを計画していたんだよ」
略
「私はグラハムの計画がどんなものなのかは正直言って知らないけど…彼はAlcatrazzとヘヴィメタルが如何に嫌いかと何年も話していたのに、今はどうやらそれを続けたいなんて、多分自分だけの金儲けが必要なんだと思うよ。」
Grahamのメタル嫌いはRainbow時代のRiche Blackmoreとのエピソードを含め有名な話ですね。それなのにバンドを離れた後にAlcatrazzを続けると言い出すGrahamにチンプンカンプン。
Grahamはメタル歌わないと生活が出来ないのかもしれません。Micheal Kiske的な悩みで。Grahamのメタル以外の作品聴いたことないですし聴く予定もありません。そんなリスナーさんは多いと思われ。
本作は前作から僅か1年2ヶ月でリリース。
前作が34年ぶりなのに対して、非常に短期間で発表されました。
「Grahamが居なくてもやれるんだ!」
そんな主張が見え隠れします。アルバムタイトルの「Ⅴ」はAlcatrazzとして5作目であることを示唆しており、こっちが本家なんだよッ!と堂々と主張しています。
果たしてどんな感じになっているのか。
メンバー
Doogie White - Vocal
Joe Stump - Guitar
Gary Shea - Bass
Mark Benquechea - Drums
Jimmy Waldo - Keyboard
【感想】
01. Guardian Angel
Stump/Waldo/White
音悪っ!?2021年の音質じゃねぇ!前作の方が遥かに音質が良かった覚えが…。敢えて音を悪くした的な訳の分からん拘りは止めてほしいです。
Alcatrazzにありそうでなかった正統派なアップテンポチューン。リフもボーカルメロディも今一つですが心意気は買います!ソロの一人ツインギターがちょっと○。
02. Nightwatch
Lavery/Stump/Waldo/White
鐘のなるオープニングから始まり、リフは何かやってくれそうな感を醸し出せていますが基本的に平坦気味。歌メロは悪くないですけど。
汚いネオクラ風ソロはある意味Joe氏の専売特許と言えるかも。
03. Sword Of Deliverance
Evans/White
Rainbow的。まずまずとしか言いようがない…。
04. Turn Of The Wheel
Stump/White
DIOの「We Rock」的なリフというか、インギの「I'll see the light tonight」リフ風味というか、まあ古き良きHR/HMのいいところどりを目指したということで。
ギターソロはJoeが完全にインギになり切っています!手癖も含めて結構インギ。
05. Blackheart
Stump/Lavery/White
ようやくミドルテンポきました。バイキング風のむさ苦しいコーラスを含めたサビメロは比較的印象に残るメロディ。コロナ禍じゃなければオーディエンスとシンガロングが起こりそうな予感はあります。
06. Grace Of God
Evans/White
ギターとキーボードが協力していい感じのリフになっています。Doogieの疾走感を殺すモッサリ具合が際立ちます。しかも所々外れてね?
Joeのギターソロ前に聴けるJimmyのキーボードソロがいいですね。如何にもネオクラ風で。
07. Return To Nevermore
Stump/White
中東系のスローチューン。ねちっこいDoogieが合っている気もします。Joeのしつこいギターソロも粘っこいので合っている気もします。
うん。これライブでやられても困ります。
08. Target
Stump/Lavery/White
こ、これは…。インギ―の「Deamon Dance (7,405,926)」にサビが激似だ…。彼等がインギの楽曲を知っていたとは思えないのでただの偶然だと思いますが。Doogie在籍時でも無いので無関係でしょうね。
全部インギの手癖で構成されたかのようなギターソロは全然耳に残りません!サビ裏でのJimmyのキーボードが聴き処…かも。
09. Maybe Tomorrow
Stump/White
Jimmyがキーボードリフ弾いてます。まずまず。盛り上がるかどうかは置いておきこれはちょっとライブで聴いてみたい。
ギターソロは以下略。
10. House Of Lies
Stump/White
またまたRaibowチック。Joeが初めて自分のフレーズを弾いたかのようなソロがなかなか良いですが、楽曲自体は特別語ることがありません。
11. Alice's Eyes
Stump/White
本作一重いリフ。コーラスより不穏な感じのヴァースが印象的ですね。
ギターソロもピロピロ始める前の導入部分は良い。
12. Dark Day For My Soul
Waldo/Rosem/White
ピアノが良い感じ。エレキギターが無いせいかDoogieの声がクリアに聴こえます。コーラスに行くまではいいんですが…。
13.Midnight Won't Last Forever
ボートラ。なんか結構歌メロちゃんとしています!本編のどれかと交換するべき!
【まとめ】
率直に言うと、新品で買うのは厳しい内容ですね…。
グラハムが居なくなり前作では色とりどりの楽曲が並んでいたのに対し、よりヘヴィメタルサイドに舵を取った作風となっています。それは全然問題ありませんが、様々なゲストから楽曲提供をしてもらっていた前作に対し本作は数曲以外バンド内で曲作りしたためかクオリティが何とも言えません。
私個人の総評ですが、Alcatrazzの新作としては何とか聴けますが、新人バンドでこれ出したら歯牙にもかけられずシーンから消えていく気がしますね…。
本作はやはりスルーするべきでした。
贔屓目で100点中42点くらい…。
一番注目された新任のDoogieが歌うメロディはどれもあまり印象に残らず…。ていうか、ほぼ良いとこ無しのような…。フニャフニャしてますよ…。器用なバランスタイプでよく起用されますが声質自体が淡いため、超個性派の前任者と比べると存在感自体が薄い。
今更ですがDoogieがIron Maidenの最終選考に残っていたのは個人的には本当に?と懐疑的になります。能力値は置いておき、前任者もGragam並の個性派でしたから。最終的に個性派ながらフィット感ゼロのBraze Bayleyが選ばれたことも含めて、Steve Harrisを含めた首脳陣があまりきちんとオーディションで精査していなかったのではと邪推しそうです。
Joeのギタープレイも相変わらず精彩を欠くものが多いです。ソロは全てJimmyのキーボードが弾くべきですね。リズム隊はそもそもテクニカルバンドではないので特筆すべきことはないと思います。無難。
(個人的に)かなり微妙な作品を出してしまった本家Alcatrazz。
亜流に当たるGracatrazzは果たしてどうなるのか?
先に宣言しておくと、Gracatrazzは買いません!!多分。
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