どうも貧困メタラー枯林です。

※言いたい放題なので好きな方は閲覧注意!!

突如約10年ぶり位にラプソにハマっています。またここまでラプソにのめり込んだ自分に驚いておりますね〜。偉大なるマンネリズムにどっぷり浸かっております。未聴だった8th、10th、11thを購入し聴きまくりました。

その勢いでこのリメイクアルバムまで手を伸ばしてしまいました。本作は2017年発表の作品で、一応新品で買ったのでルールに則り独立記事を作成。過去の楽曲を新編成で再録した作品です。

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2019年発売の最新作「The Eighth Mountain」の後に本作を購入したので、流れ的に邪道っちゃあ邪道なやり方です。ごめんなさい。

過去の名曲をFabio氏の代わりに歌うニューシンガーGiacomo氏がどこまで奮闘できているのかがあまりにも気になり過ぎて、中古が見つからず、我慢も出来ずで新品買っちゃいました。見事に踊らされています(汗)

Giacomo氏、音楽と全然関係無いけど、何ともバンドの世界観に合わないファンキーなルックスでして。ボーカリストが勇者から突如遊び人へと転職なされたかのような風貌...。

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とボロクソ言ってるわけですが、察しの通り私はGiacomo氏をあまり高く評価していません。ボーカリストの変更によって音楽性をシンフォニックメタルからパワーメタル寄りにし装飾過多だった曲調をシンプルにしたThe Eighth Mountainは確かに力作でした。

しかしFabio氏の勇者声だったらもっと凄い事になったのではないだろうかという考えが常に頭をチラつきました。Fabio氏と比較して、何より個性が無くて声が覚えられない!「Fabio氏でなければ認めん」と言い切るつもりはありませんが、Giacomo氏の声は単純に印象に残りにくい。

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新ドラマーのManu氏は...「The Eighth Mountain」を聴く限りでは無難にいつものラプソっぽいツーバスパタパタ16ビートを刻んでおりました。前任が怪物Holzwarth氏でしたが、特に問題は無かったと思います。ただあまりにも"いつものドラム"だったので、楽曲に対してインプットを出来る立場なのか気になったりしています。


で現在のStaropoli派とTurilli派は以下の通り。

・本家(のはず)Rhapsody おぶ ふぁいや〜
Alex Staropoli アレックス・スタロポリ(Key)
Roberto De Micheli ロベルト・デ・ミケーリ(G)
Alessandro Sala アレッサンドロ・サーラ(B)
Giacomo Voli ジャコモ・ボーリ(V)
Manu Lotter マヌ・ロッター(Dr)

・分家(のはず)Turilli/Lione Rhapsody
Fabio Lione ファビオ・リオーネ(Vo)
Luca Turilli ルカ・トゥリッリ(G)
Dominique_Leurquin ドミニク・ルアキン(G)
Patrice_Guers パトリス・ガーズ(B)
Alex Holzwarth アレックス・ホルツヴァルト(Dr)


分裂前のメンバーが残っているのは後者!なんと4人も。唯一Dominiqueさんだけ正社員ではありませんが、昔から長年ラプソのアディショナルギターを務めてきた人物です。どう考えても後者が本家に見えます。世間の認識(メタル界の)も自然とそうなっていきます。

それに対抗するかのように、前者のリーダーStaropoli氏が本作をリリース。「俺達が本家なんだ!ラプソの意思は俺達に宿っている!お前らは偽物だかんな!」というLuca氏&Fabio氏への当て付けにしか思えません。

そしてそれをやる以上は、Luca氏&Fabio氏在籍時を上回るものを作成しなければただのピエロです。


さてどうなるか...。

まあThe Eighth Mountainを既に聴いている身としては、十分予想は付いているんですけど、一応ね。お金払って聴くわけなので多少の期待を込めて臨みますよ。


【感想】
01. Dawn Of Victory
3rdより。
思ったより違和感ない。単にボーカルが別の人に変わっただけ。Giacomo氏はメインボーカルなのにサビになるとクワイアへの溶け込み具合が半端じゃない。ギターソロになぜか笛がピロピロ絡むのが不意打ち過ぎて失笑です。


02. Knightrider Of Doom
4thより。
これやるならPower of the Dragonflameやってくれー!Giacomo氏は頑張ってFabio氏に寄せているためか、上手く誤魔化せていますね。


03. Flames Of Revenge
1stより。
この辺でようやく生身で勝負している雰囲気へ。細くて弱々しい声を荒々しさでカモフラージュしようとしています。前任者が凄過ぎたので負い目を感じる部分があるのでしょうか。原曲もインペリテリを超える速弾きを披露して驚いたわけですが、再録ではギターソロはかなりクリアに!スゲェはこの人。


04. Beyond The Gates Of Infinity
2ndより。
ボーカル以外に何か言うことないのかと言われると、原曲にとても忠実なので、特にありません。強いて言えば原曲も含めてこんなに多展開だったのねてこと。


05. Land Of Immortals
1stより。
音の分離が良くなり、リフが露骨にツインリードに聴こえますね。原曲にあった唯一無二感は無くなりましたが、これはGiacomo氏に合ってる気がします。ただ最後の疾走時にダーティに声を濁す箇所がただのロングトーンに変えられていたのは超超超大減点。半減レベルですよこれは!


06. Emerald Sword
2ndより。
これもリフのハモリが強調されています。ツインギター体制時のライブアレンジの反映かもしれませんが、焦点がぼやける気がして微妙。Giacomo氏サビ、歌ってる?埋もれていて全部クワイア化しとる...。


07. Legendary Tales
1stより。
ここで個性の片鱗が垣間見えてました。歌い方が。


08. Dargor, Shadowlord Of The Black Mountain
3rdより。
この辺りから「カラオケアルバムなら、原曲聴けばいいだけじゃん」と思い始める。

余談ですが私は原曲に忠実なカバー曲に余り興味がありません。他のアーティストの曲をただ忠実に歌っていることに意味をほとんど感じないからです。ジャンル自体を変えてしまう程に大胆なアレンジをしていたり、原曲が雰囲気しか残ってないくらい別の曲になっているなら話は全然変わってきますが。それなら買うなよと思われたら、全くその通り。ごめんなさい。

これではマズイと本人も思ったのか、最後に荒め発声をします。


09. When Demons Awake
4thより。
グロウルが沢山盛り込まれた本曲ですが、かなり健闘していて少しビックリ。本来の声が分からなくなることが吉と出たか(苦笑)上手くカバー出来てると感じました。


10. Wings Of Destiny
2ndより。
Giacomo氏はバラードの方が個性が生きるタイプに思えますね。


11. Riding The Winds Of Eternity
2ndより。
何とも。ボーカルが満遍なく弱くなってる以外感想が思い浮かびません。


12. The Dark Tower Of Abyss
2ndより。
キーを下げているせいかオペラチックなパートが元気無くなってるだけじゃなく、大袈裟なドラムも無くなっている。ダメだこりゃ。改悪。


13. Holy Thunderforce
3rdより。
文句ばかり言ってても疲れちゃうので良いところを探してみる。うーん。無い!ボーカルのレベルが下がっただけの無難な出来。


14. Rain Of A Thousand Flames
3.5thより。
イントロのクワイアが伸びなくなっています。Aメロに淡いキーボードを重ねるアレンジがされています。サビメロが原曲ではビブラート効かせまくった勇壮な歌い回しだったのに対し、こっちは出すので精一杯って感じで伸び皆無...。原曲に完全に軍配が上がります。


15. Where Dragons Fly
シングルカップリングより。Giacomo氏部分以外は結構マッチしている気がします。


【総評】
ぬ〜ん...。コメントに困る。

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酷い言い方をするとRhapsody of FireがRhapsodyをカバーしている作品。全体的にボーカルの存在感が低下しています。演奏が原曲に忠実なせいか、ちょっと歌える人がラプソを歌っているだけのカラオケに聴こえてしまうわけです。アレンジでドラムの表打ちが裏打ちになってるような期待したけど、全然。

全曲BF(ビフォアファイヤー)からで、AF(アフターファイヤー)は1曲も無し。過去を超えられているか否かという点で語るなら、超えていない。そもそも無理な話。ただ音質はかなり上がっていて、過去を超えていると思います(皮肉)

新ボーカルのGiacomo氏、プレッシャー半端なかっただろうし、悪い訳では無いです。能力の範囲内でベストを尽くした努力をきちんと感じ取れました。ですが平凡の域を出ずスペシャル感は皆無。もっと大仰な歌唱が出来る人が他にも居るのではと感じているファンは世界中にいると思います。得たものより失ったものが大き過ぎて...グロウルは結構サマになっていますが、オペラチックな歌い回しは出来るのかしら。

この際、新ボーカルは解散したLuca Turilli's RhapsodyのAlessandro Conti氏でいいんでないか?Trick or TreatとTwilight Forceで忙しいかもしれんですが、ルプソでも歌っていた以上スケジュール管理で何とかなりそうですし。

まあFabio氏が戻るのが一番早いんですけどね。新メンバーお披露目の意味も込めてStaropoli氏は本作を作成したのでしょうが、Fabio氏再評価の結果しか残らなかったのが痛い。Fabio氏は凄いだけじゃなく、ラプソに合っていた。このジャンルを歌うために生まれてきたのではと決め付けたくなる程に。並みのシンガーじゃやはり務まらない証明になっています。Fabio氏はLuca氏と組んで新ラプソ始めたし、片手間扱いのAngraは悔しくないんかね。Angraは今すぐFabio氏と離別してスーパーボーカリストを入れて再建してほしい。

と、好きなバンドなのでかなり厳しい事を言ってしまいました。好きってどっちが?て感じですね...(苦笑)


【まとめ】
原曲を超えたものを期待する方は聴く必要は全くありません。Giacomo氏かManu氏の熱烈なファン向け。何を目的に買うかによりますが、個人的に25/100点。

いつの日か「真のリユニオン」で無印Rhapsodyが復活する日を願っています。話によればLuca/Fabioラプソは敢えてエメソを封印しているそうなので、また堂々と演奏出来る日が来て欲しい。

ちなみに一番期待していたライナーノーツの中身は、INTO THE LEGENDから本作までの内部情勢が一切書かれておらず、「リメイクはよくやったよ」や「記念すべきものになった」的なしょうもないメンバーのコメントオンリーでした。がーん。こういう転換期こそきちんとバンドの状況や何が起こったのか載せておかないと。音楽媒体として役目を終えたCDをお金出して買ったファンに対して手を抜くなよと声を大にして言いたい。もう殿様商売出来る業界ではないのですよ。