はい、Iron Maidenの新作です。

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※凄いジャケット。相変わらずのセンスです。往年のファンは嬉しがるのかもしれませんが、一般人からしたら不気味。

前作から過去最高のスパンで、五年ぶりの新譜。買うなら初回限定派なので初回盤を買いましたが、CDラックに入りません。タイトル「The Book Of Souls」に合わせ、本の形を再現したと噂です。初回盤なのにオマケがあるわけではなく、ただ入れ物の型が違うだけという最高に無駄な初回盤。通常版でいいです。

今までずっと頑張ってきた超大御所バンドなのでもうこれくらいのリリーススパンのほうが風格が出ると思います。

さて、このページを見ている方に今更アイアンメイデンとは何か!?なんてことを言う必要もないと思うので、一言で言います。

『Metal God :Judas Preistに匹敵するバンド』

です。個人的には

『Metal King:Blaze Bayleyを有名にしたバンド』

ですか…ね。雑ですみません。あと後者もすみません、ジョークです。とにかくメタルの歴史においては最重要バンドの一つであることは間違いないバンド。

VOCAL Bruce Dickinson (57歳)
GUITAR Dave Murray (58歳)
GUITAR Adrian Smith (58歳)
GUITAR Janick Gers (58歳)
BASS Steve Harris (59歳)
DRUMS Nicko McBrain (63歳)

上記の通り超ベテランバンドです。もうすぐ全メンバー還暦ですよ?初老!この年齢までヘヴィメタルしているのが本当に凄い。ボーカルのBruceなんてレコーディング終了後に舌癌が発見されました。気付かなかったみたいです。本当に元気なおじさん達。もうすぐおじいさん達。

そんなアイアンメイデンを1stから13thの「戦記 A Matter Life and Death」までは所持していますが、前作にあたる14th「Final Flonter」は今日まで購入しておりません。

それはなぜか?


ようは前々作の13thであるA Matter Life and Deathで見切りを付けてしまったからです。13thは何回聴いても催眠術のごとく私を眠りに誘う癒し系音楽作品でした。あるいはどこを聴いているか判別不可能なまま気付いたら最後の曲になっているような状態。もう1曲1曲の個性より1アルバム単位として聴けというバンド側からのメッセージなのかもしれません。

某サイトに最低20回以上は聴き込んでというかなり厳しい要求が載っていました。私には無理でした。確か5回くらい頭から通して聴いてギブアップ。1曲目のDifferent Worldと4曲目のThe Pilgrimのサビメロがかろうじて頭に残ったくらいで、聴くのを止めて封印しました。もう苦痛の域で、途中で別のバンドに替えてました。14thは華麗にスルーし今に至ります。


ではなぜ今回15thを買ったのか?

理由は単純で、最近ライブアルバム強化フェアなるものを勝手に一人で催してまして、メイデンも久しぶりに聴いてみたわけです。なかなか良いなと1人勝手に盛り上がり購入に踏み切りました。

ちなみに今回新譜を購入するにあたり13thのA Matter Life and Deathを8~9年ぶりに聴き直してみました。当時と大分印象が違い、最後まで普通聴けてしまいました。以前同様内容が頭に残りませんでしたが、苦痛は感じませんでした。13thが凄いのか私が進化したのか…どちらかよくわかりません。もしかしたら最近メイデン自体聴いていないから新鮮に聴こえたのかも。

どこを取ってもアイアンメイデンな音だったことだけは確かで、記憶に残らないのはきっとメロディがこれまでの楽曲群と似たものが多いからですね。これは大御所であればあるほど仕方ない部分はあります。ディスコグラフィーが増える程にデータベースが増加し、どれとも違うメロディを作り出さなければいけません。今更新鮮味なんて期待していないファンも多いことでしょう。バンドの意向も(主にベースのSteve Harris)そんな感じなんだと思ってます。

で、何と今回はバンド初の2枚組です。おじいさんになりそうでも挑戦する姿勢に翳りはありません。こんなおじさんになりたいものです。2枚組ですが、iPodに入れてまとめて1枚扱いにしてしまってごめんなさい。でもその方がアルバム項目を変えなくていいから楽なんです。最大の話題性を購入したその日に潰した。


そんなこんなで、感想です。Judas Preistのライブ感想と同様に、そこまでバンドに狂信した人間の感想ではないので悪しからず。でも発売してからかなり聴きました。毎日3回以上は。

私の感想を読んで「そりゃ違う!」と思っても怒らず、そういう意見もあるんだな程度で見て下さいな。あ、あといつも通り歌詞は全く読んでいません。


【かんそう】

01 If Eternity Should Fail(Bruce)8:28
スペイシーなシンセから荒涼とした大地を連想してしまうのはブックレットのアートワークを見た後に聴いたからかそうではないのかはわかりません。今回はコンセプトはどっかの民族かインディアンの話?01:32からバンドが入るといつも通り。ただ間奏でアップテンポになるとは言えリフや歌メロと展開が割とストレート。一回目聴いた時はサラッと流れてしまいましたが結構カッコいい曲ですね。一発目をありがちな疾走系にしなかったのは私の中では吉。

02 Speed Of Light(Adrian,Bruce)5:01
随分とパーティロック(?)風。Bruceが頑張っていますが、あんまり好きじゃない。てかこの作品の世界観に合ってない気が。世の中のヘヴィメタルの世界には「ライブの一曲目には速い曲」という定石がある(個人的には嫌いな風潮)ため、これを①の代わりに一曲目で演奏されたら困る。

03 The Great Unknown(Adrian,Steve)6:37
頭から順に流すと完全にスルーしそうになりました。サビになると変拍子型に走ります。Bruceの歌は凄いけど他の同タイプの曲に比べると弱いかな。

04 The Red And The Black(Steve)13:33
イントロでSteveのちょっとしたベースソロがあります。相変わらず自己主張の激しいお方。リフが印象的。歌メロもリフそのまんまなので耳に残りは良い。初めサビがウォウォーウォウォウォかと思いました。てかずっと歌メロと同じラインをギターが弾いてます。これ書いてて気付いた。06:29からのリフが好き。

05 When The River Runs Deep(Adrian,Steve)5:52
お、アップテンポじゃん。比較的ずっと走ってます。4:21~4:27に和風っぽいメロディが出てくるソロでハッとなります。歌メロがずっと淡白。

06 The Book Of Souls(Janic,Steve)10:27
イントロは良い。タイトルトラックだけあります。アコギとシンセサイザーが入ってきて雰囲気満天。が、バンドが入っていていつも通りに。イントロの雰囲気のまま最後まで行ってほしかった。ブリッジが良いです。うん、長い…。

07 Death Or Glory(Adrian,Bruce)5:13
懐かしの旧ドラえもんの歌のイントロから始まります。死か栄光かか。どうやら戦いの歌のようです。サビメロが割りとキャッチャー。

08 Shadows Of The Valley(Janic,Steve)7:32
他の曲よりもサビメロが印象に残るような印象を受ける曲です。

09 Tears Of A Clown(Adrian,Steve)4:59
歌メロが平坦で埋もれる。少なくともあまり熱狂出来る部分は無いと思われる。

10 The Man Of Sorrows(Dave,Steve)6:28
朗々と歌うBruceが良い。バラードと見せ掛けてバンドが加わりいつも通り。ソロ周辺が味わい深い雰囲気のメロディが出てきます。

11 Empire Of The Clouds(Bruce)18:01
ピアノ?よく見るとブックレットのBruceの欄にピアノの記載が。Steveが「アイアンメイデン最長の曲があるんだけど、最高だ。」みたいなこと言ってたんで怪しいなと疑ってたけど、確かにこれは良い。今までメイデンで使われたことのない楽器が入ってるのもちょっと新鮮。7:18からのリフが素晴らしい。鐘の音も入ってきてグランドフィナーレ感がたまらん。これは普通にライブで演奏してほしい。


【総評】
⑪が一番好きです。全体的にメロディは既聴感がありますが、「彼等の音種」という部分も強いのでそこは別にいいです。近年メイデンはプログレッシブとよく形容されますが、この作品はあんまりプログレッシブという感じはしないかな。私は必然性により長いのは気になりませんが、ちょっと無駄に長すぎる曲が多い…というのはヤボか。あと作品の性質上仕方のない話かもしれませんが、全体的にまったり。でもそこがプラスに作用している気がしなくくもない。体に鞭打って無理にアップテンポで攻められるより今のメイデンをきっちり体現しているようで清いと思います。歌メロが印象に残らないものが多いのもご愛嬌ということで。

結論は、思っていたより遥かに良い作品でした。

音質はいつも通りあまり好きくない。だんだんライブレコーディングってアルバム買う人間に失礼なんじゃない?と思い始めました。「スタジオ」アルバムなんだから完璧なものを届けてほしい。完全な失敗箇所は直してるんだろうけど、ライブ感はライブで出せばいいんじゃない?と思います。

この作品を「最高傑作だ!メイデンはメタル史上最強のバンドだ!」と褒め称える方も居ると思いますが、私は彼等の過去の作品を超えているとは思えないので賛同はできません。良くも悪くもメイデンを今日まで応援してきた熱心なファン向けかと。新規のファンの方には結構敷居が高いかな。私も電車の中で聴いていて何度も寝ました。そもそも長すぎて最初から最後まで途切れず聴けたのは多分5~6回くらいしかない。

点数的には100点中33点。13thを初めて聞いた頃の自分だったら20点位になってたかも。点数が低めなのは他の作品と比べてです。大きな山場が少ない分長く聴けそうな力作です。


メタルキング ブレイズベイリーも2016年2月に新譜出すみたいなこと言ってましたし、聴き比べてみたいと思います。音楽性が違いますが私の感性でどっちが好きかを述べます。



話全然変わりますが、今日Stratovariusの新譜「Eternal」発売日でした。さっき知りました。凄く迷いましたが、最終形態詐欺にまた遭うのも嫌なので泣く泣く我慢。

アイアンメイデンはそういうことしません。そもそもボーナストラック自体無いです。それだけ応援/購入してくれる固定ファンが多いのかもしれません。メタル界でも未だに注目され続ける。

アイアンメイデン…大したヤツだ…。