玉井詩織さま、二十歳おめでとう!

まさかしおりんまで二十歳とはね…。もうすぐ全員二十台になるやん。ももクロChanでリーダーが言っていたみたいに、高城れにさんが脱退して5歳のめぐみちゃんを加入させたら平均年齢が17.2歳になります!凄い若返り!


さて、連投で音楽ネタです。


それしかないんかい!


それしかないんです…、はい。

自宅警備員も生きづらい世の中です。先月ネタを使いすぎた。少しは溜めて取っておくべきなのかもしれません。

自宅警備で疲れた疲れた連呼している割には更新してたかも。それでも他のブロガーの人よりは少ない。物事に対する発見や感性が足りないのかもしれません。しかも偉そうに語るくせに最近残業で体力の限界を迎え、音楽情報を全然アップデートしていませんでした。たまたま27日の夜、残業にやられてクタクタの状態でCDショップへ行ったところ、本作を発見してしまいました。

財布には1000円しかなかったので、わざわざビルの最上階付近から一階に降りて近くの銀行でお金下ろしてまた最上階付近のCDショップまで戻りました。何だかんだで好きなんです、紛れもなく。

バンダナが着いたデラックス盤を購入。3500円か。CDって高いなー本当。購買者が少なくなったならアルバム一枚1000円くらいで売ってよ。薄利多売も考えものなのはわかりますが、ネット上で新曲なんていくらでもタダで聴ける今の御時世ってやつを理解して下さいな。嬉しい方には少々失礼ですが、正直バンダナなんか全然要りません。CDラックにしまいにくいだけです。

てか通常盤ってボーナストラック無いんですね。皆さん、通常盤買うのなら輸入盤を買いましょう。安いです。

ライナーノーツにありましたが今回のテーマは「全曲新曲のベスト」だそうです。どういう意味なのか?それだけ出来に自信があるということなんでしょうか?

いえ、違いました。

ではどういう意味か?それはのんびりと一曲一曲適当に解説していくことにしましょうか。

【真に受けちゃいけない適当感想】

①Heroes
何とも言えないまったりな感じ。でも間奏はちょっとイカしてる。

②Battle's Won
始まりのギターメロはカッコいい王道系ハロウィン曲。これもソロがいい。

③My God-Given Right
Powerねぇ…。言われてみれば確かにちょっと。それよりソロが短いけどいい。…なんて魂の籠ってない感想。自分でツッコミを入れてしまう。まあ肩の力抜いていきましょう。長年連れ添った夫婦のように。

④Stay Crazy
邦題は「狂ってろ!」になるんでしょうか?歌詞読んでないで何を言っているかは把握していません。その割には爽やかな雰囲気。間奏で走るのが美味しい。

⑤Lost In America
何でアメリカとサビにいれた?国名入れるのカッコ悪くない?確かにJAPANよりは語感がマシではあるが。どんな内容なのかは読者の方々に確認していただきましょ。アルバムジャケットみたく雪で埋もれて失われたと言いたいのか。アメリカの人怒らない、これ?でもサビメロはカッコいい。

⑥Russian Roule
これは…結構面白い。世界各国をイメージしたリフを付けたアルバムとか出したら楽しいかも。前の曲もアメリカっぽさがどっかしらにあったのか?

⑦The Swing Of A Fallen World
ようやくローテンポ。だけど特筆すべき所は無い…、と思いきや空気読まずに走り出した。なんなんでしょ。Time of the oathを彷彿とさせます。あの曲ほどソロの破壊力は高くありませんが、決して悪くないメロディ。

⑧Like Everybody Else
まあまあなバラード。でもリフは好きかも。

⑨Creatures In Heaven
帯に名曲と記されていた⑨。なるほど。リフからしてやってくれそうな想像が出来ます。全部聴いてみると良い曲なんですが、緊迫感を感じないのは何故でしょう?音がまろやかだからかな。あとピコピコキーボードも…どうなのよこれは。

⑩If God Loves Rock 'n' Roll
何ともノリの良さげなリフが特徴かと思ったら、サビメロに個性が無い。Final Fortuneそのまんま。つまり彼等の中ではあの曲はベストに入るものであると判断されたのです。

⑪Living On The Edge
始まり方はLiar的で来るぞぉぉぉ感タップリ。やっぱり音で損している気がしてならん。サビのコーラスがやたら淡い。Blind Guardianみたいに客に歌わせるのが狙いなのか?ソロの前に謎の爆発音。

⑫Claws
冒頭にとんでもない超速弾きが!まず間違いなくヴァイキーではないでしょう。ちょっと変わった疾走系。全体的にごちゃごちゃしてる。けどソロはカッコいいのう。

⑬You, Still Of War
頭のギター独奏はこのバンドで中々無い。ちょっと新鮮です。ガッシリなダークヘヴィ路線。かと思ったら伏線も無いのに走り出す。このアンディの脱力感たっぷりなまったりサビメロは良い。本作品の中で初めてライブで聴きたいと思った曲。キーボード居ないと出来んけど。


【まとめ】
とりあえず音の弱さ、ギターのエッジの無さに???ですが、これは狙ったことらしいんで、彼等にとっては成功かもしれませんが私にとっては微妙かな。てか失敗。

「アンディ期の最高傑作じゃね?」と思わされた前作「Straight of the hell」に届きませんでした。アンディ期って基本的に「7 Sinners」以外好きなんですが、あそこまではいかなくとも凡作の域を出ないイメージ。椅子から思わず立ち上がってガッツポーズ決めるような瞬間は無かった。通算15枚もアルバム出してれば仕方の無いことなのかもしれませんが…。このアルバムから今後のライブレパートリーに加わる曲は無さそう。

とキビシイこと言ってますが、7 Sinnersよりは耳に残るしHelloweenしてます。またライナーノーツにも書いてありましたが、セルフパロディ的な部分も少なからずある。粗探ししてるわけではないけど耳につくのは仕方の無い。バンド側が意図してるっぽいし。

それより半年前に500円で買ってほったらかしだったRoyal Huntの9th「Collision Course」を、Helloween新譜の休憩がてら流してみたところ2曲目のThe First Rockを聴いた途端に新譜のメロディやら曲やら吹っ飛んでしまいました(汗)

いやー参るわ…。思い出せない。

ぶっちゃけRoyal HuntにMark Boalsはねぇなと格安セールされるまで完全スルーしていた私ですが、まあ…、うん…。合う曲も、あったりするよね。Helloween新譜は「うん、ここいいね、中々。」と冷静でしたが、The First Rockは久々に涙腺崩壊寸前に。2回目のサビ後に出てくるサビメロディを擦ったギターソロは仕事中に思い出して目が潤む緊急事態。

【総評】
My God-Given RightではなくCollision Courseをお薦めします…じゃなくて、しおりん誕生日おめでとう。

…長年応援していたファンにお薦めします。初めてこのバンドを聴こうと思っているのなら前作をお薦めします。

ネットで見ると何か海外盤二枚組出てる!?やられたよ、また!「日本先行販売」商法?もう新譜を新品では二度と買わないと誓わざるを得ないくらい悔しいわ。事前によく調べなかったヤツの負け?それは一理ある。そのうち完全版とかリリースしたら怒っちゃいます。

本当に音楽業界が心配。こんなこと続けてたら誰も新譜出ても買わなくなっちゃうよ?なんて私がいっても仕方ないんだけど。ファンなら複数買いが当たり前なんてこと言われるんだったらもう付いていけません…。

最後に改めてしおりん誕生日おめでとう!しつこくそんなこと言い続ける私はしおりんではなくあーりん推しでした。どうでもいいですね。はい。まだまだ二十歳ですよ。

20150604


超ヤング。
若いっていいな。羨ましいです。



以下オマケ
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●01.Wall of Jericho (1985)


wall of jericho

メンツ
Kai Hansen (Vo, Gu)
Michael Weikath (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Ingo Schwichtenberg (Dr)

伝説の幕開けの序章(笑)

ドイツから飛び出してきたメタルキッズ4名が世界に殴り込みを掛けました。

後に日本でジャーマンメタルと独自の呼称で愛されていく「スラッシュメタルのスピードにメロディを乗せたメタル」ジャンルの誕生でもあります。

ハッピーハッピーハロウィンの掛け声にも使われる①、サビよりブリッジの童謡的な歌メロが良い人気曲②、歌っているのがKaiじゃなければ…(笑)③、後にRhapsody(of fire)がカバーするバージョンも文句なしに名曲ですが、こっちもこっちで素晴らしい④、タイトルのためかIron maidenを連想してしまいます。後ろでシンフォニックなキーボードが鳴っているのは意外です⑤、これもいい。ギターソロはもうこの頃からHelloween節が完成されています⑥、ミドルテンポ。ソロで山の魔王の宮殿を使っています⑦、Is lawなのでライブトラック(風?)ですね。ラフなKaiのボーカルが逆に生きた超名曲⑧、Weikathのメロスピセンスが爆発した超名曲。のちにMicheal Kiskeが歌ったライブトラックも世に出ましたが、、全編を覆う悲壮感をより助長させるKaiの歌は冗談抜きに勝るとも劣らない。間奏の演歌に迫る泣きはMaster of Puppetsに匹敵すると思います⑨と、何より楽曲が良い。曲だけなら最高傑作に挙げるファンがいるのはよく理解できますね。Micheal Kiskeのボーカルと現在の楽器隊でリレコーディングしてくれたら下手に新作出すよりファンが狂喜乱舞する姿が目に浮かびますね。

私はKaiの歌は基本的に「Land of the free」以外の作品は反対派です。ただこの作品におけるKaiのフィット感は神懸っていると思う派。下手ですよ。文句無しに誰が聞いても酷い歌声です。なのにこの声がマッチしていると感じてしまうのは最早マジックってやつですね。

尚、この少し後に日本でX(Japan)がデビューしますが、一部でHelloweenの猿真似だと言われていた時期もありますが、Xもインディーズからスピード&メロディをやっていたそうなので、恐らく同時多発的に発生したジャンルだと思われます。


【My Top 3 Tune】
・Warrior
・Heavy metal(Is the law)
・How Many Tears

67 /100点
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●02.Keeper of Seven Keys: Part.Ⅰ (1987)


keeper of seven keys part 1

メンツ
Micheal Kiske (Vo) ←新加入
Kai Hansen (Gu)
Michael Weikath (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Ingo Schwichtenberg (Dr)

伝説の幕開け。今度こそはきっちり幕開け!

Kaiはギター片手間でやっていたボーカルを18歳のMicheal Kiskeに託します。

イントロ①、伝説の幕開けですね。始り方もそんな感じ。ギターソロの後半は悶絶するしかメタラーに手は残されていない。この頃のKaiは神懸っていましたね②、ちょいと盛り上がりに欠ける。前曲との落差が凄い③、唐突に飛翔系リフで飛び出す疾走ナンバー④、Helloween初バラード。ヨーロッパ的な泣きが堪能できる⑤、ギターソロもさることながらブリッジのコミカルな歌が超独特な⑥、次の作品でとんでもない完成度の長尺曲があるので、それに比べると練り込みが甘い気がする⑦、Kaiがボソボソ喋るアウトロ⑧と、まず一にも二にもMicheal Kiskeなわけでして。現代のメタルシーンにおいても十分にトップクラスのトンデモシンガー。4人の既存メンバーとカッチリ円陣を組み、見事な作品をメタル界に叩きつけました。こりゃ話題騒然にもなるでしょう。

苦言を呈するのなら、オープニングとエンディングを除くと本編は6曲のみ。長編のHalloweenが個人的にそこまでなため、ややボリュームが足りないイメージ。今回聴き直しても同じ結論に到りました。

【My Top 3 Tune】
・I'm alive
・Twilight of the Gods
・Future World

74 /100点
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●03.Keeper of Seven Keys: Part.Ⅱ (1988)


keeper of seven keys part 2

メンツ
Micheal Kiske (Vo)
Kai Hansen (Gu)
Michael Weikath (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Ingo Schwichtenberg (Dr)

前作でスーパーボーカリストが入り、バンド唯一の弱点を克服に成功。メタル界を圧巻させたHelloween。そして前作の続編という位置づけの作品を作ろうと試みました。

よくある何となくメロディアスな雰囲気のインストではなく、1つの独立した楽曲としても十二分に成立するドラマティックなインスト①、この世界の最高傑作にして、未だに超えることのできない壁(だと個人的に思っている)。メロスピ創成期にこんなの出されたら後進も嫌になるよな②、イントロと初めのハモリや小気味よい3連と中音域のサビメロが良い。Micheal Kiskeも良い楽曲作れることを証明した③、メタル界広しと言え、こんな明るくキャッチーな楽曲をアルバムに入れて違和感なく進行できるのはHelloween以外にほとんど居ないと思われます。このおちゃらけ感すらもこのバンドの大きな魅力ですね④、サビで大合唱が起こる人気曲。ガッチガチのメタラーは嫌いかも⑤、ようやく落ち着いたテンポに。ハイトーンが延々と続くのは凄い。ソロがいい。バラード風ミドルチューン⑥、再発盤ではコンセプトに合わないとかいう理由で本編から外されてしまいました。私は無いと落ち着きません。Kiske節全開の中盤パートが最高⑦、この作品はKai Hansenの曲が少ないですが、どれも文句無しに良質です⑧、後々に「良いサビメロ思い浮かばないからこの曲のちょっと変えて真似ちゃおう!」的なノリで様々なバンドや、Kai本人もGamma Rayで使っちゃってる⑨、14分の大作ながらイントロからアウトロまで一部の隙もありません。Andiのバージョンをライブで聴いたことありますが、やはりKiskeじゃなきゃこれはダメでしょう⑩と、前作に更に如何にもHelloweenらしい明るい楽曲を取り入れ、アルバムバランスとしては遥かに上回る出来。素晴らしいです。メロディアススピードメタル、ジャーマンメタル、パワーメタルの世界において最高峰の作品。

なぜか現在⑦は本編から外されボーナストラック扱い…。コンセプトに合わないのが理由らしいですが、慣れたこの順番を今更変えられても困る。私は一生この順番で聴き続けます。

しかしこの成功を受け、Micheal Kiskeは「このバンドを上に押し上げたのは俺だ!」とエゴ丸出しとなりバンド内でもギクシャクし始めてしまうわけです。

【My Top 3 Tune】
・Eagle Fly Free
・I Want Out
・Keeper of the Seven Keys

86 /100点
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●04.Pink Bubbles Go Ape (1991)


pink bubbles go ape

メンツ
Micheal Kiske (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu) ←新加入
Markus Grosskopf (Ba)
Ingo Schwichtenberg (Dr)

Kai Hansenが脱退したことにより、Micheal Kiskeの発言力が大幅に強まります。自分が加入したことによりこのバンドはワールドワイドな成功を納めた自負があるのでしょう。

Kiskeの力を抜いた低音気味のボーカルが非常に良い小曲①、前作までとは質感が全然違いますがKiskeの声が生きた疾走チューン②、コミカルなリフの疾走。サビメロがアッサリ流れる感じの③、明るめな曲調なのに寂し気なメロディライン。素朴な④、ヘヴィメタルハムスター?この緩い空気はまさに彼等らしい⑤、これもリフからして遊び心がいい。このアルバムの顔になれる⑥、Helloweenのシリアスな部分とポップな部分が上手く配合された佳曲。にしても新参者のRolandが一番らしい曲を作るって…⑦、Kiskeの麗しいハイトーンが存分に堪能できる⑧、これも明るい。なんとなく不思議なサビメロがナイス。明確なベースソロがあるのも作曲者の拘りが感じられる⑨、キラーチューン。これもRoland作。哀愁のリフが良過ぎ。サビメロもリフ生かしたメロディライン。名曲。彼でHelloweenらしさを保ってるって…⑩、アメリカンなバラード。ライナーにもありましたが、レコード会社のテコ入れが入っていますね。でも、単純に素晴らしい出来じゃないですか。今のライブで演奏しても良いと思うんですけど⑪と、メタルとしてのキレはあまり無いですが、ポップ寄りで純粋にクオリティが高い作品です。前作までの彼等を期待して聴くと肩透かしですが、あまり拘りのない方は充分に楽しめる内容です。

新加入したRoland Grapowは良い曲作ると思いますよ。基本的に評判悪いですが、Masterplanなんかでも才能を発揮していると思います。ただアティチュードに問題があるのか、今後をそれが表面化していきます。

【My Top 3 Tune】
・Mankind
・Chance
・Your Turn

76 /100点
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●05.Chameleon (1993)


chameleon.jpg

メンツ
Micheal Kiske (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Ingo Schwichtenberg (Dr)

Helloween史上最高の問題作。

前作でジャーマン/メロスピから脱却を図ったHelloween。ポップロックとも形容できそうな路線は守護神伝を愛聴していたファンをひっくり返らせたことでしょう。ただしHelloweenの持っているコミカルでおチャラけた雰囲気を強調したように捉えることもできたため、まだこのレベルなら許容範囲内であったファン層もいました。

本作を手に取るファンの中には「前作はきっと気の迷いさ。Helloweenならまた守護神伝のようなスピード&メロディな音楽を聴かせてくれる!」なんて楽観視していた方もいたのではないでしょうか。

高校時代から存在した楽曲らしく、歌詞がちょっと恥ずかしい。が、メロディ含め楽曲は素晴らしい。HMてよりHRな①、ポップスですが、歌メロの説得力は流石②、アコギで始まるまさかのカントリーチックなミディアムチューン。カントリーなのにシンセが入っています③、あるじゃないですかアップテンポ!なんて言ったら熱心なファンに怒られるか。ブラスを使いまくった景気のいいロックチューン。エルビスプレスリーはこういうイメージですね④、ヘヴィなリフ。歌メロも演奏も十分メタルっぽい。もしかしたら一番従来のHelloweenと言えるかも。シンセがあざといのと、収録されたアルバムが悪かった⑤Kiskeの力を抜いた歌唱が素晴らしい。どう聴いても名曲でしょう⑥、ちょっと気怠い感じの曲調。Micheal Kiskeがエフェクター(なんちゃらスピーカー)を掛けているのが珍しい。サビメロが微妙なのも狙ってのことでしょう⑦、爽やかなアメリカンなアコースティック。Micheal Kiskeの趣味が発揮されています⑧、どうせこんな曲をやるのなら、ずっと低音~中音でまとめたアダルトな雰囲気を貫いて欲しかった。シンセとヘヴィなギターをオミットして。ギターソロにブルースのフィーリングすら感じる⑨、サビメロの重ね方以外はきっちりとメタルっぽい。収録されているアルバムで損している⑩、これもリフはヘヴィ。ちょっと不協和音的なHelloweenになかった曲調です。オーケストラも備えた豪華な作り⑪、アコースティックギターとシンセ、そしてMicheal Kiske。バンド作品の欠片もありませんが、切ない雰囲気の曲調が素晴らしいロック色皆無の壮大なバラード。いや良い出来ですよ⑫と、ぶっちゃけメロディアススピードメタルどころかヘヴィメタル色すら非常に薄いというね…。ポップス、カントリー、フォークやホーンセッションを起用する非常に攻めた作りとなっています。

本作をリアルタイムで聴いて肩を落としたメタラーは多いです。当たり前のようにメタルだと思っていたら全然違っていたわけです。メタル以外を聴かないメタラーにウケるはずがなく、彼等のファンの多くはソッポを向いてしまったと…。世の中大きなモデルチェンジをしたバンドは多数存在しますが、メタル自体を止めてしまったバンドは少ないでしょう。私自身も正直に語ると、これはHelloweenではないかな?とも思ったり。Micheal Kiskeのソロアルバム的捉え方をすればまあまあ納得出来る作風ですね。昔某サイトに記載されていた「Micheal Kiske with Helloween」は一つの的確な比喩かと思われます。

「これが本当の俺達なんだよ!」

ライナーノーツでMicheal Kiskeがそう熱く語っていました。当時のインタビューではMichael Weikath自身も「次の作品ではディスコナンバーを入れたい」と語っていたので、リアルタイムでは彼もこのやり方を気に入っていた御様子でしたよ。後々になってMicheal KiskeがHelloweenを迷走させた張本人とされて追い出されたのは酷い話です。

ただ凄いのが、それでも楽曲のクオリティが高いという事実!後にメタルに回帰することが分かっている現在だからこそ余裕を持って聴けますしね。メタルバンドがメタル以外やっちゃいけないのか?と問われると…難しい。

擁護するならPink Bubbles Go Apeの後なんで、まだ類似性というか。スラッシュ要素が消えてBlack Albumを世に放ったMETALLICAみたいなものですかね。あっちは世界的にウケて、こっちはコケた。内容云々ではなく売れたかどうかなんですね。

Keeper of Seven Keys: Part.Ⅰの次にこの作品ならひっくり返るでしょう。

【My Top 3 Tune】
・First Time
・Windmill
・Longing

65 /100点
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●06.Master of the Rings (1994)


master of the ring

メンツ
Andi Deris (Vo) ←新加入
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Uli Kusch (Dr) ←新加入

「これが本当の俺達なんだよ!」と前作Chameleonで強く語っていたMicheal Kiskeですが、残念ながら"俺達"ではなく"俺"であったことがその後の流れで明らかとなりますね。Micheal Kiskeは元来ヘヴィメタルがそこまで好きではない人間なので、売り上げ的に難のあった前作を最後に脱退して自身の道を追求することを決めます。

更にドラッグ、アルコール問題と統合失調症を患っていたIngo Schwichtenbergが脱退し、あろうことか電車に飛び込み自ら命を断ってしまいました…。

新ボーカルは元Pink Cream 69のAndi Derisが加入。ドラマーには元Gamma RayのUli Kuschが加入。前者の方はどちらかと言えばポップなバンドなので、この人選を疑問に思う声もありましたね。

Michael Weikath自身も「Helloweenのアルバムだよね?と思う人がいるかもしれない」と語ったクラシカルイントロ①、メタルの世界にお帰りなさい。前作でメタルの観点から見れば迷走していたHelloweenにおいて唯一Keep MetalしていたIngoが「これこそ俺達がやるべき曲だ!」と口にした楽曲。イントロがメチャカッコいい②、Kiske期しか認めない的な人にこの曲はどう映るんでしょうね。オープニングのギターが素敵すぎ、4:12の「I know where the rain grows!」の部分だけ繰り返して聴きたくなる程に好き!High Liveで Weikathミスりまくりには苦笑③、若干ミステリアスなミドルチューン④、Micheal Kiskeのことを歌った気怠いながらメロディアスな⑤、冷たしシンセリフが非常に個性的かつ覚えやすい⑥、ゲームボーイのゲームメロディをリフに使っています。変わった試みですが、このバンドらしい⑦、ちょっとシリアスなイントロが好き。歌メロも良い⑧、シャッフル系。こんなのも上手くやっちゃう。Andi Derisの歌い回しがマッチした⑨、アコギで始まりギターソロもアコギ。これまたいい味だしています。森の中でひと際大きい大木の前で癒されている感じ(イミフ)⑩、Rolandの悪い意味で凄まじい歌声が聴ける疾走曲。ヴァースでテンポを下げ、ブリッジから回転率上げるのが良い。ソロの構築力も流石⑪と、アイデア満載の余裕のある流れが見事。意図的にか各曲が見事なほどに個性的。メタル復帰作としての及第点は余裕で超えていると言えます。

新加入の2名もバンドにマッチしています。Andi Derisは前任者とは全くタイプが違いますが、異なった声質のボーカリストでも見事に合った作風を作れたのは見事と言う他ありません。Uli Kuschも前任者を遥かに上回る技量を持っているため何の問題もありません。次作からは作曲にも関与し始めます。

【My Top 3 Tune】
・Sole Survivor
・Where the Rain Grows
・In the Middle of a Heartbeat

74 /100点
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●07.The Time of the Oath (1996)


time of the oath

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Uli Kusch (Dr)

前作で見事メタル界にカムバックを果たしたHelloween。メンバーチェンジもありませんでした。当時の彼らにとっては文句無しの布陣だったのだと思われます(あくまで当時)。

初め聴いた時は「どんな声の重ね方しているの?」と疑問でした。声の放散性半端ない①、まさに2曲目な楽曲。歌メロが地味で分かりにくいですがよく出来ている②、冒頭で超速弾きが出てきます。多分Roland Grapow。明るめなイントロが特徴的③、キャッチーなリフと歌メロ。日本でAndi期のHelloween人気を不動のものにしたのは凄いですが、売れ線と口にする方も少なくありませんでした。私はカッコいいから何でもいいよ派④、良バラードです。Andi Derisの声質が活きていますね。作曲も彼⑤、ギターソロが長めながらも省く箇所がない位に構築されています。楽曲自体も凄い⑥、哀愁駄々漏れのスローチューン。個人的に名曲。Uli Kuschすげえな⑦、こういう遊び心ある楽曲がらしいですよね。「エニシンザママドンライ」の言い方がちょっと苦手な方が居ましたが、私は彼らしく良いと思う⑧、後半の疾走曲。ギターソロが非常にこのバンドらしい⑨、変わり種がきました。このアルバムをシンプルなものだけで終わらせない捻りを感じさせる⑩、哀愁ある締めのバラード。まさにクロージングです。え、まだ終わりじゃない?はい、その通り⑪、イントロでJudas PriestのJugulatorに似たSEが出てきます。ダークでダウナー。最後にこんなの出してくる辺り、アルバムコンセプトは暗さを目指していたんですかね?ギターソロで世界が一変するもすぐに元通り。単体で聴くことはあまり無いですが、流れで聴くとアリな⑫と、当時の布陣で2作目にしてこの充実度。前作からそこまで期間が空いていないのにこのクオリティを作り出せるモチベーションが当時のバンド状況の良さを伺わせます。前作よりパワーメタルに方向性を絞ったのウケた一因かもしれません。

更に日本(のメタルファンの間)でも人気が爆発し、セールス的に大成功を納めます。

【My Top 3 Tune】
・Power
・Before the War
・A Million to One

73 /100点
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●08.Better Than Raw (1998)


better than raw

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Uli Kusch (Dr)

日本での人気を確立した前作。Uli Kuschの作曲参加もバンドに彩を与えていました。全員が作曲出来るバンドって、やはり多様性が生まれますよね。

クラシカルインストは避けたかったが、出来が凄くてやっちゃったという①、果たしてライブで歌えるのか心配になる②、リフから派生したであろう歌メロが良いです。サビはちょっと添え物程度ですが、ヴァース⇒ブリッジが良いので問題無し③、ダウナーですがメロディアスなリフと歌メロを持つミドルチューン。個人的にとても好き④、ヘヴィなロック。サビはキャッチーですが、基本的に地味⑤、メロディアスなイントロから、ドラマーならではの凄い変則リフがイカしています。歌メロもいいし、十分名曲レベル⑥、そこまでハイトーンを使わない抑えめな感じが哀愁を増していていい⑦、誰でも分かり易いキャッチーさが狙われた感があります。Power程は売れなかったようですが、いい曲です⑧、イントロからヴァースまで低音で呟くようなを使っているのが特徴です。シンセが無いと成り立たない曲作りの⑨、こういうのやるのがHelloweenらしいと思うんですよね。賛否両論あろうが。明るくコミカルな疾走で、更にラテン語で歌われているそう。文句無しに大好きです⑪、素晴らしいギターフレーズに溢れ、ボーカルメロディも文句無し⑫と、明らかに質感が変わっています。ダウンチューニングを取り入れヘヴィ要素が増量しております。それとは関係無いかもしれませんが、楽曲のクオリティが前々作、前作には及ばないと思うのが本音。

ただ、それでもやはりUli Kuschの作曲能力全開放はバンドにとって大きなプラスと言えるでしょう。元々凄かったんですが、更に花開いた感あります。逆にRolandの楽曲が一曲もないのが意外でした。今思えばこれは内部軋轢的な問題なのだと思われます。Michael Weikathに対して「ギターが下手過ぎる!練習しろ」なんて怒鳴りつけていたそうですね。まあその通りなんですが…、リーダー兼人事部長にこんなことを言っては不味かったですね。いやまあ、リーダーに意見できる人材って大事なんですけどね。

【My Top 3 Tune】
・Revelation
・Lavdate Dominvm
・Midnight Sun

70 /100点
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●09.The Dark Ride (2000)


dark ride

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Roland Grapow (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Uli Kusch (Dr)

本作はKorn、Slipknot、Linkin Parkのようなヘヴィロックがメインストリームを圧巻していた時期のためか、Helloweenも流行に乗って低音化しちゃっています。ギターが重い。普通ではあまりない2人のプロデューサーを起用し、外部の声からモダンさを取り入れようとしたわけです。

Gamma RayのGuardian of mankindまんまなサビですが、同郷だし、まあいいですかね(意味不明)②、ヘヴィですね。私の知っている段階でもライブで演奏される人気曲。間奏の爆走が恐らくこのアルバムで一番BPMが速い。ミスター父ちゃん③、うほぉ~。重い。取っつき辛いですが、サビメロは哀愁あります。ソロも始めの部分はエモーショナル④、冒頭のツインギターはらしい。歌メロは力押しでもう一つ!⑤、シングルになった哀愁あるバラード。比較的シンプルな作りの⑥、哀愁のキラーチューンじゃないですか。ギターソロが新しい閃きが感じられます⑦、リフからしてダーク。Andiの合いの手で入るコーラス「Sun is going down」がドラマティックでいい!独自展開しないギターソロも短いながらも曲に合っている⑧、ベースとドラムのみで始まるのはこのバンドでは珍しい。ヴァースもガラ空き。でもサビメロは分かり易い⑨、#2と#7が強烈なので目立たないが、十分に良い楽曲です。哀愁あるサビメロは声重ねて誰が歌っているのか判別不能。ギターソロは…インギー意識してますね⑩、歌詞は分かりませんが、サブタイトル?のStarsをメインタイトルにした方が合っている感がある⑪長尺タイトルトラック。構成も面白いし、メロディも申し分ない。Roland Grapowのネオクラギターがちょっと怪しいけど、最後の大サビでのコーラスとエンディングギターソロのセンスは文句無し!ありがとうRoland Grapow⑫と、前述したプロデューサー2名やモダン化導入など少し特殊な状況下で作られた作品です。

また内部関係的にRoland GrapowとWeikathの確執が大きかったそうですね。制作過程ではリーダー的存在Michael Weikathが脱退するかもしれない話になったそうです。彼にとっては余程意に沿わない方向性なのだと思われます。本作で自身の楽曲が2曲しか採用されなかったのもショックを受けたとか(残りの楽曲は次作で収録)。

そんな状況なのでアルバムの出来も悪いのかと思いきや、これまたかなりの力作となってしまってます。必ずしも良い状況で良いものが生まれるとは限らない典型例かと思われます。負の感情が作品に与えるエネルギーも時としてプラスになるんですね。

本作を最後にRoland GrapowはMasterplanを結成していたことがバンドにバレてクビに。それに巻き込まれる形でUli Kuschも解雇されてしまいます…。Uli Kuschの作曲力はHelloweenには欠かせない要素の一つになっていたのに、残念で仕方ありませんでした。

【My Top 3 Tune】
・Salvation
・The Departed (Sun is Going Down)
・The Dark Ride

77 /100点
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●10.Rabbit Don't Come Easy (2003)


rabbit dont come easy

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu) ←新加入
Markus Grosskopf (Ba)
Stefan Svaltzman (Dr) ←新加入

Guest
Mark Cross (Dr on 7、11)
Mikky Dee (Dr on 1~6、8~10、12)

前作でRoland Grapow、Uli Kuschが解雇されました。

Michael Weikathが新ギタリストとして目を付けたのは、あろうことかGamma Rayに所属していたHenjo Richterでした。「後任はHenjo Richter以外あり得ない!」という発言をしていました。元同僚のKai Hansenからしたら堪ったもんじゃありません。Henjo RichterはKai Hansenへの義理を果たし、結果的にMichael Weikathの願いは叶いませんでした(私が彼ならHelloweenに転職しますが)。

結果的に元Freedom CallのSasha Gelstnarが迎えられることに。当時25~26歳だった彼はMichael Weikathとは一回り以上歳の差があります。上手くやっていけるどうか時間をかけて判断したようですね。

ドラマーはMark Crossでレコーディングが始りましたが、2曲終わったところで病気を発症してしまい、残りの楽曲はMikky Deeが叩く正式ドラマー不在の状況で作られました。のちにStefan Svaltzman(演奏には未参加)が正式加入。ただしアルバムのブックレットには写真すら載っていません。

お、明るい!Just little sign~の早口がキュートで好き①、サビで走る構成がこのバンドにしては珍しいと思う。ソロ前のクラシカルなシンセとソロ自体も短いながらいい②、Michael Weikathも持つにコミカルなセンスが炸裂していると思う。肩の力抜きつつ覚えやすい③、アラビア系?のイントロのミドルチューン。中盤の歓声?が新しい④、Mikky Deeの緩急における瞬発力あるドラミングが凄い⑤、またもやアラビアイントロ。サビで走り出すのはSascha Gerstnerの得意なスタイルなのかも。下降超速弾きはさすが⑥、アルバムタイトルに通ずるバラード。2:50からの雲間から光が差し込むようなパートが超好き⑦、確かDark Rideで捨てられたMichael Weikathの楽曲。キャッチ―で小気味よい⑧、如何にもHelloweenな楽曲ですが、まさかの作曲がMarcusなのは恐れ入ります⑨、前作の流れを汲むようなヘヴィチューン。パッとしない⑩、リフからしてとっておき感あります。1回目のサビ後の静かにゆったりするパートが一番の聴きどころ。なんかドラムソロみたいな部分もある⑪、前作で捨てられたMichael Weikathの楽曲その2。ちょっと長めでレゲエを融合させています。Burrn!の評論家はイラナイって言っていましたが、私は「どう聴いたら要らないって判断になるんだよ?メタル以外の要素を入れたら良い曲もイラナイってか?」と憤りました。にしてもこれをラストに持ってくるセンスは凄い。これが無かったら薄味で印象に残らない作品になってしまったと思われます⑫と、世間的に凡作として扱われる本作ですが、このレベルで凡作扱いされてしまうHelloweenのシビアなファンの目線が評価に反映された作品です。聴き処も良いとこも結構あるんですけどね。

確かに前作からメンバーチェンジも経て尚且つドラマーがアートワーク作成時に不在だったこと考えると、バンドの体制が完全に整うより先に早く作品を出そうとした結果バタバタで若干集中力に欠いていたような雰囲気はありますが、凡作ではなく良作部類。

また常にバンドを象徴させる楽曲を作ってきたMichael Weikathが全曲変化球を狙ってきているのが面白い。しかも内2曲は前作でボツにされたもの。よっぽど収録したかったんですね。

本来Michael Weikathが作るタイプの楽曲はAndiと新ギタリストのSashaが担当しています。Sasha Gelstnarが関わった楽曲はどれも良い感じなのも今後に期待が持てました。

Roland GrapowとUli Kuschが去り、Sasha Gelstnerが持ち込んだ要素がよ~く反映された分岐点的作品。

【My Top 3 Tune】
・Don't Stop Being Crazy
・Listen to the Flies
・Nothing to Say

64 /100点
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●11.Keeper of the Seven Keys: The Legacy (2005)


keeper of the seven keys legacy

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr) ←新加入

Guest
Candis Night (Vo on 8)

一応守護神伝の3作目。

11作目にして彼等の永遠の代表作である「Keeper of Seven Keysシリーズ」を作ることになったのにはどんな経緯があったのか忘れてしまいましたが、新たなファンを増やすだけでなく昔のファンを呼び戻す狙いもあったのだと思います。

タイトルを「Keeper of Seven Keys Part.3」にするか迷ったそうですが、遺産「Legacy」になりました。続編ではなく、新章的な扱いの作品だそうです。ちょっと予防線張りましたね!

とはいえ、下手な続編なんか作った日には単にネームヴァリューを落としてしまうだけ。レコーディングで妥協しないことを目指し楽曲作成を行った結果、ドラムパートが難しすぎてStefan Svaltzmanが「俺は普通のヘヴィメタルドラマーだ」と悲鳴を上げて脱退してしまいました…。後任のDani Löbleは当然のようにバカテクドラマー。ドラムパートは交代する毎に右肩上がりで技量が上がっていきますね。

いきなり10分超えの大作。サビ前のダルそうに歌うメロディが一番の聴き処。メンバー全員のインプットが入った①、2曲目にしてはちょっと長いですが、当時のライブでは頻繁に演奏されていた②、Eagle Fly Freeのセルフパロディ的な間奏が面白い。歌メロも良い③、キーボード音から始まるミドル気味アップテンポ。リフも歌メロもソロもよくまとまっている佳曲④Dr.Steinの続編?単体では何とも言い辛い楽曲でしたが、アルバムの流れで聴くといい⑤、このアルバムで1番速い曲。最後のUnder the silent rain~は下げて歌ってほしかった⑥、2枚目一発目も長尺。2回しか出てこないサビがユニークな感じで面白い。こんなのも作れるんだねと感心が止まらない⑦、Candis Nightとデュエットしちゃいました。よくある感じのバラードですが、女性の声が混じっただけで新鮮に聞こえますね⑧、気怠めなハードロックな感じですが、この緩さが良い。脱力系のコーラスですが良いアクセントになっています。最後の疾走は要らない⑨、「フーフー」なスキャット(?)を入れる遊び心と印象的なメロディライン。これもハードロックですね。Part.1の「I'm Alive」を意識したタイトルですが似ても似つかない⑩、ギターソロを珍しく省いたため、ずっとサビメロがリフレインしている感覚に陥る⑪、某掲示板にて「Powerに似ている」の旨が書かれていましたが、それよりもグッとコミカルに仕上げております。ギターソロにも拘りを感じます⑫、#5のシングルに収められていた曲。これがラストかよッ!?ヴァースの変なシャウトで失笑しそうになる⑬と、各Discの1曲目に対策を配置するあざとさが気に入りました。なるべく当時の作風を踏襲しようとした姿勢が見て取れます。ただ基本路線はあくまでSasha Gelstnar加入後のHelloweenって感じですね。当時の空気はあまり感じられません。

楽曲のクオリティ的には少々落ちてきている感は否めませんが、それでも十分に高品質です。今聴くとまた違った捉え方をしてしまう自分が居て、かつてはDisc1が好きでしたが今はDisc2の方が面白いと感じてしまう。年ですね…。

タイトルはPart3じゃなくてLegacyで良かったと思います。

【My Top 3 Tune】
・The King for a 1000 Years
・Born on Judgement Day
・Occasion Avenue

69 /100点
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●12.Gambling with the Devil (2007)


gambling with the devl

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr)

前作はバンドの狙い通り大きな注目を集め、High Live以来のライブDVDまでリリースしちゃいました。私も買っちゃいましたもの。シリアル番号入りに乗せられて。やはりKeeperの名前はメタル界で未だに大きなネームヴァリューがあるのだと自他ともに再認識したのではないでしょうか。それも名前負けしない作品を作れた(かどうかは聴く人によって変わりますが)Helloweenの底力にあるのだと思います。

バンドはその好調の波に乗って本作を作ります。このアルバムは一ヵ所にメンバーが集まるのではなく、ネットでデータをやり取りしてレコーディングを進めていったのだそうです。凄い世の中になったものですね。

サーカステント?ブックレット的なイントロ①、Push系の剛健系。Andi Derisのスクリームとサビの哀メロがいいバランス。Dani Löbleの足捌きが凄まじい②、いい曲なんだけど、ソロのハモリはおサルの行進みたいでちょっと苦手③、先行シングル。一風変わったミステリアスなミドルチューン④、イントロからDani Löbleのドラムが爆発しますな。ブリッジメロディが良いからサビがシンプルで形になっている⑤、哀愁がありキャッチ―ですな。日本で人気があったからか、来日公演で披露された⑥、よく分かりませんが、原始人的だと感じた。ソロに入ってから急に世界が変わるのは凄いな⑦、シネマティックなバラード…かと思ったら走り出しちゃいます。なんと中盤にビックなクワイア仕立てのコーラスが出てきちゃいます!しかも疾走パートまで飛び出して最後バラードに戻る多展開。冒険しているな⑧、ヴァース時の左チャンネルからピロピロ弾かれるギターが耳に残ります。タイトルは何の略なのでしょうか?⑨、バブルスターを思い出した。クリスマス感のあるバブリーな曲調。終わり方がいいですね~⑩、Sasha Gelstnarのネオクラフレーズを盛り込んだ疾走チューン。ツインパートはMichael Weikathも弾いている?⑪、本作の個人的キラーチューン。サビの展開が素晴らしいですね。Markus Grosskopf作曲ですって?マジ立派なソングライターになりました⑫と、本来のHelloweenの持ち味が戻ってきたためか前作よりkeeperっぽいですな!多様な楽曲を揃え、且つ前作、前々作で感じたクオリティ低下が一掃されたような見事な完成度。限界知らずかよ!?12作品目でこれだけの力作をリリースできちゃう時点でSasha GelstnarとDani Löbleの加入が如何にプラスであったかが分かります。ひょっとしたら前述したレコーディング方法もバンドに新鮮な風を送ったのかもしれません。

全体的なバランスではトレードマークの③⑤⑪スピードチューンは少なめで、それが個人的にアルバムのキャラを立たせていると思っています。

【My Top 3 Tune】
・Kill It
・Final Fortune
・Heaven Tells No Lies

78 /100点
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●13.7 Sinners (2010)


7sinners.jpg

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr)

前作で相当なクオリティを備えたアルバムを作ることに成功したHelloween。私自身も本作に大して並々ならぬ期待をしていました。

トライバル風のタムから始まるヘヴィチューン。この時点でいつもと質感の違いを感じ取れます①、そりゃそうですよ。I am metalですよ。でもこのバンドがその問い掛けをしてくると違和感があるというか。一番の聴きどころは間奏のDaniのブラストビートに迫るドラミング。表打ち疾走でツーバスがトンデモないことになっています②、Perfect Gentlemanの続編(何故?)。イントロで同曲のリフが出てきます。なのにアップテンポのパートが多い③、よく聴くとリフがカッコいいかも。突然笛ソロが飛び出す④、ヴァースの脱力した歌唱がいい。あまり無理しない音域なのがちょっと新しいと思ってしまう。ソロも結構いいかも⑤、Rainbowチックなタイトル。美味しいメロディもありますが、なんかハマれない⑥、よくあるバラードなんですが、サビメロは悪くない。3:07からのオペラティックな歌は…ライブで出来るんですかね⑦、ちょっとオシャレな感じの装飾にライブで歌える分からないサビメロ。何より強烈な刻みとツーバス同期…。Helloweenぽくはない⑧、後半で展開が変わるものの、基本的にシンプル⑨、へぇ…こんな楽曲あったんですね⑩、Helloweenっぽくないラプソ的な女性ボイスから始まります。複雑な展開で、速いパートもありますが基本ミドルテンポな曲⑪、インタールード扱いでしょうが、Andiの違った面を引き出すことに成功していると思う⑫、シメも多展開な長尺⑬、とHelloween史上最もヘヴィな作品に仕上がっており、バンド特有の遊び心やコミカルさを排除しブルータルな楽曲を揃えた感じ。ChameleonやPink Bubbles go apeのようにパブリックイメージから少し離れていて、個人的にはそれが致命的な程に面白くない結果となってしまいました。

1曲の中で何回もテンポが変わるのが彼等らしくない。新しいと言えばそれまでなんですが、変に複雑にしようとしている感じがします。ストレートな曲はほとんどないです。

なんて苦言を上記していますが、今回聴き直してみて「…そんなに悪くないかも」と印象がちょっと変わりました。

とはいえ、リピート率は全アルバム中断トツの最下位ですが…。

【My Top 3 Tune】
・Raise the Noise
・The Smile of the Sun
・The Sage, the Fool, the sinner

54(44) /100点 カッコ内は昔の点
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●14.Straight Out of Hell (2013)


straight of the hell

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr)

前作でHelloween史上最高にヘヴィな作品をリリースしました。別に毎回同じようなアルバムを作る必要なんてないので、作品ごとに色があって全然良いと思います。

しかしまあ、それと引き換えになんとも耳に残らない作品になってしまいました。パッと思い出せる楽曲もありません。大きな声で言えませんが、前作は5回聴いて止めてしまった位です(のちに本作を聴いて改めて聴き直した)。

中東系のメロディを組み込んだ長めの疾走曲。冒頭から冒険してますね。「Once there was a nation~」からの展開が最高①、ヴァースとブリッジ以外は走るやり方が非常にモダンな②、サビメロがちょっと微妙な③、Marcus作。ブライトなサビメロが特徴的。滅多に褒めないMichael Weikathが絶賛したらしい④、このアルバムではテンポチェンジもない捻りの無いシンプルなWeikath印⑤、ピアノリフが目立つミドルチューン。キャッチーで覚えやすい⑥、低音のパーカッションやピアノ、更にAndi Derisのいつも以上に低いボーカルが特徴的。ドラマティックなシンセも完備。ギターソロでエレキが使われているものの、ほとんどありません。新しい⑦、なぜこのような楽曲を収録したのか真意は分かりませんが、QueenのWe will rock you風⑧、タイトルトラック。リフがKeeper of seven keysのギターソロ一部に似ているのが玉に瑕ですが、サビメロもキャッチーでエネルギッシュな雰囲気がたまらん⑨、サビメロの流れが今までにない。タイトル連呼ですがこれは意義がある感じ⑩、ヴァースで停滞するようなアレンジを入れてみるも、まさにHelloweenチューン。シンセアレンジにメンバーが関わったのか気になる⑪、サビになると走る展開もいいですが、ギターソロの前半がちょっといい⑫、劇っぽいチャーチオルガンと女性ボーカル。珍しいです。リフがいいです。冒頭の雰囲気は良かったので、それに関連する曲にして欲しかった。ギターソロからちょっとそれっぽい。サビメロがダークなのが特徴⑬と、ファンに求められたHelloweenを今の彼等で意図的に作り出したような作品となりました。その半数以上がアップテンポな楽曲という極端さ!それでいてバランスの悪さを全く感じさせないのは凄いですよ。

ぶっちゃけAndi期の最高傑作じゃね?いやマジ冗談抜きです。Kiske期にも引けを取らない素晴らしいアルバムです。

それに14thアルバムですよ!?デビューの1986から28年も経っています。それでまだこんなクオリティの作品を作り出せること自体、彼等の創作能力が如何に凄まじいかが伺い知れます。

大したヤツだ(パクリ)

【My Top 3 Tune】
・Nabataea
・Burning Sun
・Straight Out of Hell

82 /100点
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●15.My God-Given Right (2015)


my god-given rights

メンツ
Andi Deris (Vo)
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr)

ぶっちゃけ、このバンドの作品で初めて何も感じませんでした…(涙)

意図的にセルフパロディを混ぜることが悪いわけではありませんが、単純に微妙じゃないですか…。あとは本文を参照してください。

【My Top 3 Tune】
・Lost in America
・Creatures in Heaven
・You, Still of War

58 /100点
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●16.Helloween (2021)


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メンツ
Andi Deris (Vo)
Micheal Kiske (Vo) ←復帰
Michael Weikath (Gu)
Sasha Gelstnar (Gu)
Kai Hansen (Gu, Vo) ←復帰
Markus Grosskopf (Ba)
Dani Löble (Dr)

このバンドで再びMicheal Kiskeの歌声が聴けるなんて…感涙。Andi Derisも存在感では全く引けを取りませんね。

まあ多少楽曲が微妙なんて意見もありますし理解できますが、私は①トラック目を脳味噌が踊り出すほど聴いたのでこれでいいと思います。次作があれば、もっとトリプルボーカルトリプルギターを活かした楽曲を作ってくれると信じています!

【My Top 3 Tune】
・Out for the Glory
・Best Time
・Down in the Dumps

75 /100点
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●--.The Keepers Of Jericho A Tribute To Helloween (2000)


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2001年に登場したHelloweenのトリビュートアルバム。 その道では知れたアーティストや期待値が高い新人の参加した作品ということで、割と話題になったと思います。

アルバムタイトル通り選曲制限があり、1st〜3rdまでの間。意外に選択肢が少ないんですよね。

これに関してはもう、言う事なし!世にも珍しい「原曲を超えたカバー」です。欲を言えばコーラスをもっと重ねてラプソしてほしかった①、ツインギターの片方をキーボードで弾く斬新な音に、原曲をBPMアップする攻め具合。バッチリキーボードソロも出てきますが、ソロのハモリは何故かギター。ソナタらしく仕上がってる②、何故この曲が選ばれているのか。せっかくのHeaven's Gateが勿体無い。流れで聴く楽曲なので、トリビュートではシンプルに弱い③、このバンドはもっとメジャー感あるんですが、音も含めてトリビュートしちゃっています。B級感あります④、唯一ソロ名義のLuca Turilli。2曲目の参加。これも素晴らしい出来です。原曲には無いシンセというメロディラインが一つ増えていて、それでいて違和感が無い!原曲超えかは意見が分かれますが、個性を出して限りなく匹敵出来ている感じ⑤、知らないアーティストです。脱力系コーラスが変にカッコよくなくて好感が持てます。最後のハイトーンはなかなか⑥、これを目的に買った人もいるでしょう。Fabio Lione2曲目の歌唱。イントロからスタートする気合いの入れようですが、中身がアッサリというか、楽に仕上げたような感じ。ギタリストOlaf Thörsenのセンスのようにイマイチ⑦、本来本編では無いこの曲を選択する辺り、私のようなB面曲もきちんと耳を通す感じの方々なんでしょうかね。出来に関してはボーカルがちょい厳しいかなと⑧、Olaf Thörsen2曲目。このコミカルのブリッジを歌いこなせる声色の人ってKiske以外に居ない気がしますね。ソロは変な出癖アレンジを入れなかったのは好判断。いや、もしや別の人?⑨、名前しか聴いたことないバンド。1番高いところを更に高音アレンジするところには勇気を感じます。フニャチンボーカルですが。演奏はまあまあ⑩、これも知らないバンド。B級感を損なわないようキッチリ仕上げています。ただ音が原曲より良い(マシな)ですね⑪、唯一の女性参加者がElisa氏がやはりこれまでとは違う風を呼び込んでいます。オマケにこのバンドの持ち味であるシンフォニックアレンジが味付けとしてとても新鮮。クワイアとかもらしい!⑫、この時点ではまだ新人?の Secret Sphereにこの曲を任せるとは...。暴走気味のスピードは良いんですが、ギターソロの中盤に何故かピロピロの謎アレンジ...。ラストをハープシコード風に締めるのはキーボード専任者がいるバンドらしくて◎。メタル本編が終わり、サビをしんみり繰り返すところはThe Brave的⑬と、なかなか良い感じのトリビュートになっております。

「良いカバーじゃん!元のアーティスト聴いてみよっかな」と思うのは①②⑤ですかね。クオリティ的に。

⑦は同じシンガーでも仲間やアレンジで驚く程に輝きを失ってしまうのだと示した好例なサンプル。③も微妙ですが、元々楽曲自体が微妙なので彼等でも輝かせることは難しかったようです。⑬のSecret Sphereは全てにおいてヘナチョコですが、この作品の8ヶ月後に彼等の最高傑作をリリースしちゃいます。

Helloween全曲からトリビュートして欲しいですね。またはAFTER Keepersとかタイトルにして4th〜10thまで。

【My Top 3 Tune】
・Warrior
・Heavy metal(Is the law)
・How Many Tears

70 /100点
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