最近趣味のことばっかりですね。

何と情けない…。


このブログは本来自分の思ったことや考えたことを語るブログだったんですが、更新のネタも無い…。年は取りたくありません。多感だったあらゆる喜怒哀楽の揺れ動きが無くなっていき、気が付けば日々の生活に全く何も思わない機械人形と化してしまった…。


グチグチ言っておきながら音楽ネタです。世間ではMetal Godと名高いJudas Priestのライブを観るため日本武道館へ行ってきました。全然懲りてません(涙)まあ、今はこういう心模様の時期であると前向きに考えています。

ワタクシ、熱心な方には申し訳ありませんが、そこまで夢中なわけではないです。心酔したファンではなくニワカに毛が生えた程度のファン的な立場からの見方ですからよろしくお願いします。この広いネット上にたまにはそんな感想があったっていいじゃありませんか(苦笑)

とは言え、スタジオアルバムは3rd~16thまでは持ってますしライブアルバムも4つ持ってます。1st、2nd、17th以外の曲はタイトルはわからないまでも聞けば判別は出来るレベルです。

ファンと自称してもいいのでは!?




…どう、ダメ?
堪忍して下さい…。

じゃあ何故行ったのかというと、メンバーの高齢化に伴い解散が近いと判断し、かつて神と崇められたバンドのライブを見れなくなる前に1度くらい見てみたかったからに他なりません。

なんせ主要メンバーのボーカリスト、Rob Halfordことロブは今年63歳…。ギタリストのGlen Tiptonことグレンに到っては67歳!いつ引退してもおかしくない年齢です。ギターの片割れであるK.K.Downingは63歳で、既に引退しています。他にもベースのIan Hillことイアンが63歳、ドラムのScott Travisが53歳。

ももクロの平均年齢が19.6歳に対してジューダスプリーストは61.8歳!今はリッチーフォークナーなる35歳の若手が入り56.2歳です。それでも56.2歳。

前回の来日も迷いに迷って行きませんでした。そして後悔。失礼ですが余命幾ばくもないこのバンドを生で見る最後のチャンス?と思っていると今回は自然と足が日本武道館に向かっていました。あとたまたま近くで自宅警備していたこともあり、ま、そんな感じです。

人生初武道館。
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中々の人口密度!凄いな。洋楽バンドが武道館を使うことが出来ること自体がもう珍しいですから。
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メタルのライブで60台近い感じの方がいたりすると音楽に年齢は関係ないんだと痛感。むしろバンドがバンドなんで、逆に若い人が少ないな…。席はほぼ7~8割埋まってます。凄い。
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ボケーとしていると暗転。凄い歓声!来たか!と眺めていましたが、暗転してから全然始まんねーんですよ、これが。

…どうした?年も年だし、もしやリハーサルで燃え尽きて倒れちゃったんじゃ…。

場内はかなりヒートダウン。アリーナの皆様も座りだし皆携帯弄ったりしてる。そういう私も触ってた。

すると機材トラブルで公演が遅れるアナウンスが。機材トラブルで公演中止になったら面白い。というのは冗談で全然面白くない。

で19時28分に開始。

えっ!?いきなり杖ついて現れましたよロブおじいちゃん!これはパフォーマンスなのか?それともガチか?開始早々満身創痍なのか!?


しかし思ったよりも遥かに歌えている気がするロブ。全盛期を知っている人からしたら「こんなもんじゃねぇ!!」と怒られるかもしれませんが、私にとってはこれは嬉しい誤算。たまにシャウトもしちゃう!もっと酷いのかと思ってた。

2曲目からは杖を使っておらず、普通に歩いていました。そういえばBURRN!誌でパフォーマンスでやってるみたいな記事載ってたな。

題名が全く思い出せませんが、ほぼ曲はわかりました。まさか2ndからも演奏するとは…。これいいなと思っていると、17thだったり。曲名が思い出せたのはMetal God、Breaking The Law、Beyond The Realms Of Death、The hellion~Electric Eye、Pain Killer。Beyond~はグレンのソロがあんまり聴き取れなかったのが残念。私だけか?

ジューダスプリーストのライブって15thのオマケDVDで見たことがあるだけなんですが、あんまり動きが無いのね。グレンやイアンはほとんど動かない。リッチーが一番ロッカーっぽい。ギターソロみたいなのもあったし。ロブがハーレーに乗って出てくるのはお決まりだけど、黒いカーテンの上から全部丸見えでした。ちょっと笑った。あとバックスクリーンに何か妙な映像がずっと流れていましたが、私はカメラでメンバーを映してほしかったかな。

The hellionの大合唱が会場の皆様一番大きな声が出てたような気がします。

その後何とドラムのスコット1人残ってMC。スコットトラヴィスの声って初めて聞いたなとか思ってると聞き慣れたバスドラフレーズが。ええー?ロブ歌えるのか?PainKiller始まっちゃいました。

ハーレーに寄りかかりながら死力を尽くして声を張り上げる様を見ていると、難易度の高い曲が代表曲になるのはある意味不幸だなという憐れみの感情が浮かんできました。でも想像していたより歌えていた気がします。

公演終了は21時10分位。1時間30分。

彼等の従来のライブがどんなものか知りませんが、機材トラブルで若干押したためかアンコールの間を削り全部流れで演奏してしまったように思えました。ロブはアンコールの休憩時間が無くなってもよく頑張ってくれました。See Youと言っていたので、また作品の売れ行き次第では来日してくれるのかもしれませんね。しかも最終的には9割くらい埋まっていたように見えましたからね。今だ人気衰えずです。



全体として、ロブの歌をどう取るかは人によってそれぞれかもしれませんが、想像していたより遥かに歌えていた印象が強いです。もっと悲惨かと思ってた。グレンはいつもあんな感じ動かずギター弾いているだけなんでしょうか?イアンがそうなのは聞いていましたが、ライブアルバムじゃわからないな。まあパフォーマンス担当はリッチーということで。

これからもあまり無理せず頑張っていってほしいです。70歳でも現役でメタルやってたら凄い。ディオも70前に無くなっちゃいましたしね。老人を超え長老メタルバンドになって下さいな。


※セトリ載せるの忘れてました。どこから拝借したものなので間違っていたらお許しを。3月17日追記。

01 Dragonaut
02 Metal Gods
03 Devil's Child
04 Victim of Changes
05 Halls of Valhalla
06 Love Bites
07 March of the Damned
08 Turbo Lover
09 Redeemer of Souls
10 Beyond the Realms of Death
11 Jawbreaker
12 Breaking the Law
13 Hell Bent for Leather
Encore 1
14 Electric Eye
15 You've Got Another Thing Comin'
Encore 2
16 Painkiller
17 Living After Midnight
18 Defenders of the Faith



以下オマケ

※当方Judas Priest信者では無いため、兎に角絶賛していないと気が済まない方には向いていません。偉業がどうこうは捨てて、単に私個人が音楽として評価しています。「Judas Priestがあったから行進が育ったんだ!」や「先駆者に対するリスペクトが欠けている」なんて受け取り方をされる方は読まない方が吉。

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●03.Sin After Sin (1977)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu,Piano on#7,Organ on #5)
Ian Hill (Ba)
Simon Phillips (Dr) ←サポート

ライナーノーツ曰く「Deep Purpleが悲劇的解散後、次のブリティッシュハードロックシーンを継承するべき若手のグループ達がいない!」状況だったそうです。それもあくまで伝統的なブリティッシュハードロックバンドでです。

前作でまたパーマネントなドラマーが辞めてしまい、サポートドラマーには有名なSimon Phillipsが代役でプレイ。本作では先ほど名前を上げたDeep PupleのベーシストRoger Glover。

ブリッジから徐々に上がっていきタイトル連呼。メロディアスなソロがいいですな。ちょっと長いですが①、軽快なリズムに悲しげなメロディが乗るカバー。彼等らしいかは置いておき、選曲センスは良いと思います②、Breaker間違いを起こしそう。手拍手があるのもポップス的。ソロがハモリで歌心ある③、シンプルなバラード。メタルらしさはありませんが、Robの低い声はいいかも④、ちょっと初期のQueenぽいのほほんギターから脈絡のないツーバス疾走。明るいです。この時代にこのソロをやっていたことが凄いと思う⑤、ハイトーン以外あまり特徴が無いですが、後半速くなるとちょっと哀愁が出てくる⑥、バラードのような、バラードじゃないような。ギターソロに重なってくる低音コーラスと、変わった感じの⑦、いきなり金切り声。ヘヴィな演奏。リフのフレーズ自体が剛健。Simon Phillipsのドラミングが結構派手。やはりこの時代にこの曲は早いかも⑧と、後半が少し弱く感じますが、1977年にこれをやっていたのは個人的に驚きです。彼等がHR/HMの先駆者と語られるのも頷けます。

個人的にヘヴィメタルではなくハードロックな音像だと思います...てのは現代から見た感覚なので、当時はこれこそが「ヘヴィメタル」だったのでしょう。

現代にポッと出てきて通用する内容かというと、流石に「全曲名曲!」にはならないと思います。これもまた個人の感覚なのでご容赦を。

【My Top 3 Tune】
・Sinner
・Last Rose of Summer
・Let Us Prey

54 /100点
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●04.Stained Class (1978)


stained class

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu,Piano on#7,Organ on #5)
Ian Hill (Ba)
Les Binks (Dr) ←新加入

当時ブリティシュロックシーンは凋落していたそうです。Led Zeppelinは最早ハードロックバンドから広義なロックバンドRainbowも現状維持がいっぱいいっぱい。若手で期待が出来るのはJPしか居ない!と考えていた伊藤氏。アメリカシーンに殴り込みを掛けられるバンドはJudas Priestしかない!

この数年後に売り上げという点ではJPを上回るIron Maidenが出てきます。流石にインディーズシーンまでは見ていなかったか。

後にK.K.'s Priestに加入しそうになるLes Binksが就きます。

Rainbowの「Kill the King」と並ぶ元祖ツーバス疾走メタル。ソロが非常に良く作られていますし、歌メロも分かり易い。ラストのハイトーンも凄い①、リフからして個性的。それに合わせて表打ちと裏打ちを切り替えるセンス。Lesの手数の多いドラミング。ラストにはツーバスも。Lesが主役みたいな②、捻くれたリフ。中盤以降突然哀愁展開に。変わった楽曲だと思ったら、カバー曲でした③、タイトルトラック。Robの高音を駆使した歌はライブでは歌えるのかしら。バッキングとかこの頃からやはりメタルですね④、宇宙からの侵略者SE?タイトル連呼のサビですが、これまた随分と耳に残ります。ソロがメタルっぽくないですが個性的。なによりIanが作曲に関わっているというレアな⑤、朗々と歌ったりシャウトしたりとなかなか忙しいRob。不思議な楽曲⑥、冒頭からRobのハイトーンが炸裂。ライブじゃ絶対出せないでしょうね。結構変化が激しい。特にドラム⑦哀愁のメタルバラード。何より素晴らしいのはGlennの神懸かった泣きが炸裂しまくる絶品のソロ。今は誰が弾いているんでしょうね。そして何故かLesが作曲に関わっているようです⑧、英雄の終わり?ダークなリフがいい。ノイズのようなギターソロはなぜこんな音なのかは分かりません⑨と、結構テンポの速い作品でした。Lesのドラミングに対するインプットが結構あったのではと考えています。凝っています。Robは元気!後年の作品と比べてもハイトーンが多い。

①を筆頭とし、聴き返すとこの頃からメタルしていますね。更にLesは実はセンスフルなドラマーだったのではと思い始めました。2作で辞めてしまうのが勿体ない気がしてきました。

【My Top 3 Tune】
・Exciter
・Invader
・Beyond the Realms of Death

62 /100点
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●05.Killing Machine (1978)


killing machine

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu,Keyboard on #10)
Ian Hill (Ba)
Les Binks (Dr)

何と前作と同じ年にリリース。

ライナーノーツ曰く「ライブを観たら本当の魅力が分かる」だそうです。それ以外は同じようなこと書いてあって特にありません。

またこの頃からメンバーはレザーの衣装に身を包み、Robもステージでハーレーを乗るようになったそうです。一昔前の「メタル=革ジャン」イメージはこの辺りで確立したのかもしれません。Robも髭を生やしたり。

これはアメリカンですね。とりあえず叙情性皆無のカラッとしたロックンロール。ソロの構築力はお見事①、明るいリフ。ビブラートが凄いな。短いながら遊び心あるソロが面白い②、とにかく1発で記憶に残るサビ。ソロの後半が突然しっとり③、アメリカでのタイトルトラック。タイトル連呼ながら非常にキャッチーなサビ。ソロ前の歌メロが素晴らしい。3分無いんかい④、売れ線な大合唱曲。メタルっぽさはありませんが、とても良い曲⑤、怪しくも軽快なRobが面白い。エッジの効いた速弾きが聴けます⑥、カバー曲。ですがあまりカバー感は無い。ソロの掛け合いが良いですね⑦、タイトルトラック。ちょっと変わり種的なのを持ってきました。目立つ楽曲ではありませんが無視できない⑧、イントロで物凄くIron Maidenを思い出した。シンプルに走ってる曲⑨、Glennが奏でるキーボードがひたすら悲劇的な悲しいバラード。Robも悲しいメロディを歌いっぱなし⑩、かなり捻りを効かせたRobの歌にファンキーなギター。ゼップ系?分かりませんが、異色で個人的に好きな⑪と、本作はちょっとだけアメリカ向けにしていたのか、どことなくアメリカエッセンスを感じたり。

曲順やタイトルをアメリカで変えています。この辺りもやはりアメリカでの成功を目論んででしょうね。Harem Scaremがアメリカでは名前を変えたように。

とはいえ、根幹にあるブリティッシュハードロックはもちろんあり、やはりQueenの影響を感じます。個人的にですが。

【My Top 3 Tune】
・Hell Bent For Leather
・Take on the World
・Before the Dawn

65 /100点
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●06.British Steel (1980)


british steel

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr) ←新加入

ライナーノーツは毎回同じようなことが載っており、あまり時代背景が分かりません。とりあえず伊藤政則氏の絶賛が毎回載っているのは確か。

一つだけ面白かったのは、Sad Wings of Destinyに固執するファンが多かったというエピソード。これを書いている段階で私はこの作品を聞いていませんが、さぞ彼等を代表する作品に仕上がっているのでしょう。

バンドとしてはDave Hollandが加入。

3分に満たない長さで起承転結が完璧。ライブ版の少しBPMが上がったバージョンのが好き。個人的にRob復帰作に付いたDVDのテイクが1番①、重心の低いリフが疾走ビートに乗る。彼等のディスコグラフィの中でも速い部類②、タイトルとは裏腹にサビで弾かれるギターがじんわりと染み渡る③、楽曲自体はまあまあですが、ソロがかっこいい雰囲気がある。タイトルコールの後ギターのガッガガガッてのが特徴的④、ポップスリスナーにも通用する皆んなで歌えるアンセム。ボーカルが完全に主役で、なんとソロがありません⑤、悪ガキ系夜のハードロック。キャッチーでもう2コーラス目から歌えそう。絶対盛り上がるでしょね⑥、「賢くなるために歳を取る必要はない」って意味深なタイトル。ギターソロ以外あまり面白くない⑦、Ianのベースから薄いギターがレゲェ調で刻まれるイントロは意外な方向性ですがそれ以降はヘヴィ。ちょっとオシャレなソロが良いかも⑧、ひたすらリフ。イマイチ特徴の無い歌とかなり前の方でソロがある変わった⑨と、熱狂的なファンの方々から「ヘヴィメタルの名盤」かもしれませんが、全曲名曲って感じでは無いですかね...個人的に。①②⑤⑥は良く、意外な⑧は面白い。③は癒し系。

Dave Hollandはテクニシャンではありませんが、このバンドにフィットしたドラミングをしていたと思います。バンド側もそれを思ってか、流動的だったドラマーの座にDaveが約10年間も在籍することになります。

【My Top 3 Tune】
・Breaking the Law
・United
・Living After Midnight

68 /100点
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●07.Point of Entry (1981)


point of entry

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu,Keyboard on #10)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr)

ブリティッシュバンドとしてイマイチアメリカで売れ切れないJudas Priest。アメリカをメインターゲットに絞り、無駄(?)な装飾を極限まで削ぎ落とした作品を作ろうと考えます。もちろん往年のファンがそんなことを望むはずがありません。

ライナーノーツではあのJP信者である伊藤政則が「彼等に派手さを求めるのは許して上げて欲しい」なんて殊勝なことを書いていました。

どんだけJPに甘いんだよ。

明らかに空気が変わっています。完全メロディ重視の短いソロもいい。軽快なハードロック①、非常にスカスカな演奏からみんなで歌えるコーラスへ。アメリカン成分が高めのソロあり②、ややメタルっぽい刻み。ファンキーソロも悪くないです。比較的従来のJPっぽい楽曲の③、軽めのギターリフが楽曲に芯を通しています。アメリカンロックな感じ④、夜のロックって感じ。ドラミングが結構凝っています⑤、柔らかなサビメロでマッタリ気味な楽曲。悪くないです⑥、Beatlesの楽曲を思い出すタイトル。ポップでみんなで歌えちゃう⑦、もろロックンロール。ライブでも盛り上がりそうな気がする⑧、ルーズなソロがいいじゃないでしょうか⑨、イントロのギターは売れそうな感じ。これもロックンロール。ただ歌メロやギター関連はなかなか悪くない⑩、と、アメリカはかつて世界一のマーケットなんて言われていましたが、実際はかなり偏屈なマーケットな気がしてきちゃいますね。

Judas Priestレベルのネームバリューがあったとしても、やはり当時のアメリカで売れるには音楽性を擦り寄せていくしか手がありませんでした。JPにここまでさせるなんて罪な国だぜアメリカ!

その結果アメリカでも売り切れず、本国イギリスでも「らしくない」と評価も売り上げもイマイチな形で幕を下ろしました。

にしても伊藤政則は次の作品のライナーノーツで「これぞJP!復讐の叫びだ!」みたいなこと書いて、結局手のひら返してて笑った。ライナー書く人間に客観性が無いとこうなっちゃうのね。

私は毎回同じようなヘヴィメタル路線ではなく、たまにはこういう作風もアリではないかと思います。一応ロックの範疇ですしね。

まあこの毒にも薬にもならない路線で進んだら…私は聞きませんけど。出来が悪いとは全然思いませんが、私の好みではないですね。

【My Top 3 Tune】
・Heading Out to the Highway
・Hot Rockin'
・You Say Yes

40 /100点
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●08.Screaming for Vengeance (1982)


screaming for vengeance

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr)

JPらしさを極限まで削ぎ落した前作でアメリカ市場に爪痕を残すことに成功したJP。後は「もうやりたいことやろう」なんて話し合いをしたのかは、ファンには分かりません。

ヘヴィメタル界を代表するイントロ。前作しか聴いたことがない人が聞いたら「何事!?」と驚愕するであろう①、前イントロと切り離すことは不可能な楽曲。ソロがカッコいい。全編エフェクターのRobも感電してるみたいで曲に掛けているのか②、忙しないドラムからRainbowライクなリフ。メタルというより、ロックンロールなノリの③、イントロ以外は割と普通な感じのミドル④、Bob Halligan, Jr.氏提供曲。Joe Lyn Tunnerとかやりそうな売れ線系ハードロックチューン⑤、SMチックなタイトルです。なのにブルースロック。凄く良いアクセントになっています⑥、違うんだけど、どうしても歌が入る前までがQueenのStone cold crazyが重なってしまう。タイトルトラックだけあって気合入ってます。Robのヒステリックな歌、ギターソロのハモリは最高な⑦、ややアメリカンを感じる。リズムもかなりノってるし、歌メロも小洒落てます。ハードロックとロックンロールの中間的。Turboを感じた⑧、バラード調に静かに始まりますが、途中からハードロックに。ブリッジはメロディアス、サビはちょっと脱力。ハモリソロも変わってて良い⑨、ちょっとSince You've Been Goneっぽいリフ。ハイトーンのサビがファンキー。まさに彼等のハードロックな⑩と、JPは元々ハードロック/ヘヴィメタルバンドですが、より現代のヘヴィメタルに則った形式へと進化しています。

若手に大きな影響を与えたのが容易に想像できる作品に仕上がっていますね。特に①②で度肝を抜かれた若者は多そう。また同じようなこと言いますが全曲名曲ってわけではないんですが、メタルシーンから切っても切ることが出来ない作品なのは分かります。

ライナーノーツ曰く「自分らしさを捨ててアメリカで成功を納め、これが本当の俺達だとアメリカに向けた復讐の叫び」だそうですが、確かに前後の流れを考えるとその通りな気がしてきますね。

また音楽とは関係ありませんが、RobがFreddie Mercuryの世界観に到達したとか、そんなことが書かれていました。2人共同じ方向性ですものね。⑥とか如何にもこの方達が好きそう。

【My Top 3 Tune】
・The Hellion
・(Take These)Chains
・Screaming for Vengeance

76 /100点
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●09.Defenders of the Faith (1984)


defenders of the faith

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr)

前作で現代的ヘヴィメタルへの方向を明示的に示したJP。アメリカでも無事に売れたらしく、益々勢いに乗っていた時期ですね。

相変わらずライナーノーツの内容は薄いです。

1発目から裏打ち。歌メロもよく出来てるし、ギターソロも素晴らしい①、哀愁の歌メロに悶絶昇天ソロが搭載された②、リフが美味しい。みんなで歌えるコーラスを入っています。長いソロも文句無しにカッケー③、私にはタイトルでもうX MENを連想してしまう。その昔Heaven's Gateもカバーしていた楽曲。彼等のベストソングに必ず上がり、1〜3位を行き交う人気曲。ライナー曰く元々インストルメンタルを想定していたそうです④、独特のメロディで一度聴いたら忘れそうにないコーラス。今思うと次作の布石に思えなくもない⑤、メタルの重さとロックンロールの軽快さが混じった感じで、ザクザクリフにRobの暗めの歌が続きます。収録されたアルバムのせいで目立たないかも⑥、2回目のBob Halligan, Jr.氏提供曲。タイトルの言い方がちょっと変わっていて耳に残ります。ソロも決まってる⑦、タイトル通りのややアダルティックな雰囲気。ギターも歌メロも絶品。もっと目立ってもおかしくない⑧、2分半弱の短いミドルチューン。次曲の前奏的な⑨、ビックなコーラス?が延々と繰り返される。ちょっとアルバムタイトルにあるFaith=信仰を意識した⑩と、まさにJPのキャリア頂点だと個人的に感じている作品。前半攻めまくり、後半は聴かせるような構成を取っています。今後のメタルの教科書のような曲順。

本作をフェイバリット作品に挙げるメタラーは多いでしょうし、私もそう思います。

【My Top 3 Tune】
・FreeWheel Burning
・Jawbreaker
・Rock Hard Ride Free

82 /100点
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●10.Turbo (1986)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu, Gu Synth)
Glenn Tipton (Gu, Gu Synth)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr)

前作でメタル界に残る作品を作ったJP。次もかましてくれるのか?なんて思っていたファンも多かったでしょう。

結論から言うと、シンセサイザーギターが導入された異色作となりました。JP側ももっとリスナーを広げようと試行錯誤した結果なのでしょう。

脱力気味の低音ヴァースから平坦気味ながら軽快に進む①、いつものJP的リフですが、すんごいポップスなブリッジ。それでいてインギーっぽいスウィープ。女性らしきバックコーラスが時代を感じさせますが、それが逆に良い!いやぁ、グッジョブな②、アリーナロック的。ライブでみんなで歌える③、これもスクールロックのような明るさ。当時のアメリカンロックってこんな感じなんでしょうね。ソロ前の低いメロディも大好きです④、メタルっぽいリフかと思いきや、なんともポップに。ロックンロールですね。サビが非常に明るくメロディアス。最高じゃないですか⑤、イントロでギターシンセ(キーボード?)効いてます。このアルバムの中では全体的にややシリアス目な雰囲気のミドルチューン⑥、いきなりスクリームで歌うのは久しぶりな気がしてきます。LAメタル的で、ビックなコーラスを備えています。これもエリーナロックと言えます⑦、いきなりギターシンセ全開。ブリッジの歌メロがかっこいい。ソロのハモリが絶品ですな⑧、リフ、リードギター、歌メロ、ソロ、完全無欠なポップロック。これ駄曲って方は単に合わないだけな気がします⑨と、明らかに一般層狙いに行っています。当時のトレンドを取り入れ、ポップスリスナーでも普通に聴けると思います。やや演奏が重めだったりしますが、フォーマットがメタルバンドなので理解してくれると思います。

ただ全体的にポップになったので内容云々ではなく、作風で批判されている方も多いのも事実。確かに「Defenders of the Faith」の後がこれかよと...、肩を落としたファンもいると思います。

まあ後追いファン目線から言うのなら、これはこれで凄く良いじゃないですか。ポップになったとかギターシンセがどうとか気にならない楽曲クオリティ優先の方にはとても出来の良い作品だと思います。

何か新しい風を入れたかったのか導入されたギターシンセもバッチリ効いていて音色が豊かになっておりますしね。

正統派ファンからすると「なんだこりゃ!ポップ過ぎる!」なんて思うでしょう。個人的には凄く面白い試みですし、クオリティも申し分無いので「Point of Entry」より遥かに成功した作品だと私は思いますよ。

【My Top 3 Tune】
・Locked In
・Rock You All Around World
・Reckless

75 /100点
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●11.Ram It Down (1988)


ram it down

メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu, Gu Synth)
Ian Hill (Ba)
Dave Holland (Dr)

前作は主に一般曹へのアピールを意識して作られた作品でした。内容的には私としては斬新で非常に良いものだと思いましたが、ピュアメタラーにはあまりウケが良くなかったそうです。

しかしバンド側は更なる冒険をしようとしたのか、Stock Aitken Watermanなる毛色が違ったプロデューサーを迎えて作品を作ろうとしました。結局頓挫したわけで、いつものTom Allomがプロデュース。

スクリームからスタート。キャッチーでみんなで歌えるサビ、若干クラシックぽい部分のあるソロ、ソロ前の歌メロが爽やかで良い。強烈な一発目で掴みはOK①、超シンプルなタイトル。Van HalenのEruption的速弾きからスタート。一瞬#1のソロと同じ感じになる。タイトルの割には歌メロがややモダンな気がする②、当時の流行りだったTake me on的なノリを感じる。電子ドラムっぽいからもあるけど。前作っぽい③、シンプルなリフに冒頭からリードソロが炸裂。如何にも悪そうなロックンロール風。派手だけど存在感薄めな④、曰く「スピードスラッシュメタル」。疾走感はもちろん、爽やかさ溢れる歌メロの良曲⑤、冒頭のRobの素晴らしいほぼ独唱から、全然関係無いかのようなヘヴィメタルに。8分近いのに感じさせない良曲⑥、そのまんまなタイトル。歌メロといいリフといい、大好きです。しかのキメリフを冒頭は出さないという焦らしっぷり。フェードアウトなのが惜しい⑦、一気にアメリカンロックンロールに。ただ流れとしては非常に面白いと思います。原曲知らなかったんでこの際聴いてみたんですが、全然別の曲と化していますね。元々はサントラ用に録音された⑧、速いのか遅いのかよく分からん作りが変わってる。後半テンション上がるのが好きな人多そうな⑨、ロックの怪物。ヘヴィなリズムとギター。Robもずっと重々しく歌っております。聴いていて息苦しくなる⑩と、9thのDefenders of the Faithに次ぐ完成度を誇っていると思います。バラエティがとても豊。シンセサイザーギターも前作同様使われており、音色も豊。

ただ残念なのが一部(全部?)の楽曲ではドラムマシーンが使われていると思われる点。①なんて無機質で軽い。どうもJPはドラムに関して軽視しているのではないかと思う瞬間があるんですよね。多分気のせいだと思いますけど。

【My Top 3 Tune】
・Ram It Down
・Hard as Iron
・I'm Rocker

80 /100点
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●12.Painkiller (1990)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (not play Ba)
Scott Travis (Dr) ←新加入

Guest
Don Airey (Keyboard on #8, Minimoog bass on All)

長年ドラマーを務めたDave Holandが脱退。彼はこのバンドにフィットしていたドラマーなので、不安になったファンも居たのでは?

新ドラマーはScott Travis当時26歳。若さとアグレッションを備えたツーバスドラミングはバンドに新たなる方向性を提示したことでしょう。まさかのアグレッシブの一つの極地であるスラッシュメタルの影響を受けた作品に挑戦をします。

新メンバーScotの有名過ぎるツーバスドラムフレーズからスクリームで歌い続けるRob。ソロも超良い。破壊力抜群な①、最初のストロークではビビッときます。歌メロもソロも良い②、いきなり超音波。かなりいい感じにスピード上げてますが、サビがヴァースとあまり変わらない感じ③、痙攣リフから走ります。カッケー。ただScotがツーバス踏みっぱなしでこのバンドらしくない気がする④、フリースタイルのギターソロからブルータルに裏打ち疾走。サビはみんなで歌える。ヘヴィ過ぎる攻めの⑤、重心低く進んでいくJPらしいアップテンポ。中間部で静かになる語りパートが新しい⑥、これも走ってる。ソロ前にダークな展開が好きかな。ソロ自体もいい⑦、旋律より効果音的にゲストキーボーディストをフューチャーしたミドルチューン。歌メロが良いし、ソロも聴かせる感じに弾いてる⑧、タイトルがカッコいいんですが、内容はラスト前の短いインスト。叙情的なギター独奏の⑨、いきなりオープニングソロからスタート。歌の合間に挟まるギターがイチイチカッケー⑩と、JPにしては唯一と言っていい程アップテンポな楽曲が多い。2曲以外走ってます。かなりマジで、怒りすら感じる作風です。

本作はメガヒットし、メタル界では本作はJPの代表作として扱われています。私もクオリティが高いのは認めます。

しかし彼らの音楽としてはヘヴィ過ぎる気がしますね。defendersを勝手に基準に考えますが、どちらかといえば、Point of Entry、Turbo(Ram it Downも?)後のJugulator、Demolition、Nostradamousと並んで語られる異色作の部類。

異論は多いと思いますが、典型的JPサウンドかと言われると首を傾げるのは理解出来る方もいるのではないでしょうか。

あとジャケットが北斗の拳的世界観で好き。


そしてソロ活動での活動をしたいRobとバンドが揉め、Robは1992年に脱退をしてしまいます。

【My Top 3 Tune】
・Painkiller
・Night Crawler
・A Touch of Evil

78 /100点
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●13.Jugulator (1997)


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メンツ
Tim "Ripper" Owens (Vo) ←新加入
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

衝撃のRob脱退から5年。新ボーカルのTim "Ripper" Owensが電撃加入。私はJPの歴史に余り詳しくありませんが、Timの加入劇には比較的語れることがあります。なぜなら私のJPデビュー作(苦笑)

この出来事に「有名バンドの新ボーカルに抜擢されてスターになった無名のボーカリスト」を映画にした「Rock Star」がアメリカで作製されることになりました(未観)。

まさに変な言い方ですがアメリカンドリームが大好きなアメリカが好みそうな内容ですね。

ちなみに映画タイトルは「メタルゴッド」にしようとしていたそうですが、メタルゴッドはなんとRob個人が商標登録していて、JP側からもNGが出たため無関係の内容に変更されました。

何処ぞの工場音から重々しい語り、突如として刻まれるツーバスドラム。そして切り裂くようなスクリーム。キャッチーさとは無縁の①、ミドルテンポでジリジリ追い詰めてくる圧力が凄い。サビも一応存在します②、縦ノリなミドル。歌メロはサビでようやく少しメロディが出てくる。断片的に走ったりします。にしてもタイトルが「死肉」って...③、電子音から力押しのTimのボーカルで、サビは意外にキャッチー④、不協和音から重苦しい演奏と歌。面白くない⑤、演奏薄めでTimの声がよく聴こえます。ちょっとだけリズムを感じるビート。つまらないですけど、サビは少しだけメロディがある⑥、不穏なギターとサイレン音から超ヘヴィなリフ。ソロから走るのは不要な演出ですね。Judas Priestとして聴かなければ個人的に好みな⑦、荒涼としたギターとTimから始まりますが、一瞬でヘヴィに。少しだけエモーショナルな展開がある⑧、ヴァースで溜めてサビで走る。結構な佳曲なんですが、収録されたアルバムが悪かった。この位置じゃ耳に届く前に往年のファンでも聴くのを止めているでしょう⑨、長めのヘヴィナンバーですが、サビメロが非常にメロディアス。ここに来てようやく本格的に耳に残る叙情的なメロディが出てきました。徐々に上がっていく感じがタイトルっぽくて良いじゃないですか⑩と、当時トレンドだったモダンヘヴィネスを組み込み「目指せPainkillerを超えるヘヴィネス!」なテンションで曲を形にした感はあります。

私は元々モダンヘヴィネスを好む人間なのでブルータルなのは問題無いんですが、歌メロも、ギターソロもメロディもJPらしさがあまりに希薄。Painkillerが「ブルータルとの融合」という意味では彼らの限界点だった気がします。それ以上はらしさを喪失してしまうと。本作はScottが実に生き生きしているのが分かります。しかし彼の活躍の場が増えれば増える程、JPらしさが失われていく気がするんですよね。

⑨⑩は良いんですけどね。今回聴き直してみて、やはり完全な駄作と切り捨てるほど酷くは無いと思いましたし。

ちなみに後年Timは「Robが歌っていたらJugulatorは名盤になっていた」的なことを口にしていましたが、あの内容ならまず名盤になることは無いです。Glen & K.K製の歌メロをRobが一から作り直すならまだ分かりませんが、単にTimの歌をなぞっただけじゃ結果は変わりません。本作はTimは楽曲作製には関わっておりませんので、歌メロがどうこうをTimに言うのは間違いですね。ただオリジナルメンバー信奉者はRobが歌っているだけで絶賛するかも。


結果だけ見ると、本作は結果的に失敗作の烙印を押されてしまいました。

思うにバンド側とファン側に意識の違いがあったと思います。

多分バンド側は「これまでの続き」のつもりで作ったのだと思います。強靭なボーカルも入ったし、Painkillerを超えるアグレッシブな作品を作ろうと考えたわけでして。

ただファンからしたら「JPの新章だ。これぞJP的な作品を作ってほしい」とパブリックイメージ的作風を求めていたのではないかと。

ここでAngel of RetributionがリリースされたらここまでTimは酷評されなかったと思います。これまでの続きなのか、新しい門出なのか、ここがズレていた気が、今ではしています。勝手な憶測ですけど。

【My Top 3 Tune】
・Jugulator
・Bullet Train
・Cathedral Spires

53 /100点
---------

 

●14.Demolition (2001)


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メンツ
Tim "Ripper" Owens (Vo)
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

Guest
Don Airey (Keyboard)

Tim加入後第2作目。前作はシンガー云々の問題ではなく、音楽性と楽曲が昔ながらのJPファンにとってあまりにミスマッチでした。ボーカル重視のファンからは「RobのいないJPはJPじゃねぇよ!」とソッポを向かれ、ファンも減って工業的に縮小してしまう結果に。

そこでバンドのブレインであるGlennはヘヴィにし過ぎた前作を反省してかメロディを導入し、更に流行りのモダンヘヴィネス成分を取り入れてまた新しいスタイルでアルバム制作に臨みました。

なお今回もTimは楽曲には関わっていません。GlennとK.Kに敬意を払ってのことだそうです。

マシーナリーに表打ちで叩かれるドラム。無感情な一風変わった曲が作れている。多分当時JP最速①、電子音が乱れ飛ぶイントロからヘヴィでリズミックなミドルチューン。ドスの効いたTimのボーカルが彼らしくていい。サビでは合唱できそうな②、冒頭は荒廃した世界で風に吹かれて歌っているかのような情景。そこからヘヴィに。ただサビメロは冒頭のメロディなので哀愁は維持。時折悲鳴のような荒々しい声はTimじゃなきゃできませんね③、最初と最後に表打ちで走りますが、それ以外はシンセ(ギターシンセ?)を大胆に導入したミドル。歌メロは一般ウケしなそうですが悪くないと思う④、叙情的なイントロ。ヴァースは速めですがサビでスローになるバラード調の楽曲。Timの中低音の魅力が生かされてる⑤、重く、効果音も取り入れている。この曲ダメな正統派メタルファン多そう。モダンでダウナーでハッキリしないメロディライン。モダンヘヴィネスやニューメタルも好きな私のようなリスナー向け⑥、チリチリした長いイントロからヘヴィリフ。概ねアップテンポ。サビでは部分的にハイトーンも登場。Slayer的なノイズと化したソロからちょっと聴かせるパートが生きています⑦、基本歌メロは良いと思います。曲構成もモダンな感じ。デス声に迫る「イン、ビィットゥイイイン!!」の咆哮は脱帽⑧、これは昔のJPファンでも聴けると思うんですよね。メロディアスですし。リフと雰囲気はモダンですが。メロディアスじゃないピロピロが逆に合っている⑨、デジタルチックな作り。ダンサンブルとも言える。ギターが合いの手で入るのがいいですね。サビは極太で剛健そのもの⑩、低音過多の作品において若干カントリー風味すら感じる悲しくも爽やかめな歌メロが光るバラード。ソロはツインギターでメロディアスに決めています。このソロ良くない?⑪、恐らくJPで唯一Scottが作曲に関わった楽曲。重くシンプルなヘヴィリフにエフェクター掛けて脱力したTimの歌。ブリッジでは荒々しいハイトーンを使っています。サビはダウナー。これ正統派の方は苦手だろうな…⑫、ラップを取り入れております。リフも含めてキッチリニューメタル。しかしブリッジ以降はメロディアスな歌メロではありませんか。ちょっと中東っぽい雰囲気があるパートもあります。この曲にメタルメサイアってタイトル付けちゃうのが凄い。今のPriestで演奏しても盛り上がると思うんだけど…⑬、ボートラにして唯一Timが作曲に関わった楽曲。これもリズミカルなリフ。ストリート系っぽさすらあります。Timって本当は正統派じゃなくてギャング系の悪メタル的なものの方が合っているのでは?⑭と、時代を取り入れようと努力を感じる作りとなっています。新規ファンがどれくらい着いたのかは知りませんけど、ただ迫力のない音質、ジャケットが酷い、Timの謎のハイトーン封印、メロディの薄いギターソロ、古参が嫌いな音楽要素が混入されていて正統派が好きなファンにウケるはずがありません。せめて音質が良かったら印象も大分変わったと思うんですけど…惜しい。

ファンの絶対数と売り上げが減り、バンドもマネージメントも相当な焦りがあったでしょう。

そこに雪解けムードなバンドとRob。JPはTimを脱退させ、Robを再加入させる運びとなります。というかRob復帰前にTimは脱退していた話もありますね。

これだけRobのボーカル期間が長いと、しっくりと馴染むのは難しいです。加えてRobのショウマンシップ、歌メロ製作能力の才能の差を埋めるのは、これまでローカルバンドでカバーを歌っていたレベルのTimには実質不可能でした。

前任者が亡くなってしまった等であればファンの見方も多少優しくなるでしょうが、あろうことかRobが同系統のメタルバンド「Halford」なんて結成しちゃったものですから余計に風当たりも強くなるはずです。

特にボーカリストはやはりバンドの顔なので、他のメンバーが変わるのとでは訳が違います。Robが居ないとJPトリビュートバンドと看做され、現在はK.K.、GlennがステージにいないのにJPが表立った翳りが見えません。そこは日本も海外も共通の感覚なのだと思います。


なので結果だけで言ったら「無名ボーカルに有名バンドを盛り上げるのは荷が重く、脱退したボーカリストが元の鞘に納まる」映画を後日談的に作るべきではないでしょうか?なんて酷いこと言ってみる。

私はTim擁護派の人間ですが、結局現実はこれなんだと描くのはある意味ドラマティックなことではないでしょうか。

K.K.'s Priestなんてやってないで新しい才能達と凄いバンドを作って、「Timといったらこれ!」的な自身の名刺を作って欲しいです。

Beyond the Fearは...聴いたことありませんが、全然メタル界でも話題に上がらないので、そういうことなのでしょう。


そしてこれを書くため改めて本作を聴き直しました。

やはり個人的に全ッ然!駄作じゃねぇだろコレ!モダンヘヴィネス、ニューメタルが好きな自分からしたらかなり聴ける内容です。正直、酷評している方々に「本当にちゃんと聴いた?Robが歌っていないとか、音楽性が肌に合わないとかで毛嫌いしているだけじゃない?」と思ってすらいます。ただ…典型的JPファンにとってキツイ内容なのは間違いないですねェ…。

【My Top 3 Tune】
・Machine Man
・Close To You
・Metal Messiah

60 /100点
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●15.Angel of Retribution (2005)


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メンツ
Rob Halford (Vo) ←復帰
K. K. Downing (Gu)
Glenn Tipton (Gu)
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

Guest
Don Airey (Keyboard)

前作でバンド側はTimに見切りをつけ、和解したRobを再加入させます。

これにより再び工業的に大盛り上がり。Timがどうこうではなく、RobでないJPに鬱憤が溜まっていたファンが相当いました。Blaze Bayのように復活の出汁に使われてしまったといえば言葉が悪いかもしれませんが、結果的にはその通りになってしまう事態に。

復活作ということで、1曲目のタイトルがまだまだ登っていくぜな決意表明に感じるミドルチューン①、非常にキャッチーなサビメロに悶絶ギターソロのあるJPなスピードナンバー②、気怠めなコーラスを備えたミドルチューン。これは前作を通ったから出来た楽曲ですね。後半はコーラスをばむく高音連発③、リズム隊からスタート。一瞬John Bon Joviの声だと思ってしまった。ギターも歌もThe 哀愁。個人的にかなり好きな④、本作で1番ヘヴィ。どちらかといえば前作、前々作の流れの楽曲。ソロになってから雰囲気が変わります。一瞬だけ凄く閃きを感じる⑤、速めのミドルチューン。ロックンロールなグルーヴを感じる⑥、いきなり泣きのギターとRobの情感たっぷりな歌声。バンドも加わり文句無し泣きのバラード⑦、ライダーなんてPainkillerを思い起こさせます。ギター2人が弾きまくりですが、ボーカルのテンションが低い。ダウナーなPainkiller?⑧、次曲のインタールード。Donのキーボードが効いた物語の後日談的雰囲気は素晴らしい。これ単曲でラストの締めにも使えると思う⑨、12分の大作、ネス湖。歌メロが良く出来ていてそこまで長さを感じさせない⑩と、昔からの音楽性と現代の音楽性が入り混じった作品になっています。エネルギッシュな歌と演奏をかなりの良音で聴けます。大傑作!という感じではありませんが、前作からの流れを考えたら流石メタル更生人Roy Zの面目躍如。

再びJPの人気は爆発したのでした。

なんせUSチャート13位。前作は165位。

音楽どうこうは置いておき、RobがJudas Priestに居ることが重要なんでしょうね。Slipknotも結局リードボーカルのCoreyが圧倒的に人気があり、ラルク大好き芸人でも話題の9割はhydeでした。そういうことなのでしょう。

いや実際口にした訳ではなく、数字がそれを物語っていると。

【My Top 3 Tune】
・Deal with the Devil
・Worth Fighting For
・Loch Ness

63 /100点
---------

 

●16.Nostradamus (2008)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
K. K. Downing (Gu、Gu Synth)
Glenn Tipton (Gu、Gu Synth)
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

Guest
Don Airey (Keyboard)
Pete Whitfield (Strings)

ツアー中にJPのマネージャーがコンセプトアルバムの提案をし、メンバーがそれに乗っかる形で作成された異色作。

内容はまさかの世紀末大予言のノストラダムス!

ファンの中にも「今更ノストラダムスかよ!」なんて声が上がりましたし、私もその点では同感でしたね。大予言が外れた2008年、この人をどうやって掘り下げるっていうんですか...。

インタールード9曲、楽曲14曲の計23曲の超大作でノストラダムスを語ります。歌詞はちゃんと読んでいませんがタイトルで察します。

ドラマティックさをより強調するためにオーケストラの導入を決めます。既に世界的に人気のバンドでメンバーもいい歳なのに、この挑戦心はなんなんでしょうね。

Donのキーボードとオーケストレーションが悲劇性と神秘性を彩るインタールード①、ノストラダムス劇場の開幕。ギターリフと同じメロディを使った結構強烈なサビ「I am Nostradamus!」ですよ。ソロの後半のハモリが美味しい。ミドルチューンなのが「焦るな。まだ始まったばかりだぜ。」的な感じで好き②、ギターのクリーントーンとRobの朗々とした歌声によるインタールード。ちゃんと曲になってる気もする③、リフがいきなりキマってます。割と速めのミドルチューン。途切れ途切れのヴァースにやや平坦目のサビが結構マッチしています。ややスパニッシュ風アコギからいかにもJPなソロが展開されます。7分と長めですが、無駄な箇所が思いつかない④、チャーチオルガン風の音色にRobが低音で歌う。後半はクワイアのインタルード⑤、前曲が無関係に感じる流れです。こういう特殊な作品でなければ作られなかったであろう形態の楽曲。中間部では戦争の効果音にScottのマーチング。全編壮大な展開が貫かれる⑥、またまたクリーントーンとRob。時の砂ってよく他のバンドでもタイトルに使います。次曲のリフが薄らと使われたインタールード⑦、ペスト流行。オーケストラリフ?これも速めのミドル。ソロ後のオペラ風展開はこの作品ならではでしょう。悲劇的なメロディで終曲するのも見事。個人的に本作でかなりきっちりオーケストラと融合した楽曲だと思う⑧、嫁と子供が亡くなってしまったため、タイトルは死且つダウナー。Robの怒りを表現しているような濁声がデスボイスにすら聴こえてくる。更にソロもノイズのように荒れております。コーラスパートの荘厳さが凄いし、それに触発されてRobの声も神々しい。最後の方にテンポアップしますが、そこは要らなかったかも…⑨、クリーントーンとオーケストラ、そこに呟くように歌うRob。インタールードですが、イントロとして扱っても良さそうな⑩、これもクワイアと合わさる歌メロがいいし、合間合間に入るギターもイカすわ。ソロになるとヘヴィメタルなトーンになるのが逆にいい⑪、オーケストラとGlenのギター&Robの歌のみで構成されるバラード。クリーントーンだけで進められるのにソロになるとディストーション掛けてメタルっぽいトーンを出します。このソロはフレーズもトーンも絶品。Glennスゲーな⑫、迫害とのことで、ノストラダムスが追いやられているシーンですかね。故にアップテンポに攻める楽曲。畳み掛けるボーカルにGlenn&K.K.コンビのピロピロが炸裂しまくっております。前半のラスト⑬、後半開始。シリアスなインタルード。あまり楽曲的ではない⑭、ドラムとオーケストラだけでスタート。悲壮感溢れる展開が只管続いていきます。ピアノ、断片的なギター。ドラムとオーケストラだけが絶え間なく流れ続ける演出の発想が凄い⑮、家族がいなくなってしまい、独り。オープニングにギターの独奏から重厚なミドルチューン。サビメロが非常に覚えやすいです。ライブで演奏はされませんでしたが。Robのこの時点での逃げも隠れもしない小細工無しのハイトーンが出てきます⑯、アコギとピアノでしっとり。Robも力を抜いて歌っているインタルード⑰、これも地味な感じですがよく出来たミドルチューン。「Only time will~」の歌メロが好きすぎる⑱、天国へ行ってしまった情景描写にしか思えない昇天インタルード。ヘヴンだねぇ…⑲、前曲に引き続き天国チューン。悲しくも救いを感じるサビがたまらんバラード。ヘヴィさ全排除しても良かった気がしますが⑳、ホワンホワンしたギターから唐突に悲劇的になるインタルード㉑、タイトルトラック。「パヴァロッティのように」を実践したかのようなRobの独唱とオーケストラからバンドが切り込んできます。歌メロもソロもお見事な㉒、人類の未来。ラストはバラードかと思いきや、ミドルチューン。ブリッジで演奏が薄くなるのが非常に効果的。ちょっとネオクラ臭するギターフレーズも出てきます。最後はピアノだけになるのも技アリ㉓と、オーケストラとインタールードがあるだけで至ってJP。少なくとも大きく外れたことやっている感じではありません。Point of Entryほど極端でもない。

JPらしくないと語っているリスナーは何が不満なのだろうか...。これが嫌いな人はオーケストラサウンドが嫌いか、個人的にノストラダムス本人が嫌いな人なんでしょうか?

一つの意見ですが某音楽掲示板にあった不満として「速い曲が無い」が多かったです。

「あんじゃん2曲!」と声を荒げたくなりましたよ。JPはメロスピバンドじゃねぇ!そこを減点対象にするのは流石にナンセンスですよ。

私としては異色作、問題作と語られるのは納得しますが、駄作と言われるのは賛同できませんわ。

あと生オケだと思っていたんですが、クレジットには個人名があるだけ。この人が全てストリングスを弾いたとは考え辛いので、やはりコンピュータで作ったオーケストラでしょう。彼等の記念碑にもなるので、ケチらずちゃんとした楽団にお願いして欲しかった気もします。

【My Top 3 Tune】
・Revelations
・Pestilence and Plague
・Nostradamus

70 /100点
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●17.Redeemer of Souls (2014)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
Glenn Tipton (Gu)
Richie Faulkner (Gu) ←新加入
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

2011年、最後のワールドツアー「エピタフ」の開始が告げられました。JPの"最後"の冠詞を付けたワールドツアー、そりゃ世界各国からオファーがあったことでしょう。

あまりのライブ数に疲弊したK.K.がまさかの脱退を申し出ます。Ianと共にJPのオリジナルメンバーとして活動してきたK.K.。ファンはさぞ驚愕したことでしょう。当時そこまでJPに思い入れが無かった私でも「え!?K.K.辞めんの!?」と思わず本屋で独り言を口にしました。

31歳の若手ギタリストRichie Faulknerが加入。もう一人のギタリルトであるGlennと約32歳差。親子並みの歳の差。Richieを加えエピタフをこなし切ったJP。いよいよ解散か...と思わせておき、なんと本作はリリースされました。

コチラを参照

更にJPは2015年に「最後のワールドツアー」宣言を事実上撤回。まだまだ現役でいる覚悟を決めます。K.K.?まあ、色々あるよね。

【My Top 3 Tune】
・Metalizer
・Battle Cry
・Beginning of the End

52 /100点
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●18.Firepower (2018)


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メンツ
Rob Halford (Vo)
Glenn Tipton (Gu)
Richie Faulkner (Gu)
Ian Hill (Ba)
Scott Travis (Dr)

この作品が発表される前後、Glennがパーキンソン病であることをバンドは発表します。ツアーはAndy Sneapが代役ギタリストの座に。この件に関してはK.K.と一悶着ありましたが、それはまたの機会に。

Glennは調子が良い日のみアンコールで姿を現すような形でツアーは進められました。Glennが観れたオーディエンスはラッキーですね。

毎回最後かと思いきや立ち上がってくる彼らの音楽に対する情熱は凄まじい。もう引退しても困らない蓄えはあるでしょうに。なおK.K.のビジネスは破産済み。

まあライナーノーツにもある通り、流石に終わりは近いでしょう。Robが折れたら終わりのはず。

コチラを参照

最近新作「Panic Attack」のリリースが発表されました。これが最後か!?いや、もう十分やってくれた気持ちで一杯です。

【My Top 3 Tune】
・Lightning Strike
・Necromancer
・Sea of Red

50 /100点
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