その青年は 母子家庭で育ちました
朝早くから夜遅くまで 休みの日も働く母親を見て育ちました
青年もアルバイトをし、家計を助けていました
やがて青年は学校を卒業し社会人となる頃、どうしても欲しい車がありました
その車はミニクーパー
青年はその愛くるしい旧型のミニを運転出来る日を夢見ていました
でも まだ社会人になったばかりで 車を買えるはずがありません
母親に頼めるはずもありません
青年の友人達は 親に車を買ってもらい 皆会えば車の話ばかりでした
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青年の母親は 息子がどんな車を欲しがっているか 知っていました
カーショップを調べ 問い合わせをしたり 一生懸命探し とうとう息子が欲しがっていたミニクーパーと出逢えたのです
母親は息子の喜ぶ顔を想い すぐに購入
息子へプレゼントしました
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青年は欲しかったミニクーパーが手に入り それはそれは天にも昇る気持ちでした
毎日磨き 整備し ミニとはいつしか一心同体となっていました
それからかなりの年月が経ちました
ミニは購入した時点でもかなり年式が古かった為 修理する部品も揃いにくくなり 手放さなければいけない時期に来ていました
青年は 弟のように可愛がっていたミニを手放せないでいました
青年の母親は 車が小さい為 もし事故をしてしまったら息子は大変な事になるとミニを見る度心配していました
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皆様は 車も心を持っているのをご存じでしょうか
ご主人様に大切にしてもらっている車はいつも綺麗で元気ですね
でも 車も自分が廃車になる時期を知っているのです
それでも尚ご主人様が手放せないで苦しんでいる時 車は自ら 廃車の道を選ぶ時があります
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ある日 青年は仕事の帰りに事故を起こしてしまいました
中央分離帯に激突し 青年は衝撃で車外に放り出されました
ミニは横転し大破
でもその時 ミニはとっさにフロントガラスを枠からはずし 青年を包み込みました
枠から離れ 全面にひびが入ったフロントガラスは 布の様に柔らかく そのお陰で青年は道路に叩きつけられましたが命を落とす事なく 外傷だけで済んだのです
ミニはレッカー移動
青年は救急車で病院へ
いつも一緒だった二人は離れ離れになってしまいました
事故後二日目 青年は怪我を押してミニに会いに行きました
廃車となったミニ
でも その顔は最高の車生を送れ 満足な顔をしていたのです
青年は溢れる涙を拭い ありがとうとミニに伝えました