お寺さんがお墓にお骨を納めた後 傘餅を頂いてお帰り下さいとの事でした
私達はお茶室に案内されますと テーブルの上に

お盆の上に乗りました平べったいうる餅 が置かれています

お寺さんがうる餅を除けられますと小持ちが沢山あります
するとお寺さんが


小餅を手際よく包丁でお遍路さんの形に作られ
皆さん
このお遍路さんは 故人です
皆さんが今 お体の悪いところがありましたら その部分をお餅おの遍路さんに合わせ ちぎって頂いて下さい 悪いところは故人が持って行って下さります
そう教えて下さりました
お身内の皆様は
九美ちゃんも 食べてね
そう言って私にまでお遍路さんをちぎらせて下さりました
私は既に完治していますが 手術の後遺症で苦しんだ部位 三カ所をちぎって頂きました
お餅のお遍路さんは綺麗に無くなり 後の小餅は当日中に頂くようにとの事でした

心休まる庭木
お餅を頂きながら
頬を伝う涙
人はこうして子孫に見守られ成仏していくのですね
傘餅は宗派により行わない所もあるとおっしゃりました
九美子家の宗派では行いません
満中陰
四十九日明けに傘餅を振る舞いますが この日は故人がお遍路さんのお姿になり 生前の歩まれた人生の裁判が執り行われ この日に天国へ行くか地獄へ行くかが下されるそうです
お寺さんのお話を 皆様とご一緒に聞かせて頂き 私はただただ おば様の笑顔だけを思っていました

優しかったおば様のご自宅の坪庭
草木に毎日優しく語られ 皆生き生きと育っていました
今は大家さんの元で管理され このお庭はもうありません
全ては私の思い出となりました
もう二度と手で触れる事は出来ません
これが、人が迎える人生の最終章なのですね
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