私はサラリーマン家庭に生まれ育ちました
毎月会社から父はお給料を頂く
会社は安心出来る親元
私は小さいながらに 父が勤める会社に対しましてはそんなイメージを持っておりました
そんなある日 父が勤めていた会社が倒産
まだ小さかった私は
父に毎日罵声を浴びせる母親が悪魔の様に見え 苦しい気持ちだった事を覚えています
父は実弟を頼り 再就職
やっと馴れた頃 オイルショックの為 またその会社が倒産
その会社からいくらかの退職金を頂き 父と父の弟さんは 会社を立ち上げる事となりました
父は設計 叔父は製造
後に父が発案し設計した機械は 繊維業界のお役に立つ等し その頃から私は父を尊敬し 父から全てを学びたいと思いました
名刺…
九美子 名刺は良い紙を選ぶんだよ
良い紙の名刺を貰った人はその名刺は捨てない
電話口での声は元気な明るい声を出すんだよ
目に見えない相手は 声で人物を判断するからね
字は汚くてもいいんだよ
人が読んだ時 綺麗に見えればいい
いつもわがままで不平不満ばかり言うお母さんを観てお前はどう思う？
あんな風になるなよ
良い見本だろ
人には嫌な気持ちを湧かせてはいけない
それは損だ
…
父はやがて取締役となり 大好きなクレー射撃を今は亡き錦之助さんと競ったり 優しく大きな人になり 人望も厚かったです
私は父の乱れた姿は一度も見た事もありませんでした
二度の倒産
協力するどころか 毎日暴言を投げつける妻をなだめ 私と兄を一生懸命育て 会社を大きくしていった父
私はその父の血を受け継ぎ 自分も今、自営の道を歩いています
会社から決まったお給料を頂くのではなく 自分で納得のいく仕事を考え実行する
もし父が倒産を経験していなければ 私は自営という発案には辿り着かなかったと思います
今でも 私の頭の中は 次に何をするかという考えで一杯です
その考えを 現実化し実行する 実行の後には必ず結果を出す
この流れには一切人の手を借りない
これが今の私の信条かも知れません
人と同じ事をしていてはいけない
人より先を見なさい
そう言って父は小学生の私にタイプライターを買ってくれ 指で文字を覚えなさい
と厳しく教えられました
父は未来を観ていたのですね
私はいつか必ず父を越えます
どうか皆様
その時の私の姿を 楽しみになさっていて下さいね
(^-^)