お父さんの心は 今どこにいるの？
お父さんの壊れてしまった体は もうすぐ完治するのよ
お医者様も病院のスタッフの皆様も ご高齢なのにと 本当に驚かれてました
誰もいない京都の実家
お台所にある包丁は 綺麗に研いであり
お部屋は整頓され 少しも乱れた所がない
ほとんど毎日 私に電話を下さっていたお父さん
「は～い お父さんだよ
九美子 何か変わった事はないか？ こちらは異常なし」
お父さん
母の世話でご自分の治療の為の病院へも行けず 体はしんどかったはずなのに ひとりで寂しかったはずなのに
一度も 帰って来てくれとは言わなかった
どうして 九美子 ちょっと帰ってきて 母の世話を代わってくれと言ってくれなかったの？
どうして おまえに会いたいと 言ってくれなかったの？
理由は分かっています
分かっていても お父さんの意識が戻ったら 問いたい…
お父さん
会いたいです 会ってお話がしたい
一緒に笑いたい
一緒にお食事に行きたい
危篤の連絡を受けた時 命あるだけでもいい 神様 父を助けて下さいと祈りながら帰りました
でも でも私は欲が出てしまう
お話がしたい！
お父さんの声が聞きたい！
まだ さよならをしていない
お父さんにありがとうも伝えていない
お父さん
会えますね あのいつもの優しい目で 私を見て下さりますね
その日が来るなら
私 どんな苦難も乗り越えて待ちます
命掛けても 待ちます
だから必ず 帰ってきてね
…