hinataさんのブログ
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機織り






いつからだろう
私の機織り機は
壊れてしまったらしい







言葉の糸も
手に入らないし









糸を織る技術も
忘れてしまった











カッタン













カッタン…











悲しい色の布しか
織ることができずにいた
あの頃






光の当たり具合で
多種多様に色を変える
温かい色の布を織っていた
あの頃









今はどの織り方も
忘れてしまった





糸はどうやって
作っていたんだっけ






涙や笑顔…
色んな感情から
作っていたんだっけ









思い出せるのは
あの時
あの瞬間に
織っていたときの
布の色と










カッタン










カッタン…












カッタン……













耳に残る
時間を刻む音だけ

贈り物






私は
深く暗い場所にいました




そこは
風も吹かず
光もなく
音もありませんでした





ただ時間だけが
過ぎていく中で
私は光に出逢いました





まるで暗闇に
一カ所だけ明るくなった
場所にいるような



そんな気分でした





光を見たのは
初めてで
戸惑ってしまったけど







しばらくすると
その暖かな
心地よさの中に
感情が芽生えました







ドキドキしたり






哀しくなったり






嬉しくなったり






切なくなったり…







忙しい感情です



そんな日々の中で
私は気付きました





光が射していた場所が

少しずつ
広がっていることに






時間が経つごとに
私の足元は
明るくなっていきました






ある日のことです


光の筋が
手のように
私のほうへ伸びてきました






私の手を
優しく握り
手の平に一粒の種を
落としました





その白い種を
初めて光が射した場所へ
埋めました




翌日には
かわいい芽を出し




私は自然と
笑顔を覚えました






その笑みを
養分にしているかのように


白い種から
生まれた芽は
どんどん成長していきました





背の高さと
同じくらいになった頃


私は再び
笑わなくなってしまいました




それと同時に
成長も止まりました





射す光の筋は段々と細くなり


日だまりもやがては
私が座るくらいの
範囲になってしまいました





温かな光に
慣れていたせいか


あの頃より
少しだけ明るくても






今の私には
とても寒くて暗くて

恐い場所へと
変わってしまいました





感情を持たなかったら






光を知らなかったら






この暗闇に慣れていたら







こんなに
恐い思いをしなかったのかな




私はまた
深く暗い場所に行こうと
光に背を向けました





歩こうとしたその時






なにかが聞こえてきました




聞いたことのない

優しい優しい音






目を向けると
白い大きな花が
咲いていました






花は歌います





“手を差し延べてごらん”-と








私の目から
たくさんの水が零れ
白い花から
たくさんの種が落ちました



そして
空に手を差し延べると






光の粒が
そこら一面に
散らばりました




あっという間に
暗い場所は
明るく美しい世界へと
変わりました






私はその世界を
形に残して
光に見せたくなりました





私を変えてくれた光に










あなたに



いつか約束した世界を
曇りのない想いと一緒に