昨日、ひなたは泣きながら帰宅しました。

学校から帰っているときに、ある6年生から、

「あ、男か女か分からないやつだ!」

と言われたからです。

ひなたは怒鳴り返し、近くにいた他の6年生も、

「あいつ酷いな」「○○はダメなやつだ」

と、ひなたの味方をしてくれたのですが、嫌がらせを言った本人は逃げてしまい、ひなたは帰り道に涙が出てきたのでした。

ひなたは自分の身体の性別に、強い違和感を感じ続けていて、自分の体が女だということを思い出すことがとてもつらいのです。3年生の時に自分ではっきりと自覚して、傷つき苦しんだことから、学校でカミングアウトをしているので、そのことは全校生徒が知っています。


私はすぐに学校に電話して、担任の先生にひなたの話を聞いてもらいました。次の日の朝に、嫌がらせを言った本人に話をするということになりました。ひなたの通う○○小学校は、きちんと対応してくれます。ひなたのことも、他の子に対しても、そのような発言をすることは良くないことだと理解されています。


「○○小学校では、『男だから女だから』と言うのは禁止になりました。」担任の先生は前にひなたがからかわれたときもきっぱりと言ってくれたそうです。


その時のからかいとは、あるクラスメイトが、

「男子だけでドッヂボールしたいからひなたは入れない。」と言ったというもので、ひなたは、「トランスジェンダーだよ!」と言い返したというものでした。他の子は入っていいと言ったのでドッヂボールはしましたが、その子のことは先生に伝えています。

次の日、ひなたは先生の立ち合いで、その子に「傷つくから言わないで」と言い、その子はそうとう叱られてたようで目を赤くして謝ったそうですが、もう大概で、その子はこれが初めてではありません。何度もありました。しかも、その子はかつてひなたが仲良かった子でした。今はその子のことは信用できないと言っています。ひなたが3月の全校生徒へのカミングアウトで、

「女と言われたら死にたくなるくらい嫌」と言ったにも関わらず、そうやってからかう程度の認識だからです。

困ったとき、つらい時ほど、相手の人間性が分かります。


友達だったのに裏切られたと感じることもいくつかあった反面、ひなたのことを理解してくれた子たちはたくさんいます。先ほど味方してくれた6年生たちなどもそうですが、中でもひなたが気になっている子がいます。


そのはじまりはカミングアウト前のこと、カミングアウトのきっかけとなった事件が起こったときのことでした。以前に書いた、副担の先生の失敗で、「男の子こちらへ」と呼んでしまい、ひなたも行ったことで、ひなたが他の子たちに「女の子じゃん!」と言われて大泣きした2月の事件のときのことです。

何人かのクラスメイトが、目を泣き腫らして戻ってきたひなたにどうしたのかと聞きにきたとき、ひなたは打ち明けていました。


僕の体は女になっているけれど、心は、自分は男なんだと。


その時かえってきたのが、Eさんの、

「それは体が良くないですね」という言葉でした。


その言葉だけを聞いたら、「良くない」と言うなんてそれはそれでどうなのかなと言った人もいましたが、ひなたにはダイレクトに伝わったのでした。

そのEさんは、体は男の子です。

ただ、一人称は「わたし」、丁寧語で話し、服装はキュロットスカートにタイツ、サラサラの髪は長めのショートボブ。

ひなたは、「もしかして?」と思っています。


4年になった今、そのEさんは隣の席です。ひなたがお父さんのおみやげのキーホルダーを見せたら、

「お父さん、いい人なんですね。」と言われたそうで、これにもひなたの想像が走りました。


「Eさんはトランスだけど、Eさんのお父さんが否定するのかもしれない!」

「聞いたらダメだよ!」

「聞かないよ!」


最近、謎めいたEさんが気になっている様子。給食の食べ方が綺麗だから真似してみたけど出来なかったとか、くしゃみが可愛くて、「あくちゅん」って感じなんだよ、とか。髪がサラサラだから触ってみたくなるけどそれはダメだろうなあとか。学校のテストも、ひなたと同じく満点が多いから勉強の話もよくしているらしく。あげく、描いた絵をあげたらすごく喜んでくれたから、また絵を描いてあげようとかで家で長々と描いてたり。


私も参観日に見たけど、最初、あれ?ひなたって女の子と仲良かったっけ、ああ、あれが噂の!と思ったので。

そういう子がいても、からかいやいじめが少なく、それらが起こってもすぐに指導してくれる学校はいいなあと思いました。


次は、当事者のことを知るのにとてもいいと思った、性同一性障害を長年診察してきた医者の書いた、当事者の声とデータがたくさん反映されているこちらの本(下の写真)を紹介したいと思います。


何か、性同一性障害についてのデマも多いようですので、正しい知識、本当の当事者の声が届いて欲しいですね。そう思ってこのブログも書いています。