カミングアウトの前の週は、校長先生もひなたのことの確認をしたそうでした。話して確認されることも良かったと思います。向き合って話すことで、本人の本当のことが伝わると思います。多目的トイレのことで「なんで?」と人に聞かれるなどということを話したそうです。また、

校長先生「大人になったらどんな服を着たい?」

ひなた「黒とか緑…校長先生が着てるような服!」

といった話もしたそうです。


あと、トランスジェンダーという言葉を出していいかも確認されたそうです。ひなたは、

「もちろんいいです。」と答えました。


こちらもカミングアウトの情報がネットでも少なくて、小学生となると皆無だったので、ここいろhiroshimaさんにメールで相談してみました。トランスジェンダーの中学生の動画がYOUTUBEにありますが、NHKでも特集されたことで有名になった団体さんですね。

ありがたいことに、「ぜひお話をしましょう」と言われ、zoomでお話しましたがやはり中学生でもカミングアウトで理解出来る子とそうでない子はいるからというお話があり、小学生となるとなおさらだろうからそこは心の準備をと言われました。

その他、岡山大学病院についてなど質問したので、選択肢が広がりました。二次成長抑制剤のための診断書を岡山大学病院でもらい、近くで打ってもらうという選択肢です。


カミングアウトは偶然にもひなたの9歳の誕生日でした。校長先生が話をしてからカミングアウトという流れだったのですが、低学年にもわかりやすい話だったのでご紹介します。


全校昼会の話

今日は「自分らしく生きること」について話します。あなたのお母さんはあなたが生まれてきたときに、お医者さんから「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」などと教えてもらいます。赤ちゃんはやがて大きくなり「自分は女の子なのだな」と思うようになります。ところが百人のうち三人くらいは、成長するにつれて「ぼくはお医者さんから女と言われたけど、どうも違うようだ。ぼくは男なのに、へんだなあ」と悩む人が出てきます。そういう人のことを「トランスジェンダー」といいます。

そんなことは普通じゃないと思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。そんな人がいることが普通なのです。けれど自分からそれを話すことはとても勇気がいるので、話せない人が多いのです。

生まれたときにお医者さんから教えてもらった性別と違うと感じている人は、いろんな場面で困っています。服を着替えるとき恥ずかしい、トイレにいくのが恥ずかしい、したい遊びに入れてもらえなくて悲しい、嫌な言葉でからかわれてくやしい、自分のことがわかってもらえなくて悲しいなどです。

困っている人が自分らしく生きられるように、思いやりの心で真剣に考えて、言葉にしたり行動したりしてください。きっと○○小学校は、だれにとっても安心できる居心地のよい場所になります。みんなの心と言葉でそんな思いやりのある学校をつくっていきましょう。


ひなたの発表

「僕は生まれた時は女の子とされましたが、今は男です。女と言われると死にたくなるくらいイヤなので、男の子として普通に扱って欲しいです。」



カミングアウト後に教室に戻ると、クラスの子達が「何と呼んだらいい?」と聞いてきたそうです。ひなたは、「ちゃん以外なら何でもいいよ。」と答えています。


カミングアウトをすると決めてから、ひなたは学校で毎日起こっていた腹痛がなくなり、カミングアウト後には、学校で色々言われることがほとんどなくなり、チックも目に見えて少なくなりました。


11月の参観日に3年生に対しての性の多様性の授業が、その後に職員研修が行われて、2月から3月にかけて、学校の全クラスで性の多様性の授業が行われたそうです。

1.心の性

2.体の性

3.好きになる性

4.表現する性

というものですね。ひなたのカミングアウト前には、カミングアウトというものについての説明と授業の復習も行われています。


学校だよりで子供たちの感想が載っていましたが、その授業とひなたの存在が繋がった感じでした。元々素晴らしい授業だったのですが、授業だけではひなたの存在は認識されず、嫌がらせを受けたこともありました。(その時もすぐ学校に伝えたので、外部から人権担当者も迎えての職員会議が開かれ、いじめた側の親への連絡もお願いし、して頂いています。)

そして今回、校長先生の説明とカミングアウトで授業での知識とひなた個人というものが繋がったと感じました。


もちろん、これで終わりではないけれど、ひなたのすっきりした顔を見て、「本当に良かった!」と思います。