今回は前・中・後編の最後の後編です。


3年生は試練の時でした。後少しで終わりますが指折り数えています。


たったの学年40人くらいしかいないのでクラスは2つで20人ずつです。3年生の4月、友達皆が隣のクラスになり、好きだった担任の先生も隣のクラスの担任。ひなたは最初からがっかりしていました。

新しいクラスになったきっかけで同じクラスになった女の子たちが声をかけてきますが、ひなたは女の子としては社会性皆無なので楽しくありません。女の子たちが「かわい~い」というようなものには全く興味を持たず、描いたカービィの絵が「かわい~い」と言われても「そうかな?」と答えたりで、その「可愛い可愛い」言うのが苦手と言っていました。逆にひなたが絵を描いてすることはそれを切り取ってのバトルでした。ひなたは絵を描いても、ポケモンのぬいぐるみでもやたらバトルをしたがります。


「新しいクラスがつまらないと言って受け身になってたらいけないよ。自分から行動すること!隣のクラスの子達と遊びたいなら隣のクラスに行けばいいじゃない。」と助言しました。それで昼休みは隣のクラスの子達と遊ぶようになりました。鬼ごっこが大好きでした。


クラスでは孤立しがちなひなたは、クラスでも男の子の仲間に入りたいと思っていましたが、男の子と話しているとからかわれたり、誰が好きと聞かれたとき、友達になりたいという意味でしたがクラスの男の子の名前を言ったためにいじめられるようになりました。


席替えやグループ分けのとき、その男の子はからかわれるのが嫌だからか、「ひなたの隣の席になるとか最悪!」と言ったりします。ここでひなたが「言わないで!」と言えるか、先生が注意してれぱ話は大きくならなかったのですが、次第に足を踏まれたりするようになりました。ひなたがイラストを断ったことをきっかけに女の子もするようになりました。踏んでから「ごめーん」と言うことを何度もしていました。ひなたが計算が速いことも

「ずるをしたのだろう」と言われていました。


連絡帳に書いても、ことなかれ主義の担任は、「わざとじゃないかもしれない」とか言ってたのと、ひなたが自己弁護も出来なくなっていたので、次には時系列にまとめて書き、ひなたが非常に傷ついていると伝えたところ、教頭先生もそれを見たということで、担任と教頭、私の三者で話すことになりました。


そのときに、私は、受けたいじめの事実に付け加えて、一言、

「ひなたは、一人称が2年生の終わり頃から僕や俺ですし、友達だと言っているのは隣のクラスの男の子たちで、クラスにはなじんでいません。今は世間でもlgbtqとかも知られているので変わっていると言ってもそこまでないのかもしれませんが。ただ、勉強が出来るのは努力しているからです。そこを叩かれるのは許せません。」

教頭先生は、ひなたのまわりが出る杭を打つようなことをしていることに対し、

「それは非常にくだらないことです。日本人の良くないところです。」と怒ってくれました。


そして、教頭先生はいじめた子の保護者に電話をかけたことで、ひとまずいじめがおさまりました。夏休みは学童でも楽しく過ごし、無事過ぎていました。


9月になり涼しくなってきました。ひなたは3年生にもなっているのに、何度言っても髪の毛を乾かすのを面倒くさがり、寒くなってくると風邪をひくからということで、あまり乾かさなくていいように切ることにしました。

「もっと短くして」とひなたが何度も言うので、今回は長めのショートカットにしてみました。

シニヨンや編み込みなど、どんなに可愛く髪を結んであげても、笑顔にならなかったひなたが、髪にハサミを入れるたびに心からの笑顔になっていきました。

でも「もっと短くしたい」と言ったところで夫が見て、「それ以上短く出来ないよ」とその時はいったん止めています。


そして、髪型になかなか満足し、入浴して着替えた後のこと。


「ねえ、僕は男なのにどうして女の体をしているの?」


私は答えました。

「それはトランスジェンダーって言うんだよ」 


「そうなんだ」


私は何も驚きませんでした。本当のひなただって思いました。


すぐに学校の連絡帳に書きました。

今後、いじめにつながりませんように、冷やかしで居場所がなくなりませんようにと付け加えて。


次回書く予定のこと


それからというものひなたの激しさは加速していきます。

トランスジェンダーと言っても幅がありますが、ひなたは身体への違和感があるトランスセクシャルでした。それも非常に強い違和感を持っていたのでした。