耳掃除しろよ
幼稚園の時から言われてきた母親からの言葉だ。
私は稀に耳が聞こえづらくなり、何回か聞き返すことがあった。
正直、自分が悪いときもあったと思うが、母の声が小さいこともあったと思う。
それでも、いつも「耳掃除しろよ」で済まされた。
私は年中あたりで耳かきに対して、非常に恐怖心を覚えていた。
多分それは近所の耳鼻科がドラクエのラスボスダンジョンのような雰囲気だったからだろう。
思い出すだけで鳥肌が立つくらい怖い思い出だ。
母親が耳かきをしようにも嫌がるので、母親も早くに耳かきをしなくなった。
大人になってから、さすがに自分で耳掃除をするようになった。
半年に一回くらい耳鼻科にも行くようになった。
あ、その耳鼻科は昔行っていたダンジョンではなく、実家から自転車で20分くらいのところ。いかにも平和なところだ。
モンスターはいない。(Googleの評判は良くないけど)
ただの耳掃除なのに、耳鼻科でやると結構お金がかかる。
一応保険適応になるが、半年に一回だと初診料も乗っかって学生にはちょいとお高い。
そんな習慣が5年くらい続いていたが、最近引っ越しをした関係で耳鼻科を変えざるを得なくなった。
「耳鼻科 近く 優しい」
出てきたところに行ってみた。
「耳垢掃除をお願いします。」
お医者さんはとても優しそうな感じの人だったが、診療後に意外な一言を貰った。
「聞こえが悪くなるのは耳垢が原因じゃないね」
な、なにぃぃぃぃぃぃ!!!
話を聞くと、「内リンパ水腫」というもので、神経系の体質の問題らしい。
それとさりげなく外耳炎も起こしていた。
「これは来てくれてよかった。薬出しておくね」
耳掃除をしてもらいに来ただけなのに、薬代までかかって通院を余儀なくされた。
内リンパ水腫は体内の塩分やらが関係するらしく、水を2L飲むようにも言われたし、耳掃除も自分ではやらないように言われた。
「耳が悪いんじゃなくて、そういう体質だったんだよ!!」
と、母親に散々言われてきた分、病人面して言い返してやろうと何回か考えたけど、そんな無駄な言葉は大量の水と一緒に飲み込んでおいた。