私の怪我は女子サッカー界に衝撃を与えた。



それと比例するように私に来ていた
高校のオファーの話が次々と無くなっていった…。





利き足の右脚が使えない時点で
私への評価は下がっていく一方…、
わざと怪我した訳じゃないのに…………。






1ヶ月後…
手術を行い暫く入院生活をすることになった。





高校に入学するまであと半年…、
完治するなんて絶対無理だ……。





優佳)「はぁ……」





ギプスと包帯で固定されている右脚を見て
何度も何度もため息を吐いた…。





?)「あっ…またため息ついたなぁ〜…」



優佳)「んっ…」




入院中の病室で隣には私と同じ歳ぐらいの女の子が
同じく入院していた。



名前は『東村芽依』…。





優佳)「ほっといてよ…」



芽依)「ため息つくと幸せ逃げんねんで?」



優佳)「……今の私には幸せなんて絶対来ない…」



芽依)「またそんなこと言うてる…」





芽依は私の病室に飾られていた
サッカーボールに目をつけた




芽依)「優佳ちゃんってサッカー好きなんや」



優佳)「好きというか…中学でサッカーやってたの、一応…日本一になったけど」



芽依)「ふぇぇ!?日本一ぃ!?、めちゃくちゃ凄いんや!」



優佳)「凄いよね…、でも怪我しちゃったらどうしようもないんだよ…、サッカーは脚が使えないと出来ないんだよ…」






芽依は私の右脚を見ていた…。





芽依)「でも…治るんやろ?」



優佳)「…時間は…かかるけど…」



芽依)「ほなええやん!」



優佳)「え…?」



芽依)「手術もして、今からリハビリ頑張ったらまたサッカー出来るんやろ?」



優佳)「ッ……適当な事言わないで!!!!」





私は芽依に向かって怒ってしまった…。




芽依)「えっ…いや芽依そんな…」



優佳)「私はこの怪我で…今頭の中ぐちゃぐちゃなの…、行きたかった高校にも行けなくなったし…また前みたいなプレー出来るかもわからないのに……、簡単にまたサッカー出来るなんて言わないで…!!!!」



芽依)「……ごめん…」





芽依はそのまま自分のベッドに戻りカーテンを閉めた。





優佳)「ッ……はぁ…」





またため息をついてしまった…。



















数ヶ月後、私は再び歩けるようになる為の
リハビリトレーニングを受けていた。




優佳)「くっ…ハァ…ハァ……」



医師)「いいですよ、ゆっくり焦らずに…」





ずっと使ってきた脚が重く感じる…、
身体を支える腕が痛い…。



リハビリは私にとって苦痛だった。






病室に戻ると…、
隣から芽依が顔を出してきた。





芽依)「おかえり〜…」



優佳)「ここは家じゃないの…」



芽依)「なぁなぁ、苺食べへん?」



優佳)「苺…?」





芽依は貰った苺を私にも分けてくれた…。






優佳)「んっ…美味しい…この苺…」



芽依)「せやろ?、ここの苺芽依いっちばん好きやねん…」



優佳)「こんな甘い苺初めて食べた…」



芽依)「気に入ってくれてよかった…、でも…この苺も芽依いつまで食べれるんやろか……」



優佳)「…?…」





そういえば……、
芽依ってどうして入院してるんだろ…。

 
自分の脚のことばっか気にしてて
私は芽依のことを何も知らなかった。






優佳)「ねぇ…、芽依はどうして入院してるの?…」



芽依)「んん?…内緒!」



優佳)「え…なんで?!」



芽依)「内緒って言ったから内緒やねん」



優佳)「い…いやそうじゃなくて…!」



芽依)「ん〜しつこいなぁ…」



優佳)「まだ1回しか聞いてないよ…」



芽依)「…芽依もイマイチ分かってへんねん…」



優佳)「へぇ…?」



芽依)「まあでも…一つだけ言えるなら…」





芽依はまた私の右脚を見ながら…





芽依)「優佳とは“逆”やな…」



優佳)「へ?…どゆこと?」



芽依)「しょーゆーこと!、はい苺もう1個あげる!」



優佳)「え、え?ちょっと…」





芽依は私に苺をもう1個渡すと
再び自分のベッドへ戻って行った。





優佳)「芽依!、ッ…あいたた……」





つくづく不思議な子だと思った…。






優佳)「…んッ…苺うまぁ〜…」







……To be continued.


(ベ ꕹ  イ)