第1話「日向坂高校」






満開の桜の木が並ぶ坂の上にある学校…
“日向坂高校”。
坂の上であることから春になると暖かい
日光が校舎を照らす。

今日は学校2回目の入学式の日、
校内では部活への勧誘ブースが設けられており
在校生が新入生を部活に向かい入れようと
必死になっている。


そんな中、数ある部活の中でも
1番奥にブースを設けたのは
昨年1年だけで
インターハイ予選決勝まで勝ち残った
「日向坂高校 女子バスケ部」。
しかし、この場所は新入生が向かう
体育館の奥でもあり
気づかれにくい場所でもある。




史帆)「もー!京子が遅れるから1番最悪な場所になったじゃーん…」

京子)「私のせい?、志帆が新入生にいい格好したいから集合時間遅らせたのも原因あると思うんですけどー!」

史帆)「あぁん?」

京子)「あぁ!?」

久美)「んもう、2人ともやめなよ!」




早速口喧嘩をおっ始めているのは
副キャプテン“加藤史帆”と
エース的存在“齊藤京子”、
この2人はちょっとした事で
よく口喧嘩に発展しやすい2人。

それを止めに入るのは
キャプテン“佐々木久美”、
チームをまとめるしっかり者
2人の口喧嘩を唯一止めれる存在。




久美)「こうなっちゃったのは仕方無いし、私が2人に席取りをお願いしたのが間違いだったわ…」

史帆、京子)「「あぁん!?」」

京子)「そういや潮はどこ行ったんだ…?」

久美)「紗理菜は2人が論争してる間に校門前まで新入生釣ってくるって言ってたよ…」

志帆)「でもそんな簡単に釣れるわけ…」


紗理菜)「おーいみんな〜!新入生連れてきたよ〜」


史帆)「えぇ…」




新入生を連れてきたのは
バスケ部“潮 紗理菜”、
バスケ部の精神安定剤でもある。


その頃、校門には真新しい制服を来た
1人の女子生徒がバスケのシューズ袋を
片手に持ちながら誰かを探していた。



菜緒)「ん〜、バスケ部ってどこかな…」

美玖)「あ!菜緒〜!、バスケ部1番奥だって!」

菜緒)「ほんとに!?、じゃあ行こ!」

美玖)「うん!」



“小坂菜緒”、
この話の主人公の1人である。
そしてもう1人の子の名は“金村美玖”、
菜緒とは中学からの部活仲間だ。

2人が校舎の奥へ走っていった直後、
もう1人バスケのシューズ袋を持った女子生徒が
菜緒達の後を追うように歩いっていった。



その頃、バスケ部ブースでは…




久美)「えーっと“宮田愛萌”ちゃんと“高瀬愛奈”ちゃんね、2人ともバスケ経験は…?」

愛萌)「はい!中学はバスケ部でした。し…試合にはあまり出れてないんですけど…」

愛奈)「すいません、私は愛萌と同じ中学だったんですけど…マネージャーをしてて…」

久美)「謝らなくて良いよ、興味示して入部してくれるだけで私達は嬉しいから!」

史帆)「そういやマネージャー居なかったから居てもらえると助かるね」

京子)「これまで潮がマネージャー兼任って感じだったからな…」

紗理菜)「京子ちゃんはドリンクいっぱい飲むからいっぱい作るの面倒くさかったな〜」

京子)「あぁん!?」

愛萌、愛奈)「「(ビクッ…)」」

久美)「ちょっと京子…」

京子)「…わ…悪ぃ…」

久美)「じゃあ2人とも入部してくれるってこと、今日から体験入部期間だから遊びに来てね!」

愛萌、愛奈)「「はい!」」




愛萌と愛奈はそのまま2人で体育館へ。




久美)「よし!2人確保!」

史帆)「出来ればあと3人ぐらいは欲しいね…」


菜緒)「あ!ここだ!」




菜緒と美玖もブースに到着した。




久美)「もしかして…入部希望?」

菜緒、美玖)「「はい!」」

久美、史帆、紗理菜)「「「やったー!!!」」」

京子)「んん?…(どこかで見た事ある顔だな…)」

久美)「じゃあ2人とも座ってこの欄埋めてもらえる?」

菜緒)「はい!」




2人が書き出した直後…、
あのもう1人の女子生徒も到着していた。




紗理菜)「あれ…あの子もじゃないかな?」

久美)「…あなたも入部希望者?、じゃあこの紙埋めてくれる?」



その入部希望者はコクッと頷くと
菜緒の横に座り欄を埋めていく。

すると菜緒達欄の出身校を書いた時に…



史帆)「け…“けやき中”って…あの去年全国予選決勝まで行ったって噂の…」

美玖)「はい!日向坂高校も去年予選決勝まで行ったってのが一緒で私達ここのバスケ部に入りたいって思ったんです!」

京子)「思い出した…、たしか小坂だっけ?…」

菜緒)「は…はい…!」

京子)「けやき中に物凄いパッサーが居るって…」

紗理菜)「パッサー…?」

久美)「パスを出す人、ってことはポイントガードってことね」

菜緒)「はい!小さい頃からシュートする人にパスするのが…なんか好きで…」

美玖)「菜緒は天才ポイントガードなんですよ!」

菜緒)「ちょ、やめてよ…」

史帆)「もう1人の子もスタメンだったの?」

美玖)「いえ…、私はベンチに入るか入れないかの選手だったんで…」

菜緒)「でも美玖も上手ですよ、シュートフォームとか綺麗だし…」




会話が弾む中、もう1人の入部希望者が
書き終わり用紙を久美に渡した。




久美)「ありがと!、えっと名前は“渡邉美穂”ちゃん出身校は…えっ…」



突然久美の口が止まる…。



紗理菜)「どうしたの…?」

久美)「…渡邉ちゃん……あの“全能中”出身なの…?」



この一言を聞いた菜緒の書くペンが止まる。



菜緒)「えっ…」

美玖)「全能中って…」

京子)「あの去年全国3連覇した!?」

美穂)「…はい」


菜緒)「…全能中……」





一気にブースの雰囲気は変わった。





つづく。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
“陽は嘘をつかない”
解説!バスケ用語!


“ポイントガード”

バスケのポジションの1つ。
“ポイント”と言うのは得点の事ではなく
線路の分岐点(ポイント)を意味していて、
試合中チームの司令塔を担うポジション。
パスの精度を要求される頭も使う。 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー