いよいよ! | 日菜太オフィシャルブログ「湘南から世界へ」Powered by Ameba

いよいよ!

今日から公開ですよー!








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沢山の人に見て貰いたいです。









また、めちゃくちゃ盛り上がる中で凄い試合をやりたいから。








あーだこーだ言うのは見てからにしてください(^^)








ふせさんのブログから。


試写室のスクリーンを観ながら、思わず唸ってしまった。ファイターとしての魅力だけではなく、彼らの素の部分も引き出しているではないか。この作品にナレーターは存在しない。カメラマンが質問を飛ばすシーンもあるが、基本的に取材対象者の肉声だけが耳に残る構成だ。
かつて地上波の一部の格闘技情報番組で多々目についた作り手の過剰な演出は微塵も感じられない。事実を丹念に積み上げながらストーリーを展開しようとする松永大司監督の真摯な仕事ぶりに引き込まれるのに時間はかからなかった。
日本初の格闘技ドキュメンタリー映画『HYBRID』が完成した。これは、総合格闘技団体の老舗パンクラスが、3月17日に東京で開催した大会──『PANCRASE246』に出場した選手たちを中心に取り上げた作品だ。
格闘技最大の醍醐味といえば、有無を言わせぬ迫力だろう。衝撃的なKOシーンや一本勝ちを目の当たりにしたら、格闘技についてほとんど興味を抱かない者でも興奮する。
果たして、この作品にもファイトシーンは随所に盛り込まれている。白眉は王者タクミに大石幸史が挑んだフェザー級タイトルマッチ。グラウンドで一方が相手のボディにパンチを落とすと、ドスッ、ドスッという破壊音とともにパンチが腹にのめり込んだ。
私はテレビ(ファイティングTVサムライ)でパンクラスの実況中継で解説を務めている。この大会でもリングサイドの放送席から試合を観ながら喋り続けた。しかしながら、現場で話をしている時には、さして印象に残る攻防ではなかった。
テレビと映画では使用している映像も違えば、撮り方も異なる。前者が攻防をわかりやすく追いかけることを念頭に置くのに対して、後者は「拳を振り下ろそうとした時に見える背中の筋」(松永監督)を見せることを考えて撮られているのだ。「見せる側の視点を変えるだけで、こうも違って見えるものなのか」と感心するしかなかった。
試合を見に行ってもほとんど目にすることのない、バックステージや控室の映像も新鮮だった。例えば、この大会ではジョルジ・パチーユ・マカコというブラジルの大ベテランと闘い、映画では主役級の扱いを受けたISAOは自分の出番が近づくにつれ、次第に緊張していく様が手にとるようにわかった。
試合は押され気味の引き分け。バックステージに戻るや、悔し涙を流すISAOにセコンドの坂口征夫が時にはやさしく、時には厳しく声をかけるシーンも忘れられない。どんな強い選手でも周囲のサポートや叱咤激励があってこそ成長できるのだろう。人の強さと弱さを一度に感じさせてくれるやりとりだった。
映画の冒頭では見知らぬ老人が登場する。山本KID徳郁の弟分として知られる山本篤の祖父だ。山本は最初の自分の初代トレーナーはおじいちゃんと打ち明ける。幼少時、体の弱かった山本を祖父は神社の急勾配の階段を昇り降りして鍛えたのだ。映画でも、とてつもなく長い階段が映し出された。その階段と時にはケガに泣かされ長期欠場を余儀なくされた山本のキャリアを重ね合わせて見たのは筆者だけではあるまい。
大会では山本に敗れた北方大地の映像も忘れられない。試写会後、私の周囲では「北方のファンになってしまった」という関係者もいたほどだ。なぜそこまで引きが強いかといえば、それはかつて競輪の選手だったという北方の父の存在なしでは語れない。
現在はタクシーの運転手として働く北方の父をカメラは終始後部座席から撮り続ける。情緒深く、人生を感じさせてくれる映像だった。その父が現役時代に味わった強くなる選手とダメになる選手の違いを朴訥とした口調で語るシーンは胸に深く突き刺さった。
また、この映画にはパンクラスと提携する立ち技格闘技イベント『REBELS』で闘うふたりのキックボクサーも登場している。そのひとりである小西拓槙は地元岸和田で消防士として働く傍ら、KOの山を築き上げるハードパンチャーだ。岸和田といえば、何かとバンカラな地域として伝えられることが多いが、小西の証言はそれを十分に裏付けるものだった。
それだけではない。松永監督と彼のチームのカメラは次々に新たな事実を浮かび上がらせる。筆者は映画を見て小西が試合を辞退しても不思議でないほどのケガを肋骨に負いながら試合を強行した事実を初めて知った。
カメラは4月14日に小西とREBELS初代70キロ級王座を争う日菜太の日常も追いかける。時にはボヤきともとれる言葉を連発する姿は日菜太の素そのものだろう。その一方でキックミットに得意の重厚な左ミドルキックを打ち込む姿には彼のプロとしての高いポテンシャルを感じざるをえない。
試合後、日菜太は会場の外で獲ったばかりの真新しいチャンピオンベルトを母の肩にかける。その時のお母さんの喜びようといったら・・・。まるで孫を抱いた時のような幸せそうな笑顔を浮かべていたのだ。
試写会後、私の左隣で見ていたパラエストラ東京の中井祐樹代表は「選手とジムと家族の結びつきを印象づける映画でしたね」と述べた。一方、私の右隣で見ていた日菜太は「普段は自分の試合を見に来たくても見に来れない友人や知人にも自信を持って薦められる映画」と喜んでいた。
個人的にも、声を大にして薦めたい。格闘技の新しい可能性を引き出した傑作ドキュメントである、と。

※6月1日より全国で順次公開。http://www.pancrase.co.jp/hybrid/index.html

布施鋼治
スポーツライター
1963年7月25日、札幌生まれ。得意なフィールドは格闘技と昭和と旅。主な著作に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社刊)「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社刊。ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞)「格闘技絶対王者列伝」(宝島社刊)などがある。

布施鋼治のブログから転記




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