【恋は突然始まった12 今日からは…】

 

 

チェヨンさんから手渡されたハンカチと腕時計。

「俺達を繋いでくれました」

「はい?」

「俺はウンスさんを運命の人だと思っています」

「あ、私もです」

「あ~良かった、今日から恋人同士ですね」

「えっ、もうですか? いいんですか?」

「俺にはウンチュ、いえウンスさんしか見えません」

 

突然、チェヨンさんは、私を抱き締めてくれた。

運転席と助手席、密着という程ではなかったが、ドキドキが止まらない。

抱き締められて感じたこと、チェヨンさんは懐かしい感じかする。

気持ちが落ち着く匂い、広くて大きな胸。

幸せな感じがした。

 

チェヨンは、これを逃してなるものか、ウンスさんは俺の女だ、一生放すものかと必死だった。

ウンスの額に一つキスを落とした。驚いたウンスは、大きな目を見開いて見つめ返してくる。

ふたりで微笑み合うと、ヨンはウンスが溜まらく

愛しく思え、ウンスの唇を奪った。

驚いたウンスは、どうしていいか分からず、恥ずかしさのあまり又俯いてしまうと、そんな姿が堪らなくなり、

更にヨンは強く抱き締めてきた。最初は優しく

触れるだけの口づけが、段々とハードに

なっていった。

「もう、ウンスさんは俺のものです。

しっかり捕まえましたからね」

「はい。お願いします」

見つめ合って、また笑ってしまった。

 

「ウンスさん、雨が激しくなってきました。

俺の家に行きませんか?」

「えっ、そんな」

「少し濡れています。体が冷えます」

チェヨンは、ウンスの掌から腕時計を取り、

腕にしてくれた。

 

「俺も時計はSEIKOなんです」

「お揃いですね」

 

「ウンビョルがウンスさんを大好きなんです。

ちょっと前まで、姉たち夫婦はニューヨーク支社にいたのですが、義兄だけ残って、今はふたりで日本に居るのです。ウンビョルには寂しい思いをさせてはいけないので、姉貴からは下部(しもべ)のように扱われています」

 

「あ~それで、ウンビョルちゃんのパパと勘違い

してしまったのね」

「はぁ、じゃ、俺があの姉貴と夫婦に間違えられていたとか?」

「えっ、そうよ」

「あり得ない、怖い、それだけは勘弁してください」

 「あら、とても素敵なお姉様なのに、それに可愛い姪っ子さん」

「はぁ、よく似た親子で」

とため息をついた。

 「私って、馬鹿みたいね。いっぱいヤキモチ焼いちゃったわ」

「俺もです」

「えっ、誰に?…」

「あの調子の良さそうな、いつも隣にいる男に」

「ただの同級生よ」

「そうなんですか?俺にはただの同級生には見えませんでした。

俺は何度も逃げられてしまって、やっと捕まえたと言うのに…」

「もう言わないで、恥ずかしいから」

「ウンスさん、行きましょう俺の家へ」

「はい」

頷くウンスであった。