【恋は突然始まった11 勘違い】

 

 

「分かったわ」

ウンスさんは助手席にやっと乗ってくれた。

後部座席のジュニアシートの上には、縫いぐるみのヨンヨンが置いてあった。

それを目にした、ウンスさんは突然泣き出した。

 

「これ、ウンビョルちゃんの忘れ物よね、きっとパパが私を追いかけて来ちゃったし、ヨンヨンちゃんもここに居るし、寂しがっているわ」

鼻を啜っている。

キティちゃんのカバーのティッシュ箱をヨンが渡すと、又泣き出した。

「やっぱり、こういうのっていけないわ」

「はぁ?キティちゃんがですか?」

鼻をちんちんかんでいるウンス。

 

「違うのよ、奥さんもお嬢さんも使う車に乗るなんて」

「はぁ?これは姉貴の車ですが」

「そうなの。あなたは青い車に乗っていたものね」

「あっ、はい」

「降りるわ、自分が惨めだから」

「あの、何で惨めなんですか?俺の方が惨めですが・・・」

「そうよね。お持ち帰りした女を奥さんに見られてしまったのよね~」

「ウンスさん、何を妄想しておられるのですか?これは姉貴の車です。

ウンビョルは姪っ子ですが」

「ふ~んそうなんだ」首でこっくりこっくり一人頷くウンス。

 

「えっ、姪っ子?」

「そうですが、おかしいですか?」

首をブルブル振って、

驚きのあまり声がでない。

 

「えっ、じゃあの方お姉様?」

「はい、7つ上の姉ですが」

「お綺麗な方ね」

「どこがですか?あれは、ただ怖いだけです」

 

何故だか、今まで何で色々考えていたのだろうと

急に馬鹿馬鹿しくなり、笑い始めたウンス

 

その笑顔を目を細め幸せそうに見つめる

チェヨンさんの瞳とぶつかった

 

急に現実に戻り

俯いてしまったウンス

 

「ウンスさん、どうしましたか?」

 

「二日酔いで、そのまま出てきちゃったから、髪も臭いし、化粧も剥がれちゃったし

恥ずかしくて」

 

「そんなことはありません

そのウンスさんのそのままの姿が

俺は好きです」

 

「そのまま?」

「はぁ、何か昨夜ありましたか?」

 

はぁと上を向くヨン

「覚えていないのですか?」

「はぃ、何も」

「分かりました。約束してください。これからは俺以外の他の男と酒を飲まないでください。分かりましたね?」

「えっ?はい。何で?」

「聞くのはそこですか?」

「ちょっと分からなくて」

「俺は昨日、他の男と酒を飲んで、触られているウンスさんを見て、腹がたちました。もう、そういう思いはさせないでください」

「えっ、それって?」

「俺が探していた人がやっと見つかりました。ウンスさん、俺と付き合ってください」

「えっえっえっ」

チェヨンは口がパクパクするウンスを目を細め、にっこりとした顔で見ていた。