【恋は突然始まった4 其々の時間】

 

 

 

「ウンス、帰り図書館で勉強するのか?」

講義の後、アンジェウクに聞かれたが、

「えっ、何か言った?」

「お前、講義中もボッーとしていたよな、

いつものことだけど」

 

講義の前に会ったウンビョルちゃんのパパの

ことが気になって仕方がなかった。

でも、どうしても思い出せない4

でも、惹かれてしまう。

頭をブルブルと振って忘れようとするが、

忘れられない。

ウンスだめよ、不倫は、人のものを

とってはいけないわ。

 

「おい、ウンス、ぶつぶつ独り言うるさいぞ」

「帰るわ」

「じゃ、駅までな。飯食うか?」

「あっ、今日は行かない」

今朝会った、あの男の目が忘れられない。

ウンスであった。

 

 

 

 

 

 

「ヨン、あるけない」

「歩いているだろう」

「だっこ、だっこ」

「ウンビョルは本当にパパが好きね、うふふ」

ジュニはヨンにウィンクをした。

「ったくよ、おい、ほら抱っこしてやるよ」

「ヨン、だいすき。ヨンヨンもヨンがだいすきだって」

 

 

ブルーのBMW M2が見えてきた。

「ウンビョル、後ろだぞ」

「うん」

2ドアタイプのこの車の後部座席に

アンパンマンのジュニアシートがあった。

そこに、ウンビョルを乗せ

「俺、運転するわ」

「じゃ、私、助手席行くわ」

「あっ、ウンチュだ」

ウンビョルが手を叩いて喜んでいる。

 

「なに、ウンチュだって」

慌ててヨンが振り向くと、

そこには、さっきの男アンジェウクと歩く

ウンスが目に入ったのだ。

しかも、アンジェウクとじゃれ合っている

ウンスだった。

 

「ウンチュ、ウンチュ」

窓を開け、ウンビョルが手を振るが

その声は届かなかった。

 

 

 

 

あいつは誰だ、ウンチュの彼氏か?

この胸騒ぎは何なんだ。胸を押えて、速まった鼓動を確かめていると、

 

「ヨン、早く運転してよ、お腹ペコペコよ」

助手席に座ったジェニが言う。

「あっ、俺もだよ。

このまま家に真っすぐ行くからな」

「オッケー」

「おつけ」

「全くよ、女どもはよく似ているわ」

「何かいった?」

「いや」

 

 

 

 

「あら、あの車素敵ね。クーペじゃないの。

どんな人が乗っているのかしら?

えっ、あれはウンビョルちゃんのパパ?

助手席にいる人が奥さんなのね?

綺麗な人、いいな、あの人奥さんなんだ…」

ひとり落ち込んでいると、

「おい、ウンス何かあったのか?」

「あっ、今日は飲みたい気分だけどさぁ、

課題レポあるから、辞めとくわ」

急に駅まで走り出すウンスであった。

 

ウンビョルにおしっこをせがまれ、

3人でコンビニから出て来たヨンは、

駅まで走っているウンスが目に入り、

しかも、その後ろを走る男がいたのだ。

 

喧嘩でもしたのか

何かあったのか

何であんな男がいいんだ

 

ヨンはひとり考えて

運転席に戻るのであった。