【恋は突然始まった2 病院】

 

 

吸い込まれそうだった

俺に向けて怒った目

それすら、可愛い

俺はどうしちまったんだ

 

同級生か?

留学先か?

いや、違うな

あの女性が俺を見る目

俺を知っているのか

 

 

ヨン、ママは?

 

あっ、一旦、仕事に戻ったぞ

また、くるってさ

先に一緒に帰るか?

 

じゃ、ヨンとヨンヨンと

まっているね

あっ、これウンチュに

もらったんだよ

きりんさんのぽーるぺん、かわいいでしょ?

 

はっ、ウンチュ?

あの先生の名前か?

 

うん、そうだよ

 

ちゃんとお礼言えたか

 

うんって

 

うんは、お礼の言葉か?

 

だってさ、いつも、ヨンだって

うんといってるもん

 

全く、ウンビョルは誰に似たんだよ

それに、恥ずかしいから、

ヨンヨンなんて付けるなよ

別の名前つけてあげろ

 

 

いいの

ヨンがくれたからだよ

おたんじょうびプレゼントに

ねぇ、ヨンヨン

だっこしてあげるね

 

勝手に言ってろ

じゃ、ママがくれたら

ジュニジュニかよ

単純だな

 

ヨン、これおちているよ

ウンチュのハンカチ

 

それは

白地に太い黄色の縁取り

黄の小菊の刺繍が刺してあった

 

そおか、あずかっておく

鼻に近付け

息を大きく吸って香りを感じる

消毒の匂いがした

 

医師だもんな、仕方ないか

また、会えるだろうな あの先生に

 

よし、声を掛けていくぞ

一緒に行こな

抱っこしたまま

特別個室フロアに向かい歩いて行った

 

父親のチェウォンジクが、

心筋梗塞で救急車で運ばれたのは明け方のことだった

 

特別個室の前には、

ボディーガードのトクマンとチュソクが立つ

 

「ヨン様、お部屋に入られますか?」

「あっ、お疲れ、父さんは?」

「今、アンドチ秘書とお部屋の中に、ミギョン様は一度仕事の方へ」

「叔母上来ていたのか、そうか。いろいろ、悪いな」

「いえ、こちらはご安心ください」

 

個室のドアを開けると、そこに秘書のアンドチがいた。

「あっ、ヨン様?」

「ドチさん、父さんの具合はどうなのか?」

「局部麻酔の心臓カテーテル手術をしましたが、今はお疲れになり、眠られております。入院は大事をとっても一週間かからないでしょうと担当の先生から伺っております」

「そうですか。アメリカから帰って来たばかりでお役に立てなくてすみません」

「いいえ。昨日は大阪支社へ行って頂きましたし」

「あっ、ドチさん、申し訳ないのですが、この部屋に、ウンビョルを置いていきますが、直ぐ戻ってきますので、お願いします」

「はい、ヨン様」

 

「ウンビョル、直ぐ戻るから待っていてくれ。ママが来るぞ」

「ヨンがいい~」

「待っていろな」

 

特別室を出で、一目散に向かったところは、

ナースステーションだった。