仮に、大量の放射線を浴びてしまったとしたら、人体には、どのような病状が発生するのでしょうか?
一つの目安として、その初期症状から、病状の進行を書いてみます。
指標に出て来る、1Gy(グレイ)とは、1000msv/hの事になります。
因みに、日本においては、一年間の許容放射線摂取量は、自然被ばく量を除き、1msvとなっています。
この1Gy/hとは、一年間に浴びても大丈夫とされる放射線量の1000倍を一時間で浴びた場合という事です。
①1Gy以上の被ばく
一部の人に食欲不振、悪心、嘔吐、全身倦怠など、二日酔いに似た放射線宿酔いという症状が現れます。
これらの症状を「前駆症状」と言います。
潜伏期は、前駆期から発症期に至る中間の過程で、疲労感の他には無症状です。
発症期を乗り切れた場合には回復する期間に入ります。
②1・5Gy以上の被ばく
最も放射線の影響を受けやすい造血細胞が影響を受け、骨髄の障害が現れます。
骨髄が障害されると、白血球減少や血小板減少、貧血が起きます。
これにより、出血が増加すると共に免疫力が低下し、重症の場合は30~60日で死に至ります。
③5Gy以上
小腸内の幹細胞が死滅、吸収細胞の供給が途絶し、下痢や細菌感染が発生、重症の場合は20日以内に死亡します。
また、抜け毛や皮膚に紅い斑点が出るような外見の症状が現れます。
④10Gy以上
消化管の障害、腹痛、下痢、嘔吐の症状が現れます。
⑤15Gy以上
中枢神経に影響が現れます、感情の鈍麻、興奮状態、運動失調、けいれん、意識障害、ショック症状を引き起こします。
中枢神経への影響早く、殆どの被ばく者が5日以内に死亡します。
生き残っても、中枢神経の損壊は再生できない為、回復の見込みは殆どありません。
また、体の器官の中では、露出している目が一番影響を受けやすくなっています。
5Gy以上の一回の被ばく、8Gy以上の分割被ばくで、白内障が発生します。
これは、放射線が、目の水晶体に傷をつけて濁らせるからです。
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放射線というと、思わず身構えてしまいますが、実は、自然界には、自然放射線という存在があるのです。
それは、特定の鉱物や、宇宙から飛んでくる宇宙線、あるいは食物からも出ている場合もあります。
人間は、これらの自然放射線を日常浴びているのです、ですから一定量は、被ばくしている事になるのですね。
ですが、これを根拠に、福島原発からの放射線だって、少しなら健康に良いんだと言う人もいますが、それは違います。
それら自然放射線も、人間が造った人工放射線も、アルファ線、ガンマ線、ベータ線、等は変わりがないそうです。
しかし、一番の違いは、これら自然放射線を人間は、体内に溜める事なく自然に排出できるのに対して。
人工の放射線は、人間には排出できないという事なのです。
つまり、内部被ばくを引き起こすか、引き起こさないかが、自然と人工の放射線の違いという事になります。
例えばカリウム40という自然放射性物質は、植物の成長に絶対必要な原子です。
ですから、人間は食物を食べる事で、このカリウム40を大量に摂取するのですが、カリウムは人間の体に30日しか留まれません。
つまり、必ず排出されてしまうので、内部被ばくしない事になります。
また、自然界に存在するラドンという原子も、強い放射線を放ちますが、これは希ガスで、軽い為に、やはり体内には留まれません。
人間は、長い進化の過程で、これら自然放射線を排出する力を身につけた為に大量の被ばくをせずに済んでいるのです。
しかし、人間が造った人工の放射線は違います。
人間の体は、誕生から、せいぜい150年程度の歴史しかもたない人工放射性物質に対する機能を持たないのです。
例えば、福島原発からも大量に放出されたヨウ素131は、放射性物質です。
しかし、人体はこれを天然のヨウ素と思って取り込み甲状腺に蓄積してしまうのです。
結果、甲状腺ガン等が多く発生してしまうという悲劇が起きています。
天然と人工の放射線は、体内に蓄積しないか、するかで違いがあると考えて下さいね。
人間が造り出した人工の放射性物質は、元々、自然界にあったモノを改変して造られています。
その為に、人体は、それを放射性物質と認識する事が出来ず、人体に必要なモノと見做して体に取りこんでしまうのです。
その代表的なものは、放射性ヨウ素、放射性セシウム、それにストロンチウムです。
ヨウ素は、人間が絶対に必要とする元素です、なので、人体は、放射性ヨウ素を、普通のヨウ素と勘違いして体内に取り込みます。
放射性セシウムは、カリウムに似ています、カリウムは、筋肉や代謝のバランスを司る元素で、これも人体には必要です。
また、ストロンチウムは、カルシウムに似ている形をしています、つまり、人体は、このストロンチウムを骨に取り込むのです。
これらの放射性物質は、半減期を迎えるまで、体内で放射線を放出し続けます。
これが骨で起きれば、骨の細胞に異常が発生して骨ガンに、甲状腺で起きれば甲状腺ガンに、膀胱で起きれば膀胱ガンになります。
それに、放射線はDNAにも傷をつけますので、体全体に異常が生じたり、子孫にまで影響が出るのです。
残念ながら、ここまで広範囲に放射線が拡散してしまうと、一切放射性物質を体内に入れないという生活は不可能です。
だからといって、悲観して自暴自棄になる必要はありません。
放射性物質を体内に取り入れても、取りつかせないようにすればいいのです。
それには、食事において、ヨウ素、カリウム、カルシウムを充分に摂取するようにすればいいのです。
人体は、取り入れられくなった栄養素を体外に排出する力があります。
例えばビタミンCは大量に摂取しても、その日必要な分以外は尿になって排出されます。
この原理を応用し、ヨウ素、カリウム、カルシウムを多く含む食品、それにデトックスに有効な、ペクチンや水溶性食物繊維。
酵素を多く摂るようにしましょう。
それから、必要以上に放射能を恐れない事も重要です、ストレスは体の免疫機能を低下させ、デトックス効果も低下させるからです。
引用サイト:今からできる放射能対策ガイド
放射性物質から放射される物質を「放射線」と言います。
この放射線は、種類によって性質が異なります、放射線で括られても同じではないのです。
それらは、人体に到達した時の影響が異なるので、一つ、一つを把握しておく必要があります。
下記に、放射線の種類を挙げて置きますので、参考にして下さい。
①α(アルファ)線
アルファ線とは、強力な力を持つ放射線です。
他の放射線よりもエネルギーが大きいのですが、余り持続力がなく、すぐに力を失ってしまいます。
人間の皮膚を貫通する程の力もなく、紙一枚でも遮断できますから、服を着ていれば遮る事が出来ます。
しかし、これが口を通して体内に入ると大変です、長期に亘って放射線を出して遺伝子を傷つけ癌や遺伝子異常を引き起こします。
これが、よく言われる内部被ばくですが、これは内部被爆した魚や肉を人間が食べる事でも発生します。
②ベータ(β)線
ベータ線は、アルファ線よりは、遠くまで飛ぶ放射線です。
空気中まで飛散してゆきますが、薄い金属板で、遮断する事が出来ます。
このベータ線が出ている地域には、金属板で覆いがされている筈ですから、その周辺には近寄らないようにしましょう。
③ガンマ(γ)線
ガンマ線は、強力な透過力を持つ放射線です。
このガンマ線を遮断するには、コンクリートや鉛の板が必要になります。
ガンマ線は、どこまでも飛散してゆくので、コンクリートや鉛の鎧を着て歩けない人間は、その場所に近づかないしか手がありません。
④エックス(x)線
1895年にウィルヘルム・C・レントゲンによって発見された放射線で、電磁波の一種です。
病院でレントゲン写真に使用され、透過力は大きく人体を貫通します、ですが、電離作用が弱いため人体に放射することができます。
⑤中性子線
中性子で出来ている放射線で、強力な透過力を持ちます。
この中性子は、核分裂を引き起こす作用が高く、原子力発電に置いては、この中性子の力を制御する事に多くの対策が取られています。
1999年の東海村における臨界事故で、最大の被害を出したのがこの中性子です。
以上が、良く知られている5種類の放射線です。
その特徴を知ると同時に、皮膚を出さないような服装、それに帰宅時には、手洗いやうがい、食材の安全性を確認する必要があります。
それは、今から、118年前の1895年に、ドイツのレントゲンという人物が発見したのが、最初です。
ある時、レントゲン博士は、放電管に数千ボルトの電圧を掛けて陰極線の実験を行っていました。
放電管は、厚紙を覆って光が漏れないようにしていたのですが、博士がふと見ると、近くに置いてあった蛍光物質が発光していました。
博士は、これを「放電管から目には見えないが、ガラスを突き抜けて透過する物質が出ているからである」と考えます。
そして、英語で未知を表すXの名前を冠して、これをX線と名付けたのです。
その後の研究により、X線は、密度の小さい皮膚や筋肉は通過するが、密度の大きな骨や金属は透過しない事が発見されます。
これを医療に活かしたのが、病院でもお馴染みX線です。
X線写真では、放射線の通過する部分は黒く、通過しない部分は白く映ります。
骨や、病変のある腫瘍(ガン等)は通過しないので、これによって体を切開する事なく、早期に病気を発見する事が可能になりました。
なにかと、問題のある放射線ですが、X線のように人類の健康増進に貢献しているものもあるのですね。
放射線の種類である、アルファ、ベータ線を発見したのは、イギリスのラザフォードです。
1903年にラザフォードは、ガイガーと共同でウランから2種類の放射線が出ているのを発見、アルファ線、ベータ線と名づけました。
もう一つのガンマ線は、キュリー夫人の夫、ピエール・キュリーが、発見しています。
核爆発で、大量に発生する放射線である中性子は、ラザフォードの弟子、チャドウィックによって1932年に存在が確認されます。
こうして4種類の放射線の存在が確認されたのです。
これらの放射性物質は、半減期(放射性物質を放つ期間)が長いものもあり、一時期は、蛍光時計の文字盤から始まり。
太陽系の外まで航行する人工衛星のエンジンにも利用されていました。
しかし、近年は、放射線の人体への影響や、核廃棄物の処理の問題から、使用範囲は縮小しつつあります。