内容は日露戦争のときに行われた日本海海戦についてです。
歴史の教科書には必ず出てくるほど有名な海戦ですね。
誰と誰が戦ったか知ってます?
明治維新を経て近代国家への道をひた走る日本。
日清戦争に勝利し、意気揚がる若き日の日本。
一方、ヨーロッパからアジアにまたがる広大な領土を支配する大国ロシア。
不凍港を求めて南下政策を取りますが、その先にはアジアの新興国日本が存在しています。
このまま手を拱いていては中国の権益は奪われ、やがて矛先が日本へ伸びてくるのは時間の問題でした。
当時は帝国主義の時代、弱肉強食の時代です。
自国の存亡を賭けて、大国ロシアとの衝突を決意し一見無謀とも思われる戦争を決意します。
そして日本から大陸への補給路である日本海の制海権を賭けて、ロシアはバルチック艦隊の派遣を決定。
ヨーロッパからアフリカ・ケープタウンを経由してまで、日本を撃滅しようと艦隊を回航します。
迎え撃つ日本は、東郷平八郎率いる聯合艦隊です。
さて両者の勝負の行方は?
もちろん歴史にもなっているので読者は結末を知っているわけですが、作者の吉村昭による両艦隊の苦闘ぶりが時系列で丹念に描かれています。
バルチック艦隊は実に7ヶ月も費やして、日本海まで苦心惨憺して遠征しています。
その苦労たるや、現代に生きる我々では想像することも出来ません。
対する聯合艦隊は、準備万端整えてバルチック艦隊を迎え討たんとするのですが、新興国の貧乏海軍のこれまた苦労ぶりが詳細に描かれています。
刻々と迫る決戦のとき。
これが結末だけは知っているものの、実に手に汗握る人間ドラマになっています。
一度読み始めたら止まらない面白さ。
読んでいて深く感動するのは、当時の日本人のなんと純真でいじらしいことか。
そして政府指導者のなんというスケールが大きく懐が深いことか。
敗戦から立ち直って世界有数の経済大国に生まれた私たちは果たして幸せなんだろうか?
こんな時代に生まれたかった、と思わしめる一冊です。
とにかく面白い。
熱い熱い時代の男たちのドラマです。
これ、絶対オススメです。
海の史劇
吉村昭
72年刊行、81年文庫化
(新潮文庫 860円)
★★★★★







