黄色と赤。
二人の王者と知り合って、毎日……ほとんど毎日一緒に過ごすようになったけど。
あたしだって毎日ボンヤリと過ごして来たワケじゃない。
実は案外オッ……胸が好きだとか。
コメディよりもシリアス系が好きだとか。
メールを打つのも下手だけど、ゲームのコントローラーだってほとんど全く使いこなせないとか。
帝王すばるをそれなりに把握出来たように、王者セーヤの事だってそれなりに把握してる。
意地悪だけど優しいとか。
でもその優しさは‘すばる関係’の人のみ、って事とか。
エロいクセに純情だけど、その純情は……
……こっちが余裕の時のみ有効、だとか。
だから、分かる。
ここであたしが、動揺したり焦ったりしなければ良いだけの話なんだって事は。
え?キス?セーヤあたしとキスしたかったの?
とか。
あたし普通のキスじゃ感じないから、そこんとこよろしくね
だとか。
そういう台詞をサラッと真顔で言う事さえ出来れば、取り合えずこの場は凌げると。
こっちが冷静であればあるほど、純情セーヤの「純情」の部分が、驚くほど光り輝き始める、という事は。
でも、今の現状は余りにもあたしに不利過ぎた。
どっちに転んだとしても、結果としては最悪だった。
どっちに転んだとしても、結果としては最悪だった。
すばるに別れ話?
もう、考えるまでもない。
冗談じゃない、怖すぎる。
もう、考えるまでもない。
冗談じゃない、怖すぎる。
真顔で言うワケにもいかないし、かといって笑いながら出来る話でもない。
大体一切そんなつもりなんてないのに「別れよう」なんて言えるはずもない。
例えそれが賭けだったとしても、そんな事絶対言いたくない。
大体一切そんなつもりなんてないのに「別れよう」なんて言えるはずもない。
例えそれが賭けだったとしても、そんな事絶対言いたくない。
じゃ、セーヤとキス?
……もっと冗談じゃない。
止めて欲しい。
外国の人にとっては挨拶代わりなのかもしれないけども、生憎あたしは生粋の日本男児だ。
じゃなかった、大和撫子だ。
外国の人にとっては挨拶代わりなのかもしれないけども、生憎あたしは生粋の日本男児だ。
じゃなかった、大和撫子だ。
「キス」というものは、好きな人とじゃなきゃ出来ないもので……好きな人だからしたいもので……
……っていうか、口唇でしょ?
キスって口唇と口唇をくっ付けるアレでしょ?
何なら、舌と舌を絡めあったりなんてしちゃうアレの事でしょ?
何なら、舌と舌を絡めあったりなんてしちゃうアレの事でしょ?
っていうか、そもそも口って何の為にあるんだっけ?
食べ物を食べる為。
喋る為。
喋る為。
……キスする為?
待って?
え?
え?
それってそんなに大事な事……?
食べ物を食べたり、喋ったりが出来る機能。
それをただくっ付けあう行為って、そこまで悩んだり躊躇したりするべき事?
それをただくっ付けあう行為って、そこまで悩んだり躊躇したりするべき事?
あれ?
あたし何で悩んでんの?
全然良いじゃん!
楽勝じゃん!
すばるに「別れよう」なんて言うよりも、くっ付け合うだけで解決する問題なら、そっちの方が断然良いに決まってるじゃん!
楽勝じゃん!
すばるに「別れよう」なんて言うよりも、くっ付け合うだけで解決する問題なら、そっちの方が断然良いに決まってるじゃん!
悩むまでもない事で悩んだ挙句、達観したあたしは、だから。
「おい。‘ひなちゃんワールド’で一体何時まで俺を待たせるつもりだ」
そんな意地悪セーヤの言葉にも怯む事なく。
「あたしキスする」
「……あ?」
「セーヤとキスする!さぁ来い!」
……と「純情セーヤ」に対して完全に有利な状況で、目を閉じ口唇を突き出したワケなんだけど。
「何でお前、ヤる気モンモンなん?」
……え?
「何で負ける気モンモンなん?」
……はい?
「肝心な勝負がまだなのに、なんで一人でハッスルなん?」
……ふ。
しまった困ったそうだった……!
余りにも「キス」に踊らされ過ぎた!
余りにも「キス」に踊らされ過ぎた!
冷静なフリをしながらも「セーヤとのキス」に、内心大焦りだったのがバレバレだ……!!
「き……気に入らなかっただけだよ!」
この時点であたしは確信した。
「気に入らないって、何がだよ」
あたし有利に進むはずだった形勢は、ここで完全に逆転した、と。
「人生ゲーム!いつもあればっかだし!たまには他のゲームもしたいし!」
「なら何ヤるんだよ。ポーカーか?」
「そんなのやり方知らないもん!」
「なら麻雀か」
「尚更やり方知らないよ!!」
赤い顔でフーフー唸るあたしとは対照的に、依然転がったまま余裕の表情のセーヤ。
悔しいにもほどがある!
何であたしが弄ばれてるんだろう!
こういうネタにはとっても弱いはずの純情セーヤに!
何であたしが弄ばれてるんだろう!
こういうネタにはとっても弱いはずの純情セーヤに!
「なら何で決めんだよ」
「…………」
「ヤりてェゲーム言えよ」
「ヤりてェゲーム言えよ」
「…………」
「言わねェならポーカーな」
「……ダメ」
「なら麻雀だろ」
「もっとダメ」
「だったらどーすんだよ。何で決めんだよ」
「……じ……人生ゲームだよ。人生ゲームしかないじゃん」
意地悪セーヤは鼻で笑った。
まぁ精々必死で頑張れよ、と。
お前が勝ちさえすれば無かった事になるハナシだ、と。
お前が勝ちさえすれば無かった事になるハナシだ、と。
「で?お前の条件は?」
そう聞かれたりもしたりしたけど、考えられるはずもなかった。
こんな不利な状況の中で考え付く条件といえば、
「あたしの前でおならしないで」
とか
「激しい下ネタ二度としないで」
とか、あっさり無かった事にされそうな上に、セーヤにとっては痛くも痒くもなさそうな事ばかりで。
「あたしの前でおならしないで」
とか
「激しい下ネタ二度としないで」
とか、あっさり無かった事にされそうな上に、セーヤにとっては痛くも痒くもなさそうな事ばかりで。
そんなあたしだから、バチが当たったのかもしれない。
キスってそんなに大事な事?
無理矢理だったとはいえ、そんな理由で自分を納得させようとしたあたしだから、勝利の女神からも見放されてしまったのかもしれない。
翌週。
日曜。
午後6時。
日曜。
午後6時。
「よっしゃ勝ち!!ひなより勝ち!!」
あたしはセーヤに完敗した。