今の愛犬の前に飼っていた犬は「ひな」という名前だった。

 

ひなはミニチュアダックスの女の子

 

性格は臆病で平和主義。

滅多な事では吠えない犬だった。

 

そして、とても甘えん坊


いつも私の傍にやってきて腕枕をして寝るのが大好きな仔だった。

 

ひなは14歳の時、突然体調を崩し3日後に亡くなった。


体調を崩した日に病院へ連れて行ったが原因はわからず。

 

年齢的にも寿命だったのかもしれない・・・

 

が、最後まで食いしん坊だったひな。


亡くなる前日までしっかりご飯を食べてくれた。

 

翌日ふらふらとした足取りで私に抱かれ2度3度痙攣したかと思うとそのまま息を引き取った。

 

悲しくて、辛くて、今でもあの最期の姿は忘れられない。

 

その日に火葬を終え自宅に戻ってくる。

 

いつも真っ先に駆け寄ってくれたひながいない・・・

 

涙が止まらなくて、もっと何かしてあげられなかったのかと後悔した。

 

しばらくは良く眠れない日もあったが仕事中は忘れることができて助かった。

 

でも、家に戻ると自然に涙がでてきてしかたなかった。

 

そんなある夜

 

布団に入って眠ろうとすると足元を何かが踏んでいる気配がした。

 

ひなが生きている頃、布団に入ると足元から駆け寄ってきて腕枕をしていた。

 

あの時と同じ感覚がする。

 

気のせいだと思いながらもそれは何日も続いた。

 

不思議にそれを怖いと思わなかった。

 

ひながまだ傍にいる、まだ自分が死んだこともわからないのかもしれないな・・・

 

そんな感覚の夜が数日続いた後

夢を見た。

 

それは亡くなった父の夢

 

父が立っている横に元気なころのひなが目を輝かせながら嬉しそうな表情で傍にいた。


そのひなの隣には、ひなと同じ顔の犬。

 

おそらく、ひなの姉妹ではないだろうか?

 

父はとても穏やかな顔で笑い、ひな達を連れて光の中へ消えて行った。

 

そこで私は目を覚ました。

 

何故か涙が流れていた。

 

それは悲しい涙ではなく、ホッとした感情だった。

 

ひなは父と出会い寂しくなくなったんだろう。

 

その日を境に足元を踏まれる感覚はなくなった。

 

でも、ひなを忘れることはないと思う