傷つきやすいタイプの人間は多くいる。
私もどちらかと言うと傷つきやすい人間だ。
が、年齢を重ねていくとだんだん図々しくなってきて
今は多少の事は深く考えないようになった。
以前、病院で働いていた病院での話。
当時18歳の男の子
介護助手として就職してきた。
初めての職場。
緊張もあり、頑張って仕事をしていた。
彼にとって、オムツ交換や入浴介助など大変な体験だった事だろう。
休憩室へ入ってくるなり
「は~」と大きなため息をつく彼
緊張がとれた瞬間で出たため息だろう。
休憩室には彼と私のふたりきりだった。
「慣れた?いろいろ初めてだから大変だよね」と私
彼はがっくり肩を落として俯いて
「こんなに大変なんて思ってませんでした」
「俺、やっていけるか自信ないっす」
「まあ、何かわからなかったら言って。気楽にね」
そう言って俯いていた彼の頭をポンポンとたたいた。
「お母さんみたいですね」
と、彼は照れて笑った。
確かに私の息子と同じ年ほどの彼。
「頑張れ」
心の中で思った。
それから一年後彼は看護学校にいきながら働いた。
その頃が一番辛かったようで
「もう俺死にたいっす」
「生まれ変わって宇宙の塵になって漂いたいっす」
かなりメンタルをやられていた感じだった。
周囲は
「あの子、辞めるんじゃない?」と噂していた。
が、彼は2年間頑張り続け准看護士となった。
看護師になってからはさらにプレッシャーがあるようで
「頭いて~、腹いて~、帰りて~」
等々やる気のない発言ばかり。
ますます周囲の対応は冷たくなり
「ホント最近の子はダメね」
彼にとっては周囲は30代以降のおばちゃんだらけ
同世代の相談したり愚痴れるスタッフもいない
心が折れているのはしかたない状況
私も
「そう長くは続かないかな?」
しかし、ボヤキながらも彼は未だに辞めずに病院にいる。
言葉にして吐き出すことが良かったのか
今はアラサーになった彼。
勤務経験も10年。
いつの日か出世して人を指導する立場になるのも遠くないだろう。
継続は力なり
繊細そうにみえたけど耐え抜いた彼は結構根性があったんだなと思う。