退職を決意した私。
しかしなかなか言い出せないまま今日まできてしまっていた。
それは外来職員の人手不足
もう限界を感じていたのは確か
だが、この戦場のように人手不足な職場では気が引けていたのだ。
そんな時、勤務異動で男性看護師が来ることになっていた。
実はこの看護師、私の以前の病棟勤務時代の同僚
私よりは年下ではあったが、歴代を争うほどの超古参。
そう、誰もが逆らえないベテランナースだったのだ。
とにかくマイペース
だが、結構な強面
誰も彼には逆らえないというオーラ全開
でもなぜか私に対しては逆らえない
その理由は
「注射の技術だけは私に勝てない」
という意味不明な彼なりのこだわり。
そんな彼を怖いとは思えず私も結構言いたい放題だった。
この彼なら外来に来ても持ち前のマイペースで外来勤務をこなすだろう。
役立たずな私が去っても何の問題もないと確信
そして、私が「退職」を決意した朝。
異動で彼がやってきて一番に私に
「ひなたさん、よろしく」
周りのスタッフは驚いた様子
そして業務が始まり少し落ち着いたころ
「どうなん?ぜんぜん病棟と違うやろ?」
と、私
「確かに、でもまあちょっとしたら覚えるやろ。後は俺が改革していくし」
相変わらずマイペースな発言に笑ってしまった。
「あ~私、辞めるんで後よろしくね」
と、私
「?」意味がわからないという彼だったが
「やっぱり体がもたん?」と彼
「そうなんよ、あんたが異動してくるの待ってたんよ」
「そうか~残念やな。また一緒に働けると思ってたんに」
残念そうに彼は言いながら付け加える。
「いつ辞めるん?」
「今日」
間髪入れず答える私に
「まじか⁉」とびっくりしたように彼
「うん、今日。明日から来ん」
ハッキリ言い放つ私に
「ひなたさんらしいな~」
とニッと彼が笑ってみせた。
私もつられてニヤッと笑う。
外来に来て初めて笑えたような気がした。
社会人として、非常識な辞め方だと思うが一度しかない私の人生。
一回くらいわがまま言ってもいいよね。
さあ、師長と部長に話そう。
次回、ついに退職。後悔全くなし【職場日記】