普段買い物に行ったり病院に行ったりは、メモを元に順路をイメトレして玄関の出入りはなるべく一回で済ませるようにしている。私に限らず皆の行動を把握しておきたい義母に、管理されたくない反抗心からかもしれない。夕飯で必ず顔を会わせる、つまり365日会うのでそれ以外は2階から降りずに済ませるようにしている、なるべく。

 玄関のチャイムが鳴る時もベランダや窓から必ず覗いて、出てくれる義母を見守るつもりで、行くべきか大丈夫か判断している。

 先日チャイムが鳴り二階の窓から返事を、とその人が「お母さんおる?」「お義母さん足悪いから出られない」と窓を閉めて降りようとしたその時、玄関の戸が開いて義母が顔を出した。前日自転車で転び夫に整形外科へ連れて行ってもらったので足が痛い筈だ。出てしてしまったものは仕方がない、再び窓を開けて様子を伺った。新聞更新の話だったが、勧誘員がなれなれしく玄関まで入って来た。やはり降りて対応せねばと思ったが、別の男性の声がしたので散歩に行っていた夫が帰ってきたのだろうと思い、それなら安心とまたまた窓から下を覗った、が、どうやら義父が部屋から出て来たのだった。頭のしっかりしているお義父さんなら任せても大丈夫だろうと、結果降りずに終わった。新聞屋が帰ったあとに怒った様子の義母が義父に言っていた言葉が「ルカちゃんなんか下りて来てもくれへんわ」と。

 ちょっと待て。その数日前に仕事を辞めて家に居る夫を訪ねて以前の仕事関係の知人が来てくれた。私は「リビングに入ってもらったら?」と中に通してお茶を出し、義父母の部屋に行き「リビング借りてるから」と報告に行った。報告した私が悪いと言えばそれまでだが、わざわざ義母がその人に挨拶をしに来たのだ。待て待て60過ぎた大人の付き合いに親が出て来るな!と思ったが、仕方なくその場はやり過ごしその後「ごゆっくり」と告げ2階に上がっていた。さてその方が帰るとき、大きな声で「お邪魔しました」と声掛けをしてくれたので急いで下りたら、もう義母が外まで送り出ているのだ。妻の立場も何も無い、その方に「お気をつけて」と声をかけるのがやっとで私だけその場を離れた。

 矛盾していない?

 私の実家も病人だらけ、義父母も高齢と言う理由で離職したのは確かだが、義兄も夫も義父母も私が病院送迎をして当たり前と思っている。私が言い出したので今は義父の送迎は義兄夫婦がしてくれるが、夫も私がいちいち言わなければ親の世話には気づかない。玄関の訪問者に出る親に気を配っているのも私だ。けれど親は息子たちにわざわざしてもらうのは有り難く、嫁には「してもくれない!存在」なのだ。

 永遠に分かり合えない関係、今はもう諦めが勝っている。