2部式の飾り帯を考案して1年が
経ちました。







このごろは、

リバーシブルで、細帯とお太鼓の

組み合わせも関心いただき

良いようです。


おかげさまで、とても好評です。
次々とご要望をいただきながら、
製作しています。


その中で、おばあさま、お母様の
思い出の品で、作ってくださいとの
持ち込みの
ご注文を頂かことがあります。

新作を製作していきたいので、
申し訳ないのですが、
リメークがお得意なところにと
お話しします。

ただ思い入れのあるお話の時には、
少しだけ引き受けております。

大事にしていたもので作るのは、
作る側も
失敗は、許されないと
プレッシャーがかかります。


今回のおばあさまの羽織には、
驚かされました。

解いて、洗って、アイロンをかけて
いくうちに、どんなにこの羽織が、
大事に扱われてきたかが、
分かったのです。
おばあちゃまのお気に入り、
大切な一着だったのです。

地色は黒で、細かなアップリケで、

この花瓶たちが、散りばめてあります。

使われている小布も上等な紋意匠の

織り生地にぼかし染めしてあります。

前は、着物として着ておられたと。

本体もアップリケの生地も

どちらも着物として、着られていた

のかもしれません。








⬆️ とても可愛い花瓶たち。



⬆️ 細かく手で纏りながら、

縫い付けてありました。

丁寧な仕事でした。




そしてなんとその中に

紋が隠されてました。

5個でした。

元は、紋付の着物をもう一度染め替えて

羽織にしたのだったのです。

紋加工されているものは、

色抜き加工しても取れません。

隠すための

なんらかの工夫をいたします。



そして驚いたことに、
それが、五つ紋の留め袖だった
ことが、この裾に隠されたひとつの
手描き友禅の図柄で分かりました。
本糊糸目で、扇面と流水が、
描かれていました。
最後に羽織にリメークした着物屋さん
職人さんの思い入れ、遊び心でしょうか❓
前作の仕事を全て塗り潰さずに一片だけ
裾の縫い代の中に留めたのです。

おばあさまの頃は、絹の着物地は
貴重でした。
大事に染め替えて、何回も形を変えて
最後まで、布を無駄にせずに
可愛がり、使い切ったのでしょう。

ここまでの羽織だったので、
お孫さんも何かの形にしたかった
のですね。
気になったのでしょう。
私も何か気になってお引き受けして
しまいました。

扱っていくうちに
おばあさま、お母様、お孫様と
心がつながっているのを
感じとりました。

着物の製作に携わらせて貰っている
私共にも大きな贈りものでした。

心を込めて、製作作業を続けさせて
頂きます。

感謝を込めて‼️