10数年前に買った、
一戸建て。
結婚する前から、
結婚したら家が欲しいよねって、
2人で貯金して、
結婚して2年目で、
念願だった一戸建てを購入した。
毎日掃除して、
庭には花をたくさん植え、
大好きな木も植えた。
ウッドデッキもみんなで手作りし、
腐らないよう、
毎年防腐剤を塗った。
雑草を抜いたり、
玉砂利を敷いたり。
2人でそんなことも、楽しんだんだ。
ご近所さんとも仲良くなったし、
春には近所の桜並木へ、
散歩に行ったり。
2人で過ごした大切な家、
こどもが生まれてからも、
色んな行事を楽しんだ、
大切な思い出のある家。
私は、
離婚の前にこの家を出た。
私はこの家が、大好きだった。
大切にしていた。
一生、ここで、
家族で過ごしていきたいと思っていた。
でも、
無理だった。
引っ越す日、
涙が溢れて止まらなかった。
ご近所さんに、
引越しの挨拶の時も、
涙が止まらなかった。
ここには思い出が多すぎる。
自分を奮い立たせて、
家を出た。
その後は旦那が住んでいた。
ローンも残っていたし、
住むしかなかった。
その後、
たまに見る我が家は、
雑草だらけ。
二階まで、雑草が伸びてる。
まるで、鳥の巣の中に、
家があるような感じ。
手入れしてないウッドデッキは、
だんだん朽ち果てて、
腐って穴があき、
花は枯れ、
木は好き勝手に伸び放題。
私の忘れていった、
こどもの長靴が、
まだ、ウッドデッキに転がっている。
あの頃の面影は、
何もない。
切なくて。
悲しくて。
家がかわいそうで。
幹線道路沿いにあるから、
見たくなくても、
つい見ちゃうのだ。
「こどものために、
この家は残してやりたい。」
いつかの旦那が言った。
しかしそれから
数年後、
ローンの滞納が1年もあることが分かった。
コロナの救済措置で、
一年滞納しても、競売にはならなくて済んだらしい。
私は、
連帯保証人。
もう、
売るしかなかった。
私が買い取ることも検討したが、
滞納してたことで、
親族間売買は出来なかった。
数ヶ月前、
私たちの家が売りに出され、
今日、
新しい家族が決まったと不動産屋から連絡が来た。
私の思い出の物が、
また一つ、減った。
大好きだった、我が家。
もう、何があっても、
あの家には帰れないんだ。
今日も涙が溢れた。
さようなら。
大切に、
してもらってね。
今日はセンチメンタル。
そんな日。