じりじりの陽ざしはないけれど

ムシムシの空気は淀んで

爽やか北海道ではありません

 

夫からの着信があり、出れば

切れるが繰り返して3回

 

多分、小さなスマホの

画面操作がおぼつかなくなって

いるんだわ

 

コチラからの折り返しには

出なくなったのはだいぶ前だし

連絡が取れません

 

待っているのは解っています

すっかり薄くなった髪の毛だけど

伸びてきたのでカットをして

欲しいのです

 

定期で来てくれる床屋さんを

なぜか断って、『ママ床屋』が

来るのを待っているのです

 

※ ※ ※

 

老化と共にいろいろな機能が

おぼつかなくなるのは

悲しくて辛いことだけど

 

生まれた以上、生きた以上

あたりまえで自然なのだから

眼はそむけずに

 

使い慣れた“床屋セット”を

トートバックに詰めて

出かけました

 

心なし高くなった空に

湧いてくるさまざまな感情を

吸い取らせながら歩きました

 

            究極の選択迫られて

            迷いなく不随の夫(つま)に

            ロープを投げよう