『てっちゃん、てっちゃん、』


ねるのこえが頭でよぎっていく。


『てち、しっかりして』


珍しくりさがわたしに優しくしてくれた。


この違和感はなんだろう。


私は何も考えられなくなった。



ーぴっぴは重い病気にかかっていた。

         成功するか分からない難しい手術を受けるのだとー



その電話をもらった時、私はねるとりさと居た。


ぴっぴは一週間前から学校に来なくなっていた。


ぴっぴは、病気を治すために、十年前転向した。


だが、病気は治ることなく、悪化していくばかり。


だから、手術を受ける前にもう一度てちに会いたいとおもって戻ってきた。


まなかが手術を受けている手術室の前で、3人は祈るように待っていた。


「ねる、そろそろ渡す?」


「うん、てっちゃん、これ


ねるがポケットから1枚の手紙を取り出した。


『友梨奈へ

   

    私は、今から病気を治すための手術を受けます。成功するか分かりません。成功したら、友梨奈を迎えに行きます。そして、あのとき言えなかったことを言います。だから待っててください。


                                   志田愛佳                 



手紙にはこう書かれていた。


「てち、どうする?」


りさが問いかける。


「ぴっぴ、戻ってくるよね


ねるとりさは頷く。


「待つ。ぴっぴが迎えに来るのを待つ。」













一週間後


ぴっぴは戻ってこない。

あれから、意識不明の状態らしい。


ねるとりさにぴっぴのとこへ行かないかと誘われた。迎えに来るのを待つという約束をしていたから一瞬躊躇ったが、行くことにした。



ぴっぴは目を閉じたまま動かない。


「これで、良かったのかな


ねるが言う


何も出来ずに、ぴっぴの手を握り、家に帰った。







エピローグ




桜が舞う始業式。


「ねるー!!!!」


「てっちゃん元気だね!」


2人とも早く行くよ」


少し大人になった3人。


桜の並木を歩いていた。


ふと、ぴっぴがいるような気がして、後ろを振り向く。


「いるわけないよね

小声でぼそっと呟く。


青空を見上げ、にっこり笑いまた新しい1年、頑張ろうと心に決め、ねるとりさのあとをついていこうと踏み出す。


その瞬間。


「てーち」


聞き覚えのある声。


振り向くと、そこにはぴっぴが立っていた。


満面の笑みで



「友梨奈、ぴっぴだよ」


「ぴっぴ~!!」


てちは泣きながらぴっぴに飛びついた。


その様子をみていた、ねるとりさ


いつの間にか、手を繋いでいた。



ーーーーENDーーーーー