桜の花が ようやく
咲き始めた頃
兄から 電話が あった
それは 父の入院の報せ


私は 急いで 米子へ 向かった
元々 高血圧で 糖尿病もあり
入退院を 繰り返していたが
ベッドに 横たわる その姿は
すっかり 痩せ細っていた



しばらくは 入院するとの事
父は 私に 


よう 来てごいた
何も 心配は いらんけん


そう 笑顔で 話した


私は なんて 答えて良いのか
わからなかった



廊下に 出て 父の3人目の妻で
ある
和ちゃんが 私に 相談を
持ちかけた
それは 私の母の分骨している
場所に 父も 自分も一緒に
その時が来たら
入りたいとの事



ごめん…和ちゃん…
ちょっと 考えさせてくれん



そげだわね
ごめんよ こげん話して



和ちゃんは うつむいたまま
そう言った



元々は 兄も私も 
お互いの連れ子で 出会い
今日に至る
私の母が 出ていき
まもなく 和ちゃんが 一緒に
暮らし始め
色々な事が あった事を
嫌でも 思い出す



本当に 大人は勝手だ


複雑な思いが 過る
その おかげで 
この1ヶ月悩みっぱなしだ
兄からも ずっと 
「父さんと 和ちゃんが勝手な事言って ごめん」
連絡が 続いている



あの場所は 母が大好きな場所で
私にとっても
大切な思い出の場所
そして 祖父が 母のために…
私は どうすればいい…



この悩みに 悩んだ1ヶ月
私は
一つの答えを 出した



電話は 嫌なので
兄に LINEを送った
兄からの返事は 
私の胸に しまっておこう



きっと 今頃 父にも
伝わっている頃だろう
たった 4年 父と呼び暮らした
その人の願いを
叶えるべきだと 思った


それは 今でも
父と呼ばせてくれることへの
感謝かも しれない
たとえ 血は繋がらずとも
私達は 家族なんだ



そして 和ちゃんも 家族なんだ



私は なんだか 少し
スッキリした気持ちで 和ちゃんに
LINEをした
まだまだ 2人とも 元気で
いて ごしなはい
また 会いに行くけぇね



これで ええんよね
母さん

2024.4.29
HIMURO